2017年02月25日

女王様、狂犬騎士団を用意しましたので死ぬ気で躾をお願いします

女王様、狂犬騎士団を用意しましたので死ぬ気で躾をお願いします -
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これは面白かった。犬人たちの国の王族の生き残りとして見出された少女リーゼロッテが彼らの女王になる話なんだけど、犬人たちのノンストップな残念ぶりに最初から最後まで笑わせまくってくれるとても楽しいコメディ。

犬人というのは、犬と人の姿を自由に変異可能な種族であるそうで。人としての外見はどこに出しても恥ずかしくない美形ばかりで、主人公はそんなキャラクターたちに囲まれる少女となれば、読む前は恋の予感がしたりもしてたんですが、開始数ページでみごとにそんな期待を打ち砕いてくれるからやってくれるというか。なにせこの犬人たちときたら、人の姿をとれるといっても性格や習性は明らかに犬寄りなんですよね。ご主人様のことが大好きで、ご主人様に服従することが何にもまさる喜びで。いつでもご主人様のそばにいたくて、どんな扱いでもいいからご主人様に構ってほしくて、周りに客人がいようが部外者の目があろうがおかまいなし。犬の姿であるならまだ可愛げがあろうというそんな態度も、人の姿でされるとなまじ美形で有能ぞろいだけに残念度が際立つという。

どいつもこいつもそんなのばかりだから、彼らの女王になることになったリーゼロッテのはずなのに、ドン引きしたり羞恥に身もだえたりしまくりで。それはそれでかわいらしくはあったんですが、最後の王族だからといわれて責任感のようなものを抱きはじめたにもかかわらず、その向かう先が国民のためにも立派な女王様になるんだという決意よりも、ご主人様に気に入ってもらいたくて気合いの入りすぎた問題児たちをどうしつけていけばいいのかという実際的な苦悩になってしまうからおかしいこと。勝手に戦争はじめて国ひとつ滅ぼしたり、誰が一番ご主人様にかわいがられるべきかで大乱闘がはじまったり、放っておくとなにをしでかすかわかったものではない困った犬人たち。そんな彼らにご主人様として見出されたリーゼロッテは、作中でも言われていたように、女王様というよりも彼らの飼い主なんですよね。いやまあ彼女も、彼らに見出されるまではわりとつらい半生を過ごしてきたはずなんですけどね。サラッと流されてはいましたが。そんな境遇から実は王族の生き残りだったのですといわれて、そうして迎え入れられた国で待っていたのが、ご主人様大好きすぎて限度を知らない困った犬人たちの飼い主としての仕事であったという。ナンデヤネン。

そんなわんこたちの中で、個人的にいちばんのお気に入りはダシバですね。犬人がたくさん登場する作中においては唯一の純然たる犬で、活躍という活躍もまったくしないみごとなダメな子ぶりを見せてくれたわんこではあるんですが、ダメな子もここまでくるとある意味すごいというか。犬人たちに見出される前からのリーゼロッテの飼い犬にもかかわらず、番犬の役にはまるで立たなければ忠犬の評価にもほど遠い。そのくせ食うだけはしっかり食ってまるまるとした体をしているという。いかにも「ダメシバ!」な駄犬の中の駄犬ではありますが、そのダメシバぶりがかわいいといいますか。どこまでも活躍しない姿が、ノンストップで暴走ぎみな犬人たちの中にあってはむしろ癒しになってくれてたんですよね。後半の、まさかのキーキャラクター的な立ち位置には笑いましたけど。

そして地味にリーゼロッテも、基本的にツッコミどころ満載な犬人たちの暴走に振り回されて大変な役どころではあったんですけど、この子もこの子で結構な一面があったというか。マスティフさん家の狂犬を従えてみせた貫禄は、まさに「女王様」という感じではなかったでしょうか。いやまあ、本人にはそんなつもりまったくなかったんですけど。完全に勘違いモノの産物なんですけど、この子そっちの要素持ちであったかーなどと謎の感心をしてみたり。

そんなこんなで、笑えて笑えてたいへん楽しい話でしたので、つづきもあるならぜひ期待したいところです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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