2017年02月13日

お嬢様と執事見習いの尋常ならざる関係

お嬢様と執事見習いの尋常ならざる関係 (一迅社文庫アイリス) -
お嬢様と執事見習いの尋常ならざる関係 (一迅社文庫アイリス) -

アンバーとミシェルの関係めちゃくちゃよかった。行儀見習いの名目で他国に赴いたはずが立派な男装の騎士になって帰ってきてしまった王女ミシェルと、そんな彼女の幼なじみで誰にも言えない想いを寄せる執事見習いのアンバーの関係がですね。物語の視点としては半々くらいの割合で描かれていくんですが、アンバー視点でのあふれんばかりのミシェルへの気持ちがこれでもかと感じられることといったら。王女と執事見習いの立場では望むべくもないし、だからこそミシェルにだって告げることさえできないんだけど、そばにいられればそれでいい、ミシェルがもっとも輝いていられるようにサポートできればそれに勝る幸せはないとばかりに甲斐甲斐しいほどの仕事をこなすけなげさ。執事見習いとしての仕事もあるのに、それらをこなしながらも残るすべての時間をつぎこんでいるに違いないほどにミシェルのことを想っていて、けれど許されない気持ちだとわかっているだけにそれ以上の一線を越えることはぐっとこらえなければならない切なさ。本当にいい子ですよ、この子。本来のヒロインがさわやかで男らしい感じにしあがってるだけに、とてもヒロインっぽい。執事長から怒られて落ちこんでる間にほとんど無意識のうちに誰よりもミシェルの好みを知り尽くした服を仕立ててしまったりとか。とてもかわいい。

一方のミシェルも、道を歩けば女官や姫君たちから熱い視線を向けられる凛々しい騎士ぶりで、エスコートの男性役もお手のものどころか女性役の動きはさっぱりという見事なまでの男らしさ。実際に騎士としての腕もかなり立つようで、馬を駆って自ら作中で起こった事件の捜査にも乗り出すありさま。姫君としての行儀見習いに国を出たはずがどうしてこうなったという。しかもそれがこの上なく様になっているものだから、母后の嘆きもわかろうというもの。

アンバーに対する心情としては、アンバーがかなりストレートに淡い気持ちを内心で吐露しまくっていたのと比べると淡泊にも思えるくらいで、はじめのうちは頼りになる幼なじみくらいの感覚は伝わってくるものの、アンバーの一方的な身分違いの片思いなのかなあと思ってもいたんですよね。それでもとてもよさそうと。けど、だんだんミシェル視点でもアンバーではなく別のキャラと一緒の行動になると不機嫌さを表すようになっていき、どんどんアンバーに対する無防備なまでの内心が見えてくるようになりと、読み進めるにつれてめちゃくちゃすてきな関係だとわかってくるんですよ。このくすぐったいような心地いい関係。めちゃくちゃよくないですか? 帯見たら「両片想いラブコメディ」ってありました。まさにそれ。最後まで二人が決定的なひと言を口にすることはないんですが、ラストシーンのやりとりはもう、タイトル通り、身分違いの想いを描いた話としてはただただ感謝の言葉しかない素晴らしさでした。ありがとうございます。ありがとうございます……!
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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