2018年02月26日

2017年の読書まとめ


■概括

2017年は196冊。前年と比べれば微増。年の前半はいいペースで推移しつつも、夏から秋にかけてペースを崩してこのくらいに落ち着いたというパターンは前年とほぼ同じ。違う点があるとすれば、前年とは違って、年末になってもペースが復活してないところでしょうか。夏の終わりごろに夏バテで調子を崩し、外国語読むの楽しいで持ち直しはしたものの、そうすると読書時間はともかく読了数は伸び悩むようになるという。

ブログの更新頻度もそれにつれて増えたり減ったり。特に外国語の文章は、時間をかけたわりにはなかなか読み終わらなくて感想を書けなかったり、そもそもこのブログで感想を書くようなものではない単なるニュース記事だったり、だんだんとここで扱う範囲を超えてきている部分もあったり。

2017年の目標として掲げていたことはなんだったかと見なおしてみると、「ライトノベルの外のジャンルのファンタジー作品を開拓したい」的なことを書いていたようでいたようで。夏バテ前後で完全に別方向に読書傾向が向かってる今日この頃ではありますが、「洋書で読んだ」と答えて目標達成と強弁するのは許されるでしょうか? 当時と今とで気持ちの乖離がありすぎて、わがことながら判定不能。

■2017年に読んだ本からのお気に入り(11タイトル+α)

以下、2017年に読んだ中からのお気に入りの作品をシリーズ単位で紹介していきますが、夏バテからの復帰前後で好みの傾向がまた変わった感がありまして。当時の月次まとめではお気に入りとあげてたけど今ふりかえるとやや評価が落ちるものがちらほらあったり。正直なところ、一貫した視点で読んだ本をふりかえれる気がしません。なので、例年ならジャンル混合でお気に入り順にずらっと並べるところではありますが、今回はトピックごとに思いついたものからあげていく感じで。(刊行年は2017年にかぎりません)

●小説

まずは小説から。小説作品においては、夏バテする前に読んだ本が全体の4分の3を占めるという大幅な偏りにより、上半期のまとめとかなりかぶる内容になりますがご容赦を。

ファンタジー

小説作品の中でもいちばん多く読んでるジャンルはラノベ・非ラノベをふくめたファンタジー系。年の前半にはファンタジー的な面白さを持つ作品を月に一冊は紹介しようとしてました。読書冊数が落ちるとそれもストップしてしまいましたが……。

ともあれそんな作品群の中から第一に取り上げる作品はなんといっても、霧島まるは『左遷も悪くない(1)〜(5)』1巻感想2巻感想3巻感想4巻感想)。仕事ひと筋の堅物軍人として生きてきた男が、左遷された先の地方で結婚し、お相手の女性とともに新たな生活をはじめていく。これがすごくよかったんですよ。軍人の夫と家庭を守る妻の間で視点を入れ替えつつ描かれていく新婚生活の様子が。家族ぐるみの交流が深まれば深まるほど、この家族で育ったからこその性格なんだなあと思わせてくれるキャラクターの造形。生まれ育った家ごとにそれぞれの文化があり、結婚を機に交流が進み、ゆるやかに混ざりあって新たな家庭の文化がはぐくまれていく。まるで異文化交流のような変動を感じさせてくれる話がとても素晴らしくって。ファンタジーって、前近代を舞台にすることが多い都合上、キャラクターと生まれ育った「家」の関係性を盛りこんでくれると個人的にとてもうれしいんですけど、このシリーズでは受け継ぐにしろ反発するにしろ、父母や祖父母たちから次代へとつながっていく「家」の影響を感じさせてくれる描写が話の端々に見られて、すごくよかったです。
左遷も悪くない〈1〉 (アルファライト文庫) - 左遷も悪くない〈2〉 (アルファライト文庫) - 左遷も悪くない〈3〉 (アルファライト文庫) - 左遷も悪くない〈4〉 (アルファライト文庫) - 左遷も悪くない〈5〉 (アルファライト文庫) -

「氷と炎の歌」シリーズの外伝にあたるジョージ・R・R・マーティン『七王国の騎士』感想)も、そんな時の流れとそこに生きる人々の姿を描いてくれた素晴らしい作品でした。舞台は本編の100年近く前で、まだ戦乱が大陸を覆う前ということもあって、いくぶんかのどかさを感じさせる時代。けれど油断してると不意打ちのボディブローに苦しむ展開が待ち受けているのがこのシリーズではあり。出自は卑しくても騎士たらんとするダンクに対して、けれどそうした末の結果が取り返しのつかないものになったり、一概に正邪を断じられない事情がのぞけてきたり。読んでるだけでどれだけ頭を抱えたくなってきたことか。正義と思えたことも、悪と断じられたことも、ある一時点ではそうであっても、時代が下れば評価は変わるかもしれない。禍福はあざなえる縄のごとし。すべては時のみぞ知る。けれど、渦中に生きる人々はその場その場で決断し行動しなければならない。その難しさと、物語としてみたときの面白さを感じさせてくれる話でした。
七王国の騎士 (氷と炎の歌) -

非ライトノベルレーベルにおける国内ファンタジー作品としては、佐藤さくら「真理の織り手」シリーズ、そのなかでも特に二作目の『魔導の福音』感想)を。(三作目も2017年内に刊行されてますが未読。)生まれつき魔導を扱う素質のある者とない者とにわかれる世界において、しかし素質はあっても扱う術を知らない者は魔導を暴走させてしまいがちで、それがゆえに災厄をもたらす者として忌み嫌われてしまう者たちがいる社会の話。そこに生まれ育って、魔導を扱う術を知るがゆえに、身近な人たちがこうむる悲劇を知るがゆえに、不当なあつかいからの変化を求めて動きだすキャラクターたちの思いに打たれるものがある。閉塞感のある社会に変革が訪れようとしている、その兆しを感じさせる話が期待を抱かせてくれる。そしてなにより、シリーズ二作目の「福音」においては、そんな社会でありながら、一般に嫌悪される類の性質を持ちながら、それでもあるがままにふるまうキャラクターが登場する。作中で描かれるそのキャラクターの姿は、抑圧を感じていながらもとてもいきいきとしていて、まぶしく映るものがあって。社会をおおいに動揺させるだろう変化がもたらす先に、それでも確かな希望はあるのだと信じさせてくれるのです。
魔導の系譜 (創元推理文庫) - 魔導の福音 (創元推理文庫) -

その他のファンタジー作品としては、渡辺恒彦『理想のヒモ生活(6)〜(9)』もはずせません(6巻感想7巻感想9巻感想)。(最新10巻は2017年内刊行も未読。)このシリーズの面白さはなによりも主人公の思考をトレースできる描写のわかりやすさにあると思います。異世界の女王に婿入りすることになるといういきなりの立場の変化がもたらされて、かといってすぐに王配として身につけておくべき知識教養を備えられるわけもなく。重大な決断を迫られたときに周囲の人々の思惑や妻である女王に与える影響を勘案した末に決断に至る。そうした思考の過程それ自体が駆け引きめいていて、それでいながら考える主体が一人ないしはごく少数の同じ立場の人たちなので整然としていてわかりやすいんですよね。俎上にあがる問題も、対国内貴族から、他国の貴族や王族まで巻き込む問題へとだんだん大きくなってきてて、へたを打てば戦争にも発展しかねない問題でありながら、一概には判断できない難しい問題に巻き込まれるようになっていたり。そんな主人公ともども頭抱えるのも面白い。
理想のヒモ生活 6 (ヒーロー文庫) - 理想のヒモ生活 7 (ヒーロー文庫) - 理想のヒモ生活 8 (ヒーロー文庫) - 理想のヒモ生活 9 (ヒーロー文庫) -

キャラクターの関係性としていちばんの好みは、梨沙『お嬢様と執事見習いの尋常ならざる関係』感想)。主従譚で、恋物語。男装の麗人としても通る美しく勇ましい姫君と、彼女にふり回されながらも一心に思いを寄せる執事見習いと。幼いころに出会ったふたりの身分違いの両片想いの物語。こんなに好みが詰まった関係性はなかなか見つかるものじゃありません。そして、ラストがものすごく美しいんですよ。主従譚としてのふたりの距離感は崩さずに、それでいて二人の想いをこのうえなく確かに表現してくれる。最高です。最高に心を打ちぬいてくれる一冊でした。ただただ感謝。
お嬢様と執事見習いの尋常ならざる関係 (一迅社文庫アイリス) -

非ファンタジー

男装キャラの登場する作品をあげたので、そのつながりからノクターンノベルズの『瀬野家の人々』を。(※R18作品ですのでお気をつけを。)義姉によって女装させられていくうちにどんどんその素質を開花させていく主人公の話。外見的な面もさることながら、それ以上に精神的な面での変化が魅力的で。最初は女装を嫌がっていた主人公が、すぐに女装時のキャラができていき、心から女性になりきっていく。声も、しぐさも、外見も、嗜好も、どこをとってもすっかり女の子のようでありながら、それでいて本当のところは男性で、そんな自分に羞恥を感じてもいる。けれど、そうと知らなければすごくかわいくてきれいな女の子でしかないという。そんな倒錯的なかわいさに魅了される。さらには、この作品はR18作品であって。えっちな面でもとまどいながらも女性的な感覚を得ていく主人公の姿はフェティッシュなな魅力に満ちあふれていて、新たな世界が眼前に開けていくかのような思いにとらわれる。そのうえ、主人公が女装するだけでなく、義姉もときに男装をし、義弟も女装をし、男だと思ったキャラが女だったり、女だと思ったキャラが男だったりしていくうちに、男と女の境があいまいになっていく感覚に襲われる。異性装の物語、その魅力を髄まで教えこんでくれる作品です。
https://novel18.syosetu.com/n3752dr/ (※R18サイトに飛びます)

ジャンルとしての好みの補正がかかっているファンタジー以外でお気に入りと呼べる作品はかなりの面白さを有しているものばかりなのですが、なかでも2017年に読んだ中でいちばん面白かったと思うシリーズは、白鳥士郎『りゅうおうのおしごと!(2)・(3)』2巻感想3巻感想)。(4巻以降は未読。)アニメも放映されているのでご存知の方も多いかと思いますが、将棋の話。それも、プロやプロを目指すひとにぎりの実力者たちを中心にした話。これがとんでもない熱量を持った話でして。才能は基本的に持っていて当たり前。けれどその中で優劣がつけられていくシビアな世界。将棋しかないと言えるほどに打ちこんでいく世界だからこそ、その劣位をこのうえなくはっきり突きつけられる敗北の悔しさみじめさはいかばかりか。そんな厳しい勝負の世界を知れば知るほど、勝ちたい強くなりたいと願うがむしゃらな気持ちが心を熱くさせる。それでも将棋を愛する純粋な想いに胸を打たれる。実際にあったできごとをもとにしている話も多いようで、だからこその説得力でしょうか。素晴らしい物語です。
りゅうおうのおしごと!2 (GA文庫) - りゅうおうのおしごと!3 (GA文庫) -

●マンガ

小説作品からは以上としまして、次にはマンガから。こちらだと小説と違って読みたいと思う作品がファンタジーではないものが多くなるのが不思議なところではあります。とはいえ、小説に比べると読書量は少なめなこともあり、あまり長いシリーズは読み進められていないのですが。

そんななかでもいちばん読み進められているのが百合作品でして。2016年のまとめでも気になるジャンルとしてあげてました。そうしていくつか読んできたなかで、今いちばん気に入ってるシリーズは、缶乃『あの娘にキスと白百合を(1)〜(7)』1巻感想2巻感想3巻感想4巻感想5巻感想6巻感想)。中高大一貫の女子学園を舞台にした話で、メインで登場するペアはいつつも、各巻ごとにそれぞれのカップルの話が描かれていくシリーズ。すれ違いながらもきずなを深めていく女の子たちの姿がとてもかわいいんですよ。かわいい女の子とかわいい女の子の話はとてもかわいい。二人でそうなら、三人になればそれはもうとてもとてもかわいい。それぞれのカップルがうっすらつながりながら広がっていくかわいい女の子たちの世界はかわいさに満ちあふれていて素晴らしい。素晴らしいシリーズです。
あの娘にキスと白百合を 1 (MFコミックス アライブシリーズ) - あの娘にキスと白百合を 2 (コミックアライブ) - あの娘にキスと白百合を 3 (コミックアライブ) - あの娘にキスと白百合を (4) (MFコミックス アライブシリーズ) - あの娘にキスと白百合を 5 (コミックアライブ) - あの娘にキスと白百合を 6 (MFコミックス アライブシリーズ) - あの娘にキスと白百合を 7 (コミックアライブ) -

マンガは以上でしょうか。多少はまた読むようになってきましたが、まだこれぞというものを見つけ出す感覚は育ちきっていないようで。そこそこ楽しめるものは見つかるようになってきているので、もう少しという気もしていますが、さてどうか。

●洋書

ひきつづいては、2016年末くらいから手を出しはじめた(と記憶している)洋書の区分から。小説の区分に含めてもよかったんですが、外国語の文章を読む趣味とのつながりが深く、いまはともかくそのうち小説の枠内に収まりきらなくなっていくのではないかと思われることから別項で。

といっても、あげれる作品はまだひとつしかありません。Philip Pullman『His Dark Materials(1)Northern Lights』。日本では「ライラの冒険」のタイトルで知られるシリーズで、映画化もされているようです。ジャンルはファンタジー、よりもSFといったほうがいいかもしれません。物語がはじまるのはこの世界によく似た並行世界のオックスフォード。デーモン(dæmon)と呼ばれる、絆で結ばれた動物たちとともに生まれ育つ人々の世界。これが実に興味深い世界で。デーモン以外は現代の世界とだいたい同じなのかなと思ってると、「タタール人がモスクワに侵攻してるらしい」とか「カルヴァン教皇以来」とか出てくるから、ちょっとそれどういうことなのと気になってくるんだけど、物語の本筋にはそれほどかかわってこない。それらを雰囲気程度にして、主人公の女の子がさらわれた友だちやとらわれたおじさんを助けに雪に覆われた北欧の地を冒険する話。これがわくわくと読みいってしまうことといったら。行き場をなくした主人公が、その目的にすがって向かった北欧で戦いの世界に身を投じた先で、鎧を着た熊の戦士に認められる勇気を示すまでになる感慨深さですね。さらに、それだけで終わらず次の巻以降の展望を開きつつ、最後までシリーズの期待度を上げに上げて幕を引くラストといい、圧巻のシリーズ第一作でした。
Northern Lights: His Dark Materials 1 -

●その他(歴史)

フィクション作品としてはそんなところで、例年ならここでしめに入るところなんですが、2017年は(もっと前からだったかも?)それ以外の本を読む量も増えてきた年ではあったのでして。ふだんは紹介してませんが、読むだけ読んでそのまま放置してるのもなにかもったいないので、こういう機会にでも雑記程度になにか紹介してみたいなという気分になっていたり。

