2017年08月21日

たとえとどかぬ糸だとしても(1)

たとえとどかぬ糸だとしても1 (百合姫コミックス) -
たとえとどかぬ糸だとしても1 (百合姫コミックス) -
試し読み(BOOK☆WALKER)

とても……百合です。片想いの切なさがこれでもかと詰まっててとてもいい。つらい、楽しい、百合!

というわけで百合マンガです。お兄さんのお嫁さんを好きになってしまった女の子の話です。もうこの時点で報われる未来が見えませんね。素晴らしい。けれど、だからといってそれなら仕方がないとあきらめがつくかというと、そんな簡単に折り合いがつけられるものではないからぐるぐると不毛な悩みに追いやられてしまうわけで。しかも、お相手の薫瑠さんはというと、ウタががんばってその気持ちを表に出さないようにしていることもあるのだけど、ウタの気持ちに気づいていないどころか、保護者モードで距離を詰めてくるから片想いの身にはたまらないという悪循環。好きになった相手に好きだという気持ちを表すことすら許されない関係。それなのに、気軽に接してくる薫瑠を相手に期待してしまう気持ちは止められない。そして、そんな自分に気づいて自己嫌悪に沈む感情。すごくいいですよ、これ。

特に、そんな想いが高じて脳裏で描いてしまった第5話のウタの夢。お姉さんのように気づかってくれる薫瑠に対して、自分がどれだけあさましい気持ちを抱いているのかと思い知らされるような夢想を不意打ちでつきつけられて、どれほどうしろ向きな思考への追いつめられぶりを痛感させられることか。大切に思う人に対して、自分がどれほど汚らわしい欲望を抱いているのかと思い知らされることか。けれどなにより嫌悪感を募らせずにいられないのは、そんな都合のいい夢を即座に否定することもできない自分自身なのであって。このどうしようもないほどに行き詰ってしまった感情がとても切なくて、とてもいいと思うのですよ。

いやもう本当にどうしようもない。最初から報われる道が見えない恋心。1巻と銘打たれているということはまだまだつづきがあるということなんですけど、どういうところに話を落とし込んでいくことになるのか。あんまり心の底からハッピーになれる結末というのは思いつかないところではありますが、このどうしようもない感じは好きなので、つづきもぜひ楽しみにしたいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:37| Comment(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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