2017年07月07日

左遷も悪くない(4)

左遷も悪くない〈4〉 (アルファライト文庫) -
左遷も悪くない〈4〉 (アルファライト文庫) -

家族同士の交流で伝わるもの。実際に会ったことのない人のことでも、その話しぶりから伝わることは少なくない。今回はそれが過去のこと、ウリセスの子ども時代の記憶さえも塗り替えていく。灰色だった思い出が、なにげない会話から鮮やかに色づけられていく。すごい。すごいな、結婚生活って。過去さえも書き換えてしまう。厳格に育てられて家庭というものにあまり関心を抱かず育ってきたウリセスと、にぎやかな兄弟たちに囲まれて家庭的に育ったレーアという組み合わせだからこそというのもあるんだろうけど、それぞれの家のあり方というものがあって、そのうえでそれぞれの家で生まれ育った男女が結婚することで起こる化学反応をここまで素晴らしく描いてくれるなんて。本当にすごいと思ってしまう。父と子で、同じ家で暮らす家族としては言いづらいけど、結婚して家から自立していった娘には言えることもあったりして、家を単位とした家族形態はもう家それ自体がひとつの文化圏みたいなものだなあと思わせてくれる場面の数々が本当に素晴らしいこと。

ウリセスの家に出入りする人物として、元気印で弟思いのフィオレと気弱で賢い弟のコジモの姉弟がくわわって。さらににぎやかになりつつも、とてもいい雰囲気を感じさせる空間を楽しませてくれる一冊。とてもいい。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 03:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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