2018年09月04日

水玉ハニーボーイ(8)

水玉ハニーボーイ 8 (花とゆめCOMICS)
水玉ハニーボーイ 8 (花とゆめCOMICS)

https://www.hakusensha.co.jp/comicslist/51475/

今回も仙石さんがかっこよくて満足した。男子以上に女子に人気なイケメンヒロイン、いいですよね。七尾家長女に家庭科部員たちにお姫にその他、すでに仙石さん大好きな人たちが多数ながら、またしてもオーバーキルぎみに女子の心を撃ち抜いていく仙石さんに惚れる。かたや男子のほうで撃ち抜かれてるのは藤君だけ。仙石さんの心のほうを射抜けるのは藤君だけでもあるので、いかにも藤君独走みたいな構図でありながら、ギャグ的な場面ではあるけれど、むしろ女の子たちが障害として立ちはだかる。さすがです、仙石さん。

というか仙石さん、中学時代からすでにイケメン力全開だったのね。立ち姿だけでも侍女子らしいかっこよさが漏れ出まくってて。小学生時代の小さな絵だとまだかわいらしさがあったのに、中2になるまでにいったいなにがあったというのか、おそろしい……。この巻で初めて話題にのぼったような気のする師範のことを話す仙石さんは、なんだか純粋な子どもっぽいかわいらしさがあったように思うんですけどね。次の巻ではその辺の過去に関わる話になったりするんでしょうか。なんにせよ、またかっこいい姿に期待したいですよね。藤君には悪いけれど、藤君よりも仙石さんの見せ場を期待する派。

まあでも、藤君の見せ場をいちばんに邪魔する障害は、実のところ仙石さんその人であるようにも思うのだけど。仙石さん自身も藤君への気持ちは自覚してるし、折を見てそれを伝えたいとも思ってる。でも肝心なところでタイミングが合わなかったり、照れてしまってうまくいかなかったりする現状。ドツボにはまりつつある感があって、進展するにはなにかきっかけが必要そうになっているところ。空回りしたエネルギーが別方向に向かってのイケメン力発動もあるし、ギャグとして流れることでのコメディ的なやりとりの面白さも、ぐんぐん増しててすごくテンポよく楽しめてたりするんですけどね。その意味で、師範の登場は、なにか転機になるのではと思ったり。まあでも、次回予告はやっぱりコメディな雰囲気なんですけど。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 13:37| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月02日

王位と花嫁

王位と花嫁 (講談社X文庫)
王位と花嫁 (講談社X文庫)

http://wh.kodansha.co.jp/new/detail_201802_03.html

めちゃくちゃ面白かった。話の筋がとにかく好みで、最後まですごくいい雰囲気で。とにかく大好きです。

この話、悪者がひとりもいないんですよね。ヒロインは、王太子から婚約破棄を告げられても相手を恨むどころか真に愛する人との幸せを願って背中を押せるいじらしい公爵令嬢で。その王太子にしたところで、世間知らずなところはあるもののそれを指摘されればすぐに改める素直さはあるし、なによりも一度心に決めたことに対してはその想いのほどがよく伝わってくるひたむきさがあって憎めない。その王太子の想い人も、身分目当てに近寄ったわけではなく、職務上何度も顔を合わせているうちに互いに惹かれあってしまったというものだから、これも素直に祝福することのできるカップルであって。

けれど、根はいい人たちが婚約破棄ものの筋書きに沿って行動したらそれだけでどこにも角が立たないかというとそんなことはなくて。ヒロインのロザリンドからしてみれば、彼らの幸せを願うからこそ見過ごせない問題があるのに気づかないではおられない。彼らの幸せと引き換えの関係になるからこそ、自分のその後の境遇についてはおいそれと言い出せない。根はいい人だからこそ、自分のうちだけで抱え込もうとしてしまう。

いい人すぎて見てられなくなってしまうほどのお人好しぶりで。だからこそ報われてほしいと思わずにはいられない。それがこの話のヒロインであるロザリンドというキャラで。

で、この話のヒロインが彼女であるというならば、当然にそんな彼女の心をすくいとってくれるお相手が現れるものなのであって。

謎の騎士として現れるエクウスという男がその人物なのですけど、それまではいい人たちで固められてたロザリンドの周囲のキャラクターと比べてみれば、初めのうちの印象は悪いこと悪いこと。いちいち失礼な物言いをしてくるし、弱みを握れば脅迫まがいのことまでしてのけて、苦い気持ちを味わわされる。印象が悪すぎて逆に忘れられないキャラなんですよね。

