2014年09月15日

艦これ、2-4クリア

今回はとねちくです。うすめですが……。それと、そろそろ独自設定が目立ってきたように思いますので、お気を付けください。



     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



 ごろごろと大きな音が鳴り響く。どこかに雷が落ちたらしい。建物の外では降りしきる雨粒に木々がさざめき、流れこむ雨水であちこちに水たまりができていく。

「暑いのじゃー」

 閉めきった窓を叩く雨の音が響く室内で、寝台にだらりと寝そべる少女が声をあげた。

「利根姉さん、だらしないですよ」

 襟元を緩めてぱたぱたとあおぎだした少女に対し、もう一人の少女がたしなめる。

「そうは言ってもじゃな……」

 言われた少女は不満げだ。つい先ほどまで屋外にいたために、体が熱を持っている。ぴっちりと服を着込んでいては暑苦しくてしかたがない。いっそのこと脱いでしまったらとも考えたが、さすがにそれはと我慢したのだ。この程度は許してほしい。そんな意図を込めた視線を送るが、もう一人の少女に有無を言わさぬ笑顔で見つめかえされてしまった。

 少女は不承不承、襟元をあおぐ手を止める。しかしそれで暑さがなんとかなるものでもない。浮き出る汗に気持ち悪さを感じながらごろりと寝返りを打っていると、「なんでしたら、うちわがそこにありますから」と教えられた。少女は感謝の念を抱きながら素早くうちわを手に取りあおぎだす。そうして得られる涼に快さを覚えていると、もう一人の少女が目を細めてこちらを見ているのに気がついた。

「筑摩よ、これはおまえが使うとよい」

 もう一人の少女の額に浮かぶ汗に気付いた少女は、そう言ってうちわを譲ることにした。気をつかわなくていいのにと遠慮されたが、少女たちにとってはいつものやりとりだ。当然のように相手に押し付けると、少女は自分の寝台に向かった。確かもう一本うちわがあったはずだと、自らの記憶を探りながら。

 もう一人の少女は、渡されたうちわを心地よくあおがせながら、そんな少女の様子をほほえましく眺めていた。結果的に少女が使っていたうちわを取ってしまった形になっているが、一度言いだしたら聞かないその気づかいを嬉しくも思いながら。

 もとはといえば、この突然の雨を部屋でやり過ごすことができているのは、少女――利根のおかげともいえるのだった。二人は先ほどまで、港で新造の爆撃機の試験飛行を見学していたのだ。それは、もう一人の少女――筑摩の希望によるものだった。筑摩は、自らが搭載する偵察機であれ、そうでない戦闘機であれ、飛行機が空を飛ぶのを見ているのが好きだった。提督不在の時代には、腐らせるばかりの資源の一部を使ってよく偵察機を飛ばしたものだ。しかし、今ふたたびの戦時体制下に、浪費している資源の余裕などありはしない。その代わり、新たに製造がなされるようになっている。そこで、しばしばその試験飛行を見学することで埋め合わせとしているのだ。ただしこれは筑摩だけの気晴らしであり、利根も同様に楽しみを見出しているというわけではなさそうだった。今日、利根がついてきたのは、ただの気まぐれだったように思う。それでも、姉とともにそのひとときを過ごすのは、筑摩にとっていつになく楽しいことだった。そうしていくばくかの時間、空を眺めていると、その背景に黒雲が広がりだした。一雨来る前に部屋に戻ろうかとも思ったが、一方で試験が中止される様子はなく、その場を去りがたく思っていたところ、利根が急かすように筑摩の手を引き基地の建物に駆け込んだのだ。その直後、見計らったかのようにざあざあと雨が降り出した。果たして、利根はあのとき走らなければ雨に降られるとわかっていたのだろうか。この姉ならばそうかもしれないと思えてしまうのが、筑摩にとっての利根なのだ。

 そんなことを思い返していると、利根がようやく自らの荷物からうちわを見つけだしたらしい。誇らしげに筑摩に向けてかざすと、涼しげにあおいでみせる。その様子があまりにも気持ちよさそうで、筑摩は思わず笑ってしまった。

「姉さん、もうすぐ雨もやみそうですよ」

 叩きつけるようだった雨足が弱まってきたことに気づき、筑摩は雨が入りこまない程度に窓を開けた。小さな隙間から流れこむひやりとした雨降りの空気に、筑摩はほうと吐息をこぼす。利根はというと、筑摩の言葉を聞き、もうまた出かける気になっているらしい。

「よし、筑摩、涼しいうちに散歩でもするぞ」

「姉さん、まだ降ってますってば」

 本当に雨の中を走り出しかねない姉を引き止めようとしたが止めきれず、結局二人は勝手知ったる屋内の散策をしながら雨上がりを待つことになるのだった。


 筑摩を引っ張り出すようにして部屋を出た利根だったが、実のところ、どこか行くあてがあったわけではない。じっとしているとわずらわしいもの思いに気を取られてしまうため、それから逃れるために動き回ることにしたにすぎない。筑摩はそれをなんとなく察して付き合ってくれているようだが、毎度のことながらすまなくも思う。

「筑摩よ、どこか行きたいところはあるか?」

「強いてあげるならまた港に……と言いたいところですが、まだ雨もぱらついてますし、この辺りをぶらついてみませんか? よく見知った場所でも、ゆっくり歩けばなにか新しい発見があるかもしれませんよ」

 どこでもいいと言われたに等しいが、こちらの意に沿うような答えに、利根はその言やよしとうなずき、足の向くまま宿舎の中を歩きだす。廊下を前進し、ときおりまだ誰も使う者のない部屋をのぞき、階段を昇って降りて、やはり同じようにそぞろ歩く。

 そうしていると、廊下の向かいに一人の少女の姿が見えた。道着めいた和服に長い銀髪をなびかせながら、なにか考えこむような表情をして歩いている。

「おお、翔鶴ではないか」

 利根の声に、少女はようやく二人に気づいたらしい。

「利根さん、筑摩さん。こんにちは」

「うむ」

「はい、こんにちは」

 鷹揚に答える利根に対し、筑摩は丁寧にあいさつを返す。

「お二人はどちらへ?」

「このあたりを散策中です。姉さんが部屋でじっとしているのは退屈だと言うものですから」

 それを聞き、子供でもないのにとこちらを見つめるてくる翔鶴に対し、利根は得意げに胸を張ってみせた。それを受けて同情的な視線が筑摩に向けられるが、彼女はなんのことかわからないと言うように軽く肩をすくめるだけだった。その失礼な気配を感じ取った利根がじっと翔鶴を見やっているうち、彼女が一冊のノートを手にしているのが目についた。それでぴんときた利根は、彼女に尋ねてみることにした。

「翔鶴、おぬし、提督のところに行っておったな?」

「どうしてそれを……?」

 翔鶴が驚きに目を見開いたが、利根としても直感的なものなのでなぜと言われてうまく説明できるものではない。なんとなくだと答えてみると、怪しむような視線を返された。利根は、この視線が苦手だった。見て取れたことをなんでもないことのように聞いただけなのに、まるで気味悪がるような反応をされるのだ。筑摩が言うには、「姉さんは鋭すぎるんです」ということらしいが、普通に見て察することができてしまうがゆえに、何が聞いてはいけないことなのか、口に出してみるまでわからないから困りものなのである。

「知りませんでしたか? 利根姉さんはなんでもお見通しなんですよ」

 筑摩のその言葉にため息をついた翔鶴は、あきらめたように事情を話しだした。

「提督に頼んで、ここ最近の出撃の報告書を見せてもらっていたのです。敵の戦術を研究することで、もっと戦いを有利に導くことはできないかと思いまして。それがゆくゆくはこの戦争の終結を早めることにもつながるはずですし……」

 いつか自らの手でこの戦いを終わらせてみせるとの決意を明かす翔鶴に、利根はすっかり意気をのまれてしまっていた。筑摩から、戦いが終わったらまた二人で静かに過ごしたいとの願いを聞いたことはあったが、利根自身が戦いの終わりに深く考えを巡らせたことはなかった。それなのに、この少女は基地に加わってまだそれほど間もないながらも、途方もない望みを抱いている。こういう者がいればこそ、その道も開けていくのだろうか。

「うむ、頼もしい限りじゃな。吾輩も助力を惜しまぬゆえ、おおいに期待しておるぞ」

 利根は感心しきりに翔鶴の肩を叩きながら、そう声をかけてみたのだが、翔鶴にはなぜだかばつが悪そうな顔をされてしまった。いぶかしみながら別れを告げると、角を曲がったところで筑摩がわけを教えてくれた。

「姉さん、まじめな気持ちを伝えたいときは、必要以上に芝居がかったしぐさをしないほうがいいと思いますよ」


 利根が首をひねりながら歩いていると、今度はまた別の少女と出くわした。紫がかった髪を四手で高く一本にまとめたいでたちが特徴的なその少女。初春だ。

「利根に筑摩ではないか。珍しいのう、かようなところで」

 そう声をかけられたが、ここは仲間たちが寝泊まりしている宿舎の廊下だ。ここで顔を合わせるのに珍しいことなどあるだろうか。疑問に思う利根の代わりに、筑摩が答えを返した。

「雨降りの気晴らしにと、あちこち歩いているんです。普段は外に出ていることが多いですから、こんな機会でもないと任務や食事以外でなかなか皆さんとも顔を合わせられませんが」

 そう言われてみると、利根としてもそんな気がしないでもない。筑摩に比べればほかの者たちと接することは少ないが、仲間たちのことはしっかりわかっているつもりだった。しかし自分だけその気になっている可能性も否定はできない。

「うむ。この機会に初春と親睦を深めてみるとしようか」

 そう決意を述べてみるのだが、初春の反応はいまひとつかんばしくない。いきなり何を言い出したのかと、筑摩に説明を求めるような視線まで送っている。おかしい。こんなはずではなかったのだが……。利根も筑摩に補足を期待したが、筑摩は初春に、聞いてのとおりだと澄まし顔をするばかりだった。初春はあきらめたように話題を変える。

「まあよい。行きがかった船じゃ。食堂に寄る用事があるのじゃがな。二人とも、わらわとともに参らぬか?」

 その言葉に察しをつけた利根は彼女に尋ねてみることにした。

「ああ、同室の者たちの分まで菓子を取りに行くのじゃな。なんなら、運ぶのを手伝ってもよいぞ」

「おぬしはたまに、気味が悪いほどに勘が鋭くなるのう……」

 その言葉は、利根の心にちくりと刺さった。すると、筑摩がそれを雰囲気で察したか、うしろから声を挟んだ。

「先ほど、初春さんたちの部屋の前を通りかかったのですよ。そのとき、中からにぎやかな声が聞こえてきたものですから……」

「なんじゃ、聞かれておったのか。ならば話は早い。改めて、手伝いを頼めるかのう」

 納得した風な初春の様子に、利根は筑摩に胸中で感謝した。本当のところ、初春たちの部屋から漏れ聞こえてきた声は、その内容をろくろく聞き取れない程度の大きさでしかなかったのだ。利根は即座に当たりをつけることができたが、おそらく筑摩は、今の利根と初春のやりとりを聞いてようやく利根の理解を察したのだろう。ともかくこの場はごまかすに限る。力強く自らの胸を叩いて了承の意を告げる。

「うむ。吾輩が手伝うからには大船に乗ったつもりでいるがよいぞ」

「そんな大仰な話でもないのじゃがのう」

 そうつぶやく初春をよそに、利根は意気揚々とふるまいながら食堂へと向かうのだった。


 昼食の時間を過ぎていることもあり、食堂に人影はまばらだった。一度に百人もの人を収容できるこの広間も、食事時でなければこんなものだ。遅い昼食をとる者、食事が済んでも談笑を続ける者。数える程度の仲間たちが居合わせていた。初春はこちらに気づいた彼女たちに目礼を送ると、使いの用事を果たすべく冷凍庫に向かった。利根は筑摩とともにあとについていき、さじと小皿を用意してアイスクリームのとりわけを手伝う。一人ひとりの分がそれぞれ均等になるようにと何度も念を押す初春に、皆よほど楽しみにしているのだろうとわかり、責任感に気がひきしまる。

「しかし、こうして目の前にしておると、吾輩もほしくなってくるな」

「姉さん、つまみ食いをしてはいけませんよ?」

 もちろんだと返すが、ひとたび想像してしまった爽やかな味わいを振り払うのは簡単ではない。もの欲しそうな視線を背けられずにいると、それに気づいた初春がしかたないという顔で告げてきた。

「残った分はそちらの好きにしてよいぞ。わらわの手伝いをしてくれた、その礼じゃ」

「おお! ありがたい心づかい。この利根、心より感謝するぞ!」

「うむうむ。せいぜい感謝するがよいぞ」

 鷹揚な初春の言葉に喜んだ利根は、このアイスクリームをどこで食べようかと考えだす。するとそこに、また別の少女が現れた。和洋折衷風の緋袴に身を包んだ黒髪の少女。飛鷹だ。

「ねえねえ、何か余ってるお菓子、ある?」

 その言葉に、とっさにアイスクリームを腕の中に抱え込んで所有権を主張する利根。それを見た飛鷹は、他人の分はとらないからと手を振り、調理場をあちこち漁りだす。とはいえ菓子に関しては食い意地が張った仲間たちの所帯。そうそう余りものなどあるはずもなく、せいぜいまんじゅうが二つばかり見つかっただけだった。当てが外れた形の飛鷹だったが、もともとそれほど期待していたわけでもなかったらしく、さばさばとしたものだ。執着することなく調理場を出ようとしたところで、入り口からにぎやかな声が聞こえてきた。

「飛鷹、そっちはまだか? こっちの準備はもうばっちりだぜ」

 その声に、利根はあきれたように口を挟む。

「隼鷹、飛鷹。おぬしら、昼間から呑むつもりなのか?」

 非番だしいいじゃんと主張する隼鷹に対し、飛鷹は頭の痛そうな顔をした。

「……一度言いだした隼鷹が止まると思う?」

 無理だろうなと、利根は同意した。こと酒が絡むと、隼鷹は周りを巻き込んで暴走しだすきらいがある。それに毎度付き合わされる飛鷹の苦労を察して慰めの言葉をかけていると、隼鷹が肩を組むようにして利根に話しかけてきた。

「なあなあ、利根と筑摩も、よかったら、これからあたしらに付き合わない?」

 その言葉に思い出すのは、まだ飛鷹が基地に来る前に参加した酒盛りの記憶。ちょっとだけだからと呑みはじめたが最後、ずるずると明け方近くまで付き合わされた末に、翌日ふつか酔いのままでの出撃を余儀なくされたのだ。あの悪夢の再現はなんとしても避けたい。利根は初春の手伝いを引き合いに出したが、すると隼鷹は初春にまで誘いの声をかけだした。

「人数は多いほどいいからさあ。どう?」

「それは、じゃのう……」

 初春も経験があるのだろう。なんとか厄介ごとを回避すべく必死に頭を回転させているのが見てとれる。

「なあ? なあ?」

「利根、筑摩よ。菓子を運ぶのは何回かに分ければ三人もおらずとも十分じゃ。おぬしらはせっかくの誘いなのだし、行ってきてはどうじゃ?」

 駆け込もうとした避難先は目の前で閉ざされてしまった。利根は何かほかに手はないかと考えだしたが、逃がさじとばかりに力がこめられた隼鷹の腕に、望みが絶たれたことを悟った。最後の希望とばかりに筑摩に目を向けるも、静かに首を振られるばかりだった。

「引き受けた手前もありますし、私は初春さんの手伝いを済ませてからうかがいますので」

 それまでの辛抱ですと耳打ちされた筑摩の言葉を頼みに、利根は引きずられるように隼鷹と飛鷹の部屋に連れ込まれるのだった。


 筑摩が飛鷹たちの部屋に向かうまで、それほど時間はかからなかったはずだ。だが、扉を開けた筑摩を出迎えた利根のほおにはすでにうっすら赤みが差していた。

「利根姉さん、大丈夫ですか?」

「この程度で酔うはずがなかろう。それより、筑摩もどうだ、一杯」

 参加をあれほど断ろうとしていた先ほどの態度はどこへやら。湯呑み片手に陽気に筑摩を誘う姿からは、前後不覚になるほどではないが、酔いの影響が見て取れた。このままではふつか酔い街道を一直線である。

「いえ……それよりも、外は雨が止んだようです。雨が上がったらまた港に行く約束、守ってくれますよね?」

「しょうがないやつじゃのう、筑摩は……。隼鷹、飛鷹、すまんが吾輩たちはこれで。代わりといってはなんだが、吾輩たちの分のアイスを置いていくでな」

 なんとかひねり出した口実に利根が乗ると、隼鷹は思いがけなくもあっさり送り出してくれた。あんなに誘ってきたのにと疑問にも思うが、この酒席を逃れられるのならそれに越したことはない。

「姉さん、この後はどうしましょうか?」

 そのまま港に向かってもよかったのだが、筑摩には懸念があった。

「言った手前、港に向かえばよいであろう。風に当たっていれば酔いもさめる」

 姉の様子が、人前で見せるものとはどことなく違うのだ。普段、筑摩といるときに限ってはうかがわせることもあるのだが、ときおり利根は鷹揚な態度がうそのように冷めて見えることがある。今のこれが酒のせいなのかどうかは、以前飲んだときには筑摩のほうが先に潰れてしまったためにわからない。いつもなら身近に接するがゆえに察しがついてしまう筑摩以外には見せないようにしているはずなのだが、このままでは誰彼となくそんな一面を見せてしまうのではないかと思うとはらはらする。

「姉さんがそれでいいのでしたら……」

 誰かに会う前に利根の酔いがさめてくれるといいのだがと思いながら、宿舎から港までの道を歩く二人だったが、残念ながら筑摩の願いは叶えられないようだった。

「おお、日向ではないか」

 道の向こうからやってくるのは、哨戒任務帰りと思しき日向だった。

「利根に筑摩か。二人はこれからどこへ? 散歩かな?」

「ええ。日向さんは、任務帰りですよね? お疲れ様です」

 姉に必要以上の受け答えをさせまいと、すかさず筑摩が前に出る。日向にけがや衣服の汚れは見られなかったが、話を聞くとはぐれ深海棲艦を一隻仕留めてきたという。たいしたことなかったと語る日向の様子は、声量こそ抑えられているものの、誇らしさがにじんでいた。

「航空戦艦はやはり強いのう。次に同じ部隊になったときにはよろしく頼むぞ」

 持ち上げるような利根の言葉に、任せてくれと返す日向はますます嬉しそうだ。しかし、筑摩は不安がいや増すのを覚えた。今の利根が相手をほめそやすだけで済ませるのだろうかと思えてならなかったからだ。その予感は的中する。

「それで、なんだったかのう……。『敵艦隊は、何のために攻めてくるのだ』であったか。そちらのほうでは新たにわかったことはあるかの? 吾輩のほうは、ようやく糸口になりそうな情報のありかを、つきとめたところにすぎぬでな」

「な、どうしてそれを……」

 それは、かつて日向がぽつりとこぼしていたという疑問。おそらくは誰にも聞かせるつもりはなく、無意識のうちに口から出た問いだったのだろう。だが利根は、それを聞き落としはしなかった。日向本人も、航空戦艦への改造がなった喜びもあり、今の今まですっかり記憶の底に沈みこんでしまっていたのだろう。虚を突かれてひるんだ日向に、利根はいきなり足払いをかけてうつぶせに蹴倒した。

「なにをする……!」

 日向の抗議を無視し、利根はさらにその片腕を背中側にひねり上げる。

「浮わついた気分は程々にしてもらわんとなあ。ともに任務を課されたときに不安でしかたがない」

 そう告げる利根の表情は、筑摩の目に部屋を出たときからうかがえた陰が取り払われ、純粋に格の違いを見せつける高揚が浮かんで見えた。

 一触即発の事態に、筑摩の背に冷や汗が浮かぶ。だが、もし喧嘩になったとしても利根の勝利を疑いはしなかった。見下した視線の裏付けとなる姉の実力を知っているからだ。

「っ……覚えていろ」

 しばらくして利根が腕を離すと、日向は利根とにらみ合ったのち、憤然とその場を去っていった。筑摩は、酔った利根に絡まれた形の日向のうしろ姿に同情の視線を向けた。それと同時に、姉のことを嫌わないでいてほしいとも願った。あんな一面を目の当たりにしても、筑摩にとって利根が愛する姉であることは小揺るぎもしないのだから。そしてなにより、かいまみえた好戦的な態度に、普段は仲間たち、ひいては妹である自分への気兼ねから自らを押し殺している利根の、最もいきいきとした雰囲気を感じてしまったから。

「姉さん、もう酔いはさめましたか?」

「うむ。すまなかったのう」

 少ししてから、しかめ面を押し隠すようにして歩く利根に筑摩が尋ねると、そんな答えが返ってきた。あとで謝りに行かなければとも言えることから、いつもの姉が戻ってきたのだろう。もともとそんなに酒量を過ごしたわけではなかったのだ。ほっと安心した筑摩は、二人並んで港への道をふたたび歩みだすのだった。

 結局、試験飛行はすでに終わってしまっていた。だが、今日は有意義な一日だったと、筑摩は思う。前々から、姉は自分を押し殺していることに晴れやらぬ気持ちを抱えているのではないかと考えていたのだが、そのことに確信が持てたのだ。しかしだからといってどうしたらいいのか。そもそも姉は今を望ましいと思っているのか、変えたいと思っているのか、そうだとすればどのように……。それが定かではない。直接聞くのもはばかられる問題であるがゆえに、解決のめどはまだ立たなさそうだと、筑摩は悩むのだった。





「なんでしょう、この編制は?」

 広間に貼りだされた編制表を見て、筑摩がそうつぶやく。次の出撃部隊を知らせるその紙には、利根と筑摩を含む六人の仲間たちの名前が記されていた。それだけならば、普段となんら変わるところのない形式である。ところが、そこに記されていた名前には、筑摩に不満を漏らさせるに足るものがあった。

「方針が変更されて、あやつの本気を感じてもいたのだが……」

 着任当初より、提督からは作戦海域への出撃の方針として、一戦してそのまま撤退することを申し渡されてきていた。もっと先の海に進むには練度が不足しているとの判断からだ。利根もその考えには賛成であり、気をつけてさえいれば仲間を失うおそれもほとんどないといえたため、ずっとそれに従ってきていた。

 しかしここ最近、その方針に変更が加えられた。できる限り先へ先へと進軍すべし。それは威力偵察、ひいてはできると判断したならばその場での決戦をも含んだ指示だった。それまでが攻勢に移るための実戦演習に等しいものであったため、ついにその時が来たかと思ったものだが、その一方で、敵の中核と目される戦力を叩くにはまだ練度が足りていないと利根は考えてもいた。急な方針転換の裏にあるものを勘繰りもしたが、ともかく、実際に出撃する身としては、より過酷な戦場への進撃は、それまで以上の疲弊をもたらす難事だった。撤退の判断は旗艦に委ねられているとはいえ、戦果と仲間の命を天秤に掛けることを強いられるのだ。なんてことのないようにこなしてみせても、気づけばのしかかる負担に集中を阻害されている瞬間がある。

 だがそれだけならば、筑摩も基地に所属する者として、出撃はその義務の一つとして納得することができただろう。しかし今回は、変わらず攻勢指示が出されているにもかかわらず、部隊の半数が最前線に投入するには練度が不足している者たちの名で占められているのだ。自分の身を守れるかさえおぼつかない戦場で、二線級の仲間たちをかばいながら戦うことを余儀なくされ、なおかつ戦果を要求される。利根としては期待されてのことだろうしやるほかないという心持ちだが、筑摩にとっては到底納得できない指令だったのだろう。

「ふざけてます。私たちの命を何だと思ってるんでしょうか」

 この妹は、今の提督の着任時にもぴりぴりしていたように、仲間の命、特に利根のそれが危険にさらされるとなると、途端に冷静さを損なうきらいがある。これまでも、これほどではなかったとはいえ、いくつかの無茶な要求をこなしてきているのだ。やってやれないことはないだろうと、利根は考えているのだが。それに、無茶は提督のほうでも承知しているはずだ。ならばと、利根は提案する。

「ならば筑摩よ、提督のもとに直談判しに行くぞ」

 意気高く同意した筑摩を連れて、利根は執務室の扉を叩いた。


「提督、何ですか、あの編制は?」

 開口一番、筑摩は提督に詰め寄った。提督はいきなりの非難に目を白黒とさせるばかりだったが、回答を迫る筑摩の剣幕におそるおそるといった風情で答えを返す。

「何ですかもなにも、見てのとおりだが……?」

 筑摩の真意がわからず当たり障りのない答えを選んだつもりの提督だったが、その煮えきらない態度は筑摩にとってまどろっこしいばかりだったろう。察してもらおうと思った自分が馬鹿だったとばかり懇切丁寧に説明してやろうとする筑摩の心が手に取るようにつかめた利根は、横合いから口を挟んで説明を請け合った。そうして、ようやく事情を理解できたらしい顔の提督に対し、筑摩は最後に一言付け加えた。

「これだから、手腕に劣る上官の下につけられるのは嫌なんです」

「……すまん」

 提督は何か弁解しようとする気配も見せたが、責め立てるような筑摩の剣幕を前に、結局は努力すると返すのみだった。今の提督にはそれがせいいっぱいなのだろうと利根は思うが、これでは筑摩が納得しないだろうからと、もうひと押しできる手がかりを探りはじめ、すぐに引き出しから一通の便箋を見つけだした。

「そのくらいにしてやったらどうじゃ、筑摩。こやつもこやつなりに頑張っておるようじゃからな」

 そうしてそれを筑摩にも読むようにと、提督をにらむ彼女に向けて差し出した。利根の手にあるものに気付いた提督は、慌ててそれを取り上げようと手を伸ばす。

「ま、待て。それを勝手に見るんじゃない」

 しかし、先に受け取った筑摩はすばやくそれに目を通した。そうして、怒りよりもあきれが勝った表情になった筑摩は、軽蔑を隠さない視線を向けて言う。

「提督、実力ではなくご家族のコネでここの司令官になられたんですか? 信じられません。そんな人の指揮にこれまで従わされていたなんて」

 それは、提督の兄からの手紙だった。その手紙の内容から読み取れることは、おおまかに言えば二つ。一つは筑摩が口に上らせたように、提督が父兄らの強い推薦でここに派遣されてきたらしいということ。もう一つはそれゆえにというべきか、父兄および関係軍部から戦果を催促されているらしいということ。海軍はまだしも、なぜ陸軍関係者までと疑問に思わずにはいられないが、マル秘扱いらしいことから、虚偽であるとは考えにくい。いったい、この基地はどういう役割を期待されているのだろうか。巨大な謎にぶつかったように利根は感じたが、今はこれ以上考えても詮無いことと、思索を打ち切り筑摩に言う。

「後見人にあれこれ横槍を入れられながらの指揮と思えば、そう悪くはないじゃろうて」

 おどけたように言うと、筑摩も感情的になっていたと気付いたか、こちらの意を察したように冗談めかして、けれど否とは言わせぬ調子を込めて提督に言う。

「これなら、現場の判断がもっと尊重されてしかるべきではないでしょうか?」

「わかった、わかりました。適宜判断を加えたうえで運用してください」

 だからこれ以上、部屋を漁らないでくれと頭を抱えて懇願する提督に、筑摩は軽く溜飲を下げたらしい。失礼しましたと退室を告げる筑摩を追って執務室から出かけた利根は、ふと振り返って提督に申し訳なさそうな表情を向けた。

「すまぬな。筑摩のやつは、仲間の生き死ににひどく敏感なのでな」





 遠く波音が聞こえる。未明の工廠の一角に光量を抑えた明かりで照らし出されるのは、一隻の艦の姿。暗い中でははっきりしないが、日の光の下でなら、その前部に主砲塔、後部に水上偵察機の射出機が備えられているのがわかるだろう。

 夜中に帰港したその艦は今、修理を受けていた。その大部分はすでに元通りになっているが、母港にたどり着いたときにはあちこち装甲がゆがみ、甲板には穴が開き、主砲もほとんどが発射不能なまでに壊れておりと、よくぞ沈没することなく帰り着くことができたものだと思えるほどの被害を受けていた。苦しい戦いの末の、勝利の代償だった。

 船渠に隣接する建物では、一人の少女が浴槽につかり、もう一人の少女がそのそばで膝を抱え込んでいた。利根と筑摩である。

「姉さん……申し訳ありませんでした」

「だから、それはもうよいと言っておるのに」

 先ほどから、筑摩はずっとこの調子だった。戦いのさなか、姉を守ることができずもう少しで失いそうにまでなってしまったことを悔いているのだ。利根には、仲間たちを気にかけながらの激戦の中、そんな余裕がなかったことは十分わかっているし、なにより利根の意を汲んで張り切ってくれたのだ。自分を責める必要はまったくないと言ってやるのだが、筑摩は頑として聞き入れなかった。せっかく一足先に修復が終わったというのに、今度は自分で自分を傷つけはじめそうで気が気でない。

「そもそも、勝ち目は薄いとわかっていながら進撃を指示したのは吾輩なのだ。これは当然の報いというものであろう?」

 それ以前に偵察を行った部隊の報告から、あの近辺に現れる敵には基地の主力である自分たちをもってしても荷が重いと、利根は推測していた。提督も、撃滅には戦艦と正規空母を中心とした編制が望ましいと考えていたのだろう。そのために選ばれたのが準育成艦たちであり、自分たちには彼女たちの教導艦としての役割が期待されているものと思っていた。今回出撃した部隊にはその中から日向と翔鶴、飛鷹がいたが、彼女たちはまだ錬成のさなかであり、日向に関してはそろそろいい具合になってきていたとはいえ、とてもあの部隊にぶつかって勝利をつかみ取れる域には達していなかったのだ。

「私は、姉さんをかばうことができたはずなんです。それなのに、敵を倒すことにばかり気を取られて、姉さんが狙われていたことに気づきもしなかった。そのうえ、姉さんが傷つけられたと思ったら我を忘れてしまって……」

 利根が集中砲火を浴びたのは、今にも日が落ちようとしていた頃のことだった。視界が悪くなる中、それまでに一隻また一隻と仲間たちの攻撃能力を削いでいった敵戦艦群の砲撃に、ついに捕まったのだ。まずいと思った時にはもう遅かった。いくらかは回避したがすべてをかわしきることはできず、主砲を使い物にならなくされてしまった。さらには足も鈍くなってしまったことがわかり、どうやって撤退してみせようかと考えはじめたとき、敵艦隊に向けて突進する筑摩の後ろ姿が目に入ったのだ。

「あれにはさすがに肝が冷えたぞ。だが、そのおかげで敵艦隊の撃滅に成功できたのだ。怪我の功名というやつじゃな」

 あのとき、ぼろぼろの利根が筑摩に追いつくのは無理だった。比較的損傷の少なかった日向と飛鷹と翔鶴に追いかけるよう指示を出し、無事に連れ戻してくれることを祈るほかなかった。幸いだったのは、日没を過ぎて視界が限られだしていたことか。敵は、筑摩の接近をしばらく見落としていたらしい。気づいて狙いがつけられはじめたときには、すでにかなり近くにまで迫ることができていた。

 そうして近距離で始まった撃ち合いは熾烈だった。翔鶴が被弾から火災を発生させ、搭載されていた爆薬にまで火が回りそうになった末になんとか鎮火するありさまだった。だが、仇情のこもった筑摩の砲雷撃は、確実に敵旗艦をとらえた。五発十発と続いた直撃は戦艦の分厚い装甲に確実な打撃を与え、ついには撃沈に追いこむことに成功したのだ。

「前々からそんな気はしておったが、筑摩よ、戦闘の技量においてならおぬしは吾輩の上を行くのかもしれぬのう」

 一撃を叩きこんでからの、筑摩の畳みかけるような連撃は鮮やかなものだった。自身も一部の砲塔をやられていたにもかかわらず、敵旗艦に反撃の暇をろくろく与えることなく、爆発炎上に追いやったのだ。その間、仲間の誰よりも近くで敵と対していながらすべての攻撃をかわしきり、旗艦を仕留めたと見るや即座に離脱。ついに被弾ゼロで近距離戦を乗りきってみせたのだ。

「そんなことありません。あの時は本当に無我夢中で……またあれをやれと言われても、とてもではないですができる気がしません」

 そうそうできることではないだろうと、利根も思う。だが一度できたことだ。二度目も、やってやれないことはないはずだと信じている。

「まあ、そういうことにしておいてやろうかのう。ともあれ、生きて帰れたことについては筑摩に感謝あるのみじゃな。この件はそれで終いじゃ。次も、二人無事に、勝利をつかみ取るぞ」

 だから、自責感にさいなまれるのもそれまでにしておけと利根は告げる。話しているうちに、筑摩もいくらか気分が上向いてきたのだろう。抱えていた膝を解き、おそるおそると上げられたその顔と目が合った。

「はい……はい!」

 筑摩の顔に、情けなさからではない涙がひとすじ流れた。まだ完全に払しょくできてはいないだろうが、これならもう大丈夫だろうと、利根には思えた。安堵して視線を窓の外に移すと、そろそろと空も白みはじめているのがわかった。

「おお、もう夜が明けるのう。筑摩よ、吾輩の修理もじき完了するはずじゃ。小腹が空いてきたゆえ、先に宿舎に戻ってなにかつまめるものを用意しておいてくれぬか」

 利根の言に、筑摩は了承の意を返して立ち上がった。ふたたび落ち込むような暇を与えまいとする姉の気づかいをありがたく感じながら。

「姉さんの好物を、用意しておきますね」

 その言葉に目を輝かせる姉を見ていると、筑摩は本当にこのままくよくよしてはいられないという気になってくるものだから、自分の中での姉の存在の大きさを再認識させられる。

「それでは姉さん、部屋で待っています」

 そう言って筑摩は利根がつかる浴槽室を出る。気分は持ち直せた。顔を合わせづらかった相手にも、正面から向き合うことができそうだと、筑摩は覚悟を固める。深呼吸をした筑摩は、部屋に戻る前にと、隣の浴室の扉を軽く叩き、そっと開く。

「翔鶴さん、起きていますか?」

 守りきれなかった仲間たちの回復を確認して頭を下げる。それでようやく、筑摩にとっての任務は終わりを迎えることができるのだ。





 部隊の皆の全快が確かめられた翌日の昼間。利根はいつもの山の尾根に座りこんで海を眺めていた。考え事をするにはここが一番落ちくと、利根は思う。そうしてぼんやりと過ごしていると、いつの間に現れたのか、筑摩の声が耳に入った。

「利根姉さん、やっぱりここにいましたか」

 慌てて表情を取り繕ってうむと答えると、筑摩はくすりと笑って、今日はちゃんと水分補給のことを考えていますかと尋ねてくる。利根がそれに応じてかたわらの水筒を手に取って見せると、よろしいとばかりにうなずかれた。

 曇り空とはいえ、暑気にはやはり夏を感じる。部屋に戻りませんかとの目線を向けてくる筑摩に対し、利根は先ほどからつらつらと考えていたことを聞いてみることにした。

「筑摩よ、提督のあの質問、どういう意味だったと思う?」

「あの質問……何だったでしょうか?」

 それは、利根にとっては重大な意味を持つものであったが、筑摩にとってはそうではなかったらしい。先走りすぎた思考を戒めつつ、利根はとなりに腰を下ろした筑摩に説明を試みる。

「敵艦隊の撃滅を報告した時、あやつは、その後に敵部隊がどうなったかと聞いてきおったな?」

「言われてみれば……。これまでは、討ち漏らした敵艦は撤退するなり、はぐれ艦として基地近海に出現するなり、いずれにしてもその時々で対処するので、それ以上どうなったかと聞かれたことはありませんでしたね」

 戦闘において最低限として期待されていたのは、この基地に針路を取る敵を引き下がらせることであり、必ずしも全滅を求められていたわけではなかった。沈められなかった敵艦については、また現れたときに迎え撃てばよいということになっていたのだ。敵艦隊の進撃を食い止められなかったとき、任務失敗の場合においては、哨戒の役割も含めて次発部隊の繰り上げ出撃が指示されていた。つまり、勝っても負けても、残存敵艦がどうなったかは気にされていないらしいというのがこれまでの出撃内容から読み取れる傾向だったのだ。

「にもかかわらず、あやつはそれを聞いてきた。これには何か裏があると、吾輩は思うのだ」

 ちらりと、利根の目が筑摩をのぞきこむ。かつてあの付近で敵艦隊と遭遇した部隊による報告書を読んだ時、利根は気付いたことがあった。あの敵戦艦群は、特にあの旗艦は、これまで出撃を命じられた戦場で対してきたどの敵よりも頭一つ抜けた強さを持っている。実際に戦ってみて、部隊としても戦艦が過半数を占めていたこともあり、これまでで最も苦しい戦いだったのは疑いもない。あの敵には何か秘密があると、利根はにらんでいた。

「ですが、実際にどうなったかはわからないんですよね」

 そうなのだ。利根は顔をしかめる。旗艦の撃沈は確信できたものの、全員そろって無事に母港に帰りつけるのか危ぶまれるほどの辛勝であった。あの場で最も優先すべきはそれ以上の被害を出す前における撤退であり、倒すことで何かわかることがあるのか、確認している余裕などまったくなかったのだ。

「つくづく惜しいことをしたものだ。まあ今の戦力では、勝てたこと自体が奇跡であったのじゃが……」

 できることなら、余力を残して決戦を勝ち抜き、海域のさらに先を確かめてみたかった。難敵を越えた先に、さらなる強敵が待ち受けているのか、それともあれで打ち止めなのか。それがわかれば、この基地に感じるいくつかの謎の核心に近づけるのではないかと、利根は考えているのだ。

「また勝ってみればいいのですよ。今度は、もっと力をつけて」

 横合いから身を寄せてきながら、筑摩が言う。そのいつになく勇ましい言葉に、利根は顔をほころばせた。どうやら気を使わせてしまったようだ。埒の明かない考えに行き詰っていた利根に、その心づかいはありがたくもあった。

「そうじゃな。今日いっぱいは休養に充てられておるが、明日からはまた、びしばしといかせてもらうぞ」

 それに対して、お手柔らかにお願いしますと返す筑摩の言葉がくすぐったい。昨日の未明にはあれほど取り乱していたというのに、頼もしいことだ。やはり筑摩が同じ部隊にいたからこそ、練度に不安を抱かずにはいられなかったあの部隊でも乗り切ることができたのだろうと、利根は思う。今回は多大な損傷を出したが、筑摩に背中を任せながら経験を積んでいけば、近いうちに埋めることのできる不足だと信じられる。

 さて……と、利根がそろそろ部屋に戻ろうと腰を上げかけたとき、筑摩が西の海を指差した。

「姉さん、あれ……水柱が。はぐれ深海棲艦でしょうか。けど、あんな方角から現れたことなんて、これまでにありましっけ……?」

 利根はその言葉に記憶を探る。だが、深く考えるまでもない。哨戒部隊の報告にはすべて目を通しているが、そんな記録は一つもないのだ。これまでの遭遇場所はすべて南東から南西にかけて。本当に西からの出現ならば、これが初めての事態だ。胸騒ぎを覚えた利根は、筑摩のことも置き去りにして基地棟に駆け込んだ。

「これは、いったいどういうことじゃ?」

 少しでも正確な情報を集めようと仲間を片端からつかまえて聞きだすが、見える以上のことがわかろうはずもない。だが、一つ、新しい情報もあった。

「そんな……西からだけではなく、北からもなんですか!? 利根姉さん、いったい何が起こっているのでしょうか……?」

 追いついてきた筑摩も驚きをあらわにしている。利根にも、さっぱりわからない。哨戒部隊の報告を待つほかないのだが、その時間がもどかしくてしかたがない。

(まるでわからぬことばかりだ……。だが、状況は一変したと、言えるのだろうな)

 慌ただしくなる基地内の空気をよそに、利根はそうひとりごち、また答えの出ない思考に戻るのだった。


     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



以上。クリア時のレベルは、利根改44、日向改25、飛鷹13、初春17、筑摩改44、翔鶴16でした。他の方のクリアレベル報告などを見た感じ、運がいいほうだったたのかなーと思ってますがどんなもんでしょうね。
あと、露骨に伏線張ったみたいになってますが、その後のプレイ状況次第でどうなるかは未定だったり。3-2にぶつかって、どの艦種でもレベル上げればオッケーというわけにはいかなくなってますので。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 17:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月23日

艦これ、2-4-1周回中 その2

以下は、望月長月で。長月旗艦の艦隊でしばしば華麗にMVPをかっさらっていく望月の姿が印象的でして。



     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



 そよと、風が室内に入りこむ。涼を運びこむかと期待されたそれは、炎天の下、蒸し暑さだけを伝えて絶えた。じっとり汗ばむ気温の室内で、二人の人物が向き合っている。

 一人は軍服に身を包んだ男。ぴっちりと閉じたボタンをわずらわしげに、提出された報告書に目を通している。

 もう一人は腰まで伸びる緑髪が特徴的な少女。紺地に長そでの水兵服を着込んでいるが、特に気にした風もなく、きりりとした表情で口頭での報告を述べている。

 少女の説明は簡潔かつ必要十分であり、男は途中、一つ二つ質問を挟んだ程度で、室内には少女のきびきびとした、けれど事務的な口調が響いていた。

 報告が一段落するや、男は書類から目を上げてにやりとした笑みとともに少女に声をかけた。

「今回のMVPは長月か。さすが我が基地のエース」

 長月と呼ばれた少女は照れるでもなく誇るでもなく、短く否定を返す。

「我らがエースは謙虚でおられる」

 おどけてみせる男に対し、少女は顔をしかめる。

「私の貢献はあくまで駆逐艦としてのもの。戦艦や空母の仲間たちには及ぶべくもないのだが」

 男は、それをこそ謙虚というのだと、言う。

「確かに、特大の火力で薙ぎ払う戦艦や航空優勢下の空母たちの活躍は派手で目立つ。けれどその陰で、小回りを活かして支援に、撃破に、活躍する駆逐艦の存在を見落としてはいないつもりですよ」

 自分を褒めそやす男を、少女は冷めた目で見つめていた。そして、話に区切りがついたと見るや、すぐさま声を割り込ませる。

「無駄話はそれくらいにしてくれ。これ以上の話がないのなら、私は退室させてもらう」

 男はその言葉で初めて、一方的に話しすぎていたことに気付いたようだ。明日の出撃までの休養を指示すると、退室の許可を出した。


 少女は執務室を出ると、まっすぐ自室に向かった。その足は意識されることもなく、いくぶん早足になっている。

(エース? ああ、私を凌駕する艦はいなかったさ。あくまで今日の任務では)

 少女の心中はさざ波立っていた。それは男の無神経な言葉を思い返すたびに強くなっていく。

(あの男は、わかった風な口を利くくせに何もわかっていない。今回の戦果はほとんどあいつの支援に乗っかっただけに過ぎないというのに)

 歯の浮くような言葉を聞いているうちに少女の脳裏に浮かんできたのは一人の仲間の姿。任務に対してだるいとはっきり口にし、うしろから小突くようにしてやらねばまったくやる気を見せないあの人物。戦場での動きも機敏とはとても言えなかったにもかかわらず、気付けば少女の戦果のほとんどを演出してのけた駆逐艦。

(そうだ。望月、あいつこそが真に駆逐艦のエースと呼ばれるにふさわしい。だが……)

 それでも、少女にも自負がある。練度では基地内の誰にも引けを取らないずだと。なにより、やる気のかけらもない仲間に劣る自分を、許せそうにはないと。

 眉間に浮かんだしわをほぐすと、大きく息を吸って、吐き、少女はいつものようにさっと自室の扉を開けた。





 数日後の執務室。今日も暑い日になりそうな朝の陽気の中、そこには一人の男と二人の少女の姿があった。先日と似た構図ではあるが、ひきしまった空気は存在せず、かしましい声が響いている。

「司令! これはなんですか? うわ〜、わたしのこといっぱい書いてあります!」

「雪風、それは部外秘の調書なんだから、あんまりのぞかないでくれ」

 嬉々として部屋の中を漁りまわるのはおかっぱ頭の少女。それに対し、男はたしなめるようでありながら、強いて制止しようという様子はなかった。一度火がついた少女の好奇心はちょっとやそっとではおさまらない。自らの評定に記された「落ち着きがない」の言葉にしょんぼりしたかと思うと、次には別の棚に移ってそちらの書類をのぞきだす。

「こっちは図がいっぱい……。司令! これ、わたしが来てすぐの頃にやった演習の図面ですよね?」

 見つけたものを片端から見せに来る少女に対し、男は仕方ないなと苦笑しながらもどれどれと相手になる。それがまた少女の探検心を高めているのだが、男は気にした風もない。

「そうそう。雪風が仮想敵との出合い頭に撃沈判定を食らったあの時の」

 本人はそのことをすっかり忘れていたらしく、指摘されて思い出した不名誉な戦績にきゃいきゃいと言い訳を述べはじめる。男はその様子をほほえましく思いながら受け答えしていたが、やがて少女がまた棚の書類に関心を移すと、机上の書類の相手に戻った。

「司令、この部屋にも神棚があるんですね! あれ、でも広間のとはお札の文字が違います?」

 しばらく、雪風と呼ばれた少女が彼女にしては静かにしていると気付いた男が室内を見回すと、少女は来客用の椅子にさらにみかん箱を二段三段と積み上げ、その上に立って神棚をのぞき込んでいた。

「雪風、危ないからすぐにそこから下りなさい」

 ぐらぐらとする足場を見かねた男が立ち上がる。大丈夫ですからと返す少女だったが、振り向いた拍子に後方に平衡を崩してしまった。倒れそうになる中、少女は何かにつかまろうとするが、その手は何もつかめない。近づく床の気配に目を強くつぶったが、衝突の寸前で男の腕にすくい上げられるのを感じた。

「大丈夫か、雪風」

 少女は男の声にうっすらと目を開ける。遅れて助かったのだと実感するが、落下の恐怖の余韻から声が出ない。そっと床に降ろされさすられる背に少しずつ安心感が湧き上がる。ようやく少女が大丈夫の一言を告げると、男はほっとしたようだった。

「好奇心旺盛なのは構わんが、危ない真似はするな」

 すぐに忘れてしまうだろうがと思いながらの男の言葉に重ねるように、別の少女の声が続いた。

「そうそう。任務でもないのにけがするなんて、めんどくさいじゃん。それにしても、あんまりうるさいから、のんびり寝てられないんだけど」

 茶色がかった髪を伸ばした眼鏡の少女だった。寝起きの目を擦りながら、今の今まで自分で使っていた薄手のふとんを勧める彼女に、男はあきれたように声をかける。

「望月、あの騒ぎの中で寝ていられる図太さは評価するが、執務室は寝る場所じゃないぞ」

「いいじゃん、いいじゃん。あたしの部屋と違ってここは静かなんだしー。それに、仕事の邪魔しないならいいって、言ってくれたじゃん」

 己の言葉を引き合いに出されて男は言葉に詰まる。望月と呼ばれた少女は、こういうところで抜け目のなさを発揮する。執務室に用もなく立ち寄る仲間はいなかろうと、騒がしい仲間たちとの相部屋を抜け出してここに押しかけているという点でもそれは察せようか。

「ほう。そんなにここを昼寝部屋にしたいなら、どうだ、いっそ秘書艦になってみるか」

 そう水を向ける男だったが、望月は余裕綽々で答えてみせる。

「別にいいよー。それで昼寝させてくれるならね。雪風よりは役に立てる自信があるし」

 本気で寝るつもりだろうと理解できる男には、冗談だと返すしかできない。雪風より役に立てるとは、先ほどから彼女に付き合わされ通しの男の姿を見ていればわかる通り、なにもしないならば邪魔をするよりはましという意味なのだろう。至極もっともではあるが、そんな秘書艦はいてもいなくても同じものだ。なにを言っても無駄とあきらめた男は、望月に雪風の介抱を任せて、先ほどからまったく進んでいない書類仕事の続きに取り掛かることにした。二人で寝ることになるのかもしれないが、もはやなにも言うまい。静かにしていてくれるならば。

 そうして執務机の椅子に腰かけるやいなや、開け放たれた執務室に、廊下からまた別の少女の声が聞こえてきた。

「司令官! こちらに望月か雪風は来ていないか」

 長月だ。その声を聞いた途端、望月は弾かれたように起き上がった。近づく足音にきょろきょろと辺りを見回した望月は、男の方に目をとめた。

「司令官、ちょっと匿って」

 ぼそっと言うや、望月は執務机の足の懐に身を隠した。その直後、長月が入室許可とともに執務室に入ってくる。雪風がいるのを見た長月は、重ねて男に望月の所在を知らないか問うた。

「出撃任務の集合場所に望月が現れないため、雪風を探しに出したのだが……」

 長月ににらまれた雪風は首をすくめて繰り返し謝る。男がちらりと机の下に目をやると、望月は手を合わせて拝むように、男を見つめていた。苦笑した男は、長月に目を戻して答える。

「ここには来ていない」

 その様子を見ていた長月は、つかつかと執務机を回り込み、望月の姿を暴き出した。

「やはりここにいたか。さあ、いくぞ。まったく、毎度毎度……。ほら、きりきり歩け」

 役立たずと男を罵りながら連れ去られていく望月の姿に、男は申し訳なさをこめた表情を向ける。しかし任務は任務。男自身が課したものである以上、こうなればあきらめてもらうほかない。ただ、去りゆく長月に一つ聞きたいこともあった。

「出撃の予定時間は、もう少し先ではなかったか?」

 それを聞いた長月は、けげんな顔をして振り向く。

「はぐれ深海棲艦の艦隊が南西方向の沖合に現れたから、その対応に出ている仲間たちとの交戦海域を回り込むために時間を繰り上げたんだ」

 それも雪風に報告を頼んだはずだがと続ける長月に、雪風は再度謝罪を繰り返す。事情を悟った男は、雪風の評定書に書き加える文言を考えながら、二人を送り出した。

「長月、望月。戦果を期待する」

 残された雪風にはひとまず、望月が出しっぱなしにしていったふとんの片付けが命じられた。





 しんとした部屋にかさりと、紙面をめくる音がたつ。夜更けの室内にて、うすぼんやりとした明かりに照らされるのは机に向かう緑髪の少女。長月だ。その手元には、今日の出撃における海戦中の敵味方の艦の動きが記された図と、この部屋に保管されている資料がいくつか。ノートになにやら書き込んでは、沈思し、唸ったすえに大きくバツを上書きし、紙をめくってはまたなにか書き込んでいく。

 多くの者が寝静まった基地内で、いつまでとも知れず作業に没頭していた長月の顔が不意に上げられる。そして、先ほどから自分を見つめている男に振り向くと、不快げに声をかけた。

「何の用だ。見世物ではないんだがな」

「ああ、気付いてたか」

 それならばと、男は向かいに腰かけ、手に持っていたお盆から湯呑みの一つを長月の方に差し出す。男のせいで集中力が切れたとばかり、長月は手元の資料をわきに寄せ、湯呑みに手を伸ばす。口に含んだぬるめの麦湯にのどの渇きを気付かされた長月は、そのままごくごくと中身を飲み干す。

「ありがたい」

「いえいえ、どういたしまして」

 男はへらへらとした笑みを浮かべると、自らも麦湯をあおり、長月の分とともにやかんから替えを注ぎ足している。その様子は普段通り、提督らしい威厳などかけらもない。

 この男が差し入れらしきものを持ってきた理由は察しがつく。明日の出撃に備えて無理をさせないためだろう。長月自身にもその自覚はあったが、こればかりは譲れない。なんと言って追い返したものかと考えながら男の言葉を待つ長月だったが、男は切り出し方を考えあぐねるように、なにか言いかけてはやめ、その間に茶ばかりぐいぐいやっている。しびれを切らした長月は、自分から言い出してやることにした。

「で、結局何の用だ」

 男はようやく、追いつめられたように湯呑みから離した手を組み、おずおずと口を開く。

「あー、うん。それなんだがな……長月、努力で追いすがるにも限界があると、私は思うんだ」

「……は?」

 男の口から発せられた言葉は、長月の予想外のものであった。しかしそれは、長月の心に引っかかって抜けないとげのようなもの、その核心でもあった。

「それ、今日の海戦の図だろ? MVPを望月に取られた時の」

「そうだが……」

 それは長月にとって触れられたくなかった傷口。しかし男は、遠慮なくそれを暴き立ててきた。

「長月が必死になって勉強してるのは知ってる。でも、どれだけ頑張っても、その気になった望月は軽々とその上を行く。無理して頑張っても、最後にはあなたが倒れるだけだぞ」

 そう。望月は、あのやる気のない様子に反して、戦場ではおそろしく抜け目がない。戦局の勘所を見抜くとでも言おうか、長月には後から振り返ってようやく気付けるような場面で、戦いの流れに無視できない影響を与えていることがままあるのだ。場の流れを読むかのような直感力はさながら未来が見えているかのようでもある。それでいてめんどくさがりな性格はあの通りであるため、仲間の動きまで見越したうえで、最小限度の働きで大きな戦果をあげてしまうのだ。それは、望月の要領のよさによるものだと、長月は考えている。目を離すとすぐにさぼりはじめる望月だが、要点だけは常に外さない。細かいところまではそうでもないようだが、だからこそというべきか、意表を突くような戦果を残すことも珍しくないのだ。それは、長月にはできないことであった。しかし長月にも負けっぱなしではいられない自負がある。だから、自分の不足を補うべく、必死に勉強している。それを、この男は無駄だとでも言おうというのか。

「わかった風な口を利くのだな」

 ぽつりと漏れ出た言葉はせいいっぱいの虚勢の表れか。しかし、それに対する男の答えに、長月は神経を逆なでられた。

「私も、兄に追いつこうとして思い知ったからな」

「そうか……。そうか、つまり、ただ先輩面をしたかったということだな」

 男の噛んで含めるような態度に、長月は違和感を抱いていた。長月の知る限り、この男は部下であるはずの仲間たちの心に踏み込むような接し方はしてこなかった。それは、こちらを理解できていないことの表れでもあるようだが、仲間たちの自律心を期待しているようでもあった。それなのに、今のこの男は、どこか得意げに、長月の心に土足で上がりこむように言葉をまくしたてていた。それはつまり、

「勝手に自分よりも格下と思った者を、上から目線で憐れむのは楽しいか、司令官?」

「いや、そんなつもりは……」

 しどろもどろに否定する言葉が白々しい。男にも、心の隅でその自覚はあるのだろう。これだから、この男を上官として敬うことなどできないというのだ。

「先人の言葉はありがたく受け取らせてもらう。ただし、そのなれの果てがこれでは、まったくあやかろうと思えないがな」

 男は押し黙ってしまった。まだ何か言いたいことはあるかとにらみつける長月に対し、男はしばし言葉を探って苦慮していたようだが、結局、悪かったとの言葉を残し、すごすごと部屋を辞していった。再び一人になった部屋で、長月は思う。

(確かに、その気になられたら勝ち目は薄いのかもしれない。だが、それであきらめていいはずがない。あきらめたら、みじめになるばかりなんだ)

 残された湯呑みの中身を一息に飲み干すと、長月はまたノートに没頭するのだった。





 基地の港、帰投した船がいかりを下ろすその場所に、傷ついた六隻の艦があった。夕暮れの中、曇りがちな表情をして陸に揚がってくる少女たちを出迎えるのは一人の男。この基地の提督だ。男は帰投の挨拶を受けると、少女たちのうち二人、長月と望月を残し、他の者たちには船渠行きを指示した。

「こんなところで報告か?」

 他の者について船渠に行きかけた望月の襟首をつかんで引き留めながら、長月は問う。男は、先夜の醜態をどこかに置き捨ててきたらしい。何の確執もないかのように気安く話しかけてきた。

「小演習を終えたところにあなたたちが帰ってきたので、もののついでにと」

 正直に言うと、今、長月は虫の居所が悪かった。そのせいで、あまり冷静な報告ができそうにない。頭を冷やすべくなんでもない話題で時間を稼ごうかとも思ったが、この男を相手に任務以外で話したいことなど特に浮かばなかった。なにより、隣に望月がいては気持ちを切り替えることなどできるはずがない。その望月はといえば、先ほどの扱いへの不満を訴えていたかと思えば、早く寝たいとあくびをもらしている。こちらの気など知った様子もない。観念した長月は、つとめて私情を挟まないよう気を付けながら、報告を始めることにした。

「沖合に出てしばらく航行していると、偵察隊が進行方向に敵艦隊を発見。敵に空母なしとの電信をもとに航空機動部隊による爆撃を加えたのち、これを殲滅すべく距離を詰めて砲雷撃戦に突入した」

 そうだ。今回の任務の幸先は悪くなかった。爆撃機による先制攻撃で敵艦一隻を沈め、長射程の戦艦による砲撃によってさらに一隻を撃沈させた。だが、そこから風向きがおかしくなった。

「なんか、扶桑さんの動きが鈍かったんだよねー。撃つのは撃つんだけど、避けるのがワンテンポ、ツーテンポ? 遅れてたっていうか」

 望月が続けたその言葉通り、今日の扶桑の調子はおかしかった。疲労や不調を周りに気取られまいとする人であるために、後から思えばいくつかあった前兆を見落としてしまったのだ。敵旗艦による主砲の直撃を受けたかと思うとますます速度を落とし、敵の集中砲撃にさらされることになったのだ。

「急いで部隊からの離脱を指示したが、本人も悔しそうにしていた。あれは、旗艦の私のミスでもあったのだが……」

 痛切な思いをにじませる長月の言葉を、男は黙って聞いていた。

「んで、その後しばらくは扶桑さんの穴を埋めようと、向こうの攻撃かわしながら必死に撃ちまくってたんだけどさ。今度は運悪く祥鳳さんが被弾しちゃって」

 浮かびかけた感情をしずめようとしていた長月の言葉を、望月が引き継いだ。それを補足して、長月も再び口を開く。

「待て。その間に、お前が一隻、敵駆逐艦を沈めていただろう」

 早く報告を終わらせたいのは長月も同じだが、そのために話を端折っては後々差支えることになりかねない。細かいことはいいじゃないかと漏らす望月の、あいかわらずのおおざっぱさに腹が立つ。長月はこれ以上感情的にならないよう、この先は要点のみ簡潔に告げることにした。

「その後で、祥鳳が敵の砲撃を滑走路に被弾。機動部隊の発着が制限されることになった」

 主力二隻の被害によって、部隊の攻撃力は大幅に低下した。決定打を欠く撃ちあいに、敵艦隊の殲滅から退却に追い込むことへと作戦目的を変更しようかと長月が考えはじめた時、再び形勢を味方にたぐり寄せたのは、望月だった。

「あたしの雷撃が敵の……なんだったっけ、重雷装巡洋艦? とにかく、直撃したみたいで、沈没。それで敵さん、退却を始めたってわけ」

 至近弾を多数観測していたこともあり、じわじわと敵艦の体力を奪うことはできていたらしい。一発当てれば何とかなると電信で伝えてきた望月の言葉の通り、消耗戦の様相を呈しだした中での魚雷の直撃は敵艦の装甲に致命的な破裂を与え、そのまま浸水による轟沈に追い込んだ。

 あとは、数で優位に立ったこちらのものだった。退却を開始した敵艦を追跡し、追撃戦で長月が一隻、そして望月が最後に残った敵旗艦を仕留めた。しかしその過程で、最後の抵抗を見せる敵によって味方の島風が危うく沈没寸前の被害を受け、曳航することでなんとか母港まで帰り着くありさまだった。

「以上が、今回の任務における戦闘の概略だ。私が判断を誤ったがゆえに仲間を命の危険にさらさせたこと、弁解の余地もない」

 そう言って、長月はしめくくった。いらだちを表に出すことはなかったはずだ。だが、己のふがいなさに自責の念を抱かずにはいられない。それにひきかえ望月は、海戦の趨勢に決定的な戦果をあげるとともに、長月の指揮の穴を埋めるような連携すら取ってみせたのだ。

「ふむ……とりあえず、今回のMVPは望月、あなたのようですね」

 口を挟むことなく二人の報告を聞いていた男は開口一番、そう告げた。

 長月にもそれはわかっていたが、悔しさはいかんともしがたかった。望月に負けぬようにと陰で努力を重ねているにもかかわらずの体たらくに、感情が高ぶる。

「あたしが一番だなんて、どんなぬるい艦隊なんだよ。ま、いいけどー」

 それは、望月にとってはなにげない言葉だったのだろう。だが、今の長月にとっては聞き捨てならない言葉だった。長月に率いられた艦隊など所詮はその程度でしかないと、自分が旗艦であればこんなふがいない結果にはならなかったと、そう言われたような気がしたのだ。

 長月は、反射的に望月をにらみつけた。こちらの気も知らず男と軽口を叩きあっている姿にはらわたが煮えくり返る。手の平が真っ白になるほど拳に力がこもり、抑えがたい感情が口から漏れそうになる。

 直後、我を忘れかけていたことに気付いた長月は慌ててそっぽを向き、つい先ほどの自身を望月に見られていないことを祈った。望月の潜在力を恨めしく思う長月の気持ちは、これまで必死に隠してきた一方的なものだ。みじめさをこらえ、当人ともなにも引け目などないように接してきた。男には気付かれていたようだが、もし望月にまで知られてしまったら、この先どんな顔でこの基地にいればいいのかわからなくなる。

 だが、望月には見えていた。いつも班長ぶって自分を任務へと引き連れまわす長月の、爆発寸前な負の感情をあらわにした顔が。それが何に由来するかまではわからなかったが、どうやら自分がその元凶であるらしいというところまでは見て取れた。それを目にした瞬間、望月のうなじから背筋にかけて、しびれるような快感が走るのを覚えた。

(おお? なんか楽しい、これ。ちょっとやる気わいてきたかも)

 執務室への道すがらいくつか質問をしようか、などと言っているらしい男の言葉を話半分に聞き流しながら、望月は気丈を装う長月を尻目に、次は何をすればまたあの表情が見られるだろうかと、そんな考えにふけるのだった。



     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



以上。登場キャラ(名前だけも含む)の現在のレベル。長月43、望月43、扶桑28、祥鳳28、雪風16、島風16。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月08日

艦これ、2-4-1周回中

メンテ中なのでアップ。以下、ちとちよでお送りします。ミリタリー的な描写であれこれおかしなところがないか不安はありますが。



     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



 一発の砲弾が灰色の空を切り裂く。こちらに向かってぐんぐんと距離を詰める弾は、艦からやや離れた海に飛び込んだ。水柱が立ち上り、雨となって甲板を叩く。

「置き土産のつもりかしら」

 水をかぶったが被害はない。彼方に目をこらすと、二隻の敵艦。夕暮れで視界が悪くなる中、敵の部隊は撤退を開始したようだ。数発の直撃弾を観測しており、下がる船足は決して速くない。欲を出せば全滅させることも難しくはないだろう。だが味方を見回すと、こちらも先の砲撃戦で中破相当の被害を出している艦が一隻。それも大事な妹艦だ。

 無理せず撤退を提言しようとした千歳の耳に、それと反対の電信が当の本人から飛び込んできたのは次の瞬間のことだった。

『追撃! とどめを刺します』

 まただ。また千代田は、自分の損傷にも構わず深追いを始めてしまった。止めようとするが、仲間たちもすでに追随している。

「待ちなさい……!」

 言うが、電信に乗せぬ声は千代田に届かない。千歳は唇をかむ。

 逡巡ののち、気持ちを切り替える。今の旗艦は千代田だ。姉とはいえみだりにその決定に異を唱えるのは望ましくない。

『せめて装備換装をしてから。あの船足なら逃がしっこないわ』

 今はこれでいい。敵が反撃してくる前にすべて沈めさえすれば。

(帰ったらお説教ね)

 そう決意して、千歳も追撃態勢へと移った。





「提督さんからも言ってやってください」

 そして帰投直後の執務室である。千代田は修復のため船渠に行かなければならないが、その前にしっかり話をつけておきたかった。出撃結果の報告に交えて、千歳は千代田の判断の軽率さを指摘する。あの追撃は、一歩間違えば轟沈のおそれもあった蛮行だ。だが、千代田が心から反省している様子はなかった。

「お姉、ホントごめんってば……」

 表情も声音も申し訳なさそうな色をにじませているが、姉である千歳にはわかる。これはなんとかこの場を取り繕おうとしている態度だ。本人は気付いていないようだが癖が出ている。せめて上官からびしっと言ってもらえば反省してくれるだろうか。千歳はそうわずかな期待をかけたが、提督は気の入らない言葉を発するだけだった。

「あー……ドック入りもこれからなので長々とは言わんが、危険な真似は程々にな?」

 そうだった。この提督は、着任当初こそ一部の仲間にこわがられるほどに高圧的な態度を取っていたが、いったん化けの皮がはがれてみると、接するほどに威厳のいの字も感じられなくなってくる根性なしであったのだった。

「はーい。気を付けます」

 言って、千代田は軽く舌を出す。それを見た千歳は確信した。完全に遊ばれている。入渠のために部屋を出る千代田の後ろ姿に、千歳はため息をつく。

 提督は厳しいことを言えない人だからと、今や一部の仲間たちがすっかり甘やかされ放題になっている。それを叱りつける姉役の仲間の負担は増す一方だ。これならば、以前の提督のほうがまだましだったとすら思う。しかし今の提督はこの男だ。なんとかもう少ししゃんとしてほしいのだが……。

「提督さん、あんなので反省するわけないじゃない」

 情けないほどのふがいなさに、つい声音がとげとげしくなってしまう。そして、提督はこういう雰囲気にだけはやたらと敏感なのだ。

「ぐ……そう言われてもだな。貴方が言っても聞かないものを私にどうしろというんだ」

 涙目になりながらむきになって反論するその姿に、もはや小言を言う気力すらなくなる。

「もぅ……千代田!」

 提督に頼った己の不明を悟ると、千歳はもう一度千代田と話をするべく彼女を追いかけた。

 執務室の棟を出て、船渠に向かう道の途中、千代田はいた。空には欠け始めた月。その光を浴びて夜道に浮かび上がる千代田の姿は、普段よりもいくぶんほっそりとして見えた。

 駆け寄る千歳に気付くと、千代田は何か言いかけて口をつぐみ、結局何も言わずに歩を進めた。千歳も何か声をかけようとするが、先ほどの説教の流れできつい言葉が漏れそうになる。それを察した千代田は振り返らずに告げた。

「お姉、もうわかったから。本当に」

 気持ちがすれ違ったまま交わらない。千歳にはそれがもどかしくてたまらない。だが、少なくとも千代田のその声音には嘘はなかった。今は、ともかくそれを信じたかった。





「提督さん、あれは一体どういうことですか!?」

 一週間後、掲示された編制表を見て、千歳は執務室に駆け込んだ。千代田が千歳と別部隊の配属になっていたのだ。千代田とは二人組での運用を基本とするのではなかったのか。ここ最近の無茶する傾向は全く直っていないというのに、これでは誰が彼女を守るというのか。

「あれとは?」

「とぼけないでください! 掲示された部隊編制のことです」

 わざとらしくわからないふりをしようとする提督に怒りが募る。言い訳に汲々とするくらいならそんな編成しなければいいのに。おどおどと提督の口から語られたのは基礎編制の調整やら疲労度との兼ね合いやら、今の千歳にはどうでもいいことばかりだった。だが、次の一言が重大だった。

「あ、あれはだな……千代田からの要望でもあるんだ」

 頭をがつんと殴られたような衝撃だった。

「そんな……」

 千代田は何を考えてそんな希望を出したのか。千歳のことを避けているのだろうか。あまりうるさく説教するものだから、疎ましがられてしまったのだろうか。千歳は、自分の言が間違っていたとは思わない。だが何が理由であれ、妹が自分の手の届かないところに行ってしまうことは、何にも代えがたい恐怖だった。

「だ、だから、文句があるなら千代田に……」

 まだ何か言っているらしい提督だが、その言葉も頭に入ってこない。無言で執務室を後にした千歳は、出撃前の千代田に真意を問いただすべく彼女を探して走り回った。しかし、前後して彼女は出港してしまったと知るばかりであった。

 今はただ無事を祈るしかない。千歳は己の無力に打ちひしがれた。





 千歳が千代田に随伴できない出撃編制が組まれてから数日。千歳は気が気でなかった。千代田は任務海域と船渠との往復を繰り返し、部屋には戻ってこない。伝え聞く報せによると、活躍はするものの反面で損傷もよく被っているという。同じ部隊のしっかり者である筑摩に千代田のことを頼んでいたが、つまりはこれまで通りということだ。千歳はそのたびに、そばで千代田を支えられない自分をふがいなく思った。

 募る焦りに限界を感じた千歳は、提督に直談判しようと思いたった。あの提督ならば、強い態度で押し切ってしまえばなんとかなる。

 そんな考えが浮かんだ矢先、千代田が数日ぶりに部屋に戻ってきた。

「ただいま。お姉、見てみて」

 何の予告もなく千歳と距離を置くように出かけていった千代田は、戻ってくる時も突然だった。そして、千歳の心配など知らぬげに明るい声で千歳を呼ぶ。それどころか、その調子はここのところ一緒にいた時には見たことがないほどはしゃいでいるように感じられた。

「……」

「お姉?」

 それを見て取った千歳は、いきなりの帰還もあり、千代田のほうを向いたきりどう反応していいのかわからなくなった。まずは無事に帰ってきたことを喜びたい。そのはずだ。けれど、ここ数日の悩みがよみがえる。自分は、千代田の何を理解できていたのだろうか。ぐるぐるとした思考にとらわれかけ、ふっと千歳の口から漏れた。

「千代田……私が姉なのは、あなたにとって迷惑なのかしら」

 発した後で千歳は言葉の意味に気付く。こんなことを言うはずではなかった。だが、それこそが真実であるようにも思えてしまった。

「お、お姉、突然なに言いだすの」

「だって……」

 思えば先の提督の頃から、千代田は自立心にあふれていた。明るく物怖じしない性格の千代田は、この基地の所属になってから瞬く間に皆に好かれていった。千歳がいなくとも、千代田は問題なくやっていけるのだ。逆に千代田がいないとだめなのは千歳のほうだった。ここ数日、千歳は何をしようとしても手につかなかった。千代田がいなかった時期も、確かにあったはずだ。だが、千代田という妹を得てから、それ以前の自分には戻れなくなってしまった。千代田の姉であることが千歳の中でどんどん大きくなっている。それなのに、その気持ちが一方通行でしかないとしたら……。

 うつむき物思いに沈む千歳の肩が、その時強く叩かれた。はっと顔を上げると、千代田が不機嫌そうにこちらを見ていた。

「私は、お姉がいるから安心して暴れ回れるの。そりゃ、ちょっとはしゃぎすぎちゃうこともあるけど、お姉がフォローしてくれるって、信じてるからだもの」

 千歳に指をつきつけながら、千代田はそう言う。千歳は虚を突かれて目を丸くした。

「千代田……」

 それは、まぎれもない千代田の本心だった。ここ最近、千代田がどんな思いで戦い続けてきたのか。姉の存在をどれほどありがたく感じているのか。千代田の口から語られるのは、先ほどの勝手な千歳の思考とは逆の感情だった。口に出すのは恥ずかしいので察してほしかったともこぼしていたが。

 しかしそれも一面では仕方がない。千歳にとっての千代田は、これまでずっと、一方的に守るべき妹に過ぎなかった。それは事実だったのだから。けれどこれからはそうではないと、言えるきっかけをようやく手にしたのだという。千代田は大きく息を吸って、言葉を継ぐ。

「さっき、ついに空母になってから初めての改造を終えたの。これでお姉と同じ。お姉の負担も、ちょっとは減らせるかなって……」

 初代提督時代に最初の空母として重用された千歳と比べて、千代田が基地所属になったのは数か月が経ってからのことであった。その時すでに二人の練度の差は歴然としており、初代提督時代を通じて縮まる気配は全くなかった。今の提督が着任してからも、主要育成艦とされた千代田ではあったが、千歳に守られながら実戦経験を積むよう編制が考えられているのは明白だった。千歳に負担をかけすぎている。千代田にとって、自分をかばって必要以上に傷つく姉の姿を見るのは、自分が傷つくことと比べられないほどにつらいことだったのだ。

 千代田の思いに接した千歳はそっと目を伏せまぶたを震わせる。千代田の姉でいられる安堵と姉を思う彼女の気持ちに、胸がいっぱいになっていた。

「千代田……ごめんなさい、私、ちょっとおかしくなってたみたい」

「もう、お姉ったら……」

 誤解は解けた。嬉しさやら恥ずかしさやらで座り込んでしまった千歳は、千代田になだめられながら、今夜は久しぶりに時間の許す限り姉妹で話し明かそうと決めたのだった。





 青い空を戦闘機の編隊が飛行する。積荷の爆薬はすべて空。敵艦を撃ち尽くして帰還する隊機たちの姿だ。

『お姉、見てた? これで私たちがMVP、間違いなしよ』

 次の出撃にて、敵艦の全滅を確認した千代田から電信が届く。いつもなら堅い口調であるはずのそれは、今日、浮かれた調子を隠す気もなく喜びと誇らしさに満ちていた。それをたしなめながら、千歳もほおが緩むのを抑えられない。

「妹と肩を並べて戦うのって、変な気分ね。でも、なんでかしら。嬉しくって仕方ないわ」

 妹を守ることは当然で、それが自分の責務だと、これまで千歳は考えていた。けれど、これこそが望んでいたあり方なのかもしれないと、千歳は今、そう思うのだった。



     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



以上。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月31日

艦これ再開しました

以下、とねちくでお送りします。どの程度公式の設定に準拠できているか不安はありますが。



     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



 一羽の海鳥が海面から飛び上がった。そのくちばしの間に獲物はない。一声二声、鳴き声をあげると、海鳥は近くの山に沿って舞い上がり、そのまま空のいずこかへ飛び去った。

「……空は高い」

 山の尾根に、座ってそれを見送る人影があった。軍の制服に身を包んだ少女だ。小柄で、背中の半ばを過ぎるほどの長さの髪を高い位置で二つにまとめている。その表情は心ここにあらずといった風情で、半ばぼんやりと口を開けたまま、空から戻した視線は海に向けられている。辺りに響くのは微かな波音と海鳥の鳴き声にセミの合唱。季節は夏。木陰であっても昼日中の暑気はたいへんなものだ。しかし彼女はもう一時間も、こうして見るとなく海を眺めていた。

「……喉が渇いたな」

 その一言とともに、眠りから覚めたように彼女の顔に表情が差した。

「いかん。いかん。ここに来ると時間が経つのを忘れてしまう」

 言って、苦笑しながら伸びをする。そこに、近づく人の気配があった。

「姉さん!」

 先の少女と同様の制服に身を包んだ少女だ。姉と呼ばれた小柄な少女よりいくぶん背が高く、髪は縛らずその背に流している。その少女が駆け寄ってくるのに気付くと、小柄な方の少女は苦笑を自信に満ちた笑みに変えて彼女を迎えた。どうやらこちらが平素の顔らしい。

「よいところに来た、筑摩」

 筑摩と呼ばれた少女はその言葉にきょとんとする。だが、腰のポーチから水筒を探り出して中身をごくごくとされるに到ってわかったらしい。

「もう……。いくらお気に入りの場所だからって、この暑い日に水も持たずにいたら調子を崩して倒れてしまいますよ」

 呆れたような口調でありながら、それ以上に心配の色をにじませた声がかけられる。だが、姉と呼ばれた少女は気のない調子で「次からは気を付けるでな」などと返すばかりであった。中身の半分以上減った水筒を戻されて言うだけ無駄と悟った筑摩と呼ばれた少女は小さくため息を吐く。

 そうなのだ。この利根という人は、普段は見た目同様、子供っぽいところがあるのだ。そのせいで筑摩とどちらが姉かわからないと言われることも少なくない。けれど、妹として誰よりも近く接している筑摩にはよくわかっている。利根という人の大きさが。

「それより、どうしたのだ? 吾輩を探していたのであろう」

 その声にはっとした筑摩は姉に話したかった一件を思い出した。

「新しく着任された提督について、姉さんはどう思いますか?」

「ああ、あやつのことか」

 数日前、ここ「ブイン基地」に二代目の提督が派遣されてきた。なんでも内地の将官の子息であるらしい。

「着任時の挨拶以来めったに姿を見せませんが、姉さんは提督に間近で会ったことがありますか?」

「一度だけな」

 その男が基地の艦娘たちの前に姿を現すことはほとんどない。通達によると、半年近い提督の不在期間があったため、しばらく業務の引き継ぎとも言えぬ引き継ぎに当たっているとのことだ。だが、基地内にはまことしやかにささやかれている噂があった。

「やっぱり、先任の更迭の影響でしょうか」

「確か、『せくはら』……だったかと噂されておった件だったかのう」

 ただの噂と言ってしまえばそれまでだ。しかし、先の提督の解任はそれだけ謎も多かった。成果はなかなか上がっていなかったが、業績不振で半年近くもこの基地を提督不在のまま放置するとは思えない。何か不祥事を起こしたのではないかとの推測が持ち上がり今に到っているのだ。

「もっとひどい噂もありましたが……」

「なんにしても、その話はそっとしておくに限ろうな」

「ですね」

 初代提督は任期の末頃、「愛宕狂い」を自称しだした。愛宕も当初こそ、秘書官に抜擢されたこともあり、好意的に接していたが、ある時を境に軽蔑の目を向けるようになった。解任はそれからまもなくのことであった。関連性を疑うのは自然のなりゆきだろう。この件について、愛宕本人は口をつぐんでいる。わざわざつらい記憶を掘り返そうとする者もいない。新提督が秘書官を任命する気配がないことも噂に信ぴょう性を与えていた。

「それはそうと、筑摩は新しく来た提督と会ったのか?」

「そうなんです。それで、ずばり聞くのですが、あの人は信用できると思いますか?」

 先ほど基地の格納庫で艦載機の点検をしていた筑摩は、思いもかけず新任の提督とすれ違った。軽くあいさつをして、その際に二言三言言葉を交わしたくらいだが、筑摩は提督になんともいえぬ嫌な印象を受けた。着任挨拶の時もいい印象は受けなかったが、これだけで人を判断したくはない。しかしこのままでは部下と上官としての信頼関係を築く前にその土台がぼろぼろになってしまうのではないか。そこで、人を見る目にかけては筑摩が及ぶべくもない姉の利根に意見を聞きに来たのだった。だが、

「できる」

 利根の答えは筑摩の印象とは逆だった。

「どうしてですか。あの人が私たちを見る目。そこに不信感が映っていると思うのは考えすぎでしょうか」

 筑摩は重ねて尋ねた。着任挨拶の時の提督は、口ではよろしく頼むと言いながら、態度から派遣人事を喜ばしく思っていないことがうかがえた。それに、どことなく艦娘たちに対する警戒心をその目に宿していたように思う。いずれ出撃任務が再開されるだろうが、艦娘たちと直接会って一人一人の性格や能力を把握しようとする様子は一向にない。つい先ほども、あいさつ程度はしたが、できればそれ以上関わり合いになりたくなさそうな気配をまとわせていた。別の仕事が詰まっていたのかもしれないが、感じが悪いには変わりがない。それが筑摩から見た新提督であった。しかし利根の考えは違うらしい。

「筑摩は聡いのう。だが、だからこそ信用できるのじゃ」

 そう自信ありげに言う。

「それではわけがわかりません」

 この姉は物事を直感で捉えているところがある。筑摩などにはちらとも気付けないことにどこでともなく気付いてしまうのだ。その推察が間違っていることは少ないために普段ならばそうなのだろうと信じる姉の言葉だが、今回は納得がいかなかった。口で説明するのが苦手な人だとわかってはいたが、もどかしさからついつい答えを迫ってしまう。

「ならば今から会いに行ってみるか?」

「え?」

 すると、利根はいたずらっぽい表情を浮かべながら告げてきた。筑摩は意表を突かれて固まってしまった。しばらくして我に返ると、今度は引き止めるための言葉が次々と湧き上がってきた。これまで何人かの仲間たちが執務室を訪ねていったが、たいていは忙しいの一言で追い返されたという。それでも諦めなかった者もいたようだが、怒鳴り声をあげて追い出されたとも聞く。そんな提督が、重大な用事でもないのに自分たちに会ってなどくれるだろうか。むしろ、叩き出されるのが関の山ではないだろうか。利根は何と言って提督を丸め込むつもりなのか。一度会ったことがあると言っていたが、もしかして筑摩の知らぬ間に提督と個人的に親しくなってでもいたのだろうか。もうしそうだとしたら、筑摩としては面白くない。

「行ってみればわかる」の一点張りで妹を制した利根は、筑摩の手を取り基地の建物へと駆け込んだ。いざとなったら身を挺してでも姉を守ろうなどと密かな決意を固める筑摩をよそに、利根に気負ったそぶりはまるでない。そして、提督室の扉の前までたどり着くと、ためらうことなくその扉を叩いたのだった。

「提督、ちと用がある!」







「やっぱり、あの人は信用できません」

「そうかのう」

 一時間ほどの話を終え、提督の執務室から二人の部屋に戻って開口一番、筑摩は不機嫌にそう言った。利根がこれでわかっただろうとでも言いたげな顔をしていてむっとしたのもある。だがやはり、執務室の中で知った提督の性格によるものが一番だろう。

 驚くべきことに、突然訪ねてきた二人を見た提督はしぶしぶながらであったが入室を許した。そして実際に話をしてみて、筑摩にとっての提督の印象は変わった。ただし、それはいい方向にではない。

「だって、いい年をして家族へのコンプレックス丸出しじゃないですか」

 そうなのだ。利根の話に釣られるようにして、時にぶっきらぼうに、時にばつが悪そうに語られたのは提督の家族のこと。その端々から頭の上がらない家族への過剰な意識が感じられたのだ。提督自身はどうやらそれを表に出さないようにしていたらしいが、あれではよほど鈍い者でなければすぐにそれと知れただろう。

「反抗期という奴じゃろうて。立派な父や兄を持って苦労しておるのだ」

 提督の父は現役時には将官まで上り詰めた人物で、兄は幼時から将来を嘱望され今では若手出世株の佐官の一人だと聞いた。そんな人たちの家族として育ち、才気溢れる兄と比較され続けていては、人並みの域を出られない凡人にはたまらないだろう。むしろ、並よりはいくぶんなりと優れているという自負があるだけに、どれだけ努力しても越えられない壁が常に眼前に立ち塞がっている絶望感たるやいかばかりだろうか。しかし、そう考えてみても、やはりあの提督のすね方は子供っぽすぎないだろうか。父と兄の所属である陸軍を避けるように海軍に在籍している、という時点でその駄目人間ぶりがわかろうというものだ。筑摩には、父の息子、兄の弟として認識されることの何が不満なのかわからない。利根の妹であることは筑摩の誇りでもあるのだ。

 提督との談話は、筑摩に提督への信頼感を全く与えてくれなかった。それなのに、利根は最初からそうだとわかっていたかのようにますます信頼を深めたようだった。筑摩にはそれが気に入らない。

「姉さん、やたら提督の肩を持ちますね」

 不平を鳴らす筑摩に、利根はまるで物わかりの悪い妹に対しているかのような、けれどそれも仕方ないと言うかのような苦笑を浮かべるのだ。これには筑摩も鼻白んだ。疎ましげに家族のことを話すような人間を、どうして信じられるというのか。確かに、利根と筑摩もまったくけんかをしないというわけではない。今も口げんかの寸前だ。だが、筑摩には姉と距離を置くことなど到底考えられない。利根に守られて生きてきたという思いがあるからだ。むしろ、利根にとっての筑摩がお荷物になっていないかと時に不安になっしてしまうくらいだ。

 それなのに、姉は自慢げにこう言うのだ。

「ふふ。吾輩にも筑摩という過ぎた妹がおるのでな」

 その口ぶりにおどけた調子はなかった。けれど、筑摩にはそれが冗談だとわかった。いや、そうだと思うことにした。そうでないと、姉にとっての自分の存在が、自分にとっての姉のように大きな大きなものであると、うぬぼれてしまいそうだったから。

「もう、姉さんはすぐにそうやって煙に巻く……」

 なんとかそう返したが、しどろもどろになった筑摩の頭ではそれ以上意味のある会話を紡ぐことはできなかった。







「見よ。吾輩と筑摩は同じ隊だぞ」

「昨日そう聞いたばかりではないですか」

 翌日、二日後の初出撃における皆の所属艦隊が掲示された。といっても、昨日の時点で概要は聞かされており、二人にとって目新しい情報は特にない。利根が第一艦隊の旗艦に据えられているが、あくまで実戦演習部隊の一番艦であり、以前の秘書艦としての役割はないという。加えて、その旗艦の位置には主要育成艦が持ち回りで就く予定であるとも。

「だが、木曾と最上が組んでいる相手は昨日聞いておったものと違うぞ。なにやら『きそまる』だか『あきもが』だか言うておったではないか」

 そうだ。昨日、提督はそんなことを口走っていた。それが前任の提督の末期を思い出させて筑摩にはっきりとした嫌悪感を抱かせもしたが、どうも提督自身の発想ではなくその兄の推薦であるらしい。才人であると聞くその人の人物像が途端にわからなくなってしまったのだがそれはまた別の話。ともかく、利根と筑摩、千歳と千代田、木曾とまるゆ、あきつ丸と最上、望月と長月の十人が主要育成艦、北上・隼鷹・龍驤らといった先制爆雷撃の役割や極めて高い火力を期待される者たちが準育成艦とされていた。全く考えられていないわけではないようだったが、まるゆとあきつ丸というまだいない艦娘の名前が含まれている辺り、何か深い意図があるのか単に手腕の不足の表れなのか判断に苦しむところである。筑摩は後者と断じた。

 だが、そんなことよりも大事なことがあった。

「私と姉さんが一緒にいられる。それがわかっていればいいではないですか」

 その言葉に、利根は力強いを笑みを返してくれる。

「うむ。頼りにしておるぞ」

 姉がやる気になっているのだ。そうである以上、いくら提督を好きになれそうになくとも、筑摩に否やがあろうはずはない。

 再始動に向けて動き出した基地にはすでに活発な空気が漂いだしていた。かつての緊張感あふれた日々を思い出させる、懐かしい雰囲気だ。しかし筑摩には心残りもある。

「……姉さんは、提督がいなかった頃に戻りたいとは思いませんか?」

「あの頃は平和だったからのう」

 提督不在の半年間は、戦いの日々がうそだったかのような静かな毎日だった。初代提督時代、出撃が続く中、筑摩は戦後を夢見て苦しい戦いを乗り越えてきた。姉と夜通しそのことを話し合ったこともあった。それなのに、戦いが終わった後にこそ待っているはずの平穏は、ある日突然手に入ってしまったのだ。すぐに失われるとわかっていても、その生活を心から楽しまずにはいられなかった。

「出撃するということは、私たちも沈められるかもしれないということです」

「筑摩が提督につっかかるのはそのせいか」

「そう……かもしれません」

 戦いのことなど何も考えず、大好きな人と好きなように一日を過ごすことができる。まさに夢のような日々だった。しかし、新たな提督の到来とともに穏やかな日々は終わりを告げてしまったのだ。あの男は、筑摩にとっては災いの使者のようでもあった。

「我々はこの基地所属の艦娘じゃ。いつまでもただ飯を食らっているわけにいかん」

「ですが……」

 深海棲艦との戦いは沈むか沈められるか。いつ自分が死ぬかもしれない。大切な人が永遠に失われてしまうかもしれない。平和な生活に慣れてしまった筑摩に、それは恐怖だった。以前は出撃任務を当然のことと受け止めていた。しかし、今はそのことを考えただけで足がすくみそうになっている。そんな自分に気づき、さらに不安が募る。こんな状態で、二日後の出撃任務は本当に大丈夫なのだろうか。一人では収拾がつけられそうにもないほど動揺する筑摩を、けれど利根が見過ごすことはなかった。弱い妹の震えを、利根はいつだって優しく止めてくれるのだ。

「吾輩が利根を沈ませはせん。それに、支えてくれる仲間もおる」

「姉さん……」

 その言葉に筑摩がどれほど勇気を与えられてきたか。

 実は練度において、筑摩は利根よりも優っている。初代提督が筑摩を優先的に運用していたからだ。だが、そんなことは二人の姉妹関係には何の意味も持たなかった。

 間近に寄った姉に抱きしめられる。大丈夫だと伝えるように背中を叩かれる感触と、穏やかでゆるぎない瞳に見上げられる感覚。筑摩は恐怖感がすうっと薄らいでいくのがわかった。なによりもこんな時、筑摩は利根の大きさを感じるのだ。この小さくも偉大な姉の匂いはいつだって筑摩を安心させてくれた。今もそうだ。体の震えが止まり、安らぎに満たされる。

(姉さんがいれば私は何にだって立ち向かえる)

 利根に優しく包まれる幸せに、筑摩はそっと目を閉じ身を浸すのだった。



     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



以上。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月12日

艦これ進捗(2-3クリア)

前回の報告から1か月と少し。久しぶりに艦これの進捗を綴ってみたいと思います。今回も色々ありましたねえ……。

まず、先月末まで開放されていたイベント限定海域(「鉄底海峡」でしたっけ?)について。といっても、レベル不足でほとんど攻略できなかったんですけど。月の半ば過ぎごろに2-2(バシー島沖)での作戦を達成できたとはいえ、所詮その程度のレベルでしたからね。最初に数回、偵察がてら挑戦してみた結果まともにクリアできる気がしなかったので、ほとんど攻略に身を入れてませんでしたし。艦隊保有数が95を超えているときは100まで増えるのを待ってから近代化改装にて5隻分枠を空けて、そこから95を超えるまでせいぜい2〜3回出撃するだけというローペースぶりで。1日そんなに長時間プレイしているわけでもないので、本当に1日2〜3回程度しか限定海域には出撃してませんでしたね。期間中1度だけE-1のボスに辿りつけましたが、それまでのダメージもあって敗退。2-3までの通常海域では登場しないレア艦のドロップがあればラッキーというくらいのつもりでいつも通りレベル上げに努めてました。(もちろんレア艦なんて出ませんでした)

あと、演習では鉢合わせたこともありましたが、深海棲艦としては初めて潜水艦種と遭遇したのもこの限定海域でしたね。通常海域ではまだ登場するところまで進めれてませんし、演習で鉢合わせた場合は勝てないの前提で挑んでますから、対策なんてまるでしておらず。そのため羅針盤がそちらを指してしまった場合はひたすらダメージ少なくしのげることを祈ってました。だって、そちらに行く確率は低そうな印象がありましたし、そこだけのために潜水艦対策の装備を積むのもただでさえ低い火力を落としちゃいそうでいやだったというか。とりあえず、今は演習相手にいる場合はちょびっとだけ対策装備を積んでみることにしていますが、出没海域にまで進出した時にどう対応するかというのは今後の課題となりそうです。

続いて、通常海域の進捗状況について。上でも既に触れましたが、先月の半ば過ぎ頃に2-2(バシー島沖)での柳輸送作戦を成功させました。本来なら、前回の報告でも予告したようにそのタイミングで今回の報告を書くはずでしたが、本の方の感想の進み具合と兼ね合いを取りつつ……なんて考えてたらその間に2-3(東部オリョール海)でのO1号作戦を成功させてしまいまして。ずるずるとタイミングが後ろに引き伸ばされてしまってました。

それはさておき、2-2(バシー島沖)での柳輸送作戦成功時の艦隊編制としては、一番艦から順に、磯波Lv.9、長良Lv.9、望月Lv.11、那智Lv.14、天龍改Lv.20、赤城Lv.24でした。ちなみに提督レベルは22。(階級については、どうやら前日(?)の戦果が反映されるもののようで、あんまり気にするようなものではなさそうに思えてきたので省略)

クリア時の話としては、あの日はどうも羅針盤の運がよかったようで。2-2に挑戦するたびにほとんど一直線でボス戦まで辿りつけたんですよね。その前にプレイした日には、逆に羅針盤が南の方ばかり指してくれやがりまして。まあそれならそれでと補給艦撃沈任務をこなすことにしていたのですが。とはいえ前回がそんなだったのでその日も補給艦狙いで挑もうと思っていたら、ボス戦まで悠々辿りつきまくってしまうこと。これはクリアできるのではないかと期待が膨らんだのですが、ここのボスは1-4に次いでなかなかの難敵でしたね。上記のクリア時の編制を見てもらうとわかると思うのですが、前回書いたような各艦種における優先順最上位の艦娘は一人も含まれてません。これは、初めのうちの何回かの挑戦でその辺りの艦娘がすべて中破以上のダメージを受けてドック入りの行列を作っていたからなんですよね。それにもかかわらず、2-2挑戦の合間にも枠に余裕ができたらE-1(サーモン諸島海域)に挑戦してたりと、完全にクリアは二の次なプレイングをしてたのではありますが。とにもかくにも、そんな挑み方でも最終的にはクリアできてしまったのは、これもやはり運だったのではないかなと思う次第です。当時の戦況推移はもうあまり覚えてはいないのですが、スクリーンショットに残してある戦果報告の画面を見るに、最大の攻撃力を誇る赤城が大破で基本経験値しか得られておらず、艦隊のうち3隻がほぼ無傷であることから、そう思わされるのですよね。うっすらと、夜戦の末の勝利だったような記憶もありますが、そうだとするとこちらが大破2隻も出しているのはかなりの激戦だったことになりますが、詳細は忘却のかなたです。

そして、開放から3週間ほどかけての2-2(バシー島沖)クリアに伴って、さらに嬉しいことがありました。ボス戦勝利のドロップでついに、愛宕さんをお迎えできたのです! Twitterでは嬉しさのあまり「第一部完!」とかpostしてましたっけ。見返してみるとこいつは何を言ってるんだという感じですが、思えば自分がどの艦娘を目当てに艦これを始めたかというと、何を隠そう愛宕さんなのですよね。金髪巨乳はやはり最高なのです。なので、愛宕さんをお迎えするまでが自分の中での艦これ第一部という位置づけであっても間違いではないのではないかという気もしたり。第一部タイトルは「愛(宕)を求めて来た提督」という電波も受信してましたが、処理に困ったのでここに供養しておきます。第二部は期間、タイトルともに未定です。ここが区切りと思ったところでまた突然の第二部完を宣言することになるかもしれませんが、またやってんのねくらいに思って流してもらえれば幸いです。

それに付随して言えば、開始当初は大艦巨乳主義艦隊でも作ろうかという気でもあったんですよね。でも、保有艦娘は駆逐艦と軽巡洋艦が中心でなんともかんともという現状ですし、そんなちっちゃな艦娘たちでも運用しているうちに思い入れのできつつある娘も増えてきてますし、まあなるように任せていきたいところです。好きになる共通点は属性でくくれても、属性があれば好きになるというわけではなかったりするのも(属性がなければ好きにならないわけではなかったりするのも)、面白いところではあります。

次は2-3(東部オリョール海)でのO1号作戦について。この作戦成功時の編制としては、一番艦より、愛宕Lv.11、不知火改Lv.23、古鷹改Lv.25、千歳航Lv.26、龍田改Lv.39でした。提督レベルは23。ほとんどうちの主力編制となっているのは、その日の初っ端の出撃でクリアできたからですね。

と書いて、わかる人は一点、おかしなところがあることに気づくことと思います。そうです、艦隊に5隻しか艦がいません。これは、非常に言いにくいことなんですが、轟沈させてしまいました。二番艦に入っていた曙Lv.9のことです。これについては完全に自分の不注意としか言いようがありませんね。RSSのフィード消化しながらTwitterのTLを眺めながら片手間で艦これしてたら曙が大破してたのを忘れて進撃してしまい、ボス戦で敵戦艦よりCritical 62のダメージを喰らってしまったという。オーバーキル過ぎる……。そうして曙は基地にやってきてより2週間足らずでまたいなくなってしまったのでした。(ボス戦自体は夜戦なしで戦術的勝利) なんというか、艦娘を轟沈させる提督はクズだというくらいに思っていただけに、自分で沈めてしまうとショックですね……と言いたいところなんですが、実はそんなに落ち込んでもなかったりしました。曙にはあまり思い入れがなかったこともあり、(しまったなぁ……でも曙ならいいか。思い入れのある艦娘で繰り返さないように気をつけよう)というくらいにしか思えなかったりしまして、むしろその程度にしか思えないことにショックを受けてました。

そして、そんなふうに、軽いミスとして処理してほとんど引きずってる様子も見せない自分に対して秘書艦の愛宕さんがかけてくる言葉がちくちくと突き刺さるようで痛かったというか。帰投早々に「作戦完了よー。よかったわね(曙ちゃんが沈んだことより2-3が攻略できたことが嬉しいんでしょう?)」とか、終わったことは終わったことと考えて艦隊の編成をしたり任務の確認をしたりしてた時に母港画面で「どうかしましたか?(曙ちゃんを沈めたことなんてどうということでもないんでしょう?)」とか、うん、どうも怒らせちゃったような気がします。そうなってしまっては、ヘタレ提督としては、声を掛けられるのもこわくて逃げ回る日々ですよ。某所では、サーバのメンテが延期してることを、秘書官と喧嘩して鎮守府から閉め出された状態とたとえている人もいたようですが、こちらもそんな感じといえるでしょうか。今もって絶賛冷戦中ですよ。ただし、こちらが一方的に逃げ回ってるだけというか。正直、まだ愛宕さんを旗艦に据え直す踏ん切りがなかなかつけられないでいたり。憧れだった愛宕さんが、いまや負い目感じてこわいこと。艦娘は轟沈させちゃダメ、絶対。

その後、2-4(沖ノ島海域)が開放されているのですが、2-3(東部オリョール海)の南部が未踏破地域として残っているのでそちらの調査が済んでから……と思っているのですが、最近はなんだか艦これする時間がなかなか取れなくなってたりしてそちらもまだその途中だったりします。

そんなこんなで、以下は艦娘萌え語りといきたいところですが、あまりネタがないため編成事情を中心に。

まずは駆逐艦。朝潮や白露といった、ややレア度の高いネームシップがだんだん揃ってきました。前述の通りにLOSTした曙の二代目はまだ現れてませんが、これは気長に待ちたいと思います。編成での優先順位はあまり変わらず、現状では、不知火>吹雪>敷波>長月>望月>夕立>(以下略)、となっております。吹雪については、最初に選んだのもそれは一つの思い入れのきっかけだと開き直ることにしました。特に嫌いになる理由もありませんし。まあお気に入り度では敷波が優るのではありますが。夕立は、改二実装以降にPixiv等でイラストを見ていてかわいいっぽく思えてきたので。特にこの漫画。
(リンク貼りそびれにつき追記) 本人は自分が楽しんでいるだけでありながら、ひっこみ思案な同型艦の新たな門出を明るく祝福する流れを生み出すきっかけになっているのが心に残る素敵なお話でしたね。

続いて軽巡洋艦。新規加入はなし。編成優先順位は、龍田>天龍>由良>夕張>北上>(以下略)、です。演習でのレベル上げを未改造艦優先にしたため、龍田のレベル上昇速度がかなり緩やかになってきました。それでもレベル30台になった艦が他にいない中、ただ一人だけ40になっちゃってますが、基地内二番目の艦とのレベル差はちょっとずつ縮まってきてるはずです。その他では、天龍と由良の順位が入れ替わりました。やはり姐御肌(と巨乳)はいいものです。夕張は、史実の実験艦としてのオンリーワンな性格がちょっと気になってきてるところだったり。北上は、望月と似た系統のだるい系の艦娘でしょうか。性格がというより口調が。まあまあ、こういうのは悪くないですよというところで。

次は重巡洋艦。こちらの新規加入は愛宕さんと筑摩と利根だったでしょうか。編成優先侍順位は、古鷹>那智>羽黒>青葉>(以下略)、となっています。愛宕さんがいないのは、謎の「愛宕さん枠」が出来上がっているからです。重巡枠に収めるとしたら、古鷹と那智の間だろうかというところですが。それはともかく、愛宕さんは本命艦でありましたから、お迎え翌日はさっそく狙った感じのそのボイスをたっぷり堪能させてもらいましたとも。中破時の「やりすぎじゃないかしら?」は、初めて見たとき椅子をガタッとさせかけましたよ。あれはもう、けしからんもっとやれと言わざるを得ませんよね。あと、タンクネタは公式だったのかという。ただ、金髪巨乳のもうひとつの魅力である金髪方面に触れるネタが少ないのは寂しいところだったり。大艦巨乳主義艦隊の夢と並べて金髪娘艦隊なんてのも考えてみたことはありますが、金髪キャラってそんなにいただろうかという疑問が。ええと、愛宕と皐月と、島風と……夕立って金髪だっけ? ダメだ、数が足りない……というのはさておき。話を戻すと、足柄が圏外へと消えていき、青葉が戻ってきました。足柄は、どうにも使っていると急かされてるような気がして敬遠しちゃうようになってきたんですよね。それに比べて青葉は取材癖っぽいものがありながらもかわいさを同居させているので使いたくなるところであり。

空母系艦種については、一番変化が大きいです。まず、祥鳳と千代田が新規加入しました。編成優先順位は、祥鳳>千歳>鳳翔>千代田>赤城、となっています。祥鳳は、絵がいいですよね。中破絵がなんだか気に入って、加入早々に千歳を抜かして最優先艦に位置付けてしまっております。それと、ようやく千歳の妹である千代田をお迎えできました。千代田千代田と言ってばかりの千歳に感じていた申し訳なさも払拭され、姉妹仲良く頑張る姿を楽しめそうで。千代田ってば、かなり姉を意識してるお姉ちゃんっ子っぽくて、二人を並べて運用してみると、姉の前でいいところみせようとする千代田と妹の前で下手なところは見せられないと張り切る千歳との張り合いが見られるのだろうかと思うとワクワクしますね。赤城が一番後ろに持っていかれていることについてですが、別段嫌いになったとかではなく、この娘はちょっと強すぎるからです。出撃させれば、ほとんどMVPを独占する勢いだわ体力あるからなかなかドックにも下がらないわで、この娘の後ろの艦の出番がなくなっちゃうんですよね。なので、彼女は最後の砦ということで、どっしり構えてもらうことにしてます。ただ、そうすると困ったことに、なかなかそこまで出番が回っていかないのですが。

それと、今回は新たに戦艦が一隻加わりました。超弩級戦艦の扶桑です。2-1でレベル上げをしていたらドロップで登場して、こんなすごい艦がドロップで、それも2-1ごときでひょいと現れていいのかと思ってしまいましたよ。まあ、戦艦種はほとんど名の知れた艦のはずなので、どの艦が出てきても、こんなすごいのが来たと驚かされることになるのでしょうが。編制についてですが、戦艦枠が用意されていないことにこれを書いていてようやく気がつきました。とはいえ、この娘も赤城と同様なかなか引っ込むことがなさそうな娘なので、どう運用していったものか、ちょっと考える必要がありそうな気がしますが。あと、この扶桑さんについて言いたいこととしては、母港画面での圧迫感が……ということだったり。もうちょっと立ち位置を後ろにずらしてくれてもいいのよ?

おまけ。司令部の内装について。家具コインはこれまで一つも箱を開けていないので、もっぱら0コインで手に入るものしか取り付けていなかったり。ただ、そうしたら、ミカン箱が積まれた寒々しい貧乏部屋に、それだけ豪華な100万ユーザー突破記念掛け軸とクリスマスツリーが飾られてて。なんというか、見得張った買い物する前に快適な居住空間とか機能的な執務室を目指さなきゃと思わされる光景になってきてますよ。クリスマスツリーを飾りつけたときにちょうど秘書官の龍田さんが中破状態になってたのですが、そうしたらなんか、いかにも「珍しく何か買ってきたと思ったらまたこんなものを……」と仕方ない人を見るような表情になっているように思えてしまったのですが……。すいません、もっと絨毯とか机とか、司令部らしいものを揃えるようにします。たぶん、そのうち、きっと……。あかん、いつか財布取り上げられそう。

という感じで、次は2-3未踏破地域を調査したのちに難関と聞く2-4に挑むことになります。次回の報告は、どれだけかかるかわかりませんが、そのクリア後を予定ということで。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月05日

艦これ進捗(2-1クリア)

9月の読書まとめで艦これを始めたと書きましたが、このあたりでそろそろ進捗報告的な。1-4クリアした時点でしようかと思ってたんですが、一部の本の感想を先に片付けてからと思っていたら2-1もクリアしてしまって。どうしたもんかと迷いましたがあんまり時間経っちゃうと記憶も薄れてくるのでこの際は2-1クリア報告とあわせて現状をつらつらと記していくことにした次第。

海域出撃に関しては、10月の末頃に2-1、つまりカムラン半島までクリアしています。始めたのが9月の半ばなので、そんなに早くはないと思いますが、あくまで本を読むのが優先なのでまあこれくらいのペースで。というか、2-1はすんなりクリアできたんですが、1-4(南西諸島防衛線)はなかなかクリアできなくて、1か月くらいかけてましたね。

そこまで時間がかかったのは、クリアを目指した全力出撃をしてないのが一番の原因だと思います。こういう育成系のゲームだと、ついつい全員レベル上げしたくなってしまうんですよね。一部のお気に入りキャラは重点的に育てたりもしますが、それ以外はほぼ均等に底上げしていく感じ。なので、現状のお気に入りと、ちょっと気になってる艦娘を合せればもうそれだけで編成組める数以上にはなるんですが、どうしても並行してそれ以外の育成もしたいなという思考になってしまうのです。そんな感じで一部レベルの低い艦娘が混じると、中破したら無理せず帰還の方針でやってるとなかなかクリアが進まないんですよね。まあ、マップの進行はレベル上げついでにというのは、自分がRPGやるときのいつもパターンですね。巧みな戦術を練るよりも細かいこと考えなくてもいいくらいの戦力差にしたうえで力押しするタイプというやつです。

クリア時の艦隊編成について。スクリーンショットのデータを漁っていたら1-3(製油所地帯沿岸)クリア時のものも出てきたので、まとめて記していきます。

1-3クリア時は、提督Lv8[新米中佐]で、吹雪Lv13・涼風Lv5・龍田Lv15・白雪Lv6・皐月Lv5・暁Lv6でした。重点置いて育ててるのとそうでないのとがすでにはっきりわかる構成になっていたようで。

1-4クリア時は、提督Lv18[少佐]で、龍田改Lv33・敷波Lv9・千歳航Lv22・羽黒Lv8・村雨Lv8・電Lv8でした。あれ、今にして気付きましたけど、降格されてる!? それはともかく、ここのクリアには、千歳が千歳航になるとともに艦種が軽空母になったことで、航空戦力が増強されたことによる貢献が大きかったですね。建造にあまり力入れてないのでドロップ頼りなのですが、千歳以外が出ないこと出ないこと。ここのボスは正規空母を含む艦隊なので、対空強化は必須でしたからね。駆逐艦の装備からも魚雷を外して12cm連装砲を2門積んでみたりとか、あれこれしてました。そういう意味での対空強化では重巡洋艦の戦力充実にも助けられましたね。なにせ駆逐艦や軽巡洋艦に比べて火力が違いますから。とはいえ育成に傾斜をかけているとどうしても軽巡と駆逐が中心の編成になってしまうのですが。それでもクリアできてしまったのは、単純に運が良かったからでしょうね。なんせ村雨が中破しただけでそれ以外は千歳が小破未満の被害を受けたのみ。それを除くと完全に被害なしでしたから。敵の開幕空爆がミスだったり、そこまで見てなかったのですが、たぶん艦隊陣形も自陣営有利になってたと思われます。

2-1クリア時は、提督Lv18[少佐]で、龍田改Lv35・不知火改Lv21・千歳航Lv23・球磨Lv9・初雪Lv8・那智Lv9でした。ここは本当に2度目の出撃でクリアできてしまったので、特に書くことがありません。

艦隊編成についてもちょっと書いておきましょうか。南西諸島防衛線に挑んでいるうちに確立されてきた編制ですが、今ではまず1艦種からそれぞれ1隻のお気に入りを組み込んで、残りを育成枠としています。今だと所有艦が駆逐・軽巡・重巡・空母(軽母・正規空母あわせて)の4種なので、常に2隻分の育成枠が解放されてる状態ですね。ちなみに軽空母と正規空母がいっしょくたにされてる理由ですが、今もって両方合わせて3隻しかいないからです。なかなかドロップしないのです……。

以下、上記のお気に入りについて触れると見せかけて艦娘萌え語りに移行します。

駆逐艦のお気に入り順ですが、これ実は一番困ってます。1-4時代が長かったことと、建造でも省資源で回していることから、レアなところを除いてもう結構そろってるんですよね。そうなると、ちょっと気になる艦娘が増えすぎて、お気に入りの傾斜をどうかけていくかというのが非常に悩ましい。今は深く考えないことにしていますが。とりあえず、暫定的なところでは、不知火>吹雪>敷波>望月>長月>(以下略)とでもなりましょうか。不知火は、気迫のこもったボイスがいいんですよね。編制に組み込んだ時の声からしてまず気を惹かれるものがあったのですが、砲撃時の「……沈め!」というセリフでぼそっとこぼれる静かな気迫で心を鷲掴みにされたといいますか。始めた当初は、一番初めに選んだ吹雪を優先してたんですが、今ではすっかりこの娘が一番ですよ。次には吹雪ですが、正直、今では最初に選んだという以上のこだわりが見出せなくなっててどうしたもんかというところ。一応レベルは基地内2番目の高さなんですけどね。おつぎは敷波。敷波も気に入ったのはボイスでですね。この子の場合は装備換装時のもの。自分なんてたいしたことないんだよって感じがストライクだったといいますか。なんだかプロデュースしたい気持ちにさせられるものがあるというか。望月は、あからさまにダルそうなセリフがかわいいですよね。一度聞くともう一回と思わせるものがあります。長月は、できる人っぽいセリフが聞いてて好感が持てるというか。なんだか安心感がありますよね。まあそんな感じの優先順位で編成してるのですが、だいたい敷波を出してる間に不知火の修復が終わるので、それ以下はほとんど出番もなかったりします。

軽巡洋艦は、龍田さんがぶっちぎりですね。上記のクリア時のレベルでも、龍田さんのレベルだけ異様に高いのは、一番のお気に入りだからです。それも含めて現状のお気に入りとしては、龍田>由良>天龍>夕張>(以下略)というところでしょうか。実はこの軽巡洋艦なんですけど、あんまりお気に入りがいません。龍田さんはぶっちぎりなのですが、それ以外はあんまりというか。上にあげた順番も、夕張に至ってはスロット3つあるからというだけの理由だったり。それはともかくとして、龍田さんについて語りましょう。龍田さんといえば、「天龍ちゃんってばかわいいんだから〜」と言わんばかりに、セリフの端々で天龍をいじり倒してるみたいなのがたまらないんですね。天龍は、姐御風みたいなのを吹かしてて、提督をぐいぐい引っ張ってってくれそうなところとかいいですよね。そんな感じですが、龍田さんはレベルが高いだけあってなかなか中破以上にならないので、それ以外の娘の出番はあまりなかったりします。

重巡洋艦は、ほとんどが南西諸島防衛線以降の加入なので数はまだあまりいないのですが、火力面では大いに頼りにしている艦種です。妙高型はそろっていたりもするのですが、でもまだ本命をお迎えできてないのが歯がゆいところだったり。それはさておき現状のお気に入り順としては、古鷹>那智>羽黒>足柄>(以下略)とでもなりますでしょうか。古鷹は、よく雷に関して男をダメにするというネタも聞きますが、個人的にはこちらにダメにさせられそうなものを感じたり。「ここはいい部隊ですねぇ」というセリフに代表されるように、この子のセリフって基本的に、提督は素晴らしい人・そんな提督に私たちのいいところを知ってもらえるよう頑張りたい、みたいな感じで、要するに今のままのあなたでいい・頑張るのは私たちだからという風に聞こえるんですよね。ダメなままの自分でもいいんだよと言われているようで、そんなセリフがとても心地よく聞こえるものだから、精神的に弱ってるときにはぐらっときそうでこわいです。そんな感じで。重巡は改造できるレベルがやや高めなのか、まだ改になってる艦娘はいませんが。

空母では、現状まだ千歳と赤城と鳳翔しかいなかったりしますが、その中で順番をつけるとすると、千歳>赤城>鳳翔というところ。とはいえ、ほかにいい娘が入れば変動する余地は多分にあったり。とりあえず、千代田千代田と譫言のようにつぶやく千歳のために、遠くないうちに千代田をお迎えしたいところではありますが。千歳の口から千代田の名前が出るたびになんだか申し訳ない気持ちになります。あと、赤城が出るとMVP取りまくりでドックに引っこむ気配がまるでなく、鳳翔さんの出番が……というところだったり。

というところで、今回は以上で。次は、バシー島沖がクリアできたらまた報告したいなと思っていますが、カムラン半島のように特に書くことがないともっと先になるかもしれません。それとイベント限定海域も開放されてますが、こちらは今のレベルだとクリアは難しそうでしょうかとそんなところ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 09:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月22日

フェノメノ 美鶴木夜石は怖がらない(ビジュアルノベル版)

ビジュアルノベル版の特設サイトはこちら

最前線のWebサイトで公開された分はすでに目を通して存分に震えさせてもらっていたのですが、ビジュアルノベルという媒体で体験することになるとまた違った印象になってきますね。効果音やBGMがつくことで一番に変わってくるのはやはり臨場感。ホラーであるだけにここは最も重要というか。この話を読むのは2回目に当たったわけですが、そんなことも気にならないくらい主人公のナギ同様に降りかかる怪異現象にびくびくさせられることになりました。小説版とあまり比べるのもなんですが、真っ先に思い浮かぶ相違点は一番怖いと感じた箇所ですかね。小説の場合は、たいしたことでもなく一件落着と思っていたのが覆されるラストシーンだったのですが、こちらのゲーム版におけるその場面の夜石はナギに真実を告げることに対するためらいや後ろめたさのようなものがにじんで見えて。カウントダウンの数字が減っていくことに怯えている過程の方がまだしも純粋に怖さを感じていられたように思います。

なにはともあれ、Webで読んだバージョンだと特にイラストはなかったように記憶しているので、立ち絵等でビジュアルがたくさん見れたのはよかったですね。個人的に、夜石のあの吐瀉シーンがばっちり収録されてたのが最大のポイントだったり。

そんな感じで、小説ばかり読んでたからその気分転換にと初めて見たものでしたが、一年ほど前に読んだ時の記憶が蘇ってきたこの辺りで書籍版の方にも手を出してみたいところではありますね。冒頭の文章が意味するところも気になりますし。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 14:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月20日

お試しアイルランド戦記 in CK2 〜王位の行方〜

前回までのあらすじ: 二大勢力の隙を窺いながら着実にスコットランド地方で勢力を広げていたアイルランド王国だったが、継承法の問題からアイルランド王国とスコットランド王国が分裂することとなった。なおウェールズ地方の小勢力の吸収を目指すのだったが、イングランド王が地域覇権を握りつつある今、勢力強化は喫緊の課題であった。


というわけで、今回は比較的間を空けずにできました。前回の続きです。

今回の進捗は、前回終了時の1189年から17年経って1206年。領土としてはスコットランド王国の再統合が成った上にケイスネス伯領とグラモーガン伯領が加わり、Deheubarth公位も獲得しました。以下、その間の流れを書いていきます。


1.4代アイルランド国王フィンゲン1世崩御

ダベッド伯領獲得以後、アイルランド王国としては目立った変化に乏しい時期がしばらく続きます。宰相による請求権の捏造が成功せず、開戦の口実が手に入らなかったからです。1193年になると教皇が十字軍派遣を宣言しブリタニア地域からはアイルランド王国を除くすべての勢力が参加を表明するという好機が訪れたりもしましたが、その好機を活かすことはできませんでした。その間、王が亡くなり幼君の治世となっていたイングランド王国内では国土の半分にも及ぶ諸侯たちが立ち上がる継承戦争が起こるなど、これ以上ないほどの絶好の機会ではあったのですが……。スコットランド王位が手元にないことが残念でならない時期でした。

その間、最も焦点をあてられていた問題が、フィンゲン1世の後継者のことでした。フィンゲン1世自身にはスコットランド王であるウイリアム1世を指名させていましたが、諸侯たちの内では王に追随する者が1名と、ウイリアム1世の弟であるGilla-Coluimを指名する者が1名の計3票しか指名が集まっておらず、封臣たちの動静次第では容易に覆りうる状況なのです。なにより、ウイリアム1世も人並み以上には優れた人物でしたが、Gilla-Coluimはまだ成人していないながらも誰もが認める天才性を有した人物でした。再統合を目指すという事情がなければ、フィンゲン1世にもウイリアム1世を指名させることはなかったでしょう。それだけに、指名する諸侯が現れることも納得できるのですが、代を置けば置くほど再統合が難しくなることは確かです。なんとしてもウイリアム1世にアイルランド王位を継承させたいところですが、諸侯の指名は思うようにはいきません。

Gilla-Coluimが成人すると、その非凡な才能はますます諸侯たちの認めるところとなりました。成人から1年ほどが経った頃、ウイリアム1世を指名していた諸侯の一人がGilla-Coluimに指名し直し、ついに後継者が交替する事態になってしまいます。

なんとか状況を好転させる手段はないものかと考えてみますが、諸侯に後継者指名を要請することはできません。子供ができる前にウイリアム1世を亡き者にさせてしまえば……とも考えましたが、暗殺者を雇うだけの資金が貯まるのを待っている間に男子が誕生してしまいました。それならばと、Gilla-Coluimの暗殺を企てている者がいるとの報に接した時にその知らせを見なかったふりをさせることにしたのですが、いつまで経ってもその陰謀が功を奏す気配は感じられません。

そのうちに、諦めてGilla-Coluimの代になってから請求権を行使して骨肉の争いをしてもらうほかないかと考えるようになってきました。そうすると、封臣たちの忠誠にも気を遣う必要を感じなくなってきます。改めて周りの国の法制度を確認させてみると、西欧の強国はほとんどが絶対的もしくはそれに一段劣る強度の王権を有していることがわかりました。国内法については長い間変更を加えずに来ましたが、ここで試しに周辺国に追随してみるのも悪くはないのではないでしょうか。戦を起こす口実もなく、周囲の諸国も十字軍遠征に気を取られている時期であり、少しの間国内が不安定になっても問題にはなりません。

そうして王権を中程度から一段階引き上げてみると、不満をあらわにする勢力が現れてきました。フィンゲン1世の長男です。この人物はそれ以前から選挙王制に不満を持っており、王権を限定させようとする派閥をも形成してもいましたが、王権引き上げによりさらに不満を募らせていったようです。また、彼を支持する一派もいました。彼を王位に即けようとする派閥も立ち上げられます。その派閥の発起人は後継選挙におけるGilla-Coluimの指名者だったのですが、まもなく後継指名をフィンゲン1世の長男に変更しました。こうして、3人の候補の指名が横並びになるという事態になりました。すると、当主による指名が優越権を持つのか、ウイリアム1世に後継者の座が移ってきました。

横一線であり、先のウイリアム1世とGilla-Coluimが2対1だった時よりも微妙な情勢ですが、フィンゲン1世の健康状態が悪化してきていることを考えると、言い方は悪いですが、ここでフィンゲン1世が亡くなってくれるなら儲け物です。もしそうならなかったとしても、フィンゲン1世の長男は能力的にウイリアム1世と比べてもやや劣る人物であり、指名が集まるとしたらGilla-Coluimでしょう。そうなったら事前に考えていた通りにするまでです。

そのひと月後、この頃には既に十字軍は失敗に終わっていたのですが、またしてもノルウェー王に独立戦争を起こしていたマレー公のケイスネス伯領に対してウイリアム1世が宣戦を布告しました。まもなくフィンゲン1世の下に援軍要請が届きます。前々からいつかは攻撃しようと思っていた地、否やはありません。Matudán1世の件以来戒めてきた王自らの親征を一時的に解禁し出兵させます。これには先に述べた継承の都合からくる後ろ暗い考えも含まれていますが。そしてケイスネス伯領南隣りのロス伯領にて軍を集結させようしたところ、体調を崩しがちなところでの北の地への出兵が堪えたのでしょうか、あっけなくもフィンゲン1世は亡くなってしまいました。享年67歳。1202年10月5日のことでした。


2.続ケイスネス伯領攻撃(対マレー公戦)

ウイリアム1世が後継者として認められていた時期にフィンゲン1世が亡くなったことで、アイルランド王国とスコットランド王国は再統合を果たすことができました。王の死は悲しむべきですが、これはこれで喜ばしい出来事ではあります。

アイルランド王国の後継者には迷わず弟のGilla-Coluimを指名させます。スコットランド王国の後継者も早いうちに同じにしたいのですが、封臣の中にウイリアム1世に対する忠誠が薄く否定的な感情を抱いている者がいるとのことで、今すぐに継承法を変えることはできないようです。どうも、アイルランド王位継承以前に義父であるギャロウェイ公と確執があったようなのですが、詳しいことはわかりません。なんにせよ、公も老齢に差し掛かっているので、寿命を待つことにしましょう。

あれこれと継承後の体制移行手続きを進めていましたが、マレー公との戦はまだ続いています。マレー公に残る領地はケイスネス伯領一つであり、そこさえ占領してしまえば勝負はつきます。しかし、ケイスネス伯領は堅固な城を有しています。ノルウェー王国軍との野戦で兵力は減少しているようですが、それでもまだ侮れない防衛戦力を保持しています。既に出陣している軍に援軍を追加しても、アイルランド王国の軍勢は約12000。ゆっくりと包囲を続けるのが安全でしょう。

そう考えてノルウェー王国軍を追い払いケイスネス伯領の包囲を始めてみたのですが、そうしてみるとケイスネス伯領の城は既に陥落寸前であることが判明しました。半月ほどで城が陥落すると、マレー公に講和受諾の意思が見えたため講和の使者を派遣します。行き違いで公よりの降伏の使者の方が先にこちらに着きましたが、なんにせよアイルランド王国の勝利です。ケイスネス伯領を獲得し、ブリタニア地域からのノルウェー勢力の排除に成功しました。1202年12月9日のことです。


3.グラモーガン伯領攻撃(対グラモーガン伯戦)

ケイスネス伯領は一族の者に与えたのですが、その後まもなく封臣同士で戦争が始まりました。ヘブリティーズ諸島伯が先代フィンゲン1世の長男であるデズモンド伯の有する島嶼公の請求権を行使して、公に宣戦布告したのです。

以前の内戦でもそうでしたが、封臣が一族ばかりである傾向は今も変わりありません。次々と8人の封臣がヘブリティーズ諸島伯の同盟軍として参戦し、すぐに双方合わせて6000近い兵が行き交うまでになってしまいました。

双方の陣営に集った諸侯の面々を見るにヘブリティーズ諸島伯側の勝利は疑う余地のないものであり、デズモンド伯が島嶼公位を兼任することになると予測できます。封臣の勢力伸長は抑えたいのですが、封臣間の争いに王が介入することはできないのであり、黙って経過報告を待つほかありません。しかし、調べてみると現島嶼公は、王に近い血縁者ではあるもののノルウェー人として育てられたいわば外国人であり、忠誠心はそれほど篤くありません。デズモンド伯も父であるフィンゲン1世が保持していた位の請求権を有していることからどっこいどっこいといったところですが、次代以降のことを考えると同国人の方が望ましいところでしょう。

封臣間の争いの経過を注視していると、翌年、ウェールズ地方のグラモーガン伯領に派遣していた宰相から請求権の捏造に成功した旨の報告が届きました。先の戦ではほとんど兵力を損なっていませんし、伯はその一カ所しか領地を保有していない小勢力であることから、戦力的に攻撃をためらう理由はありません。それに、地域覇権に王手をかけるイングランド王に対抗するためにも勢力伸長は急務です。宰相からの知らせが届いた翌日の1203年10月19日、グラモーガン伯に宣戦を布告しました。

動員する兵力ですが、スコットランドでの王位継承法変更を計画していることから、忠誠の低下はなるべく避けたいところです。そのため、直轄領のほかは忠誠の篤い封臣領からのみの徴集とすることにします。それでも動員した兵力は10298にも上りました。スコットランド地域が再統合できたからだと思うと心強い限りです。

進軍経路については、沖合からの上陸戦は損害を増してしまうため、境を接するダベッド伯領からグラモーガン伯領に向かわせることにします。敵軍の兵力は1201。どうやら逃げずに立ち向かってくるようです。

一度の野戦で敵軍を壊滅させると、兵力を失い防衛戦力を損なっていたグラモーガン伯領の城を力攻めし、まもなく陥落させます。続く教会も防衛戦力が乏しいとわかったため、力攻めで陥落させます。残る都市は堅固であったため、力攻めは損害が大きいと判断し後方から約500援軍を追加しつつじっくりと包囲を続けさせます。

5カ月余り包囲を続けると、都市はついに陥落。伯にアイルランド王国の要求を突きつけ講和を締結します。こうして、グラモーガン伯領が新たに領土として加わりました。1204年6月6日のことです。


4.スコットランド王位継承戦争(対ギャロウェイ公・マレー伯・ファイフ伯・ロシアン公・島嶼公戦)

Deheubarth公領に含まれる3つの伯領の内ダベッド伯領とグラモーガン伯領の2つを手に入れたことにより、空位になっているDeheubarth公位に就任することが可能になりました。残るグウェント伯領も領主は小勢力であるため、楽勝は間違いありません。攻撃の口実を手に入れるため、さっそく公位に就きます。とはいえ、先の戦を終えたばかりであり、兵も減ってはいることから、攻撃は兵力が回復し次第ということにしましょう。

将兵たちに対する小休止のつもりでじっと時を待っていると、2カ月後に思いもかけない出来事が起こりました。Gilla-Coluimがスコットランド王位に就くべきだと主張していたギャロウェイ公が、意を同じくするマレー伯・ファイフ伯・ロシアン公とともに宮廷に現れ、スコットランド王位を譲るようウイリアム1世に迫ったのです。交渉能力に秀でた当主ならばうまく宥めすかすところですが、ウイリアム1世はそちらの方面がからきし駄目な人物でした。どうするべきかと考えている間にも、ギャロウェイ公らはフィンゲン1世に譲位するつもりがないならば戦争も辞さないとしきりにまくしたてます。

4人もの諸侯と戦うとなると厄介ですが、Gilla-Coluimにスコットランド王位を譲るのもまた避けたいところです。先のフィンゲン1世のときとは違ってウイリアム1世はまだ活力に満ちた30代の壮年王なのです。遠くないうちにスコットランド地域のゴドウィン家勢力地をかすめ取ろうと考えると、再度の国土分裂に至る選択は悪手と断じざるを得ません。それよりも、ちょうど継承法変更のためにギャロウェイ公を邪魔に思っていたところです。蹴散らして退位にでも追い込んでやりましょう。

要求をはねつけると、ギャロウェイ公一派はウイリアム1世に対し宣戦を布告しました。ここに、アイルランド王国初の内乱が幕を上げたのです。1204年8月18日のことでした。

相手は4諸侯とはいえ、たかだか公と伯が2人ずついるだけです。アイルランドとスコットランドの王を兼任するウイリアム1世にかかればいかほどのものでもありません。11417の兵を動員し、ギャロウェイ公らの軍を叩き潰しにかかります。敵が兵力の結集を図っている間にギャロウェイ伯領に第一軍が到着し、後続の兵たちも順次その地に集まり始めます。その途中でギャロウェイ公軍と衝突が予想されますが、集合済みの兵力でもアイルランド王国軍が上です。悠々と撃破し、グウェント伯領攻めの前の景気づけにしてやりましょう。

手ぐすね引いてギャロウェイ公軍の伯領到着を待っていると、思わぬ出来事が起こります。その頃、ギャロウェイ伯領には様々な思惑を抱いた群衆が屯していました。ウイリアム1世の統治に反意を持つ人々や4諸侯とウイリアム1世の戦いを前にどちら側に付くべきか様子見する人々などです。そんな彼らが突然、ギャロウェイ公の旗を掲げて決起したのです。その数約7700。ギャロウェイ伯領の包囲を始めていたアイルランド王軍4113の倍近い数の敵軍が突如として出現したのです。

これで兵力はほぼ互角になりました。いえ、前線に到着している兵力を見れば4諸侯軍の方が多いです。圧倒できたはずの野戦の旗色が、少しずつ悪くなってきます。それでも2000近い増援も含めて後続の軍が到着し、一時的には五分に持ち直します。しかし、決起した人々を中心にした4諸侯軍の中央陣営は異様に厚く、平均的に兵力を配置していたアイルランド王国軍は右翼左翼では優勢に戦いを進めていたものの、中央が破られたことで一気に崩れたちます。結果的に、こちらの損害は7149、敵の損害は3848で、正面からぶつかった野戦では久しぶりとなる敗北を喫しました。

4諸侯の軍勢はいまだに10560の大軍です。アイルランド王国軍も6009の兵が残ってはいましたが、動員可能兵力のほとんど限界まですでに動かしていたために援軍も見込めないことから、一旦軍勢を解散します。ウイリアム1世の勢力地を包囲し始める間に少しでも損害を回復させるためです。起死回生の一戦を行うには、少しでも兵力を回復させねばなりません。

ここで痛み分けの講和でも結べればよかったのですが、勝っている4諸侯が受け入れる道理はありません。そうこうしているうちにアルスター伯領の包囲が始まりましたが、すぐさま救援に向かう余裕はありません。今は兵力の回復をじっと待つほかありません。

さらに悪い報せが届きます。オールバニ女公が継承戦争を起こすにあたって一時的に独立していたファイフ伯領を求めて、伯に宣戦を布告したのです。

女公だけなら軽々と追い返すことができたことでしょう。しかし、苦戦中のギャロウェイ公らとの戦いを続けながらそちらの相手もしている余裕は当面ありません。一刻も早く諸侯たちとの戦いを終えなければ、その前に勢力下の領地を一つ失ってしまうことになります。アルスター伯領の城が陥落する直前まで慎重に兵力回復に努めるつもりでしたが、そうも言っていられない状況になってしまったようです。野戦での敗北から4カ月後、再びアイルランド王国の全域から軍を動員します。

動員兵力は互いにほぼ互角ですが、ファイフ伯軍は自領の防衛のために包囲軍から離脱したとのことです。アイルランド王国軍は12078、4諸侯軍は8182。1.5倍程度の兵力差が生じました。これなら負けるはずはありません。4諸侯軍は相変わらず中軍に厚みを持たせた陣形でしたが、今度はアイルランド王国軍の中軍も数ではほぼ互角です。中軍が粘っている間に右翼と左翼が敵軍を押し切り、中軍に回り込んだことで4諸侯軍を潰走に追い込みます。

一度の勝利を得たものの4諸侯軍はいまだに約4300の兵力を保持しています。彼らはいまだ痛み分けにすら応じる気配を見せないため、安心して包囲戦に移るために潰走中の敵軍を追い打ち全滅させることにします。

アルスター伯領から海を渡ってギャロウェイ伯領に逃げ延びた4諸侯軍を追ってこれを圧倒し、その後キャリック伯領に逃げた相手を追って打撃を与えます。敗走する敵を追い討つと自軍の損害は少なくて済みますが、敵の戦線が崩れたつのも早く、すぐには壊滅まで追い込めません。さらに2度の会戦を経てようやく4諸侯軍を全て追い散らすことができました。

ここでオールバニ女公による侵攻はどうなっているかと探りを入れてみると、野戦でファイフ伯の軍を破り、城の包囲を始めているようです。4諸侯を降伏させようとするとそちらの救援にはまず間に合わないでしょう。妥協して痛み分けで手を打つか、ファイフ伯領を失うことを覚悟で断固4諸侯に対峙するかという選択肢を突きつけられた形ですが、仮に痛み分けで決着を付けるにしても、それまでファイフ伯領が持ち堪えられる保証はありません。アイルランド王国が完全なる勝利を治めることは、既に不可能になっていました。

ひとまず4諸侯たちとの決着を優先させるべくギャロウェイ伯領の包囲を始めましたが、力攻めするには兵力がやや不足がちです。全軍を出撃させているために増援もありません。それでもなんとか包囲軍の数を増やすべく、一部の隊を自領に返し兵力が回復し次第ふたたび動員をかけることにします。直轄地は兵力の回復が遅いためこの手段はとれませんが、封臣領の軍ならば数カ月の内に倍近くに兵力を増やして帰ってきてくれることでしょう。

しかし、その間にもファイフ伯領の包囲は進行していきます。イングランド王国が援軍を出していないために女公の軍はたいした数ではありませんが、力攻めに移行できない限り間に合わない可能性が高いと考えられるようになってきました。諦観が湧きあがってくるのを感じながらギャロウェイ伯領を包囲をしていると、事態をさらに悪化させる急報が飛び込んできました。

この内戦が起こる前に始まっていた島嶼公位を巡る争いですが、そちらはこの内戦の最中に決着が付いてはいました。しかし、その結果として島嶼公の位に就いていたデズモンド伯は、ギャロウェイ公と同盟関係にあったことから公の要請に従って諸侯軍へ参加することを表明したのです。

これによってアイルランド王国軍は大きな痛手を被りました。ギャロウェイ伯領包囲中の兵には現島嶼公領からの徴集兵も当然含まれていたのですが、彼らは勝手に部隊を解散してしまったのです。現島嶼公の勢力は封臣の中でも一二を争うまでになっており、包囲軍中でもその兵力は約2000にも上っていました。つまり、包囲軍は突如としてその4分の1を超える兵力を失うことになったのです。そしてその兵力は、そのまま諸侯軍の下に加わることになりました。いえ、直轄軍の動員なので、包囲軍から離脱した以上の軍勢が敵に回ったようです。ざっと1.5倍といったところでしょうか。

内戦は泥沼の様相を呈するようになりました。ファイフ伯領は、もう諦めるほかありません。

自嘲的な気持ちでギャロウェイ伯領の包囲の進展を見守っていると、事態好転の端緒となる報告が届きます。なんと、イングランド王がオールバニ女公に宣戦を布告したのです。それぞれ代替わりしていることから、以前のような母と子の関係ではありませんが、叔母と甥の関係であることは確かです。それなのになぜかと疑問に思いさらに調べさせてみると、開戦の口実にされたのは女公が破門されていることだと判明しました。イングランド王も他人のことは言えない立場であることもわかりましたが、なんにせよこれで女公はファイフ伯領どころではなくなります。時間をかけて確実な手を打ちながら5諸侯の相手をする余裕もできることでしょう。島嶼公によって2カ所の領地が包囲されていましたが、一隊の兵力で見ればどちらも小勢なこともあり、焦りはほとんど覚えません。

じっくりとギャロウェイ伯領の城の包囲を続けられると気を緩めているとまもなく、王宮より急報が届きました。キルデア伯領で島嶼公軍に対して城の防衛の指揮を執っていたGilla-Coluimが亡くなったというのです。すぐにはその報せを信じられず何度も確認しますが、事実は変わりません。次代のアイルランド王国の柱石を担うと目されていた人物の、30歳での早すぎる死でした。何者かによる謀略も疑いましたが、自然死であることに疑いはないようです。彼の天才性を受け継ぐ息子も誕生しているので新たな後継者候補には悩みませんが、やはり惜しい人物でした。人の死は予測できないとはいえ、その才を活かす機会をほとんど与えられないまま死を迎えてしまったことは悔やまれます。

また、この死によって5諸侯は開戦の口実を失ったことになり、内戦は幕を閉じました。ファイフ伯が再びアイルランド王の家臣となったことでオールバニ女公との戦も取り止めになりました。結局、すべてがアイルランド王国にとってうまい形に収まったのです。しかし、そのために失ったのはそれと引き換えするにも惜しいものでした。この時、1206年、5月4日でした。




今回は以上とします。まだ書いていなかったことですが、現在の大目標であるブリタニア地域の皇帝即位ならびに全土統一に向けて、そろそろ正念場を迎えてきた感があります。本当はもう少し進んでいるんですが、キリがいいのでこの辺りで。


わかったこと・気になることなど(違いがわからなくなってきたのでまとめました)
1)対人関係における“rival”ってどういう理由で発生するものなんでしょう? “friend”の対になるものなんでしょうが、忠誠マイナス100とか洒落にならんですよ。原因が2つあるのかマイナス200になってる家臣もいたんですけど、CPU統治時代に何があったんだか……。
2)前回挙げたブリタニア地域の領土数について。数えてみたところ伯領は67。そのうち現在イングランド王国勢力下にあるのは33。しっかり王手かけてますね。しかもオールバニ女公の後継ぎがイングランド王の家臣なので、ほとんど詰んでますね。
3)勝手に100%までいかなきゃ大丈夫とたかをくくってましたが、派閥は50%を超えると要求を突きつけてくるようですね。(調べれば普通にわかったはずのことですが)
4)今回してやられたけど、野戦における一点突破型の兵力配置というのもいいかもしれない。反乱軍の討伐に手こずるのもこれが理由かしら。とはいえ、兵力の薄くなってる箇所は間違いなく押されるし、集中してる箇所が早く押し切ってくれないと目も当てられないことになりそうな予感。互角の兵力相手の時に活きる戦い方だろうか?


最後にスクショを。ウェールズ地方に2カ所ほどの例外もありますが、ほとんどアイルランド王国のCheinnselaig家とイングランド王国のゴドウィン家によって二分されてるのがわかるでしょうか。緑色がCheinnselaig家勢力地、ピンクと水色がゴドウィン家勢力地となっております。一部隊のみ動静が確認できる赤地の紋章のイングランド王国軍は、集結のために国内のどこかに向かってるところですね。オールバニ女公領(マップ中水色の領地)に大挙して押し寄せる前の、いわば嵐の前の静けさでしょうか。
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そんな感じで、次回もこのペースでいきたいところですが、どうなることやら。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 17:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月10日

お試しアイルランド戦記 in CK2 〜国土分裂〜

前回までのあらすじ: スコットランド地方に侵攻を続けるアイルランド王国。残る二大国を相手取る戦いは長期戦にもつれ込みがちであったが、着実に勝利を重ね、その勢力を広げていた。その最中、王に悲運が訪れたが、それでも侵略の勢いは衰えを見せず、ついにスコットランド王位を簒奪するに至った。しかし、それは同時に継承上の問題を孕むこととなる微妙な選択でもあったのだった……。


というわけで、相変わらずのゆったりペースですが、前回からの続きです。

今回の進捗は、前回終了時の1187年から2年経って1189年。領土としてはロス伯領とファイフ伯領とダベッド伯領の3カ所が加わったのですが、継承の都合でスコットランド地方の領地がヘブリティーズ諸島伯領とファイフ伯領だけになってしまいました。以下、その間の経緯について。


1.ロス伯領攻撃(対マレー公戦)

前回、最後にアソール伯領を獲得しましたが、摂政を務める王妃の統治能力からしてみれば直轄統治を続けることに問題はありません。

宣戦目標についてはグウィネズ公戦以前の方針を継続したまま次の戦機を窺うことにします。オールバニ女公との停戦期間が過ぎるまであと2年程となっていますが、背後のイングランド王国の国力を考えると見通しは不明瞭です。

先のヨーク公の内乱を契機にしたのか、イングランド王はその直轄領を拡大させており、動員可能兵力は2万を超えるまでになっていました。一時期は格上とも目されていたノルウェー王国ですが、一度は鎮まった国内の乱れが再び生じだしたことから、両国の国力は逆転していました。

スコットランド王位を獲得したといっても、あくまで周辺の二大国が他所への勢力拡大に注力している隙を突いているにすぎないのでした。早く両大国に見劣りしない国力を持つようになりたいものです。

そうこうしていると、翌年初頭、フランス王から婚姻の申し出がありました。王子をアイルランド王の娘と結婚させたいとのことです。

王女はすでに成人から2年が経っていたのですが、他の者の婚姻を優先していたため今まで手付かずの状態になっていました。ここで相手から申し出があったのは好都合と言えるでしょうか。それにしても、大陸から使者が来たのは初めてです。ブリテン島内の勢力からの申し出ならば、近い将来においてことを構えるつもりであるため躊躇するところですが、大陸側の国家ならば断る理由はありません。ブリテン島対岸の大陸国家であることから、対イングランド王国戦の援軍も期待できるかもしれません。それに、相手は王太子です。末長い付き合いも期待できます。

諸々の打算も含めて、王女を送り出すことにしました。この婚姻が効いてくるのは、何年後のことになるでしょうか。

その2ヶ月半ほど後、戦機が訪れます。

スコットランド北端のロス伯領とケイスネス伯領を有するマレー公は昨年、主君であるノルウェー王に対して反乱を起こし、まもなく鎮圧されていました。その後も公は位を剥奪されることなく、牢に入れられた様子もなかったのですが、この年、またしても反乱を起こしたのです。

ノルウェー王からしてみれば腸の煮えくり返るような背信行為でしょうが、アイルランド王国からしてみれば絶好の戦機です。すぐにノルウェー王国の鎮圧軍が向かってくるでしょうが、本国からの距離が近いこちらの軍ならば先に現地に赴き包囲を始めることができるはずです。また、報告によると、昨年の反乱時にはノルウェー王国軍もケイスネス伯領の堅牢さに手間取っていたようですが、その際の強攻の爪跡なのか、直轄兵がほぼ壊滅的な打撃を受けています。ロス伯領も同様であることから、力攻めによって短期間で勝負を付けることは十分可能です。

1188年3月末、反乱を起こしノルウェー王の下から独立したマレー公に対して宣戦を布告しました。

今回、戦力の逐次投入については考えるところもあったのですが、相手の戦力が少ないことから、短期決戦のつもりならば忠誠心の薄い封臣領からの動員は必要ないと判断しました。競合するノルウェー王国軍との衝突が起きたときのことを考えると不安もありますが、予備戦力の投入はその気配が見えてからでも間に合うでしょう。なにより大事なことは、ノルウェー王国軍よりも先に包囲を開始することです。

直轄領及び封臣領から合わせて8672の兵力を動員すると、そのうちロス伯領の南に境を接するマレー伯領からの徴収兵368を、寡兵を構わず北進させます。敵軍はロス伯領とケイスネス伯領合わせて724の兵を出陣させたようですが、数日遅れで島嶼公領からの徴収兵1344に後を追わせています。これで十分な援護になるでしょう。

開戦から半月ほど経った頃、第一陣がロス伯領に到着しました。ロス伯領から出陣したマレー公軍は、どうやらケイスネス伯領で味方の軍と合流し、様子を見るようです。それを遠目に見つめながら、第二陣の到着を待ってロス伯領の包囲を始めます。

ここまでは順調ですが、まだこの時点での包囲軍の兵力は1812しかありません。先の反乱鎮圧に際し、ノルウェー王国が一度で輸送したわけではないにせよ9000程の兵力を投入していたことを思うと、後続の軍との合流がなるまでは油断はできません。

第一陣の到着から半月ほどが経った頃、ロス伯領の包囲軍には7000程のアイルランド王国軍が集結していました。最後尾の船団も間もなくロス伯領の沖合に到着するとのことです。あと10日もあれば残りの軍もすべて合流が整う予定です。それを待って、一気に力攻めでロス伯領を占領してしまいましょう。

上陸するアイルランド王国軍をその目で確かめるべく沖合を眺めていたのですが、その中にアイルランド王国軍とは異なる紋章を掲げた船団に目がとまります。掲げられている紋章は赤地に金の獅子。ノルウェー王国のものでした。

船団の数は。そこから推測される兵力は。すぐさま確認させようとしますが、気付いた時にはすでに上陸態勢に入っており、間に合いそうにもありません。

もし10000にも及ぶ大部隊だったら……。焦りを覚えますが、今からでは何の対策もとれません。

こうなったらもうどっしりと構えているほかありません。アイルランド王国軍だって7000〜8000程の兵力を集結させています。将軍にも選りすぐりの廷臣たちを任命しています。敵軍が一度に輸送してくる人員の傾向を思い起こしてみても、ちょっとやそっとの軍で破られるものではないはずです。

腹をくくって待ち構えることにしたところ、ノルウェー王国軍の上陸先がロス伯領ではないことがわかりました。どうやら彼らはヘブリティーズ諸島伯領に上陸したようです。また、判明した兵力はたったの420でした。後続の船団は、現状見当たりません。

様子見の構えを見せるノルウェー王国軍に安心したアイルランド王国軍は、動員した兵力がすべて集結するのを待ち、すかさずロス伯領への力攻めを開始させます。

ロス伯領の兵力はもともと壊滅状態であり、残っていた兵力もすべてケイスネス伯領に駐軍していることから、陥落させるのにそれほど時間はかかりません。城・教会・都市(前回までは都市がそんなにあったんだろうかと「街」にしてましたが、どうも各地に点在してたようなので)、その全てをひと月足らずで陥落させることに成功しました。

先の反乱時には、ケイスネス伯領まで占領されてようやくマレー公はノルウェー王に対して敗北を認めたようですが、どうやらアイルランド王に対してはそこまで頑固な抵抗はしないようです。ロス伯領を占領した直後の講和の申し入れに承諾する旨の返答を寄越しました。

そうして1184年6月14日、講和の条件としてロス伯領を獲得。ここに、この度の戦争は終結を迎えました。

マレー公による反乱はまだ続いており、斥候の届く範囲内でのノルウェー軍の規模ならばあわよくばケイスネス伯領を窺うことも可能なように思えるのですが、再度の開戦には一度軍旅を解く必要があります。先のことはそれから考えることにしましょう。

ここで周辺の情勢を調べ直してみると、アイルランド王国による勢力伸長の他にも一点、変化があることに気付きます。ウェールズ地方のグウィネズ伯領が、イングランド王の封臣であるエセックス公の領地になっているのです。どうやら対マレー公戦の間に領有者が変わったようですが、その間に何が起きたのかは不明です。継承の都合でしょうか。いずれにせよ、イングランド王国がウェールズ地方にその勢力を伸ばしだしたということです。


2.3代アイルランド国王Mutudán1世崩御

一旦、軍を解散させると、さらにケイスネス伯領を窺うべきかと調査を始めました。現在ケイスネス伯領を包囲しているノルウェー王国軍は1000にも満たない小勢です。あとから援軍はやってくるでしょうが、先に手を付けてしまえばアイルランド王国側が有利にことを進められるのではないでしょうか。

そこまで考えたところで、肝心なことを忘れていることに気付きました。マレー公とはつい先ほど講和条約を結んだばかりであり、10年の休戦期間に入ったばかりではありませんか。それを押して開戦しようなど、許されがたき恥知らずな行いです。仕方がありません。スコットランド最北端に残った敵勢力領の獲得はまた次の機会に回すことにします。

オールバニ女公との休戦期間が残り1,2年となっていたことから、そちらとの開戦に向けて国力の増強に努めることにしようと考えていたところ、翌月にすぐさま開戦の絶好の機会が訪れました。女公の封臣であるポーイス伯が独立戦争を起こし、スコットランド地方でもファイフ伯がそれに呼応したのです。

ファイフ伯領は、ケイスネス伯領ほどではないにしても堅牢な城を有する地ですが、独立戦争に出兵することから防備は手薄になります。女公の軍によって先にファイフ伯領の城を陥落させられると介入の余地を失ってしまうのですが、どうやら一伯領辺りの動員兵力はファイフ伯が勝っているようです。女公軍が集結に時間をかけているうちに横入りしてしまえばこちらのものでしょう。イングランド王国軍がこの件にどう関わってくるのかが最大の気掛かりですが、近場のポーイス伯領の方を優先させてくれるならば、その間に力攻めでなんとかできるかもしれません。防衛戦力を鑑みるに、ファイフ伯相手の戦は長くとも半年ほどで決着を付けれそうに思えますから。1188年7月27日、ファイフ伯に宣戦を布告します。

先の戦争の消耗が回復しきっていない地域もあることから、まず準備万全な地域から7149の兵を動員し、回復し次第さらに後方から追加の軍を動員することにします。独立戦争を行う兵士たちの衝突に巻き込まれることを避ける目的もあり、進軍には船を用います。

第一軍がファイフ伯領に到着するまでの間、女公軍がその地の包囲の先取権を主張することになりはしないかと心配していましたが、独立戦争の経過を追わせていると、どうやらファイフ伯領からは離れた地域での衝突が予想されるようです。

安心してその地にアイルランド王国軍を集結させていると、両軍の衝突の趨勢が見えてきました。なんとファイフ伯軍が数で勝る女公軍を打ち破ったようです。女公軍がまとまりきらないところを叩いたのが功を奏したようです。ファイフ伯軍がその後こちらに取って返してくることも考えられましたが、兵力差から勝てないことがわかっているためか、その場に留まってアイルランド王国軍の動向を様子見する方針のようです。

後続軍の到着を待ちながら包囲を続けていると、嫌な知らせが届きました。イングランド王国が独立戦争に援軍を派遣したというのです。直接敵対するものではありませんが、軍がかち合ってしまった場合、戦争目的に対立する部分があることから、戦闘に陥るのは間違いありません。続報によるとまずはポーイス伯領に向かったようですが、いずれはファイフ伯領を目指して進軍してくる可能性も捨てきれません。もともと短期決戦のつもりですが、イングランド王国軍が来るのが早いかアイルランド王国が要求を押し通すのが早いか、微妙な情勢になりそうです。

第一軍がファイフ伯領に到着してから1カ月後、後方からの追加も含めて包囲軍は11436にまで増加していました。動員した軍がすべて到着したことを確認すると、即座に力攻めを開始させます。

半月ほどで城は陥落。続けて教会の力攻めに向けての準備を進めていたところに凶報が飛び込んできました。先年悲運に倒れたMutudán1世が1188年10月18日、ついに息を引き取ったというのです。

その報せに、場は一時に混乱の様相を呈しました。今行われている戦争は、一体どうなってしまうのでしょうか?


3.続ファイフ伯領攻撃(対ファイフ伯戦)

Matudán1世の後継者としては当初の指名通り、兄のフィンゲン1世が当主の座を引き継ぎました。しかし、それはあくまでアイルランド王位についてのことです。スコットランド王位については、簒奪時より変更を行えないまま男子優先の長子相続制が採用されていました。そのため、スコットランド王の座はMatudán1世の長男ウイリアムへと受け継がれることになりました。またスコットランド地方の領地についても、ティロン伯が保有するヘブリティーズ諸島伯領を除いてそのすべてが新スコットランド王ウイリアム1世の勢力下に置かれるものとなってしまいました。

スコットランド王位簒奪の際に覚悟はしていましたが、いざ分裂してみると厄介です。困った点はいくつもありますが、まず直面するのは動員可能兵力の減少です。急いで国力を調べ直させると、分裂後のアイルランド王国の動員可能兵力は10000弱、スコットランド王国は5000弱です。一つにまとまっていればこそ強国にも対抗できるというものですが、分かたれた後の兵力では非常に心許ないです。同盟軍を要請すれば以前と同等の戦力を整えられるかもしれませんが、あまりの頻繁な要請は互いの関係を悪化させます。長男に継がせなかったことで、ただでさえフィンゲン1世とウイリアム1世との関係は親密とは言い難いのですから。

しかし、悩んでいて解決することでもありません。もともと王兄フィンゲンが亡くなったら長男ウイリアムを指名するつもりではいました。ここではその方針を延長して適用させることにします。一族には他にもっと優秀な者もいますが、ウイリアム1世も凡庸な人物ではありません。それに、この場合は再統合を図ることこそなによりも優先すべき目標です。フィンゲン1世もすでに齢50を超えて老域に差し掛かっていることから、近いうちにその目標は達成できるのではないでしょうか。後ろ暗いことを考えるならば、フィンゲン1世に怪我や病気などに罹りやすい行動をとらせてみるのもいいかもしれません。宮廷内にはウイリアム1世をアイルランド王位に即けようとする派閥も存在しており、彼らの勢力拡大にも期待できるかもしれません。

また、不安なのがまさに今行われている戦争の行方です。今回の戦争で、宣戦布告の口実に用いたのはスコットランド王位です。その位が手元から失われてしまった今、戦争の継続は可能なのでしょうか? 加えて、スコットランド王の勢力下に組み込まれた地域から徴収した兵士たちの指揮権は新アイルランド王が保持し続けられるのでしょうか?

結論から言ってしまうえば、どちらも答えはYesでした。どのような理由からかはわかりませんが、王が亡くなる以前に出された宣言や命令は効力を持ち続けるようです。ウイリアム1世までもが将軍として指揮下に入っているのは、なんとも奇妙な光景ですが。

急報とそれに伴う変化の中からすぐさま手を打つべき課題の対処を指示すると、継続が可能と判明した目の前の戦争に取り組み直すことにします。

その間に包囲軍の準備はしっかり整っていたので即座に教会に対して力攻めを開始するよう指示を出し、翌月にはこれは陥落させます。この際、普段の倍近い損害を被ることになったのですが、これは先王崩御の報に接した兵士たちの動揺ゆえでしょうか? そのような兆候は見られなかったはずですが、なにがしか影響を与えるものがなかったとは言い切れません。

最後に残った都市ですが、防衛戦力が強固であり、力攻めをしても徒に損害を増やすだけと判断できることから、開戦前の計画通り、包囲継続による陥落を目指します。

4,5カ月で陥落させることが可能であるとの見通しが立ちましたが、その間イングランド王国軍がのんびりしていてくれるはずがありませんでした。ポーイス伯領に5000程の包囲軍を残し、残り約13000の兵力を北上させだしたのです。しかも、王の崩御に伴うごたごたの間にそちらに対する注意はおろそかになっており、完全にその動きを見過ごしていました。すぐ近くのスコットランド地方領に駐軍中のファイフ伯軍と衝突が始まったとの報せで初めてそれに気付くという体たらくです。

力攻めによる損耗を経たアイルランド王国軍の兵力は9229。ファイフ伯領に押し寄せられた場合、数で劣る我が軍に勝ち目はありません。なんとしても衝突は避けねばなりません。ファイフ伯領にはこちらが先に手を付けていることから横取りされる心配はありませんが、避けられるならば軍勢の損害は抑えなければなりません。イングランド王国軍が迫ってくるとわかった場合の逃げ場所として、一番安全なのは船の上でしょう。イングランド王国軍がこちらに向かってくる前に間に合うことを祈りながら、急遽船団をファイフ伯領の沖合であるフォース湾に集結させます。いくら船の移動速度が速いといっても、微妙なタイミングです。間に合うか否か、緊迫した空気が漂うなか船団の到着を待ちます。

ところがといっていいのか、どれだけ待ってもファイフ伯軍を破ったイングランド王国軍がファイフ伯領の隣接地域に現れることはありませんでした。どうやら、ポーイス伯領を陥落させに向かったようです。ウェールズ地方に派遣中の宰相からその確報がもたらされた時、体の緊張がほぐれていくのがわかりました。それと同時に、この戦争の峠は越えたとの感がこみ上げてきました。

その後まもなく、包囲中の都市は陥落し、1189年3月31日、ファイフ伯に対し武力で以ってアイルランド王国への臣従を誓わせるに至りました。戦争を吹っ掛けたという経緯もありファイフ伯の忠誠については不安もあったのですが、現状ではどうやらいい関係を築けているようです。宣戦布告した王から代替わりしているためかもしれません。

陣中には戦勝気分が漂っていました。先王の死と国土の分裂という、このあと向き合っていかねばならない事態を、この時だけは忘れてしまおうとするかのように。しかし、その雰囲気は直後に届いた一報により霧散してしまうのでした。

それは、次の宣戦目標選定のために各地の調査に向かわせた者のうちの一人からの報せでした。オールバニ女公の勢力下であったバカン伯領がイングランド王の勢力下に組み入れられているというのです。

遡って調査させてみると、ポーイス伯が独立戦争を起こした直後に女公の長男であるバカン伯が亡くなり、その子供であるエセックス公が後を継いだことによって所属が変わっていたようなのです。また、女公の後継者であった長男が亡くなったことにより、女公の後継者もエセックス公とされているというのは由々しき問題です。女公は既に70歳の老君なのですから。女公の勢力がまるまるイングランド王の勢力下に組み入れられるのは、遠い未来のこととは思えません。アイルランド王国とスコットランド王国の再統合よりも先に起こる可能性の方が高いくらいです。ブリタニア地域の覇権争いは、アイルランド王国にとって苦しい情勢になってきました。


4.ダベッド伯領攻撃(対Deheubarth(読み方不明。「デヘウバース」でぐぐっても1件しかヒットしない……)公戦)

伸長を始めたイングランド王国に対抗する国力をつけるためには、これまで以上に素早く領土拡張を行っていく必要があります。次の手を打つために、まずはファイフ伯領に駐留している軍を解散させます。今やスコットランド王国軍となっている部隊とも、フィンゲン1世の指揮下に共闘する形になっていましたが、それもここまでです。ここからはしばらく、スコットランド王国の兵力を当てにせず戦っていかなければなりません。

スコットランド王位が手元に亡くなってしまったことから、そちらの地方に侵攻する口実はありません。しかし、先の戦の最中、ウェールズ地方に派遣していた宰相がダベッド伯領の請求権の捏造に成功しています。ダベッド伯領を有するDeheubarth公の領土はその地のみであり、同盟関係もイングランドの一伯としか確認できないとのことです。これなら国力が3分の2に低下した今のアイルランド王国でも問題なく勝利できます。

先の戦の損害がある程度回復してきた1189年8月1日、Deheubarth公に宣戦を布告しました。

ダベッド伯領の防衛戦力は強固ですが、長くとも1伯領を占領すれば終わる戦であり、他の開戦の口実も手に入れていないことから、直轄領と忠誠の篤い封臣領からのみ、5291の兵を動員し、船を使ってセントジョージズ海峡よりダベッド伯領に続々と軍を上陸させます。

Deheubarth公は1162の兵を動員していましたが、フィンゲン1世自ら率いる上陸戦の末これを破りダベッド伯領の包囲を開始します。ここで、直轄軍の動員により城の防衛戦力が手薄になっていることに気付きました。現状の兵力だけでは心許ないですが、後方から追加の軍を加えれば力攻めで短期に勝負を決めることができそうです。

3102の兵力を動員して、グウィネズ伯領Llanbadarnの城を包囲し始めていた敵の敗残兵を蹴散らさせたのち、ダベッド伯領の包囲軍に合流させます。

その後、ただちに力攻めを開始し、10日程の攻防の末に城を陥落させます。

これ以降はゆるゆると包囲を継続して教会と都市を陥落させていくつもりでしたが、この時点でDeheubarth公にこちらの要求を受け入れるつもりがあるか探りを入れてみると、どうやら相手側もすでにその気になっているようです。一応ながらの確認のつもりでしたが、早く終わらせられるのならそれに越したことはありません。講和の使者を遣わし、公よりダベッド伯領を獲得する条約を締結することに成功しました。1189年11月7日のことです。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


今回分の進捗は以上です。字数を抑えるべく場面ごとに分量圧縮を意識したつもりですが、別段変わらなかったような……。ある程度進めてから一気に書き進めるやり方からちょっと進めてはちょっと書いてというやり方に変えたことで、無駄な描写が増えたせいでしょうか。


反省点:
国土の分割は、短期間になったとしても国力の低下が痛い。素早い侵攻ペースが要求される時は特に避けるべし。

わかったこと:
(前回の書きそびれ)いつものキャプチャ画像の画面について。あれ以上に広域表示させると、黒い靄のようなものが表示されなくなって、地図上に本当に軍勢がいないのか見ることができないだけかがパッと見でわからなくなる。一画面で納まりきらないほどに戦線が拡大した時にどう対応するか、要検討。
1)君主が死んでも戦争は継続される(王位に伴う請求権の場合。公位でも同様か? 他の場合は不明)
2)兄弟に位を継がせると、娘の婚姻によって構築された同盟関係は失われる。選挙相続の注意点か。
3)敵軍のいる地に船を使って移動するとき、船を港に停泊させて上陸させた場合はペナルティは受けないが、沖合からそのまま上陸させた場合は上陸戦ペナルティを受ける。(数値までは記憶していないので渡河や渡海のペナルティと比べてどうだったかは不明)

気掛かりなこと・よくわからないこと:
(そういえば)10年以上過ぎても3代前のドムナル1世時代の借金返済の催促が来ない。(個人のつてで借りたものだから、本人が亡くなると同時に債務は放棄される?)
ブリタニア皇帝の称号を創設するのに必要な領土数はいくつか? オールバニ女公の年齢的にもイングランド王はそろそろ王手かけてる気がする。


最後にスクショです。水色ではない方の青っぽい色が今回分裂してしまったスコットランド王国です。そしてウェールズとスコットランドにピンクのイングランド王国領がぽつりと存在感を示しているのがわかるかと。ウェールズにエセックス公の紋章が掲げられてるのはなんとも違和感を覚える光景ではありますが。
CK2_6.jpg

そんな感じで、余裕のあるうちにがっつり進めるべきなのかなーとも思いますが、どうしたものやら。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 14:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月17日

お試しアイルランド戦記 in CK2 〜王の悲運〜

前回までのあらすじ:スコットランド王国が内紛にあえぐ隙をついてスコットランドの地にて着々と勢力を広げるアイルランド王国。スコットランド王国がイングランド王国と同盟関係になってからは、やや動きも慎重にならざるを得なかったが、彼の地での優勢は揺らがなかった。相次いで王を亡くしもしたが、新王の下で3年半以上にも及ぶ長期戦の末にマン島伯領の獲得に成功し、ついにスコットランド地方の過半の領土を手中に収めるに至ったのであった。


ということで、前回の続きです。

今回書いていくのは、前回区切った1179年から8年経過して1187年まで。領土としてはマレー伯領とアソール伯領が加わります。また、簒奪によりスコットランド王位も手に入れました。それでは以下、その間の出来事を書いていきます。


1.戦後処理と次なる攻略目標

先の戦でマン島伯領を手に入れました。直轄領が一つ増えることになったということですが、普段から家臣たちの間で角が経たない範囲内で許す限りの数を保有しているので、新たに加わった分を保持し続けていると忠誠心の低下を招きます。10年ほど前ならば渡せそうな血縁者がいないと頭を悩ませるところですが、当主の交代とともに家臣たちの中でも世代交代が進んでおり、今ではそれほど困ることはありません。コノート公の次男にマン島伯の位を与え、また全ての属領を勢力下に収めた島嶼公の位をMatudán1世の兄であるアーガイル伯に授けます。

続いて、次の獲得目標について考えます。スコットランド王国とは戦火を交えたばかりなのでノルウェー王国領を奪取したいところです。先王コンホバル1世が崩御した際、マレー伯領に有していた請求権は継承されなかったのですが、Matudán1世が即位すると再び宰相を派遣しスコットランド王国と戦争を行っている間に権利の捏造には成功していました。しかし、ノルウェー王国とイングランド王国との戦争はまだ続いています。また、休戦期間が3年残っていることもあり、しばらく様子見するほかありません。

一方のスコットランド王国方面ですが、こちらも戦争したばかりであるためしばらく手出しすることができません。とはいえ、次回の戦に向けてどこかに口実を作りだしてやることはできます。マレー伯領の請求権捏造後にアソール伯領へ派遣し直した宰相の工作が実を結ぶ日を待つことにしましょう。

そうそう、マン島伯領を手に入れたことで、スコットランド地方の領土の過半数を勢力化に置くことができていたのでした。国庫の資金もしっかり貯めてありますし、スコットランド王位簒奪のためのこちらの条件は十分満たせています。

スコットランド王位が手に入れば、ちまちま請求権の捏造などせずとも開戦の大義名分が立ちます。そうなったら、今度は宰相にウェールズ地方の権利を捏造させてやりましょうか。あそこはイングランド王の権力の及ばぬ土地ですし、その地にまで勢力を広げるようになれば、さらに上の位に登り詰めることも夢ではなくなります。

意気込んで簒奪の準備を進めさせようとしたのですが、調べているとどうやら現状では不可能であるということがわかりました。それまでの胸算用がいきなり出鼻を挫かれたかたちですが、理由ははっきりしています。スコットランド王位の保有者ならびにその簒奪を狙う者のどちらの勢力ともに戦時中であってはならないのだそうです。

今、スコットランド王国が抱えている戦争といえば、イングランド王国の同盟軍としての参戦している対ノルウェー王国戦です。二正面での進行を企図するアイルランド王国としては、ノルウェー王国とスコットランド王国の戦線はそれぞれ別に考えていたのですが、あちらが終わらなければこちらもままならないという状況になってみると、両国が境を接する国であったことを思い出させられます。

そういうことで、イングランド王国とノルウェー王国の戦が終わらない限りスコットランド王位の簒奪ができないことはわかりましたが、ではこの戦はいつ終わるのでしょうか? 当初はイングランド王国が優勢のうちにことを進め、うち一つは持久戦になったようですが、スコットランド北部のノルウェー王国領である3箇所すべてを占領するに到りました。しかし、イングランド内部の反乱の影響か、その後ぴたりと攻勢が止まり、逆にノルウェー王国軍に占領した地を奪い返されだしていたのでした。傾きかけていた形勢は拮抗しだしています。調べれば調べるほどに、1年や2年で勝敗が決まりそうには思えませんでした。

なので、ウェールズ地方に宰相を派遣する案は先送りにし、スコットランド王位が手に入るまではスコットランドの地で、主に反乱を起こしそうな封臣領での請求権の捏造を図ることにします。

攻略目標に関して考えておくべきことはこの程度でしょうか。イングランド国内で王位を求めて反乱を起こしたヨーク公は非ゴドウィン家の出身であり、スコットランドとの関係を絶つ意味でも内乱に介入する価値はありそうですが、先の戦の損害も回復しきらないというのにあのイングランド王国を敵に回すのかと思うとどうしても躊躇してしまいます。

結局は、どこを攻撃するにせよ、しばらくは待ちの姿勢をとるしかないということです。その間に少しでも国力を増強し、いざその時のために牙を磨いておくことにします。


2.家臣の忠誠低下に悩むのこと

そうして先の戦が終わってから半年ほどたった頃、Matudán1世の妻が夫に、宮廷生活の無聊を慰めるために時間を割いてほしいと訴えてきました。政務が忙しいとはねつけさせることも可能だったのですが、Matudán1世にはいまだその天才性を受け継ぐ子供が生まれていません。前回の報告で書きそびれていましたが、トモンド伯以来のMatudán1世の評議会はあまりにも有能な人材に乏しく、その一員であった妻も含めて先代以来の廷臣たちに総入れ替えせざるを得ませんでした。その後もちょっとした行き違いがあり、妻からの評価はマイナスになってしまっていました。はっきりとしたことはわかりませんが、夫婦仲が冷めていては子供は生まれにくいのではないでしょうか。妻を構いつけさせると、Matudán1世は1年ほどその能力をフルに発揮することができなくなりますが、優秀な後継者を残すためならばやむなしです。一時的な家政能力の低下により直轄領が切り盛りできる限界を超えることになりますが、金の力を使えば1年ほど忠誠心の薄い封臣をなだめるくらいなんてことはありません。

そんなつもりでいたのですが、その3ヶ月後にMatudán1世が「いつでも誰にでも親切に接してやることにうんざりしてしまった」とぼやきだします。無理に妻の相手をさせたせいでしょうか。なんにせよ、親切な心を失ってしまったことから、家政能力はさらに減少してしまいました。しかもこれは一時的なことではなく、再びその精神を取り戻さない限り恒久的なことです。

親切さの喪失は家臣の忠誠心にも大きな影響を及ぼしました。Matudán1世は王位につく以前から怠け者としての性格を持っており、そのことから家臣の心が離れがちになっていたのですが、親切さによりぎりぎりのところでマイナスにならない程度にカバーしていた部分がありました。それが親切心まで失ってしまうと、もうマイナスまで落ち込む忠誠心を補わせるものは、長期の在位か金かしかありません。即位して4年半しか経たないMatudán1世に長期の在位による安心感を醸し出させることは不可能です。金をばら撒いてなんとか忠誠をつなぎとめますが、内政に回すはずだった金がそれ以外に消費されていくことには忸怩たる思いを抑えられません。


3.内戦

そうこうしてなんとか問題をやり過ごしていると、領内で王命によらない軍の動きがありました。封臣間で戦が始まったのです。スコットランド地方のキャリック女伯が、請求権を持つ血縁者のためにギャロウェイ公位を求めて宣戦布告したとのことです。初代国王による王権拡大によって封臣間の争いは禁止されていたはずですが、封臣とそのまた封臣による争いまでは止められないようです。

キャリック女伯が動員できる伯領は1つ、ギャロウェイ公はキャリック伯領を除いても2つであり、実際に動員した兵力を見ていてもギャロウェイ公が優勢のまま小規模な争いのうちに終わるだろうと思っていたのですが、戦闘は一気に大規模なものへと変貌していきます。なぜなら、家臣を伯領に封ずる際、これまでそのすべてを王の数親等以内の血縁者から選んできたために、国内は両者ともに同盟関係にある地ばかりだったのです。当のキャリック女伯とギャロウェイ公も、遠縁ではありますが血のつながりはあります。中には援軍の要請を拒んだ者もいましたが、気付けば当初の敵対陣営を含んで4人の公と5人の伯が関わり5000以上の兵力が入り乱れる一大内戦へと発展してしまっていました。

この内乱はイングランド王国で今まさに起こっているような王への反乱ではありませんが、関わった領主の数としては勝るとも劣らない規模だったと言えるでしょう。こんなことを誇りたくはありませんが。

結果的には、当初の敵対陣営の戦力差がさらに広がったことから、開戦より8ヶ月ほどでギャロウェイ公側が勝利しました。キャリック女伯は投獄されることとなりましたが、すぐに釈放されたようです。


4.マレー伯領攻撃(対ノルウェー王国戦) スコットランド編

そうこうしている間に、北方の戦で動きがありました。イングランド王国とノルウェー王国が痛み分けの講和を結んでいたのです。イングランド王国軍により占領されていた地を解放したノルウェー王国軍が余勢を駆ってイングランド王国本領に雪崩れ込む展開を密かに期待していたりもしたのですが、そうはならなかったようです。

しかし、こうなると、イングランド王国内部でのヨーク公らや彼らに属さない別の勢力による反乱も鎮圧に向かうものと見るべきでしょう。戦況次第ではヨーク公の息子にMatuán1世の娘を嫁がせてることも考えていましたが、今となってはその手はイングランド王国にアイルランド王国攻撃の口実を与えることになりかねません。Matudán1世の娘はもっと遠くに行かせることにしましょう。正教圏も考えましたが、ロートリンゲン辺り(うろ覚え)に手頃な王がいたのでそちらに嫁がせることにしました。

この頃にはまた、ノルウェー王国との休戦期間も期限を迎えます。すぐにでも攻め入りたいところですが、相手はイングランド王国にも匹敵する国力を有するはずの強国。無謀な攻撃を行うと、痛み分けで終わった先のノルウェー王国戦の二の舞にしかなりません。しかも、調べてみると、イングランド王国と同等と思っていた国力がそれを凌ぐほどに膨れ上がっているではありませんか。隙を突けば問題なく勝てるだろうなどという心持ちで相手をしていい敵ではないようです。気を引き締めてかかるべきでしょう。

慎重に隙を窺っていると、間もなくそれらしき時節が到来します。ノルウェー王国がスウェーデン王国に宣戦布告したのです。スウェーデン王国についてはあまり情報に目を通していないのですが、吹けば飛ぶような小国ではないはずです。どれほど持ち堪えうるのかはわかりませんが、長引かせなければ反攻の態勢が整う前に勝利をつかむことができるのではないでしょうか。

そうして1182年12月26日、マレー伯領の請求権を行使しノルウェー王国に宣戦布告しました。

懸念材料として、この時ロス伯領とケイスネス伯領を有するマレー公は、スコットランド王国から独立してスコットランド王位継承戦争を起こしたバカン伯と戦争状態にありましたが、バカン伯は継承戦争の方に集中していたため問題になる可能性は低いでしょう。

相手は間違いなく格上なので手加減などしていられません。国内全土から、忠誠がマイナスな封臣には金品を贈ってでも多くの兵をかき集めます。その総数は12276。野戦にて迎え撃つ敵軍はスコットランド地方からのみの動員で、ノルウェー王国軍ならびにマレー公軍合わせて3000。285の損害で敵軍に2000以上の損害を与え蹴散らします。

しかしこの野戦では、これまでの戦ならば得られた戦勝点を全く得ることができませんでした。先のスコットランド王国戦以上の苦しい戦いになる。そう予感させるに十分な緒戦でした。

また、元帥を務める兄ほどではないにせよ父譲りの軍事能力を持ち合わせていたMatudán1世も将軍として前線に出ていたのですが、この戦いで負傷してしまいました。とはいっても、合戦の際に上昇していた分もあり差し引きはゼロ。さらなる能力向上を期待して行軍を続けさせます。その方が兵の士気も上がる、などということは特にないのですが。

それはともかく、敵迎撃軍にはいまだ812の兵力が残っていましたが、その程度であれば自国内の領土が包囲されるおそれはほとんどないと言えるでしょう。無視してマレー伯領に移動し、戦線から3ヶ月が経つ頃には包囲戦を始めます。スコットランド北方はほぼ一直線の移動通路しかないので南から順に包囲していく中で蹴散らしても十分ですし、なによりあまり目標地点から離れてしまうと、陸路での移動に半月以上も掛かるのでロスタイムが多くなってしまいます。

戦火にさらされてからあまり間がないせいか、マレー伯領は城・教会・街ともに兵力が軒並み少なくなっており防衛戦力が手薄でした。すかさず力攻めを敢行し、ひと月でそのすべてを陥落させてしまいます。この時点ですでに戦勝点はすでに32%に達しましたが、あくまで請求権を行使した地だったからでしょう。それ以外の地の占領がこれほど大きく寄与することは考えにくいです。

また、あわよくばこれでこちらの要求を受け入れてくれればという淡い期待もありましたが、もちろんそんな甘い相手ではありません。力攻めにより消耗で10667まで減少した軍を率いてマレー伯領の北に隣接するロス伯領の包囲に向かいます。

ロス伯は先の野戦でぶつかったマレー公その人でもあるため、ここでも軒並み兵力が少なくなっており、城・教会・街ともに余裕を持って力攻めの安全圏内に収まっていました。ここでも1ヶ月ほどでそのすべてを陥落させ、ロス伯領を占領します。この時点での戦勝点は53%。前回の報告中でイングランド王国が攻めあぐねだしたのもこのくらいからだったでしょうか。ノルウェー王はまだこちらの要求を受け入れる素振りを見せず、9626にまで消耗した軍を率いて次なる占領目標を探します。

ロス伯領の北隣にはケイスネス伯領があるのですが、この地は直轄軍を動員しておらず万全な防備体制を整えています。その城の防衛戦力は1800余り。伯領を完全に占領するつもりならば最低でも2年は見込まなければならないでしょう。幸いまだノルウェー王国とスウェーデン王国の戦は形勢が傾きだした様子はありませんが、隙を突いて始めた戦なので、時間をかければかけるほどこちらが不利になります。

そこで、力攻めで落とせそうな地はないかと広大なノルウェー王国領を一つ一つ丹念に調べていくと、まずスコットランド北側のシェトランド諸島伯領が目に入りました。この地は街も教会もなく城だけなのですが、防衛戦力は849しかありませんでした。一度解散していた船を召集し直すまでに若干のもたつきもありましたが、ロス伯領占領の2ヵ月後にはシェトランド諸島伯領も占領できました。

この時点での勝利点は58%。辺境の地を多く保有するノルウェー王国としても小島であり辺境である地なのか、ほとんど勝利点が増えません。もちろんノルウェー王もまだこちらの要求を聞き入れる耳は持ちません。

消耗戦の状態を呈しだした感がありますが、とにかくどこか占領しなければ話は進みません。9194にまで消耗した兵員を、次はどこに差し向けるべきかと考えようとしたところ、ノルウェー王国軍4483がスカンディナヴィア方面よりやってきてマレー伯領を解放すべく包囲を始めているとの知らせが届きました。

さすがに本体はスウェーデン王国との戦線に投入されているのでしょうが、500や1000ならともかく、それだけの兵を差し向けられては無視しているわけにいきません。万にも及ぶ軍が来なかっただけ好都合。むしろ戦勝点稼ぎのいい相手だと思い、マレー伯領まで船で兵員を輸送し、野戦に臨みます。ここでも優勢に戦線は推移。一度では相手を蹴散らしきれず、敗走する敵軍を追撃にかかりますが、この追撃戦でこの戦争最大の被害をこうむることになったのです。

アイルランド王国軍の兵力は8528、対するノルウェー王国軍の兵力は1604。覆されようもないはずの戦力差であり、事実こちらの損害は9で、敵兵に100倍以上の損害を与えたのですから。それに敵将を一人捕縛することにも成功しました。

しかし、その最中にこちらが受けた最大の痛手は兵力の損耗ではなかったのです。それはMatudán1世の再度の負傷でした。それも、二度と政務を執り行うことができなくなるほどの重傷でした。一命は取り留めましたが、回復は見込めないとのことです。

突然の事態に、しばし理解が追いつきませんでした。王が倒れてようがおかまいなしに続く合戦が、どこか別世界の出来事のように感じられました。野戦の決着がつくころにはなんとか気を持ち直しましたが、まだ事実を正面から受け止められません。

後継者である兄のフィンゲンが摂政についている? 摂政というのは、期限付きの君主補佐役のことでは? 期限付きなら、すぐにまた直接政務を執り行う日が来るのでは?

しかし、どれほど時間が経っても、Matudán1世が元気な姿を見せてくれることはもうないのです。


5.マレー伯領攻撃(対ノルウェー王国戦) スカンディナヴィア編

王の再起不能からくる悲しみは簡単には癒えませんが、一方で戦況は、この頃を境にしてアイルランド王国側に形勢が傾いていることがはっきりしてきます。

この時点での戦勝点は65%。ノルウェー王はこちらの要求に対して断固拒否の構えを崩しませんが、王の不幸を無駄にしないためにはどれほど戦線を拡大しようともこの戦で勝利をつかまないではいられません。残る8511の兵力で力攻めにできる領土を見つけるべく、ノルウェー王国領を隈なく調べていきます。

すると、防衛戦力の少ないところとしてはやはり、王の直轄領がその筆頭になるようです。当代に変わった頃からか、イングランド王がかつて以上に直轄領を保有するようになって来ているように感じていましたが、ノルウェー王も統治能力の許す限りに直轄領を保有しているようで、ボスニア湾岸地域にはそのうちの5箇所が連なっていました。また、封臣領でも防衛戦力の少ない所がいくつかあります。

虎穴に入らずんば虎児を得ずというのとは少し違うでしょうが、どこから敵の大群が現れるかわからないながらも敵勢力の懐深くまでの遠征を決心します。陸地から敵軍が迫ってきても、船に逃げ込むほうが早いだろうという目算もありました。

まず上陸したのはヘルシングランド伯領です。スコットランド最北端のケイスネス伯領から2ヶ月近くかけての行軍でした。途中、ノルウェー王国軍の小部隊をいくつか見かけましたが、本体と呼べるほどの兵団を見かけることはありませんでした。警戒を厳にする必要はありますが、この地の防衛戦力は517。すかさず力攻めし、陥落させます。この地は城が一つあるだけなので、早々に次の攻略目標に移ります。この時点での戦勝点は71%。

次は北隣のメーデルパッド伯領に移動しました。その際のアイルランド王国軍の兵力は8248です。ヘルシングランド伯領の城を陥落させてから1ヶ月経つか経たないうちに、メーデルパッド伯領も力攻めの末に陥落させます。この地域の伯領はほとんど城一つだけか、もしくはそれ以外の教会か街があっても力攻めの安全圏外なので、城だけ落としてすぐさま次の攻略目標点に移動していく作戦です。この時点での戦勝点は75%でした。

次は北隣のオンゲルマンランド伯領に8094の兵力で移動しました。メーデルパッド伯領の城陥落からほぼ1ヵ月後にオンゲルマンランド伯領の城も力攻めにより陥落させます。この時、戦勝点は79%でした。

次はその北隣のヴェルテルボッテン伯領なのですが、この辺りまで北上するともう一つ隣りの伯領に移動するのにも1ヶ月以上の時間が必要とされるようになってきました。さすがにそうなると船を使った行軍のほうが早くなってきます。8037の兵を率いてヴェルテルボッテン伯領に上陸したのち、力攻めで城を陥落させます。オンゲルマンランド伯領の城陥落からここまで1ヶ月と少し。この時点での戦勝点は85%です。

次はその北隣のケミ伯領に上陸しました。7469の兵で城を力攻めし、ヴェルテルボッテン伯領陥落から1ヶ月ほど経った頃には陥落させます。ここまでの5つはすべてノルウェー王の直轄領でした。この時点での戦勝点は90%です。

続いては6920の兵でケミ伯領からボスニア湾東岸沿いに南下してサタクンタ伯領に上陸しました。ケミ伯領の城を陥落させてから1ヵ月半ほどでこの地の城も陥落させることに成功します。この時点での戦勝点は94%です。

ここまでくると、さすがに力攻めするにも兵力が心許なくなってきました。後方から援軍を捻出しようにも、ほぼ全軍をかき集めてきたために動員兵力はすでに限界に達しています。どうしたものかと少しの間悩んだのですが、これまでなるべくならと避けてきた手段があることを思い出します。それは、傭兵団の雇用です。金食い虫であり、そちらに注ぎこむより内政に回すべきだとして避けてきたのですが、この状況で最も素早くかつ大量に兵力を増強する手といったらそれでしょう。

ケミ伯領を後にするとほぼ同時期にアイルランド団4142を雇い、バルチック海付近での合流を目指します。途中、再度スコットランド地方のマレー伯領解放を目指して包囲を始めようとしていたノルウェー王国軍の小部隊を追い散らしてもらうことも考えましたが、あまりにも士気が低すぎる(「規律がゆるみすぎている」?)ので、そちらにはよらず一直線でバルッチク海を目指してもらうことにします。

傭兵団を乗せた船がカテガット海峡に到達する頃には、すでにサタクンタ伯領の城も陥落していました。次の攻略目標であるヴィキン伯領はすでに通過した海域に面していたので、いったんその場で待機してもらい、本体と落ち合わせます。合流した後は、直ちにヴィキン伯領に上陸し城の力攻めを開始させるつもりです。すると、上陸した際にノルウェー王国軍の大隊の所在が判明しました。ヴィキン伯領の東隣のスウェーデン勢力下の伯領を6185の兵力で包囲中のノルウェー王国軍が見つかったのです。

その隊が目に入った瞬間には、もう一合戦あるかと身構えましたが、どうやら彼らは包囲戦に集中している様子です。それに、万が一攻め寄せてきても、兵力では勝っていますし、その他の隣接地にノルウェー王国軍の姿は見当たりません。ならば、できるだけ早くこのヴィキン伯領の地を陥落させ、次なる目標地点に向かうべきでしょう。

傭兵団と合わせて10735の兵力でヴィキンを伯領の城を力攻めにし、陥落させます。サタクンタ伯領の城を陥落させてから1ヶ月と半月余りが経過した頃でした。すると、ようやく戦勝点が100%に達しました。こちらの優勢が絶対であり、要求を拒否しようとしてもむりやり承諾させられるポイントです。

これで王の悲運が無駄になることはなくなった安心感だとか、消耗戦を戦い抜いた疲労感だとかがない交ぜになった気持ちが押し寄せてきましたが、とにもかくにもこれでようやくこの戦の幕を引くことができます。

こうして1184年8月6日、ノルウェー王に無理やり要求を飲ませ、なんとかマレー伯領を手に入れましたることができました。

それにしても、色々なことがありすぎました。疲れたので、少し休みたいところです。


6.再起不能の王

一休みすると、またそれまで通りの行程が待っています。まずは、戦後処理です。

摂政を務める王兄フィンゲンは優秀な部類には入るのですが、軍事方面には傑出しているもののその他の能力は人並みより少し上というくらいです。家政能力ではかつての王より見劣りするものがある上に、先ほど獲得したばかりのマレー伯領が加わったことから、完全に彼の手に負える量を超えてしまっていました。

マレー伯領には一族の者を封じることにしたのですが、かつての王が治めていた6領からさらに一つを減らす踏ん切りがなかなかつきません。回復することもなく、しかしあっさりと死んでしまうこともなく生きながらえ続ける王の姿を見るにつけ、往時の姿が思い起こされ思考がぼやけてしまいます。

おかしいですね。先代や先々代の王の時にはそれほどこだわりなく受け渡しができていたというのに、今回に限ってこの決断の鈍さは……。どうやら、まだ疲れが取れていないようです。もう少し、休みたいです。

先の終戦から1ヵ月後にあたる9月上旬、王の外交能力の不足を原因となってオリエル伯領に密輸業者がはびこるようになりました。さらに月末ごろには家政能力の欠如を原因としてダブリン伯領に盗賊団が、11月の末には同じくキルデア伯領でも盗賊団が現れるようになりましたが、王の再起不能をことさら見せ付けるような出来事を前に、なんら有効な手を打つことができません。

さらに翌年6月中旬には軍事能力の欠如を原因としてキルデア伯領で野盗が野放し状態になってしまいます。次々と起こる問題によって各地の税収や動員可能兵力が次々と減少していく様を目にするにつれ何か手を打たなければという思いは日々募っていくのですが、肝心な対処法がわかりません。能力の欠如を理由とされては、王の交代以外に解決方法が浮かばないではありませんか。しかし、王は再起不能ながらも確かに生きているのです。

7月中旬と9月上旬には統治能力の限界を超えた直轄領の保有により、それぞれレンスター伯領とダブリン伯領で小作農による蜂起リスクが高まりました。更なる問題発生ですが、これなら解決方法はわかります。直轄領の統治限界を超えているというのなら、超えないように減らせばいいのです。先年来、丸一年以上ぐずぐずと先延ばしにしていましたが、ことここに到ってようやく決断を下すことができました。

問題発生が最後の一押しになったというのはいかにも怠慢によるミスですが、懸念材料であった事案が解決したので、ここで発生した問題もプラス面がなかったわけではないと言えるでしょう。といっても、トータルでは明らかにマイナスに偏っていますが。

9月の中旬にトモンド伯領に一族の者を封じると、思わぬところから効果が現れました。同じ月の下旬に、家政能力が行き届くようになったとして、キルデア伯領で盗賊団が一掃されたというのです。また、翌10月にはレンスター伯領でも盗賊団が一掃されました。同じ月の中旬には、軍事能力が行き届くようになったとして、キルデア伯領で野盗が一掃されました。11月にはレンスター伯領と同じくダブリン伯領でも盗賊団が一掃され、翌年1月には外交能力が行き届くようになったとしてオリエル伯領から密輸業者が一掃されました。5月と7月にはそれぞれレンスター伯領とダブリン伯領から小作農の蜂起リスクは以前の水準まで低下しました。

気づいてみれば、お手上げ状態かと思われた問題がすべて解決しています。解決してみれば、どうも統治能力の限界を超えた直轄領保有にすべての原因があったようです。一つくらい余分に持っていても……という欲目は今後厳に戒めることにしましょう。

同年11月、王の摂政が交代しました。王の妻たる王妃が新たな摂政の地位に就きました。王妃はかつてこそ評議会の議員から解雇されもしましたが、その家政能力は十分エキスパートと呼ぶに値する水準にありました。その能力は、補佐するアイルランド王の下に往時よりもさらに一つ多くの直轄領を集めても十分切り盛りできる域なのです。やはり、統治者は家政能力を欠いてはいけません。王が今のようになってしまった後、王妃に養育を任せた子供は立派に成長しているでしょうか?


7.アソール伯領攻撃(対グウィネズ公戦)

国内の問題が解決に向かい始めた頃、イングランド王国とスコットランド王国の内部で起こっていた内乱は鎮圧されていきました。

国内の問題も片付きようやく外部に目を向ける余裕ができたことや、内政に回して目減りしていた資金が貯まってきたことから、1187年3月28日、ついにかねてからの予定にあったスコットランド王位の簒奪を宣言します。そうしてスコットランド王位はアイルランド王の下に移り、あわれスコットランド女王はオールバニ女公の地位に転落したのです。

それらを確認した後に宰相をウェールズ地方に派遣し、さて次はどこを獲得目標にしようかと勢力地図を眺めてみると、旧スコットランド王国に異変があります。グウィネズ公がオールバニ女公となった旧女王の下から独立しているのです。

いかにも攻め取ってくださいと言わんばかりの構図です。できることなら兵を動かす前に恭順を勧めたいところでしたが、グウィネズ公は独立以前からウェールズ地域でかつての封臣と交戦状態にあったために今すぐ恭順の使者を送ることはできませんでした。

強国ひしめく地域では、小勢力は放っておくといつ他勢力が出張ってくるかわかりません。恭順を促せないのならば、攻め取ってしまうべきでしょう。同月30日、アソール伯領を求めてグウィネズ公に宣戦を布告します。

ここからは、大国と小国の戦なので、特に面白みもありません。

動員した兵力こそ11244と全軍に近い数でしたが、あくまで力攻めのためです。同年6月10日には城を陥落させると、戦勝点は32%しかないにもかかわらずグウィネズ公はこちらの要求を受け入れ、終戦となりました。

この後の確認はまだあまりできていないのですが、所属勢力の紋章を見ると、グウィネズ公の勢力はこれで滅びてしまったようです。しかし、グウィネズ公位が現在誰の下にあるのかは不明です。また、グウィネズ伯領の一部の支配権を手に入れたらしいのですが、これについても詳細を確認できておりません。


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ここまでが、現状の進捗となります。実際の戦争期間は前回のスコットランド王国戦のほうが長かったはずなのにノルウェー王国戦の方がはるかに長かったように感じられるのは、いろいろシビアな戦いだったからでしょうか。スコットランド王位を手に入れたことよりもそっちのほうが強く印象に残っているくらいなので相当なものかと。

そして気付けば前回以上の字数になっており、おかしいなーという。ちょっと細かく書きすぎてるかも。でも、こうした方が書きながら自分のプレイ内容思い出して反省点を絞り出したりできるので気に入ってもいるんですよね。悩みどころです。


反省点:
一)感情移入しすぎた。過ぎたこだわりはこの記事を書く時だけに留めるべし。
二)君主や後継者はあまり参陣させるべきではない。高い確率ではないが、無視できるほどでもない確率で負傷することがあり、最悪の場合は戦死もありうる。(今回の件もあり警戒過敏になっているのは否めないが)

わかったこと:
(前回の書き漏らし)船を使わず海路を越えると渡海ペナルティがつくが、船で港から上陸させればペナルティはない。(港ではないところから上陸させた場合は不明)
a)欲をかいて統治能力の限度を超えて直轄領を保有し続けるよりも、限度いっぱいで留めた方が税収面等で結果として有利に働く。
b)王位の兼任は可能だった(ただし、いくつまで兼任可能かは不明)

気がかりなこと・よくわからないこと:
A)占領によって増加する戦勝点は、場所によって高低があるのか?(請求権を行使した地が高いのはわかっているが、それ以外は?) あるならばどのような計算式に基づいているのか? 
B)傭兵として雇ったアイルランド団に将軍を任命できなかったのはなぜか?(称号を創設していないからか?)
C)スコットランド王位簒奪は早まったかもしれない。アイルランド王位が選挙制でスコットランド王位が長子相続であるため、現状それぞれ後継者が異なっている。継承法を変えようにも王が再起不能で不可能。


最後に、現状の周辺勢力の様子を納めた画像です。スコットランド地方での優位は明らかになってきたと思うのですが、オールバニ女公(旧スコットランド女王)はイングランド王国がバックについてますし、ノルウェー王国はイングランド王国に勝るとも劣らない強国ですし、まだこそこそと二大国の隙を窺いながら勢力拡大を図らなければならない現状です。
CK2_5.jpg

という感じで、次もすぐにと言いたいところですが、ちょっと間が開いてしまいそうな予感。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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