2017年06月18日

いじわる令嬢のゆゆしき事情 眠り姫の婚約

いじわる令嬢のゆゆしき事情 眠り姫の婚約 (角川ビーンズ文庫) -
いじわる令嬢のゆゆしき事情 眠り姫の婚約 (角川ビーンズ文庫) -

やばいやばいやばい。今回登場の新キャラ、めちゃくちゃかわいいんですけど。ちょっとこの子、全力でオススメしたい。

本作のヒロインであるイザベラを気に入って声をかけてくるクラウスの妹にして、前回では話の中心となったアシュトリーテのお相手であるエリックの異母妹の王女さま。その名もティアナローゼといいまして。今回の話の中心はこのキャラでありました。

前回のリーテの話のときもイザベラはいろいろふり回されることになりましたが、今回もその苦労人ぶりは相変わらずで。なんといってもこの王女さま、何度も印象が変わる人だったんですよ。前評判を聞くに病弱な深窓のお姫さまであるそうで、実際に会ってみた感じも、前評判にくわえてリーテと同い年の少女らしい元気さとイザベラに対するせいいっぱいの気づかいが感じられるばかり。イラスト的にわりと好みだったんで、これはなかなか期待のキャラですよと思っていたら、その後、実は性格悪いタイプだったと発覚する流れ。

その時点であとはぱらぱら流し読むだけかなーという気分になりかけたんですけど、でもそこからでした。このティアナローゼ、テレーゼ姫の魅力が現れてくるのは。それを引き出してくれたのはほかでもないヒロインのイザベラ。イザベラって、もとは貧乏男爵家の令嬢ですからね。イヤミな上流貴族の流儀には慣れないところがあっても、へこたれない打たれ強さと世話焼きな性格はほかの側付きにはない彼女ならではの持ち味であるわけで。そうして見えてきたテレーゼの素の姿は、他人に弱みを見せまいと強がってみせる、素直じゃないツンデレ少女であったという。なんだって……!? 性悪かと思わせてこのギャップ。その後もどんどんイザベラに気を許していく様子とか、最初は気難しがってた猫がなつくにつれて素直に甘えかかってくるようになる感じで、それはもうかわいいこと。この辺、イザベラって実家でもそうだったけど、お姉さん気質なんですよね。年下の女の子を守ってあげようとする感じ。そのことに喜びを見いだす姿。そしてそんな姿に心の壁が崩れていく展開。いいですよね。

けれど、そうしてイザベラに気を許したところで、フリッツを巡っては妥協しないのがティアナローゼ姫でもありまして。フリッツはイザベラを気にかけている、イザベラもフリッツのことを気にしている。そうはわかっていても、好きになった人にふり向いてもらうためにちょっとした策をめぐらす、貴族たちの上に立つ王女として身につけた女性としての流儀を駆使してフリッツに言い寄る、イザベラの足を引っ張ろうともする。どれだけイザベラに心を許しても、これだけは譲れない。だからこそ、持てるすべてをこの戦いに投入しようとする。そんな思いきった姿もたいへん魅力的でして。ツンデレさと性格の悪くもなれるところをあわせ持ったこの王女さまを、このうえなくかわいいと思ったのでした。

一方のイザベラの立場から見ても、お姫さまの側に勤めてみることで、上流貴族であるフリッツと貧乏令嬢育ちの自分のつり合いというものについて悩んでみたり、前回からの成り行きで気に入られてしまったクラウス殿下からのアプローチに心乱されたりと、とても気になる感じの三角関係ですごくよかったんですよ。全体的にどこをとってもいい雰囲気の話で、それだけにこの巻でシリーズ終幕というのがとても残念に思えてしまうこと。できればもう1,2冊くらい、この雰囲気を味わいたかった……。

とはいえそれは言ってもしかたがないことなので。なにはともあれ今回、ティアナローゼ姫をホントにオススメしたいですということで。ネックとしては、前回、1巻にて中心となったアシュトリーテの扱いが難ありでかわいそうだったかなと思うんですが、その点は今回でしっかりフォローが入ってもいましたので、ぜひぜひこの機に二冊まとめてどうぞということで。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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