2019年04月15日

エーゲ海を渡る花たち(1)

エーゲ海を渡る花たち(1) (メテオCOMICS)
エーゲ海を渡る花たち(1) (メテオCOMICS)

エーゲ海を渡る花たち | COMICメテオ

15世紀半ばのイタリアはフェラーラで、遠い世界を見てまわることを夢見る商家の娘・リーザが、タウリカ(クリミア半島)からやって来た少女・オリハと出会うことからはじまる地中海旅行記。これはすこくおもしろかった。

まずなにより、作中の随所で紹介される15世紀半ばの地中海地域の豆知識がかなりの量があって、それらを読んでるだけでもとても面白いんですよね。ストーリーに合わせてちょっとずつ提示されていくから、むりに詰め込まれていると感じない程度でするする頭に入ってきて、それでいてあくまで周辺知識だから読み飛ばしても問題ない、けれどそこも楽しめればおもしろさが倍になる。そんな感じの絶妙な塩梅になっていて。個人的にも、大きなストーリーラインの合間合間にはさまれるそれらの豆知識のおかげで、作中世界がさらに奥行きを持って感じられてよかったと思います。

ストーリーのほうでは、ガール・ミーツ・ガールな話として、物語が動き出すきっかけとなったふたりの女の子の和気あいあいとした関係が見ていて楽しいものではありました。特に、好奇心先行で、女性ながら当時の情勢で観光的な旅に出ようなんて決意するリーザの行動力が好印象。゛跳ねる嬢(インベンナータ)゛の通り名のとおりに(?)行く先々で長い髪を跳ねさせながらあっちこっちに興味を引かれて目を輝かせている様子がたいへんにかわいらしかったです。けれどその旺盛な好奇心は向こう見ずさと表裏一体でもあって、いつしか彼女の姉のマリアだけでなくオリハまでもが目の離せない妹のようにリーザに注意を促すようになっているのはとてもほほえましいものがありますね。

そんな少女ふたりの地中海旅行。この1巻ではリーザの出身地フェラーラからはじまって、海運都市ヴェツィアから出港して、アドリア海を陸伝いに南下中。目的地はオリハの目指すエーゲ海上のクレタ島となっていますが、そこまでにまだあとどれだけの当時の地中海地域の様子を見せてくれるのか、目的地に着いた後ではまたどんな展開が待っているのかと、いまから期待が高まってしかたないですね。これはぜひいろんな人に読まれてほしいですね。イタリア好きの人、中(近)世ヨーロッパ・地中海地域に興味のある歴史好きな人、はたまたガール・ミーツ・ガールの好きな百合好きの人にも? ともあれ、すこしでも興味を持った人は読んでみるべきマンガだと思います。2巻がいまから待ち遠しいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:02| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月01日

あの人の胃には僕が足りない(1)

あの人の胃には僕が足りない(1) (モーニングコミックス)
あの人の胃には僕が足りない(1) (モーニングコミックス)

『あの人の胃には僕が足りない(1)』(チョモラン)|講談社コミックプラス

高等部の満腹先輩と中等部の舟次くんによるラブコメファンタジー。

おねショタと銘打たれているけど、年齢差は二歳なのでやや微妙なカテゴライズな気も。とはいえ、成長途上でまだまだ小さな舟次くんと、背とかいろいろ大きな満腹先輩が並び立っていると、外見的にはおねショタ的であって。どちらの印象が優先されるかというと、年齢差の数よりも年上彼女と年下彼氏という響きであり、絵によるイメージであり。つまりこれは、実質おねショタ。いいよね。うん。

このふたりの関係のなにがいいって、満腹先輩の距離感が基本的に近いんですよね。物理的に。いい匂いがするとかいいながら、ぐいぐい距離を近づけてくる。けれど舟次くんからしてみれば満腹先輩は憧れの先輩であって。無邪気なくらいに距離を詰められるとすぐに赤面してしまってこれがかわいらしいこと。この一冊の中で、舟次くんいったい何回赤面させられてたことか。

まあもともとが、先輩に精一杯のアピールをするだけでいっぱいいっぱいな純情少年。それなのに先輩のほうはそんな精一杯な恋心に頓着することなくするする懐に入りこんでくるものだから、舟次くんってばそのうちドキドキしすぎでどうにかなってしまうんじゃないかという展開に。とてもいいと思います。ええ。はい。

でも、満腹先輩からしてみれば、舟次くんのほうが「誘ってるから」ということになるらしいからたまらない。あこがれの先輩がいい匂いがするなんて言いながらくんくん近づいてきたりとか、いろんな意味でやばいと思います。

そうして、無意識誘惑少年と無意識距離詰めおねえさんという、無限に舟次くんがドキドキさせるループができあがるのだったという。いいぞ。もっとやれ。

というか、先輩もかわいい人ではあるんですよね。腹ぺこキャラなところとか。お腹の鳴る音の擬音がいちいちおもしろくて。「ん゛み゛え゛え゛え゛え゛え゛」ってなんですかそれ。

距離を詰めるのは無遠慮ながらもだんだん舟次くんにあてられたように先輩のほうにも照れが見えてくるのがまたほほえましくていい感じであり。

ともあれそんな感じで、とてもいいおねショタファンタジーでした。ややおねショタの判定は微妙かもしれませんが、その筋の人はぜひどうでしょうかというところ。

そうそう。そういえば、“怪異”ファンタジーとしての要素もありましたね。この辺も次回からますますおもしろくなってきそうな感じがあり、そうした意味でも次の巻を読むのも楽しみになってくるところです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:08| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月30日

さよならローズガーデン(1)

さよならローズガーデン 1 (BLADE COMICS pixiv)
さよならローズガーデン 1 (BLADE COMICS pixiv)

憧れの作家に会うため渡英した日本人女性・華子と、イギリスで途方に暮れる彼女をメイドとして雇いいれた貴族令嬢アリスによる主従の物語。1900年のイギリス。同性愛が許されない社会を舞台にして、絆を深めていくふたりの姿がとてもいい百合マンガですね。

「私を殺して」。それは、アリスから華子への頼み。家の取り決めた結婚で人種差別や同性愛への嫌悪を隠す気もない人々と家族になることを、頭では受け入れつつも厭わしさを募らせているうちにすっかり疲れてしまった心が発したSOS。

それを受け止める華子は、アリスにとってとても優しい人なんですよね。女の身で一念発起してイギリスに渡ってくるような自立心に富んだ女性であり、貴族令嬢としてではなくただのアリスの幸せを思ってくれる人であり、彼女の心身を苛む常識という名の偏見を偏見と断じることのできる存在であり。同性愛者であるとことを隠して生きてきたアリスにとって、彼女がどれほどまぶしい存在に映ることか。自身を肯定してくれる華子の存在がどれほどありがたいことか。

とはいえ、何をするにも貴族という家の立場が伴うアリスにとって、肯定してくれる存在がいたとしても取れる選択肢には限りがあって、自分らしくふるまうことは現状許されることではない。この物語の結末がどういうものになるのか、見届けたいものですね。

……とかなんとか書いてきましたが、女の子同士の話はとてもかわいいというのがいちばんの感想なのでして。

途方に暮れていたところを拾ってくれたアリスに一生懸命お仕えする華子はかわいいし、自分を信頼してくれるアリスの力になりたいとがんばる華子はかわいいし、ときどきアリスにからかわれてあわててる華子はかわいいし……。華子の印象はだいたいがかわいいにつきるというか。

それに、上で書いた事情もあるからこそ、弱さを見せる彼女が華子によって支えられる場面がとても引き立つんですよね。かわいくて、けれどその実芯の強い女性に向けられる視線に混じるのは、負い目とありがたさと、ほかにもいろいろと? 心を許した共犯者にだけ見せる感情の色がたいへんいいものでした。

とてもいい話。とてもいい百合だと思います。次の巻も楽しみです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:05| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月27日

不可解なぼくのすべてを(1)

不可解なぼくのすべてを (1) (MeDu COMICS)
不可解なぼくのすべてを (1) (MeDu COMICS)

不可解なぼくのすべてを|COMIC MeDu (こみっくめづ)

表紙の絵がかわいいやったーと興味を持ったところ、なんと作者さんが昔読んでた『B.A.D.』のイラスト描いてたkonaさん(@kt_konyam)じゃないですかということで、これは読まないわけにはいかないてしょうとなった作品。

読んでみるとこれがかなり面白い。表紙のキャラ、この子がメインのヒロイン(?)なんですけど、ぱっと見で男の娘かなと思うとそんなことはなく。読みはじめてわりとすぐにジェンダーがテーマの話だとわかるので、トランスジェンダー的な感じのキャラなのかと思うとそれも違う。この子はいったいどういうキャラなんだろうかと、わかってようなわからないようなまま収録されてる話を読み終えた感がありましたが、あとがきまで読んでようやくわかりました。この子、Xジェンダーなんですね。

Xジェンダー、それは体の性別は存在していながらも、心の性別でもある性自認において、自分を体の性別と同一だと思えず、かといってもう一方の性別であるとも思えない人を指す言葉。平たくいえば、自分を男とも女とも思えない人のことでしょうか。

そうとわかるとすとんと理解できるものもあるんですが、たがらといってそれですべてを理解したつもりになってはいけないし、なによりそれ自体は本作の魅力のほんの一部にすぎないのが、この作品の面白いところ。

作中に登場するキャラクターたち、これが表紙の子以外も特筆すべき特徴を持った子たちばかりで。彼らは主人公の兄が店長を務める男の娘カフェで働いているんだけど、ジェンダーをテーマにしてる話なだけあって、そのそれぞれに男の娘としてふるまう背景があるんですよね。トランスジェンダーの人がいたり、ゲイ(バイセクシャルの可能性も否定できない?)の人がいたり、女性化願望めいたものを持ち合わせている人もいる。LGBTという枠ではすべてをくくれなくとも、ここに登場するキャラのほとんどはなんらかのマイノリティーにあたるように思うんですよね(もしかしたらQueerに該当するのかもしれないけど、これについては知識がないのでわかりません)。

なので、カフェで男の娘になる理由としても、単にかわいい格好が好きな人もいれば、より自分らしい姿になれる場を求める人もいるし、表に出せず抑圧された気持ちをすこしでも満たせる場としている人もいる。

けれど、そんな理屈は背景程度に理解した上で、なによりやっぱり男の娘たちのかわいさがとてもいい作品なんですよ。見た目は男の娘なキャラばかりだし、そんなキャラクター同士で恋バナしたり、女の子の服をああだこうだしながらわいわい会話してるのは見ててとてもかわいらしいことで。そしてなにより、より自然体な自分を出せる場ならではの彼ら/彼女たちの表情は、とてもキラキラして見えるんですよね。

「ぼくの性別を、おまえらが勝手に決めるな!」とは、表紙の子であるメインヒロイン(?)もぐものセリフではありますが、もぐもに限らず彼ら/彼女たちは世間から偏見の目を向けられることをおそれて、そんな自分を隠すようにして生きることにフラストレーションを抱えているのであって。それに対して作中のカフェで働く姿はより自分らしいと思える姿なんですよね。押しつけられるこうあるべきという姿ではなく、自分がより自分らしくあれる姿。それを望むのは決しておかしなことではなくて、誰もが持ちうる普遍的な気持ちであって。だからこそ、おおっぴらにより自分らしくあれるこのカフェに集まる皆の表情って、輝いて見えるんですよね。

個人的には特にめいちゃんが、自分らしさの扉の先を見つめて、おずおずうきうきしてる姿が最高にかわいいと思いますね。のろけてるときの鈴も、幸せいっぱい感があふれててかわいいことかわいいこと。自分を抑制しがちな子たちが心の底から楽しんでる表情を見れるのって、すごくいいですよね。

とはいえ、それぞれの子たちにとって、男の娘カフェというのは必ずしもベストな回答ではないというのもポイントでしょうか。特にもぐもにとっては、男であるけど女っぽくもある男の娘というのは、自分のことを男とも女とも思えず、どちらに所属しているとされることにも違和感を覚えずにはいられない性質であるだけに、そこが安心できる居場所となるにはもういくつかのステップが必要かなあというところ。その意味で、カフェが男の娘カフェという枠は維持しつつも、それぞれのらしさを理解し尊重する職場に変わっていってる様子なのはいい感じに思えますね。あたたかい空気が感じられて。ときどきギスギスしたりするのは、まあ必要な段階ということで?

ともあれ、男の子・女の子という枠組みを揺さぶって、そんなことよりとにかくかわいいと思わせてくれるキャラクターたちの話で、そのついでにジェンダー的なものについても感じとれる作品でした。すごくいいと思います。いろんな人に読んでもらいたい。次の巻も楽しみにしたいです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:59| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月26日

ジェンダーレス男子に愛されています。(1)

ジェンダーレス男子に愛されています。 1 (フィールコミックスFCswing)
ジェンダーレス男子に愛されています。 1 (フィールコミックスFCswing)

表紙の子、これはかわいい。めっちゃかわいい。男の子だけど。かわいい以外の言葉が出てこない。とにかくかわいい。やばいですよこれは。正直なところ、タイトルの意味をあまり理解せずに読みだした感はありましたが、ここまでのものだったとは……。

「ジェンダーレス男子」とは、女性的とされる嗜好を持つ男子のこと、なのかな? トランスジェンダーや女性願望的なものとは違って、性自認はまぎれもなく男なんだけど女の子っぽさを取り入れることに抵抗がない感じ? 現状ではそんな感じの認識だけどいろいろ間違ってそうな気はする。この一冊だけでは到底理解できる概念ではなさそうので、またおいおい知識を追加していければというところ。

ともあれ、話としては、そんなジェンダーレス男子なモデル・めぐるくんと、彼と同棲中の漫画編集者のヒロイン・わこのふたりを中心にしたもの。ふたりがデートしたり、お家でイチャイチャしたり、それぞれのお仕事の様子も描かれたり。

なんだけど、めぐるくんが圧倒的にかわいい。この男の子がかわいい・2018(一応昨年末発売の本なので)。なに、この男の子。ヒロインより見た目ふつうにかわいいし。料理に化粧に、いわゆる「女子力」の高さをこれでもかと発揮してるし。そしてなにより一途なヒロイン大好きぶりを隠しもせず向けてくる感じがもうめちゃくちゃかわいい。わこちゃんにかわいさを褒めてもらえればなにがあっても喜んじゃう。すごくかわいい。

それに対してヒロインのわこちゃんは、やや淡白な印象を受ける部分はあるでしょうか。めぐるくんのかわいさを世に広めたいという気持ちに駆られるあまり、本人への対応がおざなりになってるような部分もある。でもそれとめぐるくんへの気持ちは別であって。そこまで大きく描かれなくても、めぐるくんに愛されてる幸せはばっちり伝わってくるんですよね。そしてなにより、きれいな外見のめぐるくんのかわいさを引き出して世に広めることに関しては、本当にいきいきした表情を見せてくれるんですよ。むしろ本当にかわいいのはどっちだというレベル。こんなにキラキラした姿を見るためなら、そりゃあめぐるくんも自分のきれいさにますます磨きをかけたくもなりますよ。そしてそれにともなって、めぐるくんの健気なかわいさもさらにアップしていきますよ。なんですか、あのインタビューでの回答は? かわいすぎませんか? めちゃくちゃいいですよね。

最高にかわいいふたりのカップルでした。オススメです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 04:02| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月20日

初めて恋をした日に読む話(1)

初めて恋をした日に読む話 1 (マーガレットコミックス) [ 持田 あき ] - 楽天ブックス
初めて恋をした日に読む話 1 (マーガレットコミックス) [ 持田 あき ] - 楽天ブックス

初めて恋をした日に読む話 1/持田 あき | 集英社コミック公式 S-MANGA

これは設定がつらすぎる。中高ともにトップだったのに、東大受験で失敗したまま立ち直れず、31にもなって実家暮らしのまま情熱もなくくすぶってるとかもう、もう……。こんな、見届けざるをえない感がやばい。

もう本当に、読んでるだけで心が痛くなってくる。人生迷走したまま何をやってもダメダメなものだから、他人からダメ出しされる前に自虐に走って笑顔貼りつけてみたりとか、グレて反抗してる不良を見て自分の若いころは優等生だったものだからそんな経験もしてこれなかったとノスタルジーに浸ってしまったりとか、いろいろ見てられなさがやばすぎる。おまけに親には諦められてるわ、勤め先ではお荷物扱いだわ、もう勘弁してくださいと言いたくなる設定の塊のようなヒロインであった。読むだけで正気度が下がる。なんだこれは……。

前々からタイトル見かけて気になってたマンガではあったけど、まさかこんな話だったとは。いや、好きですけどね。好きにならずにはいられない話だけどもね。なかなかにつらいものがありますよねという。

さて、そんなヒロインの転機は不良高校生たちとの出会い。かつての自分ができなかった親への反抗に青春を費やす男の子たちにまぶしさを感じていたら、そのうちのひとりが親に連れられ勤め先の塾にやってきて、なんやかんやあった末に彼の受験指導をすることになる流れ。

これがまたいい感じなんですよね。親のいいなりなるのではなく自分たちの意志で反抗する不良たちとわいわい騒いで、情けない姿も見られながら打ち解けた彼らのうちのひとりと失敗した受験の記憶を取り返すかのように仕事に取り組み始め、仕事に恋に人生に、見失っていた情熱を取り戻していく。人生に挫折感を感じている人間にとって、これがどれほどの励ましになることか。まあ表紙の少年がヒロインからふた桁年下なこともあって、恋のほうはまだいくつかステップ踏まないと進みだしそうもないんだけど。

話として序盤も序盤であり、ここからどういう展開になっているのかはわかりませんが、ともあれ楽しみに読んでいきたいシリーズになりそうです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:28| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月05日

フェチップル 〜僕らの純粋な恋〜(1)

フェチップル~僕らの純粋な恋~(1) (KCデラックス)
フェチップル~僕らの純粋な恋~(1) (KCデラックス)

『フェチップル〜僕らの純粋な恋〜(1)』(るり原 ズラチー)|講談社コミックプラス

これ……こんなフェチなネタ、全年齢でやっちゃっていいんですか!? えろすぎませんか? 性的すぎませんか? 最高でした……。

この手のネタの供給は、一冊のマンガのうち、ひとつふたつあればラッキーで、こだわりのある作者さんならもうちょっとそういうのが見られてホクホクものという感じ(のイメージ)なんですけど、この作品は一冊まるまるフェチなネタの詰め合わせ状態で、これでもかというくらいにそうした描写を堪能できて至福感がやばい。まるで、雨粒で潤いを得ていたら洪水が押し寄せてきたみたいなレベル。脳の処理能力を超える幸せに押しつぶされて死ぬ。なにこの幸せ空間。最高か。あ、ちなみに自分は髪のほうです(唐突な告白)

まあね、主人公が髪フェチな設定というだけで期待はしてましたよね。でもね、そうして読みはじめてみたら、1話目1ページ目を見た瞬間に「ありがとうございました……」って手を合わせて拝まんばかりだったよねっていう。最高でした。

ヒロインがそれはもう見事なまでのロングヘアの持ち主なんですよ。まっすぐ下ろしたらお尻くらいまであるというか。そんなボリュームのある黒髪が、どの回でも存分に描かれるんですよね。サラサラとなびかせたり、簡単にまとめてみたり、それでも変わらずたっぷりと豊かな髪の存在感。それが一冊まるまるですよ? もう最高だったとしか言えませんよ。

まあでも、自分として主人公の嗜好のすべてに同意できるわけではないです。理解できないものもある。けど、“わかってしまう”ネタが多数あるだけに、その“わかってる”描写の数々に至福感を覚えずにはいられないんですよ。
目の前で髪をほどくのは性的というくだりとか、もう同意しかありません、はい。

これは同じような嗜好の持ち主や、その素養のある人はぜひ読んでみるべき作品ですね。それに、そうでない人にもぜひ軽率に読んでもらって、そしてうっかりフェチに目覚めてほしい。そんなことを思う一冊でもありましたね。全力でオススメします。

とはいえ、ここまでフェチなネタにばかりふれてきましたけど、それ以外でもラブコメとしてもおもしろい話ではありまして。まあフェチな出会いからはじまって、それからすこしずつ恋をはじめていってるふたりですからね。フェチに振りきれば変態的なまでの言動を取ってくれるにもかかわらず、こと恋愛に関してはまるで中学生のような純情さを見せてもくれる。これがたいへんニヤニヤものでして。
相手への想いを素直に表そうとすることにすら照れが先走ってなかなかうまくいかないもどかしさ。フェチな欲望全開な時にはもっとドン引きレベルでぐいぐいいってたりもするだけに、このピュアさのギャップはほほ笑ましいものがあります。次の巻ではもう少し進展が、ある……のかな?

途中から登場の主人公の妹もやっぱりなんらかのフェチ持ちで、この作品、変態しかいねえ……なコメディとしてもおもしろい作品であり。なんというかもう、キャラの理解や関係性の深まりよりも、互いのフェチへの(諦観まじりの)理解の深まりが先立ってる感があるのが笑えるところ。
いやまあでも、当人たちが満足そうならなによりということで?

性癖的にとてもよくて、ストーリーにおいてもおもしろい。素晴らしい作品でした。オススメオススメ。これは2巻もめちゃくちゃ期待のシリーズですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:46| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月18日

とりかえ・ばや(7)

とりかえ・ばや 7 (フラワーコミックスアルファ)
とりかえ・ばや 7 (フラワーコミックスアルファ)

とりかえ・ばや 7 | さいとうちほ | 【試し読みあり】 – 小学館コミック

読むたび転機転機と言ってる気がするけど、この巻こそ本当の転機だったような気がする(まだ言うか)。

それでもこれは言いたい。男らしい姫君と女のようなる若君とが、本来の性別とは異なる世界で生きていく話としてはじまった物語なので、そのふたりがいろいろあった末に互いの立場を入れ替えて本来の性別で宮中に帰っていくというのは、まさに作品の根幹を揺るがし、さらにその世界を広げていく一大転換点だと思うのですよ。その準備は何冊も前からはじまってたのではありますが。

さて、表を取り替えて生きていく道を選ぶ。それは口に出すのは簡単で、けれど実行するとなれば難しい。なにせもともとの性格が本来生きるべき性別とは逆の社会にこそふさわしかったふたりのこと。身なりのうえではなんら違和感ないとはいえ、決して適材適所ではなく、ぎこちなさは覆いようもない。けれど、それでも互いの立場での立ち回りを知る互いの存在がある者として、連絡を取り合ってそれぞれの持ち味を出しながら新たな宮中の居場所で過ごしていく。これはこれで、いい感じではありますね。不安もあるけれど、無理が見えはじめていた以前の状態と比べればまだ明るい展望が開けている……ような。

そして、表を取り替えてもすぐにそれと気づいてしまう東宮さまと睡蓮くんの絆と信頼関係にとても心あたたまる。こちらでもさらなる進展が、あるといいですね。

巻末の次回予告の絵がまたなんだかややこしそうな展開ではありますが、それはそれでやっぱりおもしろそうではあるので、次も楽しみに読みたいところ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:20| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

イサック(1)

イサック(1) (アフタヌーンコミックス)
イサック(1) (アフタヌーンコミックス)

『イサック(1)』(DOUBLEーS,真刈 信二)|講談社コミックプラス

試し読みをしていたらゆるく勉強中のオランダ語が目についたため購入してみた一冊。まあさすがにオランダ語が出てくるのは1話の冒頭だけでしたが。(上記リンク先の試し読みですべて確認できます)

しかしこれ、1話冒頭に出てきてた言語って、実はオランダ語だけではなかったようで。主人公がしゃべってた言葉はオランダ語知識でおおよそ理解できるけど、それ以外の人物のものになるとそれだけではよくわからなかったりする。似てるところはあるんだけれども、単語レベルで違いがあるように思える。気になって調べてみた感じ、どうもそちらはドイツ語であるらしい。とすると、作中、それとオランダ語とで会話が成立してる(すごく訛ってると思われながらも)んだけど、ドイツ語とオランダ語の距離感ってそういう感じなんだろうか? この辺、ドイツ語の知識はまったくないのでわからない。

肝心な話としては、三十年戦争下のドイツで日本人傭兵が戦う話。表紙にも描かれているように、刀よりも鉄砲で活躍するキャラですね。たった一人で戦況を覆すほどの一撃をもたらす狙撃力の見せ方がうまい。敵には次から次へと大物が出てきて、凄烈な恩義と復讐心を胸に欧州大陸に現れた日本人傭兵であるイサックが、ここからさらにどんな活躍をしてくれるのかと期待させられる。

この話がどの程度史実に基づいているのかは不明。近世、それもドイツの知識はほとんどないので。ただ、1620年当時のスペインの王太子の名前はアルフォンソではなかったはずなので、フィクションの度合いは高め? まあそんなことを考えてしまうから、いまや歴史を題材にしたフィクションを純粋に楽しめなくなっているのだけど。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:56| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月08日

微熱空間(2)

微熱空間 2
微熱空間 2

微熱空間 2|白泉社

同い年だからこその、お姉ちゃんぶりながらも幼さを感じる部分もある(義)姉の亜麻音さんがとてもかわいい。家族だからという安心感もあってか隙のあるところを見せられるたびにドキッとさせられて、けど家族だからこそそれ以上に大事にしなきゃと思わされる感じが、なまじ年齢差があって上下関係がはっきりしてる姉弟関係よりも相手のことを意識させられて、ドキドキ感が増して感じられること。家族になってからまだそれほど間もない間柄だからこその、余計に異性であることを意識せずにはいられない感じ。他人から家族へと移り変わる間の微妙な状態だからこその空気がいいですね。まあ一度こうなってしまうとスムーズに移行して終わりという形で納まりがつくのかどうか。恋愛感情とはいいきれないながらも、そちら方面のネタというか雰囲気というかをより濃く取り込んできた感じでしょうか。ひとまず、これはこれでいいですよーということで。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:59| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする