2018年12月20日

KILL the ROSE(1)

KILL the ROSE(1) (ヤンマガKCスペシャル)
KILL the ROSE(1) (ヤンマガKCスペシャル)

https://yanmaga.jp/c/killtherose/

おもしろい。おもしろい。

王国一の遊び人である主人公が即位して間もない少女女王を落としにかかる話、というだけでは興味をひかれてもそれ以上には手が伸びなかったかもしれないけど、この作品の場合はその両方のキャラがいいのが魅力なんですよね。

かたや主人公のルイス・ジャニュアリー。没落貴族の息子にして王国一の遊び人。落とせない女はないと豪語する女たらしであり、落とした女たちの資金で生活する色男でもある。冒頭からその通りのとんでもないプレイボーイぶりを見せてくれるんだけど、尊敬し軽蔑するという亡き父親の行状を知るとまだまだこの上のステージがあるのかと思わされるのがすさまじいところであり。

とはいえこの辺のルイスの誘惑テクニックについてはある種異次元的というか、一度ルビでもふられてた「スキル」という言葉がしっくりくるような作中表現になっているのがおもしろかったりするんですよね。狙いを定めて、ひと言ふた言、言葉を交わしたと思ったら、次の瞬間にはもうすっかり相手を虜にしてしまっている。合間の機微なんてあったもんじゃないんだけど、ふたコママンガ的なテンポのよさが楽しくてするすると読ませるものがある。

そして、そんな生活をしていればついには年貢の納め時がやって来るというのがこのお話になるわけで。多分に仕組まれた状況ではあるものの、死か、女王を誘惑して言いなりにするかという究極の二択を迫られることになった主人公は、依頼主の隠しもしない陰謀の匂いにげんなりしつつも後者の道を歩みだすのがこの話。この辺のげんなり顔もなかなかいいんですけど、それはともかく。

一方、天才的な遊び人であるルイスにしてみれば相手が誰であろうと容易いこと、と思われたところに立ち塞がったのが、ほかの誰でもない、女王陛下なのであったというのもポイントで。この少女女王、なんというか無茶苦茶なんですよね。型にはまらないといえば聞こえはいいけれど、単にもの知らずなだけではないかと思えるところもあり。会合の予定から逃げまわるわ、庭園で抜き身の剣を振りまわすわ、気に入らない家臣に蹴りをいれるわ。半分の年齢ならともかく、17歳にもなってこれは、その……さすがにちょっとお転婆が過ぎませんかねと、言葉を選んでもそうなるタイプのお人柄で。志だけは立派なものを持ってるんだけど、内実はしつけの行き届いてない動物じみてるというか。ひと言で評すると、これを「レディ」とは呼べないでしょうというタイプ。

こんなんをどう誘惑すればいいっていうのよという無茶ぶりぶりを知るにつけてげんなりするルイスは見ものであり、そんな彼の事情など頓着せずにせっついてくる催促に胃を痛める様子はおかしく、そしてできないなら死というリスクから、自分のほうから大言壮語してさらにハードルを上げてしまうルイスはやはりおもしろくあり。

いやはや、このチキンレースはどこに落ち着くことになるんでしょうねという、そんなおもしろさの期待もあるんですけど、それにくわえて、そっちの進展はともかくも、ルイスと少女女王の掛け合いは見てておもしろいものがあるんですよね。暴れまわる陛下の被害をこうむった末に取っ捕まえるという初っ端の出会い以来、色気のある雰囲気になるどころかやいのやいのとやりあってるのがすっかりお似合いになってる感のあるふたり。「殺す」とか、女王が臣下に向ける言葉じゃないんだけど、それほどに肩肘張らないでいられる距離感になっていることを感じさせるものであり。なんだかんだで偽装恋人関係になれてもいますけど、王と臣下のコンビとしても意外にいい組み合わせではあるのかも?

というのも、この国、ルイスが陰謀の差し金として宮廷に送りこまれてもいるように、めちゃくちゃ不穏な雰囲気ありますからね。傀儡の少女女王、政治を牛耳る大臣た。彼らの間でも主導権をめぐる争いがあって、誰が誰と繋がってるのか油断ならない。というか、ちらっと出てきた簡略図が本当なら、二重三重に派閥を行き来してる人士までごろごろいるじゃないですか。なにこの魔窟。おそろしい……。

そんな中で活動しているのだから、ルイスとしても危険はつきものなわけで。ますますもってどうなっちゃうんでしょうねと気になるところ。女性はほぼ全員味方といっていいくらいでしょうけど、それぞれの協力関係は難しいし……という。

いや、これはとても期待の新シリーズですね。次回予告の修羅場のコマももうそれだけでネタ的におもしろすぎるし、次の巻が待ちきれませんね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:11| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。