2018年11月25日

小説 魔法使いの嫁 金糸篇

小説 魔法使いの嫁 金糸篇 (マッグガーデンノベルズ)
小説 魔法使いの嫁 金糸篇 (マッグガーデンノベルズ)

原作自体は未読なんですが、「真理の織り手」シリーズの佐藤さくらさんが参加されてるという情報を目にして購入。

実際に読んでみた感じ、原作知識はなくても問題なく楽しめました。そして、一番おもしろかったのは、なんといっても佐藤さくらさんの「守護者とトネリコ」。

この作者さんの書く物語はとてもやさしさにあふれてるんですよね。情けないところもある、傷つけられたりもする。けれど、それでも一生懸命になれるキャラクターだからこそ、助けの手が伸ばされる。必死なほどの思いは見捨てられずに届けられる。これがとれほど有り難いことであるか。

この話におけるアシュレイも、妹に対して複雑な感情を抱える少女ではありました。家族に疎まれながらもいっしょに魔法の勉強をした無二の仲間であり、けれど自分を置いてひとりだけ正式な魔法使いの弟子に収まった相手であり。幼いころからの絆と嫉妬心から、ある日アシュレイは取り返しのつかない過ちを犯してしまう。それでも、だからこそ償いを果たさずにはいられないし、妹にしてしまったことを思えば自分の命と引き換えにしても必ずやり遂げなければならないと悲壮な決意を固めることにもなる。

そんなところに、お節介者が現れる。出会いは間の悪いもので、それだから忘れてしまおうとするんだけど、身の丈に合わない無茶をしようとしているアシュレイのことがどうにも気になってしまい、口ではあれこれ言いながらも手助けせずにはいられなくなっていく。この絶妙なキャラクター配置がとてもいいんですよね。

そして最後のアシュレイの決意。これもそれまでの経緯を経てくることでとても心に響いてくるものがあって。もう少しだけでもいいからこのキャラクターのその後も見てみたいなあと思わされたり。

でも、このキャラ、検索してもヒットしてこないんてすよね。本編に出てきてるキャラの前日譚かと思ってたんてすけど、もしかしてこの話だけのオリジナルなキャラクターだったとか……?

その他、三田誠さんの「吸血鬼の恋人」のふたりはいい雰囲気でしたし、桜井光さんの「虹の掛かる日、ごちそうの日」は妖精の見えない女主人と家事妖精との、それでも長い年月を通した絆が感じられるのがいいものだったり。いろんなキャラクターがいてそれぞれの物語がつむがれていく感じがよかったです。 それを許容できるだけの世界観の奥行きがあるということでしょうか。

ともかくも、原作未読でも十分に楽しめる、魔法使いや魔の世界の者たちによる小話集。いい雰囲気の一冊でした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 17:24| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: