2019年06月06日

傭兵王の不器用な執着 買われた王女は愛を知る

傭兵王の不器用な執着: 買われた王女は愛を知る (ティアラ文庫)
傭兵王の不器用な執着: 買われた王女は愛を知る (ティアラ文庫)

傭兵王の不器用な執着 買われた王女は愛を知る |ティアラ文庫

傭兵から成り上がり、王を弑して簒奪を果たした隣国の傭兵王イザークと、叔父王に冷遇され従妹の身代わりのようにして彼のもとに嫁ぐことになった王女オリアーナの話。

叔父王に疎ましがられながらも、なかば閉じこめられていた神殿では聖女として、差し出された嫁ぎ先では王族出身の王妃として、期待される役割を果たそうとつとめるヒロインの姿が好印象な話でした。

叔父王の浪費によって乏しくなった国庫の援助の対価として、まさに差し出されるようにして嫁がされたことからはじまった関係。一方のイザークとしても、成り上がりの傭兵王から隣国の伝統ある王国から王女の嫁ぎ先として認められるほどの地位になったことを対外的にアピールすることを目的とした婚姻であり、結婚したという事実以外に求めるものはなかったはずなんですよね。当初のふたりの関係としては。

けれどそんなふたりの関係をさらに広げていくことにつながったのは、ひとつには、報われずとも王女としてのつとめを果たそうとするオリアーナの王女としての責任感によるものであり、またそうした彼女だからこそ、自然と周囲の人たち(イザークも含む)を味方に変えてしまう、助けてあげたいと思わせる魅力があったのであり。

資金援助の対価として嫁いだ先で、愛し合える人に出会い、王族として・王妃として、自分らしく活躍できる場を見いだし、望まれる居場所が作りだされていく。やさしい物語ですね。

その一方で、この作品はティーンズラブ小説なのであって。そういう場面ももちろんあるんですが、これがまたいいものだったのでして。

ヒロインのオリアーナ。責任感のあるまじめな聖女として育っただけあって、そちら方面の知識は基本的に乏しいんですね。自身の裸を見られることには羞恥を覚えるけれど、行為そのものについてはよく知らないものだから、快感を表すことにはとても正直だったり、いやらしめな行為もそれが普通だと言われれば疑わしく思いつつもしっかりやってしまったり。無知ゆえのアンバランスさがいやらしさを引き立てていてよいものでありました。まあ後々そのしっぺ返しをくらうことにもなってましたがそれはご愛嬌。

そしてお相手のイザークのほうも、そんなヒロインの素質を引き出すことが目的であるかのように、いじわるなことをしばしばしてくるんですよね。初夜から快楽にあえぐヒロインの姿を指摘する様子は言葉責めのようで、側妃を作られるのが嫌なら自身の体で俺を満足させてみせろとあおっていやらしく振る舞わせる様子は羞恥責めのようで。まあ半分くらいはイザークのほうも楽しんでた感はありますが、結果的にとてもいやらしい場面になっていていいものでした。

個人的には特に、ようやく打ち解けてこれたかという段階で、まだすっかり気を許しきれているわけではないだろう状態で、それでも気をやってしまいそうなほどの快楽であえがされながらもなんとか踏みとどまっているときに、望んでも叶えられずにいた王妃としての大役を与えると告げられた瞬間がお気に入りですね。快楽に流される一歩手前で必死に意識を保っているときに、その隙を突くようなうれしい知らせを死角から与えるひと言。そんなことされたら、うれしさでふっと気がゆるんで、そのまま洪水のような快感に足をすべらされて、わけもわからないほどの幸福感に包まれたまま意識失ってしまおうというもの。とても素晴らしい場面でした。合掌。

ともあれ、ティーンズラブ小説として、えろとストーリーが互いを引き立て合いながら、どちらもともに楽しませてくれる、政略結婚ロマンスでした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:42| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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