2018年12月06日

星系出雲の兵站(1)

星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA)
星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA)

星系出雲の兵站 1 | 種類,ハヤカワ文庫JA | ハヤカワ・オンライン

異星人と思われる勢力の接近が探知されて、ここに人類の存亡をかけた戦いがはじまるかと思いきや、その前にまずまとまりきれない内部事情を抱えつつも緊急時の体制を構築するところからはじめなけらばならないのであったという。

やりました、内部対立ですよ! 中央と辺境の対立関係、独立志向の高まりと介入必至の情勢において、嫌でも生じる政治的な摩擦に対して真剣に頭を悩ます軍人や政務官なんかのお偉方の姿はいいもので。

これ、なによりも異星人の発見された場所が独立志向の高まっている辺境・壱岐星系だったというのがいちばん厄介なところですよね。中央としては自分たちが主導して統一的な体制のもとで対応したい。けれど、現地からしてみればそれは独自に育んできた社会体制の解体につながりかねないもので。それどころか、これを機会に自治から統合へなんて介入をされた日には、悲願である独立の芽を摘まれてしまうことにもなりかねない。そんな背景から、壱岐星系の人々はこの事態をあくまで自分たちの管轄であると主張するし、中央には後方支援的な立場を期待する。中央の人間としては、トップダウンで統一的な指揮を執るのが効果的だとは思いながらも、そんな現地の情勢を無視できずにいくらかの配慮をし、けれど譲れない部分は自分たちの主張を押し通す。この辺の対立と妥協点の探り合いがですね、いいんですよね。対立はあるんだけど、それらはすべて我欲ではなくて社会をよりよくするための自分たちの職分においてであって。そうであるからこそ、強く出る部分には信念が感じられて。

キャラとしても、まじめ一辺倒の堅物がいるかと思えば、あれこれ気を回す裏に個人的な期待をさしはさむ茶目っ気を感じさせる者がいたり、政治的な配慮に頭を悩ませる者がいるかと思えばそんなこと知るかとばかりに効率一辺倒で物事を進めたがる者もいる。それぞれの行動の裏にはそれぞれの思惑が感じられて、統一的なリーダー不在のままに物事が推移していってるようにも見えるんだけど、人類の総体として見れば対異星人のための一個の体制ができあがってはいくのであり。この辺のあんばいの描写がいいですよね。

さて、そうしてとにもかくにも進展の見られる内部事情とは裏腹に、肝心の敵に関しては、戦闘まで行われたもののまだその正体が見えないのであり。果たしてこの接触がどんな結果をもたらすのか。タイトル見てるとそこまで派手な展開にはならないんだろうかと思えたりもしますが、どうなることやら。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:50| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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