2016年12月12日

なんちゃってシンデレラ 王宮陰謀編  異世界で、王太子妃はじめました。

なんちゃってシンデレラ 王宮陰謀編 異世界で、王太子妃はじめました。 (ビーズログ文庫) -
なんちゃってシンデレラ 王宮陰謀編 異世界で、王太子妃はじめました。 (ビーズログ文庫) -

昔Arcadiaで読んではいたものの、それから5年もたっているのでどこまで読んでいたのかはまったく記憶になく。それでも、異世界の王女に成り代わったことでまず彼女が変わり、彼女を通して周りの人たちもがいい方向へと変化を導かれていく連鎖というのは、そういう話を読んだのがはじめてだったこともあり、のめりこむように読みいっていた記憶があります。そんな作品であったため、数ある新刊の中にでそのタイトルを見つけていてもたってもいたられず読みはじめました。

実際読んでみたところ、この巻の内容は既読の範囲。とはいえ、主人公が成り代わった王女の変化が周囲にまで影響を及ぼしていくのには、お相手の王太子さまとの接触が増えてきそうな次の巻からに期待でしょうかというところ。この巻の段階ではまだ王女が巻きこまれている陰謀の余波でぴりぴりした空気がそこかしこに漂っており、そういえばそういう面も話の中核をなしてましたねと思い出していたり。というか、物語のけん引役はこちらこそというところでしょうか。その他、記憶にほとんど残っていなかった料理描写も前世の知識を活かして活躍しているようですし、この辺もアクセントとして楽しめますね。

そういえば、最近は本を読むときにカバーを外して読んでいるんですが、この本でそうしたところカバー下に舞台であるダーディニアとその周辺の地図が描かれているのが見つかりまして。ライトノベルでこういうカバー下に凝ることってあまりないですし、もしかしたら気づいていない人も多いのではないでしょうか。地図なしでもおそらく問題なく読めるとは思いますが、あるとないとでは理解に違いが出てくるのではないかと思いますし、いっしょに描かれてるSDキャラもかわいいですし、ファンの方はぜひぜひというところ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

異世界修学旅行

異世界修学旅行 (ガガガ文庫) -
異世界修学旅行 (ガガガ文庫) -

突然異世界に転移してしまって、魔王を倒すことになったり冒険の旅が待っていたり、生きていくための戦いやもとの世界へ帰るための探求が始まったり……なんてことはなかったという話。いやもう本当になにもすることがない。クラス全体で異世界に飛ばされてしまったとはいうものの、飛ばされた先の世界は平和だし、王女に保護されたから身の安全も保障されているし、もとの世界に帰る手段もばっちりわかっているときたものですよ。どこをどうみてもなにごとも起こらないはずだったんですよね。

けれどもそれを、せっかく修学旅行中だったんだし、異世界で異文化交流しながら修学旅行してしまおうと動きだすのはなかなか面白い流れ。どうも転移途中ではぐれたクラスメートがいるらしいとわかったということもあり、異世界転移という普通ではない体験の中、それでも自分たちの考えで主体的に動いていこうとするキャラクターはいいですね。まあ、面白いこと好きの王女が煽った部分もあるけれど。というかこの王女、ごくまれに王女っぽいところを見せるくせにふだんが日本のマンガとか読みふけってクールジャパンに染まりきってるせいで会話がとても異世界とは思えない感じなってたりして、これはハイファンタジー宝田ならずともキレたくなりますわというところ。むしろ普段ボケたおしまくってるせいでたまに立派なこと言いだすとイラっとするレベル。

クラスメートもほとんど個性派ばかりで、ツッコミ役の主人公の影が薄くなってますが、そんな主人公と幼馴染の関係の行方はというところも気にしつつ次の巻にとりかかりたいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月11日

ティアリングの女王(下)

ティアリングの女王 (下) (ハヤカワ文庫FT) -
ティアリングの女王 (下) (ハヤカワ文庫FT) -

勇敢にして断固たる若き女王の第一歩を見た。親にように心の底から頼れる人はそばにいない頼りなさはぬぎきれず、家来として信頼できる人であっても美人を目の前にするとコンプレックスを隠すことができなくなる。そんな、完ぺきとはとても言いがたい新女王だった。それは、きっとすぐには変えられないケルシーの抱える弱さのひとつ。けれど、それでもやっぱり他人の上に立つ女王としての信念は本物だった。命をあずける人々から正気を疑われようと、それでも自分を信じた。教えこまれた国のためになすべきことを信じた。そして、自分の力で第一歩を踏み出した。国の民を守り抜いた。素晴らしい。素晴らしい女王の蛮勇だった。つづきもぜひ読みたい。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月09日

2016年10月の読書まとめ

10月は5冊。1冊も読んでなかったような記憶があったので、実はカウントできる本があったことに驚きがあったり。とはいえ、読んだものはすべて艦これのノベライズとTRPGリプレイ。月初に会った友人たちの間でTRPGをやってみようという機運が高まっていたため、それなら自分が持っているものの中でルールや感覚の把握もかねてと艦これRPGの一人プレイをしてみようとして、その参考にと関連の本を読んでただけのことであって。小説を読んだという気はほとんどしていなかったり。やりかけたソロプレイは途中で挫折しましたが。なまじイメージのできあがってるキャラを使ってしまったこともあり、このキャラならこういう展開だろうなーという考えがサイコロを振る前に自分の中でできあがってしまっていて、そこから逸れるとどうにもこうにも納得のいく展開を思いつくことができなくなってしまって。この辺は文章全般を書くことにおいてわりと深刻な問題だとは思ってるんですが、それはともかく。

9月からひきつづいて本が読めない苦痛と戦ってた月でしたが、そんな中でも比較的読めていたのは9月のまとめでも書いたように歴史の本でした。やっぱり、中世のレコンキスタのころのスペインって面白いんですよね。異教徒同士の併存状態というか、敵の敵は味方みたいな感じで協力・敵対をくりかえす混沌とした情勢がですね。ヨーロッパの歴史の本流はイギリス・フランス・ドイツあたりなのかなーと日本語の文献の量を見てて思ったりもするんですが、それらとは一部が明らかに異なる、ヨーロッパの端に位置した地域の様子というのはそれはそれは興味を惹かれるものがあって。いちばん読める本がこの分野なら、ちょっと気合い入れていろいろ読んでみることにしようかと考えたのが10月後半だったでしょうか。それと、この分野の文献を読んでいったら言葉の壁にぶつかるのは必然なので、ついでにと語学の本を掘りだしてみたら、これも思いのほか面白くて。この二本立てで文章を読みながら10月を終えた記憶。

そんなこんなでして、結果として10月に読んだ中からのお気に入りはありません
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月29日

2016年9月の読書まとめ

9月は7冊。前月からはめちゃくちゃ減りました。いろいろ時間に余裕ができたので同じペースを維持しながらあれこれ挑戦できたらと思ってたんですが……。なまじ時間ができたせいか読書がおろそかになってしまったというか。

具体的にいうと、7月以来まだくすぶってたなにかしら小説を書きたい欲をこの機に形にしてみようとまた挑戦してみたのですが、失敗。今回の失敗原因は明らかにペース配分のミス。物語の一番最初からこまごまと書いていこうとすると、もともと書き進めるスピードがかなり遅いこともあって、書きたいところに到達しないままモチベーションが下がってくるという。最初のうちは書きたいところ以外はさらっとやっつけとけばなんとかなったんでしょうけど、というかこれまでだいたいそういうやり方をしてきたはずだったのに、力の入れどころを誤った感。ともあれ何度目かの失敗の末に、さすがにもうネタがないよと書く方からはしばらく距離を置くことにしましたが、そうしたら今度は読む方でも本のページを開くと1,2ページと読み進めないうちに投げだしてしまうくらいに集中力がつづかなくなっていることに気づいてしまって。たぶん書く方の失敗をひきずってしまったせいだと思うんですが、かといって持ち直せるあてもなく。それならと別のものに手を出してみて。マンガなら読める。少女マンガなら、少女小説なら……と、それでも読める本がないわけではなかったのでそこから少しずつペースを戻していければいいかとも思ってたんですが、そこから先にはどう頑張っても回復せず。それどころか少女小説も読めたり読めなかったりと一進一退の状態がつづきまして。どうしたものかという状態で悩んだまま9月を終えていたような記憶が。前々からほそぼそと読んでいた歴史の本も手に取ってみて、これなら小説よりもまだ読めるということでそちらを読んでみたりもしましたが、そちらはそちらで読むのにある程度集中力が必要になってくるので一日中読んでいるということもできず。本が読めない状態というのは本当に苦痛でしかないとあらためて思った月でしたね。

ともあれ、そうこうしているうちに、ラノベや小説からはすっかり離れてしまい、月の後半は読了数0という結果に。

9月に読んだ中からのお気に入りは以下。

[☆☆☆☆☆]やがて君になる(1)  感想
やがて君になる (1) (電撃コミックスNEXT) -
マンガより。恋する気持ちがわからない主人公が、きらきらとした感情に対してみせる嫉妬すら混じった羨望が胸を打つ。

[☆☆☆☆☆]年刊日本SF傑作選 さよならの儀式  感想
さよならの儀式 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫) -
国内SFより。SFに興味がある人が読めばきっとお気に入りが見つかる、個人的なSF入門推薦シリーズ。特に冲方丁の短編は傑作。

[☆☆☆☆]海色のANGEL(1)ルーナとノア  感想
海色のANGEL 1 ルーナとノア (講談社青い鳥文庫) -
ライトノベルより。外見がそっくりのさる国の王女さまと資産家の令嬢という二人の少女が、息もつかせぬ急展開でそれぞれの背景につらなる事情に巻きこまれていく。その、小さな女の子たちに課されるにはつらいスピーディーな展開にひきこまれる。

くわえて、アニメで見ていた『Re:ゼロから始める異世界生活』も、この月で2クール25話まで視聴し終えましたが、とてもいいラストでした。ああいう、回り道しまくったうえでようやく最後に第一歩が踏み出せたという感じの話は大好きです。これも、上記のお気に入りに加えるとしたら[☆☆☆☆]で、位置的には『海色のANGEL(1)』の上になるでしょうか。4月から半年かけて見てきたシリーズということもあり、9月のまとめの中で位置づけしちゃっていいのか迷ってしまったのでここで追記の形にしておきます。

こうしてみると、読書面ではあんまり数を読めてなかったのですが、ひとつひとつの満足度、その質を見ていくと先月とそれほど遜色ない感じだったといえるのかもしれません。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月19日

やがて君になる(1)

やがて君になる (1) (電撃コミックスNEXT) -
やがて君になる (1) (電撃コミックスNEXT) -

すっごくいい。めちゃくちゃよかった。全力でオススメするレベル。今年のナンバーワンはこれに決定……はさすがにいいすぎか。けどこれはまだ1巻読んだだけでもめちゃくちゃひきこまれる素晴らしい話。

ジャンルとしては百合。その中でもガチな恋愛路線の話らしい。詳しくない分野なのでジャンル内での位置づけはよくわかりませんが。けど、個人的にはこの話は百合としてよりも恋愛ものとしてのよさをこそ主張していきたいところ。

この話のポイントはなんといっても、主人公が恋にあこがれながらも恋愛感情とは無縁な女の子である点だと思うんですよ。恋をするということがどういうことなのか、物語の中で描かれる恋はいくつも見聞きしてきたのに、こういうものなんだろうなと想像することもできているのに、それが自分に訪れたことは一度もない、誰かのことが特別だという感覚がわからない。恋愛話に興じている友人たちの中でただひとり疎外感を感じてしまう。そんな女の子なんですよ。だから、恋愛路線といっても、1巻終了時点では恋人どうしにはなってないんですよね。先輩から主人公への一方通行にしかすぎなくて。でも、主人公は自分のことを特別に思ってくれて、ほかの人には見せない弱い一面も見せて甘えてくる先輩に対してきっぱりと拒否することもできず、葛藤を抱えながら接していくことになる。いいですよね。一方はきらきらとまぶしいくらいの好意を見せるのに対して、もう一方はつれない態度をとったり、それをうらやましくも思ったり。そんなちょっと非対称的な感じにはじまった二人の関係がですね、とてもいいと思うんですよ。

ただ、そんなどこか普通じゃない感じで二人の関係がはじまるのも、なし崩し的にしかたないところはあるわけで。お相手の先輩も、実は最初は主人公と同じで、誰かから「好きって言われてどきどきしたことない」という、恋愛感情とは縁のない人だったんですよね。だからこそ、主人公もこの人なら自分の気持ちをわかってくれると頼みにも思ったわけで。そんな先輩から突然きらきらとした好意を向けられたら、主人公ならずともどうしたらいいのか戸惑ってしまいますよ。自分と同じだと思っていた先輩が、自分の知らない特別な気持ちを知って、まぶしいくらいの恋愛感情に照らしだされたような表情をするようになる。それをねたましいくらいにまで思う主人公の心のうちの描写なんて、たまらなくよかったですね。くやしいくらいの気持ちが痛いほどに伝わってきて。あのシーンがこの巻のベストだと思います。自分を頼りにしてくれているんだと思えば、自分に力になれることがあるんだと思えばそれでも冷たい態度はとりにくそうですが、やっぱりいびつですよね。それがいい。

ラストに不穏なモノローグで終わってるのが気になりますが、二人の恋模様、これからいったいどうなってしまうのか。2巻もすぐさま読みたい所存。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:52| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月16日

年刊日本SF傑作選 さよならの儀式

さよならの儀式 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫) -
さよならの儀式 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫) -

タイトルには入ってないようですが、2013年版。

素晴らしい短編SF小説の数々だった。ひとつひとつがおすすめ級になりうる傑作が16編。本当はそれほどSFが好きというわけでもないんだけど、第一印象があまりよくない作品でもせいぜい数十ページだからと思えば読み流せるし、好みに合う作品がくればひとつだけでたまらない満足感にひたることができる短編小説が10以上も楽しめるという。まさに至福の読書時間。この傑作選シリーズで手に取ったのはこれが2冊目だけど、1冊でも読む前よりも読んだ後、1冊目を読んだ後よりも2冊目を読んだ後のほうがよりSFっていいなという気持ちが強くなっているのを感じる。そういう意味で、短編集ってジャンルの布教に実はかなり有用な形態なんじゃないか。そんなことも考えたりしますがほかで応用できるあては特になかったり。

以下、これはと思った作品をピックアップ。

「ウンディ」(草上 仁)
ウンディという異星の生物が楽器として使われている世界を舞台とした音楽SF。もっというと、音楽の中でもバンドもの。ライブシーンの高揚感がですね、素晴らしかったんですよ。最初の一音目を出していくところからはじまって、徐々に徐々に曲の調子が高揚していって、クライマックスでは勢いに任せて空中を飛び回るような浮揚感、疾走感に包まれる。この感覚にどっぷりとつからせてくれる描写がみごとでした。それでいて、異星生物というSF要素は要素だけにとどまらずしっかりとクライマックスにも関わってきていて、そういう意味でも音楽とSFのふたつが絶妙に組み合わされた音楽SFでした。

「エコーの中でもう一度」(オキシタケヒコ)
立体音響技術を用いて依頼人の依頼を解決していく感じの話。内容自体からはすこしそれるんですが、バイノーラル録音とか立体音響とか、個人的に2年ほど前からはまってる耳かき音声で聞いた技術がさらに発展してSF小説のネタになっていることにちょっと感動してしまったり。

「食書」(小田雅久仁)
タイトル通り、本のページを食べてしまうことに取り憑かれる男の話。SFというか、ホラーテイストな不思議な話。タイトルの時点で展開はある程度予想できてしまったんですが、それでも、目の前で巻き起こる異常なできごとに目が釘付けにされてしまうサスペンスな展開。五感からダイレクトに伝わる幻を通して現実との境があいまいになっていく感覚。ぐいぐいとひきこまれる描写の魅力。持っていかれました。こういう、わかっててもなお瞠目させてくれる筆致は好きですね。というかですね、いきなり肉感的な姿態の女性が現れて失禁してる場面はインパクト強すぎて卑怯ですね。

「イグノラムス・イグノラビムス」(円城塔)
人類よりもはるかすぐれた思想を有する超越的な異星人の体に入りこんでしまった男の意識が彼らとの対話を通じて思索する感じの話? すいません。円城塔はほかにもひとつふたつだけ読んだことがあるんですが、話の筋を理解しきれたためしがありません。でも、不思議なことに面白いんですよね。人類よりもはるかに高度な思想を持つがゆえに、どこまでも人類の枠組みでしかない自分には理解不能な論理が目の前で悠々と展開されて、けどなんとなく雰囲気だけはわかったような気になれるとそれがなんだか無性に面白い。そんな感じの読み味なんですよね。実際どういう話だったか聞かれたら、さっぱりわからなかったというほかないんですけど。

「神星伝」(冲方丁)
文句なく傑作。未来世界の木星を舞台にしたSFロボットアクション大作……という理解だけど、わずか50ページの中に詰め込みに詰め込まれた設定は要約しての説明なんてとてもしきれるものではないのでこれはもうただ読んでくださいとしか言う術がない。ただ、それでもあえて言うとしたら、ジャパニーズ・パンクでスペース・メカニックな世界観の魅力とでもいいましょうか。作品全体の雰囲気を醸し出す造語や単語のチョイス、ガジェットの数々がとてもイカシてるんですよ。ぱっと抜き出してきても、浮世(ウキヨ)に淑景舎(シゲイシャ)士道(シドー)に陰陽(オンミョー)ですよ。そしてアクションシーンでは人型の具足(グソク)に乗りこみ馬具(バグ)を装着し、刀(カタナ)を起動させてぶん回す。けどそれらひとつひとつが文章の中に自然と溶け込んでひとつの物語世界を構成してるんですよね。そのセンスの妙ですよ。それでいて、キャラクター的には息子大好きお母さんがいたり、主人公にとって特別な存在となるヒロインがいてその関係性に期待させてくれたりと、もう本当にカオスな世界観で。たった50ページの短編ひとつで幕を閉じてしまうにはあまりにももったいない奥行きを感じさせる設定の数々。読んでる間わくわくしっぱなしで、終わってからこの分量では全然物足りないと思わせられる期待感。いやこれ本当に、どこかで続編かもしくは長編としてリメイクしてくれませんかね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月15日

海色のANGEL(1)ルーナとノア

海色のANGEL 1 ルーナとノア (講談社青い鳥文庫) -
海色のANGEL 1 ルーナとノア (講談社青い鳥文庫) -

え、なにこれ、めっちゃ展開早い。いや、読み返してみたら案外そうでもなかったんだけど、とにかく後半の急展開が衝撃的で、それもあってものすごいスピードで話が転がっていった印象になってる。すっごく面白かった。まだ1巻しか読んでないけど、児童書ってジャンル上、おそらく子供にしか読まれないだろうことが惜しいくらいの面白さ。もっといろんな人に読まれるべきでは……とも思うけど、まだ1巻だし、ひとまずトーンを抑え目で。

かなりおおざっぱな内容としては、外見はそっくりだけど性格はわりと反対なルーナとノアというふたりの少女の話、というところかな? ファンタジーの世界から現れたお姫さまような(というかまさにそれですね)まじめさと世間知らずぶりをあわせもつルーナと、反抗期っぽいつんけんしたところを感じさせるノア。記憶を失っていたルーナをノアの兄が引き取ってくるすこし前から物語がはじまって、不良っぽい(古い表現か)ところのあるノアがルーナに自分のふりをさせて学校に行かせたり、そしたらルーナが持ち前のまじめさを発揮してしまいノアは頭を抱えさせられたりと、裏表紙に書かれているあらすじからも想像のつくコミカルな入れ替わりっぽい出だし。

それもそれで楽しかったのでそのままちょっとした事件が起こりつつも話がひと区切りつくのかなと思っていたら、後半を読みすすめていってびっくり。事件が起こるには起こったんですが、それがちょっとどころじゃなくてめちゃくちゃ大きな一連のできごとだったんですよ。それはもう最初の設定がほとんど廃墟になってしまうくらいに吹き飛んでしまうレベルで。まったくもって惜しげもなく。もう戻ることなんてできないレベルの急展開を。え、まじで!?ですよ。これまだ1巻ですよねって、表紙確認しちゃいましたよ。そのうえ、見通しもつかないままラストは思いっきり2巻につづくな終わり方。こんなの、めちゃくちゃつづきが気になるじゃないですか。ここからどんな風に着地するんだろうって。そして冒頭の感想になるわけです。いやあ、ここまで容赦のない展開は久しぶりですね。主人公格が小学生の女の子だからなおさらでしょうか。

さて、そんな急展開をもたらした背景ですけど、ルーナとノアというふたりのキャラの背景です。上のほうでもちらっと書きましたが、ルーナはこの世界にある架空の島の王女さまです。故郷でとある罪を犯して、島から追放されたうえに記憶喪失になってしまった女の子です。そんな彼女を引き取ったもう一方のノアの家は、日本の結構な資産家です。その令嬢にあたるノアが身代金目的の誘拐事件の標的にされたことがある程度には。ちょっと設定が古くも感じましたが、そのあたりは「原案:手塚治虫」の名残でしょうか。ともあれ、物語ははじめ、ノアの周辺を舞台に進んでいきます。ノアの思いつきでルーナに替え玉的な入れ替わりをさせてみたり、ルーナもそれにとまどいながらも少しずつノアという女の子のことを理解していったり。そうして、それぞれの背景を持つ少女の人生がここで交わってひとつになる……かと思いきや、そうはならなかったのがこの巻の話だったんですよね。ふたりとも、身辺をつけ狙う悪人には困らない程度には利用価値のある少女だったせいで、それぞれの背景からつながる事件に巻きこまれていくことになる。そこからですよ。めちゃくちゃ面白くなってきたのは。互いに相手のことをすこしずつわかりあってきたところでまた離れ離れになって、生きていくためにもせいいっぱい、あるいは必死にならなければならない境遇に追い込まれて、それでもあきらめない少女たち。すごくいいですよこれ。特にルーナのほう。大変な状況で、それでもいい子にふるまおうとする健気さがですね。育ちのおかげでもあるんでしょうけど、すこし、涙を誘うものがあります。

いやはや、本当にどうなってしまうのか。いいなあこれは。ちょっと前に読んだ『新訳 星を知らないアイリーン』もなかなかよかったけど、最近の児童書って意外にあなどれないのかもしれませんね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月13日

2016年8月の読書まとめ

8月は31冊。なんと、いつ以来かもうわかりませんが、1日1冊ペースを達成できていたようで。月の半ばごろに前の月の失敗くやしさにまた小説を書こうとしてあきらめてたりとかしてましたが、後半になるとTwitterの記録を見返してみてもすこぶる調子がよさそうで、実に理想的なペースだったのだろうと思います。ノクターンノベルズからもいくつか読んでましたので、実質的にはもう何冊か分プラスぐらいでしょうか。その辺で読んでた作品については7月からのTwitterのログを参照してくださいということで。

8月読んだ中からのお気に入りは以下。

[☆☆☆☆☆]エスケヱプ・スピヰド(6)  感想
エスケヱプ・スピヰド 六 (電撃文庫) -
ライトノベルより。ふたたび目覚めた《鬼虫》が放つ最後の生の輝きは、かつてと今の対比があるからこそ美しくあり。

[☆☆☆☆]オーバーロード(6)王国の漢たち(下)  感想
オーバーロード6 王国の漢たち[下] -
ライトノベルより。どこまでも冷静に狂ってるラナー様。素晴らしい。

[☆☆☆☆]盟約のリヴァイアサン盟約のリヴァイアサン(5)  感想
盟約のリヴァイアサンV (MF文庫J) -
ライトノベルより。この作者さんのハーレムの形成過程は、なんというか煮え切らない欲ばり心を満たしてくれる素晴らしさがありますよね。

[☆☆☆☆]ティアリングの女王(上)
ティアリングの女王 (上) (ハヤカワ文庫FT) -
海外ファンタジーより。事細かな知識はないけれど、なにが正義であるか、なにがこの国のためにしてはいけないことなのか、それだけはたしかにわかる。命の危機に瀕してもそれは譲れない。そんな期待の新女王。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月12日

盟約のリヴァイアサン(5)

盟約のリヴァイアサンV (MF文庫J) -
盟約のリヴァイアサンV (MF文庫J) -

この作者さんのハーレム形成過程の関係性の描き方はすごく好き。この、ひとりずつフラグが立っていたものをひとつの話で一気に回収していく感じ。一歩先んじているヒロインがあり、出遅れているヒロインがあり、それらすべてがぐっといちどきに主人公と距離を近づけていく。誰が一番最初に主人公とくっつくのかと思えば(まあ決断を先延ばしにしたい主人公がいつその気になるか次第というところはありましたが)、まとめて何人もが手に入ろうとしている。ひとつ選ぼうがふたつ選ぼうがいくつ選ぼうが選り取り見取りと言わんばかりにヒロインたちがふところに飛びこんでくる。この、いかにも欲望をかきたてるような構図がですね、とてもいいと思うんですよ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 12:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする