2019年04月15日

エーゲ海を渡る花たち(1)

エーゲ海を渡る花たち(1) (メテオCOMICS)
エーゲ海を渡る花たち(1) (メテオCOMICS)

エーゲ海を渡る花たち | COMICメテオ

15世紀半ばのイタリアはフェラーラで、遠い世界を見てまわることを夢見る商家の娘・リーザが、タウリカ(クリミア半島)からやって来た少女・オリハと出会うことからはじまる地中海旅行記。これはすこくおもしろかった。

まずなにより、作中の随所で紹介される15世紀半ばの地中海地域の豆知識がかなりの量があって、それらを読んでるだけでもとても面白いんですよね。ストーリーに合わせてちょっとずつ提示されていくから、むりに詰め込まれていると感じない程度でするする頭に入ってきて、それでいてあくまで周辺知識だから読み飛ばしても問題ない、けれどそこも楽しめればおもしろさが倍になる。そんな感じの絶妙な塩梅になっていて。個人的にも、大きなストーリーラインの合間合間にはさまれるそれらの豆知識のおかげで、作中世界がさらに奥行きを持って感じられてよかったと思います。

ストーリーのほうでは、ガール・ミーツ・ガールな話として、物語が動き出すきっかけとなったふたりの女の子の和気あいあいとした関係が見ていて楽しいものではありました。特に、好奇心先行で、女性ながら当時の情勢で観光的な旅に出ようなんて決意するリーザの行動力が好印象。゛跳ねる嬢(インベンナータ)゛の通り名のとおりに(?)行く先々で長い髪を跳ねさせながらあっちこっちに興味を引かれて目を輝かせている様子がたいへんにかわいらしかったです。けれどその旺盛な好奇心は向こう見ずさと表裏一体でもあって、いつしか彼女の姉のマリアだけでなくオリハまでもが目の離せない妹のようにリーザに注意を促すようになっているのはとてもほほえましいものがありますね。

そんな少女ふたりの地中海旅行。この1巻ではリーザの出身地フェラーラからはじまって、海運都市ヴェツィアから出港して、アドリア海を陸伝いに南下中。目的地はオリハの目指すエーゲ海上のクレタ島となっていますが、そこまでにまだあとどれだけの当時の地中海地域の様子を見せてくれるのか、目的地に着いた後ではまたどんな展開が待っているのかと、いまから期待が高まってしかたないですね。これはぜひいろんな人に読まれてほしいですね。イタリア好きの人、中(近)世ヨーロッパ・地中海地域に興味のある歴史好きな人、はたまたガール・ミーツ・ガールの好きな百合好きの人にも? ともあれ、すこしでも興味を持った人は読んでみるべきマンガだと思います。2巻がいまから待ち遠しいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:02| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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