2019年03月30日

さよならローズガーデン(1)

さよならローズガーデン 1 (BLADE COMICS pixiv)
さよならローズガーデン 1 (BLADE COMICS pixiv)

憧れの作家に会うため渡英した日本人女性・華子と、イギリスで途方に暮れる彼女をメイドとして雇いいれた貴族令嬢アリスによる主従の物語。1900年のイギリス。同性愛が許されない社会を舞台にして、絆を深めていくふたりの姿がとてもいい百合マンガですね。

「私を殺して」。それは、アリスから華子への頼み。家の取り決めた結婚で人種差別や同性愛への嫌悪を隠す気もない人々と家族になることを、頭では受け入れつつも厭わしさを募らせているうちにすっかり疲れてしまった心が発したSOS。

それを受け止める華子は、アリスにとってとても優しい人なんですよね。女の身で一念発起してイギリスに渡ってくるような自立心に富んだ女性であり、貴族令嬢としてではなくただのアリスの幸せを思ってくれる人であり、彼女の心身を苛む常識という名の偏見を偏見と断じることのできる存在であり。同性愛者であるとことを隠して生きてきたアリスにとって、彼女がどれほどまぶしい存在に映ることか。自身を肯定してくれる華子の存在がどれほどありがたいことか。

とはいえ、何をするにも貴族という家の立場が伴うアリスにとって、肯定してくれる存在がいたとしても取れる選択肢には限りがあって、自分らしくふるまうことは現状許されることではない。この物語の結末がどういうものになるのか、見届けたいものですね。

……とかなんとか書いてきましたが、女の子同士の話はとてもかわいいというのがいちばんの感想なのでして。

途方に暮れていたところを拾ってくれたアリスに一生懸命お仕えする華子はかわいいし、自分を信頼してくれるアリスの力になりたいとがんばる華子はかわいいし、ときどきアリスにからかわれてあわててる華子はかわいいし……。華子の印象はだいたいがかわいいにつきるというか。

それに、上で書いた事情もあるからこそ、弱さを見せる彼女が華子によって支えられる場面がとても引き立つんですよね。かわいくて、けれどその実芯の強い女性に向けられる視線に混じるのは、負い目とありがたさと、ほかにもいろいろと? 心を許した共犯者にだけ見せる感情の色がたいへんいいものでした。

とてもいい話。とてもいい百合だと思います。次の巻も楽しみです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:05| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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