2018年07月23日

The Dragon with a Chocolate Heart

The Dragon With a Chocolate Heart
The Dragon With a Chocolate Heart
(自分が購入したのはUK版のほうだったらしく、表紙絵が違ってやや違和感ありますがともあれ)

The Dragon With A Chocolate Heart - Stephanie Burgis(作者サイト)

魔法使いによって人間の姿に変えられてしまったドラゴンの女の子の話。

ローカス賞ヤングアダルト部門およびミソピーイク賞児童文学部門の候補作(把握してるのはこのふたつですが、ほかにもノミネート・受賞してる賞はあるようで)。対象年齢的にはティーンのすぐ下くらいでしょうか。ドラゴンや魔法使いが存在したり、王さまや王女さまが登場したりする、ファンタジーな世界が舞台の作品。

人間の姿に変えられて、身寄りもないまま人間の街に放り込まれて、どうしていいかもわからなくなってしまいそうなところ、強くて獰猛なドラゴンだった誇りから、パワフルにチョコレートへの情熱を追い求めていく主人公のアベンチュリン(Aventurine)がエネルギッシュで愛らしい。獲物にしようとした相手が魔法使いで姿を変えられてしまったり、その後出会った人間にだまされて街まで連れていかれてしまったりと、冒頭で家族が心配していたような幼さをみせる部分もあるものの、一度こうと決めたらなんのその、チョコレート菓子職人のもとに押しかけて見習いの立場をもぎ取ってみたり、ドラゴンに不可能はないとばかりの行動力に目を見張らされる。火を噴くような情熱のかたまりぶりがとても気持ちがよくて。とはいえその一方で、服のセンスは人間の目から見て壊滅的だったりして、でも本人はそれがいちばんしっくりくると思ってるあたり、愛嬌のあるキャラクターであり。

また、クライマックスではアベンチュリンよりも目立ってた感もある、一風変わった街の女の子、Silke(シルケ?)もなかなかいい感じのキャラクターでして。兄が露店の店主をしているあたり、上流階級ではないのは確かだと思うんですけど、そちらの人々のことも含めて、街のことならなんでも知ってそうな情報通ぶりやその気になれば礼儀をわきまえた言動も取れてたように記憶してるところが正体不明ぶりを思わせてくれるキャラであり。そして、ファンタジーな世界でありながら男の子がはくようなズボンをはいたり、ジェンダー的な壁を感じさせない独特なセンスの持ち主だったり。彼女のいちばんの見せ場はクライマックスの王女さまとのやりとりだったでしょうか。持ち前の行動力に対して頭はそれほどよくはないアベンチュリンがいいように扱われてしまいそうになっていたところ、機転を利かせた横槍によってその悪意をみごとにやりこめてみせた場面は、個人的にこの本でいちばんの見せ場だったのではないかと思います。

そしてふたりの王女さま。初登場時、姉のほうは気品と教養を兼ね備えた社交上手の世継ぎの王女という感じで、妹のほうはひっこみ思案で下賤な者を忌避しがちなところがありそうでと、いざとなったら主人公たちが頼りにすることになりそうなのは姉王女のほうかなあなどと思っていたらどうしてどうして。よくよく考えれば、年齢的にもアベンチュリンたちに近いなのは妹王女のほうでしたね。打ち解けてみれば忌憚のないやりとりのできる人で、その後の交流の様子とか、見ていてとてもほほえましいものがあったり。

そんな感じで、なかなかおもしろい話でした。どうやらシリーズ2冊目も刊行されているようで。どんな話になっているのか、楽しみな気持ちにもさせてくれます。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 12:56| Comment(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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