けれど、その不躾さはいい人にすぎるロザリンドの心の奥底に押し込められた不満を代弁してくれるものでもあり、また不本意ながらも行動を共にしていれば強引さのうちにひとり奮闘しようとするロザリンドの努力を認め背中を押してくれる頼もしさもあるのがわかってきて。ロザリンドと似たタイプのキャラではない。でも、今のロザリンドに必要なのはこういう人なんだろうなあと思わされるキャラであって。ひとり強がるキャラに誰言うとでもなくそっと救いの手が差し伸ばされる。この物語の筋が、とてもあたたかく、優しさに満ちて感じられるんですよね。

そして、ふたりがだんだん惹かれあって、すれ違いの末のクライマックス。これが、もう、とんでもなく巧妙で。王太子とそのお相手と、ロザリンドとエクウスと。皆が皆、心奪われる人を見つけて、ここまでのところで、ロザリンドと王太子の婚約破棄計画から始まる物語は幸せな着地点を見出だせたかにみえる。でも、実際のところそれだけではまだ足りなくて。王太子は王太子で、ロザリンドは公爵令嬢で、ただ好きあった相手がいればそのまま結婚にまで至れるかというと、そんなことはない。王族、大貴族の結婚にはしがらみがつきもので。最終手段としての駆け落ちは当初から想定されていたものの、そのエンディングは将来の不安と隣り合わせになるのは避けられなくて。それどころか、そこまでには至らずとも、なまじ身分の高い生まれであるがゆえに、付随するあれこれのために愛が形を歪めてしまいかねないものもあって。

ではどうするか。というところでの、二組の結婚を正式に決めたあのクライマックスの(だと個人的に思う)場面だと思うんですよ。四人の将来に寸分の貶めもなく、その後を思えば祝福以外の念を送りようもなく、そしてこじれかけた愛をまっすぐに伝えて一点の曇りもなく。すべての問題を解決し、すべての不安を祝意に変える。読んでいて心にしみいり、心をふるわせる、それは求婚の告白でした。

めちゃくちゃよかったです。素晴らしい話でした。オススメ。

いちおうピンクの背表紙ですし、レーベル内での扱いはティーンズラブ作品ということなんでしょうけど、そういう場面は一度だけですし、ページ数的な場所的にもおまけ的というか。むしろ、そういう場面よりも、イラストでのヒロインのお胸の大きさに、そういえばそういうアピールも地味に大事なタイプの小説作品なんだっけと思うところだったり。なので、濃度のうすいところからのTL作品への挑戦を考えている方にはぜひにどうかという次第。そうでない人にも、もちろんオススメの作品ではあります。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:08| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

恋の使者は一夜で宿り

恋の使者は一夜で宿り (ハーレクイン・ディザイア)
恋の使者は一夜で宿り (ハーレクイン・ディザイア)

https://www.harlequin.co.jp/hq/books/detail.php?product_id=11448

ビジネス面で叶えたい目標があって、プライベートの計画なんてまったく考えてもいなくて、けれどたった一夜の関係で子どもを身ごもってしまって。目標を叶えるまでは寄り道なんてしてる暇はないのに……。そんな焦りから、心配するお相手もつっぱねようとするんだけど、突然のつわりに襲われて、もう自分ひとりだけの体ではなくなってしまったんだと悟る。女性的な感覚の描写かとは思うんですけど、強がろうとする心に有無を言わさず現実をつきつけてくる感じ、変化を余儀なくされることをこれ以上なく鮮明に思い知らされる感じがとても鮮烈で、とても印象的でした。そうだよなあ。約10か月、自分以外の命を体のなかに抱えることになるんだから。それは誰かにことさら言われるまでもなく意識せざるをえないことであって。

けれど、母親としての女性とお腹の中の赤ちゃんとは当然のことながら別々の存在であって。男が赤ちゃんの心配をすることはその子の母親である女性を大切に思っていることとは必ずしもイコールではない。そこのところで生じるすれ違いは、これもまた男女の意識の違いの表れでしょうか。

ビジネスパーソンであり、母であり、妻であり……。多様な顔を持ちながら、持たされながら、けれどそれらはすべてひとりの人なのであり。なかなかにおもしろい(といっていいのか)描写の話でした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 22:39| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月29日

賭博師は祈らない(2)

賭博師は祈らない(2) (電撃文庫)
賭博師は祈らない(2) (電撃文庫)

賭博師は祈らない(2) | 賭博師は祈らない | 書籍情報 | 電撃文庫公式サイト

ロンドンの外に広がる地方のイギリスの世界。それはロンドンと比べれば伝統的なイギリス社会が広がる世界。賭博師や格闘家といった身分の低い人たちによって物語が展開された前回とはうってかわって、今回の話の中心になるのは地主や法律家といった、より高い階層に位置する人たち。2巻目にしてイギリス階級社会の一端が登場してきた形でしょうか。とはいえ今回のジェントリ階級も地方の名望家クラスではあるものの貴族には含まれないようで、いったいどれだけの階層があるんだと思わされるんですけど。その辺、巻数が進めばもっと出てきたりするんでしょうか。地味に期待をしてみたり。

ジェントリと並んであとがきにて説明が割愛されてた相続事情については、たしかおおざっぱには直系長男がすべての財産を相続するものかと思うんですけど、割愛されるからにはこまごまとした事情もあったんだろうか。これについても、後々の巻でその辺の説明が入ることに期待したい。期待していいんだろうか?

それはそれとして今回の話、エディスを助けることは、ラザルスとしてはかなり己の信念を曲げることだったと思うのだけど、それを為さしめたのは、なによりも彼女と親しくなったリーラによる後押しなのかなあと思うと、なかなかに遠回しな愛情の表れだなあとにやにやしく思ったり。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 18:08| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月27日

2018年7月の読書まとめ

7月は9冊。少ない。

この月ぐらいから、夜の寝苦しさのせいか、だんだん朝から活動してると、家に帰ってきても寝ちゃうことが多くて、なかなか読書が進まなくなってきた記憶。去年夏バテした教訓から、暑さに耐えてがんばろうなんて無謀はやめることにして、そのおかげか今年は全然バテてはいないのだけど、そもそものところでの体力のなさが……。

7月読了分からのお気に入りは以下の3冊。

[☆☆☆☆]あなたにキスと白百合を(8)  感想
あの娘にキスと白百合を 8 (MFコミックス アライブシリーズ)
マンガより。今回は、些細なことで気の合わない嫌いな者同士なんだけど、実のところ腐れ縁で、だからこそ相手のことはほかには誰も知らないことまで知りあってる。そんなライバル関係のふたりの百合がとてもよい話でした。

[☆☆☆☆]秘密の姫君はじゃじゃ馬につき  感想
秘密の姫君はじゃじゃ馬につき (ビーズログ文庫)
ライトノベルより。第一印象とは違った顔を見せてくれるにつれて魅力的になっていくキャラクターたちの世界にぐいぐいひきつけられる一冊。根性タイプのがんばり屋なな主人公に他する、かまいたがりな姉王女が個人的なポイントだったり。

[☆☆☆☆]佐倉さんご指名ですよ(2)  感想
佐倉さんご指名ですよ(2) (電撃コミックスNEXT)
マンガより。どうあがいてもかわいい女装メイドマンガ。秋津さんに赤面させられる佐倉さんをもっと見ていたかった。

あらためて見てみると、百合と異性装という、いまの好みがこれでもかと出てるラインナップですね……。

7月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2395
ナイス数:3

婚約破棄られ悪役令嬢は流浪の王の寵愛を求む (一迅社文庫アイリス)婚約破棄られ悪役令嬢は流浪の王の寵愛を求む (一迅社文庫アイリス)
読了日:07月02日 著者:空飛ぶひよこ
蜘蛛ですが、なにか? (2) (カドカワBOOKS)蜘蛛ですが、なにか? (2) (カドカワBOOKS)感想
あいかわらずレベルアップ・スキルアップしまくりの蜘蛛子さん。そのとんとん拍子のペースぶりがおもしろい。ただ、それと同時に先生の忠告もあって不安もふくらむところであり。臨界点が近づいてくるこわさと期待で、次が気になる。
読了日:07月03日 著者:馬場 翁
リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)リリエンタールの末裔 (ハヤカワ文庫JA)
読了日:07月06日 著者:上田 早夕里
皿の上の聖騎士〈パラディン〉1 ‐ A Tale of Armour ‐ (NOVEL0)皿の上の聖騎士〈パラディン〉1 ‐ A Tale of Armour ‐ (NOVEL0)
読了日:07月10日 著者:三浦勇雄
秘密の姫君はじゃじゃ馬につき (ビーズログ文庫)秘密の姫君はじゃじゃ馬につき (ビーズログ文庫)
読了日:07月11日 著者:かわせ 秋
王様に告白したら求婚されました (Splush文庫)王様に告白したら求婚されました (Splush文庫)
読了日:07月13日 著者:砂床あい
フェアリーテイル・クロニクル 〜空気読まない異世界ライフ〜 (10) (MFブックス)フェアリーテイル・クロニクル 〜空気読まない異世界ライフ〜 (10) (MFブックス)
読了日:07月23日 著者:埴輪星人
公爵さまは女がお嫌い! (フェアリーキス ピュア)公爵さまは女がお嫌い! (フェアリーキス ピュア)
読了日:07月27日 著者:秋桜ヒロロ
暗殺拳はチートに含まれますか? ~彼女と目指す最強ゲーマー~ (ファンタジア文庫)暗殺拳はチートに含まれますか? ~彼女と目指す最強ゲーマー~ (ファンタジア文庫)
読了日:07月30日 著者:渡葉 たびびと

読書メーター
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:43| Comment(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月22日

公爵様は女がお嫌い!

公爵さまは女がお嫌い! (フェアリーキス ピュア)
公爵さまは女がお嫌い! (フェアリーキス ピュア)

公爵さまは女がお嫌い! | 株式会社Jパブリッシング

フェアリーキスってR15区分もあったのねと読後に知った一冊。

ティアナの勘違いが根強すぎて笑う。ヴァレッドさん……なんというか、その……気長に愛をささやいてやってください。でも、あなたもあなたで自分の気持ちと素直に向き合ってくださいというか。まあ、変わり者同士お似合いな夫婦ではある……のかなあ?(あまり自信はない)

あと、出番はほとんどなかったけど、ヒロインの妹のローゼが実は駄々っ子みたいなお姉ちゃんっ子だったというのは地味にポイント。でもだからって姉の婚約者を寝取るまでするかというのは……。まあなんにせよ、それもあって最後の祝福ムードは和やかかつにぎやかでいい感じではありました。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 22:39| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月18日

佐倉さんご指名ですよ(2)

佐倉さんご指名ですよ(2) (電撃コミックスNEXT)
佐倉さんご指名ですよ(2) (電撃コミックスNEXT)

佐倉さんご指名ですよ(2) | 電撃コミックWEB

メイド喫茶で女装して働かされる男・佐倉さんの話の2巻目。この巻も「佐倉さんがかわいかった」の一語ですべての感想が言い表せてしまえる内容。秋津や店長にはめられてあざとさを演出されるのはかわいいし、固定客からの大人気ぶりに涙目な様子はとてもかわいい。本当にどこをとってもすごくかわいい。なんだこの反則レベルのかわいさは。女装メイドはいいものです……。

中でも今回の見どころは、秋津さんのターンが多かったことでしょうか。なんだかんだいってこのふたり、両想いの関係ではありますからね。当初の弱みらしてアレでしたし。だからこそ、ふだんはあざとい女装姿に抵抗してみせる佐倉がたまに不意打ちで直球な気持ちを向けられると照れまくる姿はめちゃくちゃかわいいものがありまして。ただでさえかわいい佐倉さんのかわいさをさらに爆上げてくれる秋津さんの存在のありがたさたるや。秋津さんの性格が男らしいだけにより佐倉さんのかわいさが際立つというか。つーか、秋津さん、お嬢様設定はすでに出てたと思いますけど、今回ちらっとだけ出てきた過去話とか見る限り、めちゃくちゃハイスペックにもほどがあるじゃないですか。こんなもん、そのまますんなりくっついたら、佐倉これっぽっちも頭上がらなくなるやつじゃん。そりゃ、変なこじれ方もしますわというところ。でも、秋津さんはやっぱりSっ気のある言動の似合う人ではありますので。秋津さんに辱められる佐倉さんという構図こそが至高。たいへんよいものでした。

それだけに、これで終わりなのが悲しい。完結するからといってなにか特別な盛り上がりがあるでもなく、次の号でまたふつうにつづきが連載されてそうな感じの終わり方なのがまた……。とりあえず、表紙めくってすぐの作者さんのコメントに力強く同意しつつ、また似たような方向性のキャラがいる話を描いてくれるといいなあと期待を寄せることにしましょうか。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:46| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月14日

秘密の姫君はじゃじゃ馬につき

秘密の姫君はじゃじゃ馬につき (ビーズログ文庫)
秘密の姫君はじゃじゃ馬につき (ビーズログ文庫)

http://bslogbunko.com/si_jyajya/index.html
(↑ビーズログ文庫のシリーズ紹介ページ)

イラストで興味を惹かれて購入。読んでみると、キャラが魅力的でおもしろい話でもありました。

まず主人公の王女さま・オフィーリア。この子がいいキャラしてまして。冒頭から母女王と姉王女の反対を押し切って騎士団入団に渡りをつける利かん子ぶりを示してくれたり、そのうえで面識のある総隊長に野郎ばかりの団に美人なオフィーリアを放りこむことを心配されても美人という認識は否定しなかったり、総隊長も認める剣の腕から「王国最強の弟子」なんてうそぶいてみたりと、不遜なくらいの自信家ぶりを見せつけてくれるんですよ。ひとつひとつとればいやみっぽくぽあるんだけど、裏打ちするものもあるだけにぐうの音も出ない。こういうキャラ、嫌いじゃないですね。

けれど、配属された騎士団の隊長の前では、容姿は隊長の性格上、嫌悪の対象でしかないし、剣の腕も要修練といったほどでしかないと早々に思い知らされることになる。自信家が挫折に直面したらどうなるかというのは不安半分期待半分になるところはあるんですけど、オフィーリアの場合、そこで現れてくるのが別の持ち味である跳ねっ返りな性格なのであったというのが、おっと思わせてくれるところでありまして。落ちこむどころか、見返してやる、絶対に認めさせてやると、根性のあるところを見せてくれるから見直すところがあるキャラでして。

彼女の直属の上司になった隊長のアレクシオに関しても、そんなオフィーリアのがんばりを頭ごなしに否定してきたりと、当初の印象としてはそこまでよくなかったりもするんですが、よくよく話を聞いているうちに、根性頼りになってるオフィーリアのことをちゃんと見抜いていたりして、そのあたりしっかり目配りしている人なんだとわかるところがあり、それならと従う気持ちにさせてくれるのが憎めない人であって。それどころか、別の任務に際しては、経験の浅いオフィーリアやその他の部下に経験を積ませるべく現場で彼女たちに第一陣を任せ、取りこぼしは自分がなんとかしてみせるなんていう、頼もしすぎる隊長ぶりを見せてくれるのがむしろ尊敬レベルな人でもあるのがすごく好感度高いキャラだったんですよ。過労でぶっ倒れそうなタイプでもあるんだけど。

そして個人的な注目キャラとしてはもう一人。オフィーリアの姉である世継ぎの王女・セラフィーネ。次期女王としての期待に応える有能さを謳われる人であり、またオフィーリアが理想に向けて一直線なキャラだとすれば、姉王女は現実を見据えた決断ができる人であり、いかにも政治家タイプといった感じのキャラ。そんな清濁併せのむタイプで、自他ともに認める美人のオフィーリアが崇拝するレベルの美貌の持ち主で、それでいて親しい人にはしれっと毒を吐く性格でという、まとめると、美貌に才知に毒のある言動にと王女さまキャラとしての魅力をこれでもかと詰め込んだキャラなのでありました。

そんな非の打ち所がないくらいの完璧さを見せる姉王女に対して、オフィーリアは病弱な王女として育てられたため、国民のために貢献できることはあまりないままだった。それでも、家族のために、ひいては姉王女の助けになるために何かをしたいと思う気持ちは本物で。だからこそ、どれだけ反対されても騎士団に入ろうとするし、そこで皆に認めてもらおうとがんばるしと、わかってみれば純粋なまでにまっすぐな気持ちで走り回る。それがオフィーリアというキャラの魅力なんですね。だから、それがわかれば皆彼女に好感をもつし、姉王女も気にかけてついついかまいたくなるんですよね(この姉妹、いいですね……!)。うん、とてもいいキャラクターたちでした。

そんな感じで、イラストから入った感じですけど、気づけばもっとこのキャラクターたちの話を読んでみたいという気持ちにさせられている一冊。あとがきで作者さんも書いているように、表現力にはまだ向上の余地ありかと思う部分もありましたが、それでもぜひ続編を読んでみたいと思わせてくれる話でした。興味をもたれた方はぜひどうぞ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 14:42| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月01日

あの娘にキスと白百合を(8)

あの娘にキスと白百合を 8 (MFコミックス アライブシリーズ)
あの娘にキスと白百合を 8 (MFコミックス アライブシリーズ)

あの娘にキスと白百合を 8 | あの娘にキスと白百合を | 株式会社KADOKAWA メディアファクトリー(あらすじを見るならこちらのほうが)
あの娘にキスと白百合を 8 缶乃:コミック | KADOKAWA(試し読みするならこちらのほうが)

今回のメインは生徒会長候補でライバル同士な関係のふたり。

今回もめっちゃ好きなやつでした。このシリーズに出てくるカップル本当に好き。

ライバル関係。意味に多少の幅はありましょうが、ここでは、それは実力伯仲している者同士、なにかと比較されがちでありながら、そこで自分が相手より劣っているとされることにがまんがならない間柄。当時の生徒会長に勧誘されて生徒会で働きだした龍海なぎさと虎山ひかりではあるけれど、もともと相性がよかったとはとてもいえず。次期生徒会長を決める時期が訪れて、いよいよその上下がはっきりつけられる時がやってきたという感じの流れ。

いいですよね。水と油な関係のふたりの競い合い。負けたくない、そもそもなんであんなやつに人気があるのか。そんなレベルで仲の悪いふたりが並び立って、どんな緊張感あふれたやりとりがくり広げられることになるのか……と思いのほか、ふたを開けてみれば、実はふたりは根っこのところでは腐れ縁な関係なのであったという、安心して読める百合仕様のお話なのでありました。こいつ腹立つ、人の気も知らないで。そんな相性最悪エピソードが盛りこまれつつも、それすらもにやにやしい描写がとてもいいのでした。

けれどそれはあくまで百合目線で映るビジョンであって。当人たちは真剣に嫌いな相手に勝とうとするのがポイントで。そのために、相手のことをあらためてよく観察してみることで、気に入らないんだけど認めざるをえない部分を見つけて、この方面ではかなわないなと心中で素直に認めたりとか、そのままにしておけば相手の不利に働くことが目の前にあっても、正々堂々と戦いたいという思いからあえてそれを取り除いてみたりする様子は、とてもいいものでした。こういうのは男女の関係でもそうですけど、女の子同士で見られると、なおさらとてもありがたいものがありますね。

というか、このふたりの場合、なんだかんだ言っててもズボラななぎさと世話焼きなひかりという組み合わせは安定感があってニヤニヤできるという部分でポイント高いのではありますが。

今回の選挙戦を通じて、互いにライバル関係として以上の意識が芽生えたふたり。仲の悪さが素直じゃなさに映るところが出てきたりと、とてもおいしい流れで、たいへん堪能させていただきました。できればまた描いてほしいふたりであります。

そして、ライバル関係といえば、シリーズ通して、メインのカップルの脇でありつつも描かれとおしてきた白峰さんと黒沢さんの関係も、同じくライバル関係からはじまったものでありまして。気づけばちょっとずつ変化してきてるこのふたりの互いに対する感情も、あとがきで作者さんもふれてるように、当人たちの中でかなり進展してきているところがありまして。何気にもうあとひと押しくらいでクライマックスを迎えられそうなところですよね。こちらも目が離せなくなってきてますね。

あと、巻末の番外編では、6巻でメインだったあの三人が登場しててたいへんうれしかったです。自分にだけ優しくない仁菜の態度に困り顔の諒がとてもかわいい。やはりこの三人はかわいい。ありがとうございました……。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:50| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月28日

2018年6月の読書まとめ

6月は11冊。うーん、伸びない。そしてこれ以上なにも書くことがない。

6月読了分からのお気に入りは以下の3冊。

[☆☆☆☆]ボクラノキセキ(1)  感想
ボクラノキセキ: 1【イラスト特典付】 (ZERO-SUMコミックス)
マンガより。どこか懐かしい雰囲気、それでいていま読むとタイムリーな感さえ抱かされる、前世の記憶がかかわる学園ファンタジーの開幕編。とても好き。

[☆☆☆☆]議院内閣制――変貌する英国モデル  感想(Twitterへ)
議院内閣制―変貌する英国モデル (中公新書)
新書より。学問的にとらえた場合の政治の世界。制度面から見た権力の構図が興味ぶかく、おもしろい一冊。

[☆☆☆☆]ポピュリズムとは何か――民主主義の敵か、改革の希望か  感想(Twitterへ)
ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書)
新書より。説明不要で問題視されている感のあるポピュリズムの潮流について、具体的な各国の事情をもとに、いちから理解をするための一冊。その台頭が与えるのは悪い影響ばかりでないと知ることは、複雑な気持ちでもあり、けれど興味深くもあり。


……なんというか、これでライトノベル中心の感想ブログを名乗ってていいものかという気がしてくるラインナップ。最近あまり、これぞというライトノベル作品に出会えない。興味の方向性の比重が今そちら側にないだけか。7月は読了数自体もさらに減ってるペースなのだけど、もっとがんばらんとなーというところ。英語の文章に関しては、ニュースから物語に回帰してきた感があり、このペースのままもう一冊、そちらも早いうちに読み終わりたい。

6月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3678
ナイス数:2

ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈外伝4〉白銀の晶姫編ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈外伝4〉白銀の晶姫編
読了日:06月03日 著者:柳内 たくみ
されど罪人は竜と踊る〈11〉Waiting Here to Stop the Noisy Heart (ガガガ文庫)されど罪人は竜と踊る〈11〉Waiting Here to Stop the Noisy Heart (ガガガ文庫)
読了日:06月08日 著者:浅井 ラボ
剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? (GAノベル)剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? (GAノベル)
読了日:06月09日 著者:年中麦茶太郎
愛と指輪の重さ (ハーレクイン・セレクト)愛と指輪の重さ (ハーレクイン・セレクト)
読了日:06月13日 著者:キム ローレンス
バスカビル家の狗 1 (オーバーラップノベルス)バスカビル家の狗 1 (オーバーラップノベルス)
読了日:06月15日 著者:糸宮むぎ
珠華杏林医治伝 ~乙女の大志は未来を癒す~ (コバルト文庫)珠華杏林医治伝 ~乙女の大志は未来を癒す~ (コバルト文庫)
読了日:06月17日 著者:小田 菜摘
囚われの男装令嬢 (ノーチェ文庫)囚われの男装令嬢 (ノーチェ文庫)
読了日:06月20日 著者:文月 蓮
トーラスの戦い―グイン・サーガ(15) (ハヤカワ文庫JA)トーラスの戦い―グイン・サーガ(15) (ハヤカワ文庫JA)
読了日:06月23日 著者:栗本 薫
霊感少女は箱の中3 (電撃文庫)霊感少女は箱の中3 (電撃文庫)
読了日:06月25日 著者:甲田 学人
The Dragon with a Chocolate Heart (Dragon Heart 1)The Dragon with a Chocolate Heart (Dragon Heart 1)
読了日:06月25日 著者:Stephanie Burgis
賭博師は祈らない (電撃文庫)賭博師は祈らない (電撃文庫)
読了日:06月27日 著者:周藤 蓮

読書メーター
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