2019年03月23日

たのしい傭兵団(1)

たのしい傭兵団 1 [ 上宮将徳 ] - 楽天ブックス
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アカデミーの学生として、エリートコースへの道を進んでいた主人公が、恩人でもある伯父の頼みによって一時休学して傭兵団の事務長を務めることになる話。

悪くない。というか、好きな雰囲気の話ですね。

主人公のウィラードは、平民からアカデミーに進学できるだけの頭のよさがあるキャラであり、またエリートコースの入口に身を置いてその先を夢見る出世欲も感じさせる人物であり。そんなウィラードからしてみれば、伯父の傭兵団の手伝いなんて時間の浪費のようではあるんだけど、断りきれない程度には身内への情を持ち合わせていたことが物語の幕を開けるきっかけではあったでしょうか。

大陸中に山ほどあるというごろつきの集まりである傭兵団。作中世界におけるそれは社会における必要性から生まれた人々ではありながら、戦があれば雇われて戦に参加し、戦がないときには日雇い仕事で日々を食いつなぐ、多分にその日ぐらしに近い階層ではあるようで。そんなだから賊との違いは紙一重。まちがってもエリート候補が自らすすんで身を置きたがる場所ではない。傭兵たちからしてみても、お高くとまったエリート臭が鼻につく奴の指図なんて受けたくないもの。

そんな水と油のような関係の主人公と傭兵たちがどう折り合っていくのかと思っていたら、これが真正面から自分のことを認めさせていく正攻法だからおもしろい。まあこの主人公、参加することになった傭兵団とはもともと交流があったようなので、根っからのエリート階級というわけでもなし、柄のよくない傭兵たちとの付き合いもよくよく身についてはいたんですよね。ケンカをさせても生半可な相手には引けを取らない腕っ節もあって、まずもって侮りを受けない下地はあった。

その上で、団の会計役として、金勘定にうとい傭兵団の団員たちの生計を一手に引き受ける立場を担っていれば、団長の縁者として現れたよそ者のような男でも、だんだんと支持を集められようというもの。とんとん拍子ではないけれど、地道なステップがなかなかにおもしろい展開ではあります。まあその間、ケンカをしたり、無茶ぶりに腹を括らされたり、ろくな引き継ぎもなく任された仕事で埋め合わせを要求されたりと、次から次へと楽ではない展開が続いてはいるんですけど、それでも気圧されることなく自分の仕事を果たしてみせるのは、度胸の据わりようを思わせてくれて好印象なんですよね。

そういった流れがあったからこそ、ラストの展開はそれまでと比べてものっぴきならない雰囲気があって。汗みずくになりながら体を張って立ち回る流れはこの一冊の締めくくりとして、いい山場だったと感じさせられるものがありましたね。有能さはそれなりに見せてくれていた主人公でもひとりではやや手に余る難事で、けれど一歩も引けないと踏ん張るからこそ、そこまでに培ったキャラクターたちの信頼が後押しとなって
事態を解決へと導く。成長物語的で爽快感のある展開がおもしろかったです。

成長物語といえば、主人公にとっては傭兵の研究はその後のキャリアの役に立つぞという教授のありがたい言葉によって送り出された傭兵団ではあるけれど、ここでの経験もまた、案外とその後につながっていきそうなと思わされる活躍ぶりが期待させてくれる話ではありましたね。

もともと単行本として出ていたものの文庫化ということで、次の巻もすぐ翌月に発売されている模様。楽しみに読みたいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:12| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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