2017年08月22日

あの娘にキスと白百合を(5)

あの娘にキスと白百合を 5 (コミックアライブ) -
あの娘にキスと白百合を 5 (コミックアライブ) -
試し読み(BOOK☆WALKER)

今回のメインは10年近くぶりに再開した幼なじみの女の子ふたりの話。これがとてもかわいかったんですよ。

幼いころにとても仲よくしていたけれどそのことを覚えていない紗和と、久しぶりの再会に喜んだもののそれが自分だけだったことに不機嫌さを隠せないいつきと。そんなすれ違い模様をコメディタッチに描く話も面白かったんですが、個人的にいちばんよかったのは、なんだかんだすれ違いながらも互いが互いを見る視点に最初のころからかかっていた“特別な人”フィルターだったり。

いつきは周りからの評価も美人で異論が出なかったり、モデルのスカウトもかかるくらいにきれいな女の子として描かれてたんですけど、紗和視点で見てるとほころんだ笑顔も眉がつり上がった怒り顔も、常に10割増しくらいのインパクトで感じられて。何気ない表情に目を奪われたり、ふっともれるやわらかな表情にドキッとさせられるのがとてもよくわかるというか。昔のことは覚えてなくても、最初からいつきのことをほかの人とは違う目で見ていたのがうかがえてとてもかわいかったですね。

一方のいつきの視点でも、紗和のことを特別視していて。昔の約束という重要な事柄はあったけれど、それをこれまで大切に思ってきて、なおかつ偶然の再会に運命を感じるほどに喜ぶことができたのは、かつて紗和と過ごした時間をとても大切な思い出として胸に抱いていたからであって。だんだん明らかになってくるいつきの想いのなかで、紗和って、彼女自身の自己認識以上にあこがれのお姉さんみたいになってたんですよね。昔いっしょに遊んだ時間は楽しくて、再会できたならそのときに思い描いた夢のつづきが見られるんだと、その先へと彼女を導いてくれるのがほかのだれでもない紗和なんだと、無邪気に信じきっていられるくらいに。だから、昔のことなんて覚えていないという紗和に怒りを覚えるのはとてもよくわかるし、けれどそれでも紗和のために重ねてきた努力を認めてもらえることにうれしさを覚えてしまうのもわかるところであって。まあなんだかんだいってこの子は昔から紗和のことが好きなんだよねとわかるのがとてもかわいい。紗和自身も気づいていないような紗和のかわいさにも気づけたりしてるのを見てると、いつきも紗和と同じフィルターで相手を見てるんだなというのがよくわかって、たいへんかわいかったです。かわいい。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 17:11| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月21日

たとえとどかぬ糸だとしても(1)

たとえとどかぬ糸だとしても1 (百合姫コミックス) -
たとえとどかぬ糸だとしても1 (百合姫コミックス) -
試し読み(BOOK☆WALKER)

とても……百合です。片想いの切なさがこれでもかと詰まっててとてもいい。つらい、楽しい、百合!

というわけで百合マンガです。お兄さんのお嫁さんを好きになってしまった女の子の話です。もうこの時点で報われる未来が見えませんね。素晴らしい。けれど、だからといってそれなら仕方がないとあきらめがつくかというと、そんな簡単に折り合いがつけられるものではないからぐるぐると不毛な悩みに追いやられてしまうわけで。しかも、お相手の薫瑠さんはというと、ウタががんばってその気持ちを表に出さないようにしていることもあるのだけど、ウタの気持ちに気づいていないどころか、保護者モードで距離を詰めてくるから片想いの身にはたまらないという悪循環。好きになった相手に好きだという気持ちを表すことすら許されない関係。それなのに、気軽に接してくる薫瑠を相手に期待してしまう気持ちは止められない。そして、そんな自分に気づいて自己嫌悪に沈む感情。すごくいいですよ、これ。

特に、そんな想いが高じて脳裏で描いてしまった第5話のウタの夢。お姉さんのように気づかってくれる薫瑠に対して、自分がどれだけあさましい気持ちを抱いているのかと思い知らされるような夢想を不意打ちでつきつけられて、どれほどうしろ向きな思考への追いつめられぶりを痛感させられることか。大切に思う人に対して、自分がどれほど汚らわしい欲望を抱いているのかと思い知らされることか。けれどなにより嫌悪感を募らせずにいられないのは、そんな都合のいい夢を即座に否定することもできない自分自身なのであって。このどうしようもないほどに行き詰ってしまった感情がとても切なくて、とてもいいと思うのですよ。

いやもう本当にどうしようもない。最初から報われる道が見えない恋心。1巻と銘打たれているということはまだまだつづきがあるということなんですけど、どういうところに話を落とし込んでいくことになるのか。あんまり心の底からハッピーになれる結末というのは思いつかないところではありますが、このどうしようもない感じは好きなので、つづきもぜひ楽しみにしたいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:37| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月27日

とりかえ・ばや(2)

とりかえ・ばや 2 (フラワーコミックスアルファ) -
とりかえ・ばや 2 (フラワーコミックスアルファ) -
試し読み(出版社HP)

東宮の睡蓮に対する、内気な文学少女同士が通じ合うような気に入りぶりがいい感じ。東宮は次代の皇子のためのつなぎとしての自分の立場も理解してそれに徹している人でもあるようで、なかなか好感の持てる人。ただ、そうした東宮のお付きの睡蓮の君はいまのところ女性社会のほうが居場所として心地がいいとはいえ、性自認はまぎれもなく男性であって。東宮のあどけない表情を見ているうちに意識しはじめてしまうのはほほえましくもはらはらさせられるところであり。

一方の沙羅双樹も、右大臣家の四の姫との縁談が進むものの、体は女性のものだし性的指向をとっても同性愛者ではないことから、寝所をともにしても本当に文字通り寝所をともにするだけでそれ以上なにもしようがなくて途方に暮れてしまうのがコメディチックで面白かったり。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:08| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月07日

あの娘にキスと白百合を(4)

あの娘にキスと白百合を (4) (MFコミックス アライブシリーズ) -
あの娘にキスと白百合を (4) (MFコミックス アライブシリーズ) -

バレンタイン回がたいそうかわいらしかった。先輩が好きな伊織と、そんな彼女につきあうデコ先輩の攻防に2ページちょいで満足させられた感。その後の何気に雪奈をひとり占めしてる十和子もいい感じ。前回の話ではキャラがわかったようなわからなかったような感じだったけど、そういうキャラだったのねというのがコミカルに凝集されててわかりやすい。そしてやっぱりはずさないのが白峰さんと黒沢さんですよ。本気になった黒沢さんを負かすという合意をとりつけたこともあってか、これまで以上に勝負にこだわるあまり自爆ポイントが増えていって、とてもいい感じに赤面してくれてて。たいへんかわいい。

第19話の「私が思うに友情というのは そういう風に傷つくこともあるけど… 相手の人生につき合う覚悟のことです」というセリフは百合名言ということで。

あと、小劇場の千里とあゆみって、何気に『エクレア』(百合アンソロジー)収録の話と同じ系統の関係性ですよね。この1ページがさらに膨らむとああいう話になる的な? そういう話の種がちりばめられてるのが小劇場ですし、そこからふくらんだ話というのにももっと期待していいんだろうか。期待したいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月06日

とりかえ・ばや(1)

とりかえ・ばや 1 (フラワーコミックスアルファ) -
とりかえ・ばや 1 (フラワーコミックスアルファ) -

なよやかに育った弟よりも男がするとされることを好んで育ったゆえに、男として元服を迎えた沙羅双樹の君。ではあるものの性自認は女のままであり、男社会で生きることになって持ち前の明るさから周りからはちやほやされながらも心のうちで孤独をかこつ描写がいい感じ。睡蓮の君とふたりでしかわかちあえない感情を吐露する様子も先行きの不安を思わせてくれて。そのうえ実は女なのではないかと疑われては身を引いたはずの女性社会のやっかみも受けることになるからなかなか大変な立場。特異な存在とはいえ、男と女で生き方がはっきり峻別された社会で、その境を超えて生きることの難しさが伝わってくる。先の展開が気になる話。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月18日

citrus(1)新装版

citrus (1) 新装版 (IDコミックス 百合姫コミックス) -
citrus (1) 新装版 (IDコミックス 百合姫コミックス) -

親の再婚で姉妹になったふたりが、キスしたり密着したりキスしたり押し倒したり……いいですよいいですよー! 

とくに妹のほうの芽衣。品行方正な生徒会長かと思えばギャルっぽい見た目の柚子よりもはるかにキスに手慣れた感じがあって、あわてる柚子の反応を見て楽しんでいる風さえあるくらいなのが、読めない本心と合わさってドキドキさせてくれる魅力にあふれてて。けれどその一方で、真正面から向けられる熱い気持ちには弱かったりするのがかわいらしくもあり。

それに対して柚子はわかりやすい性格なんだけど、主人公としてはそれがまたよくて。つかめない芽衣の言動に動揺させられて、翻弄されて、平常心を失わされているうちに目が離せなくなっていくのがシンクロしていく感じ。オーバーヒートしすぎて自分でもわけわかんなくなってる感じのその感情がどう転がっていくのかと、楽しみな話ですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月17日

兄の嫁と暮らしています。(1)

兄の嫁と暮らしています。(1) (ヤングガンガンコミックス)
兄の嫁と暮らしています。(1) (ヤングガンガンコミックス)

嫁と暮らすJK、いいですね……。しかもこの嫁、ちょくちょく天然でのろけ話をくりだして自爆してるのがとてもかわいい。こんな嫁とJKのふたり暮らしとか、いいですよね。まあ兄の嫁なんですけど。

もともと他人だったこともあり、いっしょに暮らしているといっても家族としての気の置けない関係とまではいかなくて、まだお互い相手になるべく迷惑をかけないようにと遠慮しあっているところがあって。けれど少しずつわがままも言えるようになっていってるペースがいい感じであり。

そしてこの嫁なんですけど、兄の嫁であることから、主人公であるJKとの関係は義理の姉妹になるんですよね。つまり、嫁(兄の)であり義姉である人と同居してるJKという。本当にいいですよね……。義妹であるJKのことが心配で、精神的に不安定な時期だから(自身もそうだけど年上であるだけに)頼りにしてほしいし、けれど互いの距離感を手探りしながらの状態であるためにあまり気持ちを押し付けることもできず、ちゃんとお義姉ちゃんをできてるんだろうかと悩んでいる場面が印象的な人であり。そしてだからこそ、冗談のつもりだったとはいえ、JKのほうからわがままを言いだしてくれたことにぱっと顔を輝かせるのがとてもかわいらしい人であり。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月14日

あの娘にキスと白百合を(3)

あの娘にキスと白百合を 3 (MFコミックス アライブシリーズ) -
あの娘にキスと白百合を 3 (MFコミックス アライブシリーズ) -

やったー! 白黒がメイン(のひとつ)の話だー! 白峰さんのこと大好きな黒沢さんにペースを乱されまくりな白峰さんはやっぱりかわいい。さらに今回は、ライバル視してる黒沢さんから無邪気な好き好き攻勢を発揮されてやりにくそうにしてるいつものパターンに加えて、いつのまにかそんな白峰さんの反応を見こしてからかって楽しんでるようなやりとりも見かけられるようになってる? これは策士ですわ。なまじ白峰さんがライバル意識から意地になって素直になりきれないでいるだけに、余計にドツボにはまってしまって赤面してる姿がとてもいい。というか、黒沢さんも1巻当初の記憶と比べるとだいぶ表情豊かになってきましたよねとも思ったけど、だいたい白峰さんほかごく一部にだけで、それ以外の人に対してはナチュラルにひどい態度だったりするからやっぱり笑う。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 17:03| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月30日

パレス・メイヂ(2)

パレス・メイヂ 2 (花とゆめコミックス) -
パレス・メイヂ 2 (花とゆめコミックス) -

今回もひきつづき、最高かという感想しか出てこない話であった。彰子女帝による前回の引き立てによって、パレス内部を中心に陛下のお気に入りとしての立場を知らしめられることとなった御園少年。帝の方でも、おおっぴらに引き立てたこともあって、彼に対する「ご寵愛」を隠さなくなってきてるのがとてもよくて。何かあれば畏まってしまう者たちの中で自分のわがままにつきあってくれる御園に心を許していたり、自分を慕うまっすぐでひたむきな姿に安らぎを覚えている様子のいちいちにもだえさせられる素晴らしさ。そして、外部から彼に勲章が与えられそうになるとすげなく拒否してみせて、自分の手で公式のものではない「ささやかな勲章」だけを与える場面。彼は自分だけのものだという意図の表れのようで、もう最高としかいえません。

鹿王院宮のほうはどうなるかと思いきや、直接的な事態にはならない様子。むしろ同じ彰子様を好いた男同士、帝のことを大切に思う者同士、対立するだけではなく協力関係にもなれるというのは、なかなかいい関係になってきてますよね。とはいえそれはそれとして外堀から埋めにかかってきてはいるので、緊張感は消えてくれないのですが。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:20| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月19日

新米姉妹のふたりごはん(2)

新米姉妹のふたりごはん2<新米姉妹のふたりごはん> (電撃コミックスNEXT) -
新米姉妹のふたりごはん2<新米姉妹のふたりごはん> (電撃コミックスNEXT) -

今回もあやりさんがとてもかわいい。それまで当たり前にしてきた料理だから、家族になったばかりの大事な姉さんにもしっかり作ってあげるのが当たり前で、当然のようにそう考えるあまりに自分からは何も姉さんのためになることができてないとしおれてしまう姿がとてもとてもかわいい。サチのように全身でうれしさを表したりはしない人ではあっても、ふだんは家でひとりで過ごしていたという背景もあって、なにかと頼ってくれたりすごいと褒めてくれたりする姉さんからはこれでもかというほどにうれしい気持ちをもらってるのが伝わってきてましたからね。そのお返しをする機会を見つけたなら、全力でそれを活かそうとするでしょうとも。そしてそれにもかかわらず不手際があれば、やっぱり自分はどうしようもない妹なんだとへこんでしまったりもしようというもの。この辺の、無自覚のうちに自分を卑下して、姉さんを前にすると肩に力が入った感じを思わせるのがかわいくあり。サチの方は天然でそれに気づいてない感じではあるんですが、そうでありながらもナチュラルに自分のために何かをしてくれるあやりに感謝の気持ちを伝えてなぐさめ励ますことのできる筋金入りのポジティブさが、話を暗くさせてくれなくていいんですよね。あやりさんが下手するとどんどん自己嫌悪のサイクルにはまってっちゃいそうなくらい深刻に考えすぎるところのある性格だけに、いい姉妹になってると思います。サチもサチで、ちょっとおバカなところもあるけれど、あやりといると、すごいすごいと彼女のことを褒めて、(主に料理面で)いろんなスキルを引き出してくれてるところがあるといいますか。それもあってか、LINE的なメッセージアプリでのあやりさんのサチ姉さんへの返信速度が速すぎてちょっと不安になったりするところもありますが、姉さんのことが好きなのがわかってとてもいいものです。ラストの、まっすぐに向けられるきらきらとした感謝や妹思いの気持ちによって感情がオーバーヒートしそうになってるあやりさんとか、本当にかわいかったですし。姉さんの前ではきりっとしてみせようとする姿とのギャップがたまりませんでした。

それと、サチに妹ができたことで微妙に話し相手を取られた形になってる絵梨の方も最後のところでなにやら面白そうな描写の挿話があり。この辺、どうなっていくのかも楽しみなところで。3巻も楽しみにしたいです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする