2020年01月29日

カタルーニャでいま起きていること 古くて新しい、独立をめぐる葛藤

カタルーニャでいま起きていること――古くて新しい、独立をめぐる葛藤 - エドゥアルド・メンドサ, 立石 博高
カタルーニャでいま起きていること――古くて新しい、独立をめぐる葛藤 - エドゥアルド・メンドサ, 立石 博高

カタルーニャの人が書いてる本だから独立派側から見た内容かと思いこんでいたら、実は独立反対派による意見書であった。むしろ訳者あとがきも含めて、ここまでアンチ独立派な観点から書かれた日本語の文章は初めて見たというレベルでごりごりに反カタルーニャ・ナショナリズムな内容で、その意味でおもしろい一冊だった。独立派の偏狭さや独善性、反カスティーリャ(つまり反スペイン)的な心性など、よくもまあこれほどまでにと思うくらいにわりとまじで独立派の批判ばかり。これはこれで新鮮ではあったか。

まあそんななので、昨今のカタルーニャ情勢に興味を持った人がタイトルにひかれて理解を深めるべく読もうとするには不向きな本だとは思う。上記のほかにも、原著の出版が2017年(10月以降)、邦訳版の出版でも2018年11月であり、そこから1年以上をかけて事態はさらにその先へと推移しているのが現状なので。くわえて、そしてなによりの問題点として、原著者の言い分には客観的な根拠がろくに示されていない。あくまで自分の体験および記憶ではこうだったという話でしかなく、その感覚がどこまで現地における一般的なものといえるのか、いっさい不明(この辺は、いちからの説明を必要としない当事者たちがもともとの対象読者だったからもしれないけど)。遠い日本の人間としては、この本を読むよりは、まず表層的にであれ事態の推移を追い、独立派および独立派に対するスペイン政府与党(当時は国民党)のスタンスを知り、そのうえでなら、こういう意見もあるのねと参考にできるかもしれない。そのくらいの位置づけの本ではないかと思う。

とはいえ、こうした意見が出てくるにはそれ相応の現地の空気もあったのは事実であって。この本はわりと偏ってると思うけど、その反対側にはまた別のこうした見方もあるというのの参考までに次の記事へのリンクを貼っておいてみたり。
→【識者に聞く】カタルーニャ独立問題はバルサをどう変えるのか?
https://www.soccer-king.jp/news/media/wsk-news/20180423/747014.html
こちらも中立性には欠けると思うので、あくまで参考程度にするのがよさそうではあるけれど。こうした立場へのアンチがこの本の内容なのね的な感じで。

それと、上でも書いたけど、現地の情勢はそこからさらに推移してる。独立派に強硬な態度を取る国民党から社会労働党への政権交代、起訴された政治家・市民運動家らへの実刑判決、逮捕状を出された独立派政治家の一部に対する欧州議会議員資格(不逮捕特権あり)認定、独立派政党の間接的な協力を取り付けたスペイン政府成立など、さらなる展開を見せているので、興味を持った方はぜひ続報を追ってみるといいと思います。日本語だとまともな情報がろくに出てこないので、英語やスペイン語(カタルーニャ語もいいと思う。自分はさっぱりだけど)のソースにあたる必要があるけれど、めちゃくちゃ気になる展開がつづく出来事ではあるので。自分も、昨年末くらいからあまり最近の情報を追えてないので知識のアップデートを図らねばと考えているところ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:38| Comment(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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