そういった本のなかで、読んでる数はともかくもっとも関心の高い分野は歴史。そのなかでもいちばん広くいろいろ読んでるのは中世スペイン史……ではあるんですけど、2017年内にはそんなに数を読めていなかったり。唯一あげれるのは、カタルーニャにおける11世紀の「封建革命」論についての記述だったでしょうか。(自分が読んだのはあくまでその論を紹介する記述でしたが。)中世の社会といえば、すぐに思い浮かぶのが封建制というイメージではあったんですが、それっていつごろできあがったものなんだろうかという疑問につながるものでして。高校世界史だと西ローマ帝国の滅亡やゲルマン人の大移動あたりで一度記述を区切るをイメージで、だとすると古代と中世の境目はそのあたりで、つまりゲルマン人の大移動以降の社会は封建制だったといっていいのかなと思っていると全然そんなことはなかったりするようで。古代末期なんて概念もすこし前にようやく知った手合いではありますが、どうも西ローマ帝国の滅亡後もローマ帝国由来の統治体制は結構しぶとく生き残ってたらしい。カタルーニャにおいては古代社会から中世社会への移行がなされたのは11世紀のことである、というのが有力な学説であるとか(10年以上前の論文では)。ほかの西欧地域でも同じくらいの時期が社会変動の境目であるとされているらしく(同上)、封建制とは何かとか、何をもって古代・中世とするのかとか、その辺の議論もあるみたいですけど、自分のなかでの中世ヨーロッパについての古いイメージはいろいろ解きほぐしてやる必要があるなと感じるところであり。

また、ほかにも興味のあるテーマはいくつかあって。2016年は感染症を題材にしたSFやノンフィクションへの関心が高まっていた時期だったんですが、その流れで2017年に読んだ本として、宮崎揚弘『ペストの歴史』がありまして。14世紀半ばには「黒死病」の名でヨーロッパ一円に猛威を振るった病気がどのように広まっていき、どれほどの犠牲を出していったのかと、様々な研究の積み重ねを通して克明に描きだされていく様相がすさまじいほどにおそろしい。けれど、この本が扱うのは「黒死病」だけではなく、その前の時代、その後の時代におけるヨーロッパでのペストの流行も射程に収めている。というのも、「黒死病」として猛威を振るったペストは完全にヨーロッパから消え去ったわけではなく、どこかに残存していた病原菌によって散発的に流行がくりかえされるようになったのだという。すなわち、ペストはヨーロッパに常在化するにいたっていたということで。いかにもおそろしい。そんなペストの歴史を、中近世の流行を中心に、18世紀における西ヨーロッパからの消滅までをまとめた一冊。歴史好きの方はもちろん、感染症テーマの物語のファンの方にも?
ペストの歴史 -

また、歴史を扱った本の面白さには、偶然性や複雑さの産物である歴史の流れを明快なテーマで読み解く面白さもあると思っていて、そういった本としては、深井智朗『プロテスタンティズム――宗教改革から現代政治まで』が印象に残っています。「九五カ条の提題」によって宗教改革が巻き起こるきっかけとなったドイツのルター。その登場前夜のキリスト教社会の状況から説き起こし、ルターが目指したリフォームの姿、それが当時の諸侯たちの思惑によってルターの意図を超えて政治的な動きとなっていく様子を描写し、ルターによる改革の終着点とさらなる改革を目指す洗礼主義の潮流にふれ、それらが流れいたった代表例としての現代のドイツとアメリカの社会が提示される。それらの概略を通じて、教会やキリスト教の改革を目指したプロテスタンティズムの理念、現代社会にも通じるその潮流を一読で概観する面白さですね。初学者でもわかりやすいのではないかと思える平易な記述でありながら、またそれゆえに細部をより詳しく知りたくもなってくる興味深い内容。とてもいい新書だと思います。
プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書) -

紹介するタイトルは以上になります。やはりというか、夏バテ前までに読んだものが多いです。今年こそは夏から秋にかけてのペースダウンを避けたいところですけど、どう対策したらいいんでしょうね。体力でもつけますか?

■2018年の目標

2018年の目標については、正直なところ、どんな目標を設定すべきなのか、どんな目標なら達成がみこめるのか、皆目見当がつきません。毎年の状態をふりかえって言えることは、一年もの長いスパンでの先行きは見通せないということで。その程度には自分で自分が何するかわからないというところがあるんですが。短めの目標を立ててそれを目指しつつ、一年間の総量としてはそれらを単純に足し合わせた結果だけ見る感じのほうがよさそうな。

「今年はファンタジーをあさりたい!」みたいな目標も、自分がどういうジャンルを深堀りしたいのか自分のことながらよくわかんない感じになってるのが現状でして。とりあえず気になるものをあれこれ読んでいきながら、面白いと思った本を中心にブログを更新していけたらというところで。なんの具体的な目標もないまま2018年をはじめていく感じで。まあもう2月も終わろうとしてますが……。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 17:44| Comment(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月21日

2017年12月の読書まとめ

12月は13冊。だいたい復調してたはず……だけど、小説を読むペースを落としたら、読了数は回復しきらなかったという。マンガ等を含めれば23冊。そのほか、英語やスペイン語のニュース記事を読んだり洋書を読んだりしてた模様(当時のメモによると)。

12月に読んだ中からのお気に入りはなし。ニュース記事を読んでるのが一番楽しかったような記憶。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 18:26| Comment(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月06日

クリフトン年代記(1)時のみぞ知る(上)(下)

時のみぞ知る〈上〉―クリフトン年代記〈第1部〉 (新潮文庫) -  時のみぞ知る〈下〉―クリフトン年代記〈第1部〉 (新潮文庫) -
時のみぞ知る〈上〉―クリフトン年代記〈第1部〉 (新潮文庫) -
時のみぞ知る〈下〉―クリフトン年代記〈第1部〉 (新潮文庫) -

ジェフリー・アーチャー、戸田裕之/訳 『時のみぞ知る〔上〕―クリフトン年代記 第1部―』 | 新潮社
ジェフリー・アーチャー、戸田裕之/訳 『時のみぞ知る〔下〕―クリフトン年代記 第1部―』 | 新潮社

全体を通してさらっと軽い描写でありながら、転々ととどまることなく転がりつづけていく話が飽きを感じさせず、面白い。

戦間期のイギリスの労働者階級に生まれた少年ハリー・クリフトンが、貧乏生まれでありながら学業の成績からエリートへの道を進んでいくことになる物語。立身譚を予感させる第1部の話でした。

労働者の子どもは労働者として生まれ育っていくことが当然の社会で、数奇な縁から才能を見出され、母の苦労や支援者の助けを得ながらグラマー・スクールからオックスフォードへと、生まれを考えれば華々しいまでの学歴街道をひた走る。ここまでくればたいしたものですよね。そしてその過程では友情あり恋愛あり、楽しくも充実した学生生活を送ってる様子がほほえましくもあり。

ただ、話の進行はかなり早い。一冊で作中時間として10年以上経過してますので。プロローグ的な部分から数えれば20年以上ともいえるでしょうか。たしかシリーズ全体を通して人の一生を描くくらいの話になっていくんじゃなかったかというところ。

それもあってか、一つひとつのエピソードの描写ははかなりさらっとしてます。もっと描いてほしいと思う場面もあるんですけど、そうであっても先が気になって読み入らされてしまうのは、ひとつのできごとにあまりこだわることなくどんどん先へ先へと転がされていく展開の新規さに目を奪われてしまうから、なんでしょうね。それと、クリフハンガー的な章立て。章ごとに視点人物があっちに行ったりこっちに来たりするんですけど、多くの場合、それでどうなったんだろうかと気になるところでひとつの章が終わって次の章がはじめられる。それも、すこし前の時間から。だから、先の展開が気になってどんどん読み進めてしまう。同じ場面がくりかえし語られたりもしてるんですけど、先が気になる気持ちと、うす味な描写ゆえの不足感を満たしてくれる別視点の提供もあって、すらすらと読ませる面白さを感じる。この辺は、さらっとした描き方ゆえの味でしょうか。こういうのもまたいいですね。

実はクリフハンガーなのはラストもであって、第1部としてまとめるとどういう話だったのかといわれるととても困るところなのですよね。ハリーの少年期・学生時代の話でしたというくらいしかまとめようがなくって。終盤とか、もう完全に第2部につづく流れになってましたし。

とはいえ、それでも第1部のクライマックスはクライマックスはどこだったかと考えると、やっぱりハリーの結婚式だと思うんですよね。これもまたさらっといきなりハリーに恋人がいることが明かされて、学友ともども驚かされたりしたものですけど。というか、その場面にしても、まずその学友がとある女性にアタックするからハリーにもそのアシストをしてくれと頼む場面が先にあって、そっちはそっちでうまくいったのやらどうだったのやらと思っていたら、いつのまにかハリーのほうに恋人がいることが判明するという流れで。こういうのをさらっとやってくれるから面白いというか。

そして結婚式についていえば、自分でクライマックスとしてあげてますし、そこにいたるまでの描写的にもいかに運命的なふたりかという描かれ方をしてはいたんですけど、幸せな結婚式にはしてくれないから、この作者、やってくれるというか……。思えばこの第1部、シリーズはじまった当初から、ひとつの爆弾を抱えてましたね。当事者のうち一人でもその気になればいつ爆発してもおかしくないその爆弾が、いつ破裂するかと思っていたところ、それをあの場面に持ってきたのは、なんて面白ひどいことしてくれやがるというもので。ふたりの仲を深く描けば描くほど突き落とされる衝撃は増そうというもの。あれはもう完全に狙ってましよね。ふたりにロミオとジュリエットの演劇やらせるとかもうホント……。

でも、ふたりが知らない事実を知ってる読者の身からすると、黙ってるほうがむしろどんどん耐えがたくなってくる展開ではあったので、責めるに責めれないところがあるというか……。なんというか、もうふたりのめぐり合わせが悪かったとしかいえませんわ……。むしろ、ハリーが後にいうように、ことの告発はもうそれそのものが勇気ある行動としてほめたたえられるべきレベル。でもかといって、それで終わりにはならない事実をまたさらっと混ぜこんでくるから、気がかりを完全に断ち切ってももらえないところであり。ホントどうなるのこれ……。

ラストは別の意味で気になるヒキになってましたが、はてさてどうなっていくことやら。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 13:42| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月31日

くちびるに透けたオレンジ[新装版]

くちびるに透けたオレンジ 新装版 (IDコミックス 百合姫コミックス) -
くちびるに透けたオレンジ 新装版 (IDコミックス 百合姫コミックス) -
くちびるに透けたオレンジ - ロクロイチ(百合姫コミックス):電子書籍ストア - BOOK☆WALKER -

百合えっち。いいものでした……。かわいい女の子の体をかわいい女の子がいじめてるのって、視覚的にとても至福感があるというか。いろいろひっくるめてありがとうございましたという感想に集約されていく読後感。

そんな絵的な素晴らしさにくわえて、その雰囲気をひきたてて読み入らせてくれたのがそれぞれの女の子たちの関係性でありまして。

一作目の表題作は、都会から転校してきた洗練された美少女の叶に目を奪われた地味な少女の千鶴が想いを募らせていく話。ついつい見とれてしまうほどにきれいでおしゃれな叶のようになりたいという気持ちは、自分にはむりだと思うほどに憧れへと高じていって、しだいに同じように装い、そこに叶本人との接触の想像を重ね合わせるにいたる。病的な妄想めいた行為でありながら、抑えられないほどに募る憧憬と諦観をていねいに描いていくことで、繊細な想いの発露として表れるそれらの行動に目を離せなくさせられるものがあって。だからこそ、叶が千鶴に対して抱く感情が語られたときには、千鶴ともどもただただ信じられないような感情の爆発があったんですよね。クライマックスのもりあがりがとてもよかったというか。ありがとうございます。もうそれに尽きます。

ふたつめの「閉じててね、心」は、男女の恋愛にうといいとこのお姉さんと、彼女に自分だけを見ていてほしいと願う女の子の話。甘えるふりをしていとこのお姉さんを独占しようとする女の子と、そんな彼女にお姉さんぶろうとして独占されるいとこのお姉さんの関係性はとてもいい雰囲気でありまして。読切なのでページ数は一作目に比べるとかなり少なくはありましたが、それでも必要な部分はしっかりおさえつつふたりの関係を描いてくれて、視覚的にもやっぱり至福な場面がちゃんとあってと、こちらもよいものでございました。

繊細な雰囲気あふれる百合えっち、とてもよかったです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:04| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月25日

2017年11月の読書まとめ

11月は5冊。めちゃくちゃ少ない。マンガ等を含めても13冊にしかならないから、どれだけ本を読めてなかったのかがわかろうというもの。

それというのも10月からひきつづき、この月の半ばくらいまで精神的にかなりへこんでまして。具体的になにがあったというほどのことでもないんですけど、この本読んでなにになるんだろうなんて考えだしたらなにも手につかなくなってしまって。それでもぼーっとしてるうちに時間が過ぎてくのはもっとこわいので、とりあえずなにがしか読めるときはそれを読んで、できなさそうなら、それでもゲームならできるからゲームをしてるという日がつづいてた感じでしょうか。

月の後半くらいには持ち直せてたかと記憶してますが、持ち直す原動力になったの英語・スペイン語の文章を読むことだったので、カウントされる本の読書量としてはやはり伸びず。

この辺は、自分でも不思議に思うところではあるんですよね。読むのが楽なラノベよりも、比較して精神的な負荷の高めな外国語の文章のほうがまだ読めるという状態だったのは。自分のなかでの関心がフィクションからノンフィクションのほうに揺れつつあるのを感じる部分もありますし、日本語以外の文章も読めるんだと見栄を張りたい気持ちがあるのもたしかではあり。たぶん、そのときの自分の心理状態とうまく合致するものがあったんだと思います。

ただ、このころから、ラノベ読みとしての自己認識に対する違和感というか、Twitterラノベクラスタとの間の心理的な距離感というかを自覚するようになってきたように記憶してます。かといって、それではどこに自分のアイデンティティを置くかとなると、それがまたよくわからない状態なのですが。

11月に読んだ中からのお気に入りはなし。

次点として、マンガから『水玉ハニーボーイ(7)』(感想)を。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 12:43| Comment(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月18日

同居人が不安定でして(2)

同居人が不安定でして(2) (電撃コミックスNEXT) -
同居人が不安定でして(2) (電撃コミックスNEXT) -
同居人が不安定でして(2) | 電撃コミックWEB

百合みが増して感じられる。いいですね。

同居してる女の子ふたりが中心の話ということで、基本的な設定からしてすでに百合ではあるんですけど、ひきつづき不安定さんとしっかりさんの日常を描きながら、お互いを好きな気持ちがうかがえる描写が増えてたように思うんですよね。

不安定さんはあいかわらずテンションの上がり下がりが激しくありながら、そこに状況的にも心情的にもしっかりさんが絡むほどキャラがイキイキとしてきててて。調子に乗ってしっかりさんを怒らせるのもかわいいし、なによりしっかりさんがいなくなってしまったらと想像して沈む姿はとてもいいものがあるんですよ。

一方のしっかりさんも、不安定さんにふり回されたりしながらも、なんだかんだで不安定さんのこと好きなんだなあとわかる描写がぽつぽつと入ってきて、これもよいものでして。というか、しっかりさん、不安定さんみたいにコマ内をうるさいくらいに動き回ったりはしないけど、一コマでしっかり心打ちぬかれてるのが伝わってきたりと、不安定さんとは違ったタイプのかわいさがありますよね。ついったに何書いてたかは、見てみたかった気も。

あと、挿話みたいに紹介されてたおとなりさんと肉屋さんの関係も、高校生時代からの関係ととおして見つめなおしてみると、これは本当にいい感じの雰囲気でして。メインふたりよりも年期が長いこともあって、とてもつれあいとしての空気を感じさせてくれることで。がぜん注目度が高まるふたりですね。

3巻も今月発売予定だそうで。あとがき見てると出ると確定はしてなさそうな感じでしたが、そうとわかれば楽しみにしたいです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:33| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月15日

水玉ハニーボーイ(7)

水玉ハニーボーイ 7 (花とゆめCOMICS) -
水玉ハニーボーイ 7 (花とゆめCOMICS) -
水玉ハニーボーイ 7|白泉社

かっこいい仙石さんが何度も見られてとても満足した。前巻にて(だっけ?)気持ちを自覚したこともあって、藤君からのアプローチに動揺させられたりもするんだけど、それがまた自然体のかっこよさとのギャップをひきたててくれて。前回からひきつづきの修学旅行回は特によかったですね。たまに藤君への対応が雑になるときの真顔とか、動揺して乱されたペースを取り戻そうとして藤君をやりこめて愉快げな表情とか、今回は仙石さんのいろんな表情が見れて、凛々しイメージが先立つ彼女にしては珍しいという印象を受けつつも、それでいてどこをとっても仙石さんのかわいさ(と総称してみる)にあふれていてたいへんよかったです。

仙石さんにかぎらずですけど、全体的な絵の雰囲気がとても好みな感じになってきたような気がするというか、特にキャラの髪や顔の描きかたあたりが気に入ってるように思ったり。藤君しかり、一華さんや今回初登場の珊瑚先生など、ぱっと見のビジュアルでかわいいキャラばかりで、なおかつ話もテンポよくコミカルでありながら少女マンガとしての進展もしっかりあって面白くと、読んでいてとても幸せな気分になれるシリーズ最新刊でした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:44| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月20日

2017年10月の読書まとめ

10月は13冊。マンガ等を含めると31冊。数字だけ見てると悪くはなかったようにも見えるけど、調子がよくない時期があって、まったく本が読めなくてゲームしかできない状態に陥ってた時期もあったような。はっきりと記憶してはいませんが、マンガばかり3冊も4冊も読んでた日は本が読めるか読めないかの境目ぐらいの状態だったかも(11月のことだった可能性も)。くわえて、10月はカタルーニャで独立を問う州民投票があったり独立宣言が可決されたり、その後の今もつづく一連のごたごたが大きく報道されだした月でもあって、そちらにも気を取られてた記憶。この関連の情報は興味をもって収集していられる情報として、スペイン語学習のいい教材とさせてもらったり。

10月に読んだ中からのお気に入りは以下。

[☆☆☆☆☆]りゅうおうのおしごと!(3)
りゅうおうのおしごと!3 (GA文庫) -
ライトノベルより。将棋の腕こそが唯一最大のアイデンティティであるプロ棋士しかり、そんなプロになるべくライバルたちと必死の競争に励むプロの卵しかり、はたまた市井の愛好家として将棋を指す人しかり、そこには共通して将棋に対して抱く想いがある。ほかのなによりも強く抱く想いが負けられない意地としてあふれ出すとき、それは心を揺さぶるほどの勢いで吹き抜ける熱量となってあらわれる。将棋を指す理由、負けられない理由、恋にも似てひたむきな気持ちの発露に胸を打たれる。素晴らしい物語でした。

[☆☆☆☆☆]あの娘にキスと白百合を(6)  感想
あの娘にキスと白百合を 6 (MFコミックス アライブシリーズ) -
マンガより。かわいい女の子とかわいい女の子の恋の話はとてもかわいい。けれど、それが三人のかわいい女の子の話になったら……? そこには、かわいいの新世界が開けていたのです。

[☆☆☆☆]理想のヒモ生活(9)  感想
理想のヒモ生活 9 (ヒーロー文庫) -
ライトノベルより。悪意によらない事情があるとわかるほどにままならなさに頭を抱えたくなる。派閥の対立はいいものです。

以上。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:40| Comment(0) | 読書まとめ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月11日

理想のヒモ生活(9)

理想のヒモ生活 9 (ヒーロー文庫) -
理想のヒモ生活 9 (ヒーロー文庫) -

やった! 派閥の対立だー!

