2018年12月05日

親がうるさいので後輩(♀)と偽装結婚してみた。

親がうるさいので後輩(♀)と偽装結婚してみた。 (百合姫コミックス)
親がうるさいので後輩(♀)と偽装結婚してみた。 (百合姫コミックス)

出だしだけどこかで見かけたような記憶のある表題作目当てに読んでみたマンガ作品集。

収録作品としては表題作が4分の3に独立した読切が4分の1といったところ。

個人的には読切の話のほうが好みだったでしょうか。表題作の社会人百合のほうは、先輩の顔がいいいう感想にほぼ落ち着いてしまうところがあるというか。あと、クールに見えて押されると弱い先輩がかわいいとか、そんなところでしょうか。それはともかく。

読切のほう、ざっくりとした内容としては、ケガで陸上部を引退した女の子とその部活で全国で戦いつづけている女の子の話。

ふたりの関係はもともと薄いつながりでしかなかったようだし、最後まで読んでもこれは恋心なのかなあ、でもほかになんて呼んだらいいかわからないし……というくらいの微妙な感じではある。けれど、主人公がもう一方の女の子を見つめる視線。まるで敵わなかった才能の高みから見下ろしてくるような相手に辟易と憧憬という矛盾した気持ちを抱きつづけ、なにかあると放っておけなくてちょっかいを出さずにはいられない。そうした言動の背景にある感情は、いいものなんですよね。ひと言で言い表せるほどにははっきりとしていなくて、けれど引き寄せられる自分を自覚するには十分なほどの感情が存在していることを感じさせられて。

同じ部活をやれていたころにはただ届かないだけの存在だった。それが、部活をやめることになったことで初めてひとりの人間として意識するようになる。その姿はかつて思っていたような孤高の天才というには頼りなくて、けれど競技者として彼女が知るかぎり誰よりも理想に近い人で。だからこそ彼女には強くあってほしいし、その一方で自分しか知らないだろう弱い部分を見つけるとほんのりとしたうれしさを感じてしまう。ちょっかいを出してみれば意外にもかわいい反応を返してくれるものだから余計に楽しさもあるけれど、だからといってそれ以上ふたりの関係をどうしたいのかもわからない。

そんな感じの関係。当人にもよくわからず、けれどその相手とだからこそ生じる悪くはない関係、その時間を当て所も見えずに過ごしている感じが、とても学生っぽくてよかったですね。

そういえば、あとがきで初めて気づきましたけど、アニメ化も経験されてる作家さんなんですね。そちらのほうは興味がありつつもそのままになってる感じでしたが、ともあれこちら、なかなかいい一冊ではありました。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 20:30| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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