2018年09月04日

呪いの王女の幸せな結婚

呪いの王女の幸せな結婚 (ソーニャ文庫)
呪いの王女の幸せな結婚 (ソーニャ文庫)

http://www.sonyabunko.com/sonya.html?isbn=9784781696287

あ、この王子さま、すっごくいいキャラしてる。

幼いころから身の回りで不幸が重なって、自分のことを呪いの王女だと思っているヒロイン・リューディアが、幸運の王子と称されるお相手のアンブロシウスのもとに嫁いで、自分のことを卑下しがちだった彼女が幸せを得ていく話……だと思ってたんですけどね。終盤にさしかかるまでは。

それまでは、わりあいオーソドックスなティーンズラブ小説っぽい流れで。不幸が起こることにばかりおびえていたリューディアが、無邪気な明るさで誰からも愛されるアンブロシウスと接しているうちに、彼となら、彼とだからこそ、自分は呪いの王女としてではなく幸せな結婚生活を送ることができるのだと思うにいたる話。不安に駆られるリューディアに対してアンブロシウスが、自分は絶対に不幸にならない、リューディアこそが自分の望む女性なのだと何度も力強く伝えることで、ようやく互いに向き合い、気持ちを重ねあっていく話。ただ陽気なだけではないアンブロシウスの一面に、リューディアともども胸を打たれるような話ではありました。

それはそれでじゅうぶんに楽しめてたんですけど、ただ一点、どうにも気になることがありました。これ、ソーニャ文庫ですよね、と。あまり期待しすぎるのは禁物かなとも思うのですけど、でもやっぱりちょっと話の雰囲気として明るすぎないかなと思うところがあって。

そんなことを考えていたら、終盤になって本当にやってくれました。ラスト付近でその印象をぐるっと転換させてくれる。ハッピーエンドの雰囲気が崩れることはまったくなくて、けれどそこにゾクゾクさせられるような陰が浮かび上がる。それによってふたりの関係がさらに印象的に映るようになる。アンブロシウスというキャラのことがますます好きになってくる。そして、それらの背景をいっさい知らされないまま幸せに浸るヒロインがただただいとおしく思えてくる。表の物語と裏の物語で、ふたつの楽しみを味わったような感覚。いやあ、いいですよね、こういうの。満足。満足。とても面白かったです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 14:11| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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