2018年06月18日

透明な薄い水色に

透明な薄い水色に (百合姫コミックス)
透明な薄い水色に (百合姫コミックス)

やった、百合だー!

……いや、百合姫コミックなのになにを言ってるのという感じなんだけど、話的にはふつうに男の子も出てくるタイプのものなんですよね。さらにいうと、ふつうに男の子と付き合ってたり、男の子との関係が深まっていったりと、一見すると女の子同士のカップルが成立するみこみなんてなさそうで、それほど百合ものを読みなれてるわけではない自分としては、これは百合なのどうなのとある意味はらはらしながら読み進めざるをえない流れだったわけで。だからこそ、終盤の百合エンドな展開に喜びの声をあげてしまうものがあるのでして。なかなか意外な展開でしたが、こういうのもいいものですね……。

とかなんとかいう書き出しではじめてみましたが、この本に収録されている話は大きくわけて二つ。

ひとつめは、幼なじみの女の子に好意を抱く女の子が、けれど相手は別の幼なじみの男の子と恋人関係になってしまったために、言い出せず抑えきることもできない恋心を苦しく思う感じの話。

ふたつめは、アルバイト先の先輩の女の子に好意を抱く女の子が、けれどその先輩に想いは告げられず、それを知られてしまった後輩で満たされない心の隙間を埋めようとする話。

ストレートに女の子同士が好き合ってくっついて……という話ではない以上、紆余曲折あったりするんですけど、だからこそ女の子の泣き顔がとてもいいんですよね。言い出せない想いに悩んで、報われない想いに苦しんで。そんな抑えられない感情が涙となってあふれ出た瞬間を描いた表情。前段としてのもどかしい想いをしっかり描いてくれているから、胸をしめつけられるほどの気持ちがこれでもかと伝わってくるものがあって。特に、律からの否応もない「告白」を受けた一花と、失意の感情を傷のなめあい的な関係になってしまった中条にぶつける茜と。悲しさを激情でむりやり上書きするかのように怒りに染めあげられた表情が息を呑むほどに綺麗で、射すくめられるほどにまっすぐな心情として伝わってくることといったら。百合作品の登場人物に望む表情といえば、第一には作者もあとがきで書いているような「恋人に向けた笑顔」のはずなんですけど、この本の場合はもっと泣いてる顔を見せてほしいなんて、なんだかひどい人のようなことも思ってしまったり。それくらい、表情豊かでイキイキとした泣き顔を描いてくれてるんですよね。そして、だからこそハッピーエンドの感慨もひとしおだったり。

言い出せない想いをゆがんだ形で表現する不器用さがあったり、けれどその気持ちがあふれ出すとはっとさせられるぐらいにまっすぐだったり。こういうの大好物ですということで。とてもいい一冊でした。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 02:57| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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