というわけで、前回の途中からはじまった双王国編(公式の名称ではないですけど)。第二子を妊娠した女王アウラのために、治癒の血統魔法を持つ双王国のひとつ、ジルベール法王家による援助の約束をとりつけるべく、その地を訪れた善治郎。本人としてはそれだけが目的なのに、つけられた案内役はあざとさに全振りして寵を狙う女の子だったりして、側室問題的にまたなにか起こりそうな気配がしている感じの出だしだった記憶。

今回の話でも、そんな予感にたがわず、というかカラー口絵でわかるとおり、双王国滞在中に何人もの見目麗しい女性とお近づきになったりして、あいかわらずアウラひと筋な本人の希望に反してはなやかな周囲ではありましたね。

でも、今回の話でみどころだったのは、なんといっても双王国内部に存在する二つの対立関係だったでしょう。一つめは、大貴族間の勢力均衡に関するもの。二つめは、王位継承に関するもの。そのどちらもが双王国成立の歴史的な経緯から生じてきた問題で、唯一絶対の解決策どころかベターな解決策すらも一朝一夕には判断できない難しい問題であり。自分たち夫婦のために双王国に訪れたところ、だしぬけにこれらの問題に巻き込まれることになったからたまらないというのが今回の筋だったでしょうか。

ひとつ選択を間違えれば国家規模、もしかすればそれ以上に影響が出かねない問題だけに、事情を知れば知るほど頭を抱えたくなってくるんですけど、それがすごくたまらないんですよね。あるキャラクターは一族のこういう信念に沿って行動している、一方のあるキャラクターはそれが国のためにならないからと信じているからこそその足を引っ張ろうとする。ややもすればドロドロな印象を受けてしまいがちな派閥の対立を、それぞれの言動の背景にある、その信ずるところを中心に描くことで、未来を見すえた信念の対決として描く描写がみごとでした。各キャラクターの思惑をていねいに描きながら事態の推移を追っていく物語のスタイルもそれに寄与していたでしょうか。たいへん面白かったです。

その一方で、王族として生まれ育った女王アウラと、つい先年嫁いできたばかりの現代日本で生まれ育った元庶民である善治郎との思考の差異が表出したのも今回のポイント。他国の問題に自分たちやその子どもが巻き込まれることになって、そのうえでなお冷静に問題を天秤にかけることを、それが当たり前の空気の中で育った人間以外に期待するのは難しい。けれどアウラの王配として生きていくにはそれが必要とされることを突きつけてきたのが今回のできごとでもあって。今回の善治郎の機転による判断それ自体はみごとで、読んでいて達成感もあったのですが、冷静にそう指摘されるとまた頭抱えたくなってしまうものがありますよね。これが後々どんな影響をもたらすことになっていくのか。考えているだけで楽しいですね。

今回でひと山は越えましたが、用件的に双王国での話はまだつづくことになるのであり、さて次にどんな展開が待っているかというところ。とても楽しみなシリーズなので、すぐにもつづきが読みたいところですが、とうとう書籍版の最新刊に追いついてしまったようで。今月末発売予定の10巻が待ち遠しいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:57| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月27日

映画大好きポンポさん

映画大好きポンポさん (MFC ジーンピクシブシリーズ) -
映画大好きポンポさん (MFC ジーンピクシブシリーズ) -

今年4月にPixivで公開され話題になったWebマンガの書籍化作品。話題になった当時に読んでみましたが、うわさにたがわぬ面白さで、ひと息で最後まで読み終えてしまったのを覚えています。書籍化に際して大きなページ追加はなかったと思いますが、あの時のことを思えばお布施の意味をこめても購入は当然の流れでしたね。

ストーリーの軸となるキャラクターは、有名な映画プロデューサーの孫で自身も天才的な映画プロデューサーである見た目ちびっこのポンポさん、彼女のアシスタントでネクラな映画オタクであるジーン君のふたり、だったでしょうか。そのほかにも、元気が取り柄な女優志望のナタリーとか、ポンポさんのもとで活躍する、どこかふわっとした雰囲気ながら生活そのものが女優なミスティアとか、ポンポさんとB級な趣味があう監督のコルベットさんとか何人かいましたが、最終的には最初のふたり。

プロデューサーとしての手腕は誰もが認めるものでありながら作る映画はすべてB級。そんなポンポさんの感性があふれる尖ったクリエイター論の数々がおもしろく、同じくジーン君のネクラオタクっぽさも、ちょっとひくくらいのマニアぶりが痛々しくも平凡さを吹き飛ばしてくれるものがあって。そんな癖の強いふたりにナタリーらその他のキャラクターが加わりつつ、最後にはポンポさんとジーン君の映画人としての師弟の物語として収束する勢いのよさ、熱量に圧倒される話でした。

それぞれのキャラクターに「好きな映画3本」が設定されていて、読後にはそちらも気になってくる。そんな映画好きたちによる映画づくりのお話。とても面白かったです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 22:13| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする