2018年12月04日

腹黒従者の恋の策略

腹黒従者の恋の策略 (ソーニャ文庫)
腹黒従者の恋の策略 (ソーニャ文庫)

腹黒従者の恋の策略|ソ−ニャ文庫

辺境送りが決まって捨て鉢な気分の王女さまミルドレッドと、彼女に一心に忠誠を誓う騎士ライアンの恋物語であった。表向きは。

というのも、王女さまのほうから身分をかさにきて結ばれたような関係でありながら、その実の従者の偏執ぶりにゾッとさせられる話でもあったので。なんというか、ヤンデレルート的というか。

王女さまからしてみれば、幼いころからのつきあいのある相手で、昔に起きた事故から負い目を持っている相手に押しきられるままに、自身も心の奥底に押しこめようとしていた想いと素直に向き合って、幸せで祝福される結末を迎えるお話。

そのはずだけど、ライアン側から見ればまったく違う意味を持つ。不遇な生い立ちをしてきた王女さまをその不幸から解き放つお話。焦がれるほどの想いを抱くミルドレッドのことがただただほしくて、地位や名声なんてものよりもなにより彼女を手に入れたくて、真綿でくるむようにして鳥籠に入れて一心に愛情をそそぐ。真実を知ればその異常性にゾッとさせられるとともに、けれどそこまでの執着心を抱えるキャラだからこそほかのだれよりこのヒロインにふさわしい存在であるといやでも認めさせられる。

まるで呪いの上に虚構を築きあげて、その上にやっと成り立たされた幸せの形。いかにもいびつであり、けれどそのいびつさが際立つほどに目を奪われるような美しさを持つにいたった話でもあり。なかなかよいものではありました。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 19:32| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: