
春とみどり(1) (メテオCOMICS)
春とみどり | COMICメテオ
好きだった親友の娘を引き取るところからはじまる年の差百合マンガ。
これすごくいいですね。特に主人公のみどりが、年の割には頼りない感じなところが。
中学時代から地味でどんくさくてたったひとりしか友だちがいなくて。その友だちの娘はもう中学生になるくらいに時間がたっているのに、そのころからあまり成長している感じがなくて。
たったひとりの友だちの訃報に驚いて、その面影をくっきりと宿す娘の春子が身寄りのない状態でもてあまされているのを見ていられず引き取ることにしたはいいものの、まるでどちらが保護者かわからないくらいにみどりからはあまりあれこれしてあげられなくて。むしろ春子のほうが料理や服の買い物など、みどりのことをあれこれ助けてあげられてしまうくらい。
中学の頃のみどりとつぐみの関係もそんな感じだったようで。明るく友だちもいっぱいいたつぐみが、それでもみどりのことをなにくれとなく気にかけてくれたことから、好意にも似た感情を抱いていたようで。春子のふとした言動から昔の記憶をよみがえらせて、もういなくなってしまったつぐみを思い出して泣きそうになってる様子がとてもいいもの。そして親を亡くしたばかりのはずの春子に逆になぐさめられるのまでがセットでたいへんいいものいいもの。
みどりと春子の関係って、本当に回想で挟まる中学のころのみどりとつぐみの関係そっくりなんですよね。それはあくまでみどりの側の認識ではあるし、春子のほうも関係の糸口がそこであるがゆえにあえて母親っぽくふるまってるんだろうかと思える部分もなくはないですが、それを差し引いても、みどりにとってはまるで中学卒業以降止まっていたかのような時間がふたたび動き出そうとしているかのような予感を抱かせるふたりの時間はたいへんいい雰囲気ではありまして。
みどりのつぐみへの気持ちは、あれは好意といいきっていいのかも迷うような稚い感情であったようにも思えるだけに、それが春子と接していくうちに、どう推移展開していくのか、そしてそれを春子はどう思うのかなど、いろんな意味でとても楽しみになってくるところで。
どちらが保護者かわからないようなこの年の差百合、とても楽しみなシリーズになりそうな気がしますね。