2017年05月09日

ソードアート・オンライン プログレッシブ(1)

ソードアート・オンライン プログレッシブ1 (電撃文庫) -
ソードアート・オンライン プログレッシブ1 (電撃文庫) -

SAOだなあ。まさにあのアインクラッド編の雰囲気。ゲームの世界に閉じ込められて、その世界の中で得られるものは食事の味や傷の痛みも含めてほとんどのものがまがい物の情報でしかないんだけど、それでもそれらの虚構のゲームの世界を通じてわきあがる感情、人と人との間に築かれる関係性はまぎれもない本物なんだという、くるおしいまでの感覚が痛いほどに伝わってくるキャラクターの姿。これがSAOの大好きなところなんですよ。

今回、それをいちばん感じさせてくれたのはアスナ。それまでゲームとは縁のない生活を送ってきて、現実世界での競争の日々がすべてだったのが、たまたま手を出したゲーム・SAOによって取り返しがつかないほどに人生をくるわされてしまうことになって。けれど、悲劇的な境遇に嘆くことをやめた彼女がデスゲームと化したSAOの世界と対峙することを決めたとき、彼女はどこまでもまっすぐな信念で突き進んでいった。クリアか死かとでもいうような悲壮な決意は、いくらか理不尽な状況への憤りも含まれていただろうとはいえ、命を懸けてでもこの現実に立ち向かい、打ち倒してやると言わんばかりの気迫が伝わってきて。死んでしまったらそれまででも、それまでにもうこれ以上逃げていたくないとでもいうかのような、今この時を胸を張って生き抜くんだと叫ぶかのような。その姿に、のちの時間軸でのがむしゃらな活躍が思い出されて、アスナは最初からこんなまっすぐなキャラだったんだなあと感慨深く思ったり。

とはいえ、何物をも貫き通してしまいそうなほどに鋭い信念はその一方でひどくもろいものでもあって。キリトと交流する中で適度に肩の力が抜けた感があるのは、多少残念な気持ちがありながらも、彼の面目躍如と感じる部分もあり。彼、アリシゼーション編のほうでもそうですけど、デスゲームと化してはいても、ゲームであるならシステムの利点も短所も活かしたプレイングしますからね。命がかかっていてもその辺の考えは忘れないというか、命がかかっているからこそその勘所をつかんでいるところがあって。気を抜くところ、気を張るところをこの時点ですでに無意識に使いわけれてる印象。それもあってか、あとがきにもあるように、本編のアインクラッド編との矛盾もあるとかないとかですけれど、正直1巻の話はあらすじ程度にしか覚えてないので、気にせず楽しめてるところであり。たしかに、1巻時点ではあんまりふたりの仲もよくなかったような気がしますが、途中での決別はありえることなんじゃないかとも思うので。アスナさん、この巻の当初がそうであったように、根はかなり潔癖な性格のようですから。“悪のビーター”であるところのキリトとは本来的に相性がよくないはずなので。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 14:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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