2017年02月10日

本好きの下克上 〜司書になるためには手段を選んでいられません〜(2)神殿の巫女見習い(2)

本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 第二部「神殿の巫女見習いII」 -
本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜 第二部「神殿の巫女見習いII」 -

シリーズ5冊目にしてついに貴族が登場。神殿長や神官長といった貴族階級出身の人たちもすでに登場してはいましたが、あくまでも一部の例外的に映っていたというか、平民出身で平民以外との交流がないに等しいマインの視点からでは彼らと平民との違いがそんなに見えてこなかったところがあるんですよね。神殿長はなんかやたら偉そうだったけど、神官長はマインの持つ魔力や神殿の事情などもあって平民であるマイン相手でも話せばわかる人のように思えて。なので、常識の違いからくる意思疎通の問題はあるにしても、マインが貴族とかかわりを持つようになっても今までの調子でなんやかや受け入れられていくことになるのではないかなーと思ってたんですよ。でもね、これ、無理ですわ。そんな気軽にひょいっと飛び込める世界じゃないですよ。住む世界が違うってこういう感覚ですよね。貴族街に足を踏み入れて、貴族しかいない場に立つことで初めてわかる厳然とした身分意識。神官長のほうがむしろ少数派なんだろうなと思わされる見下され方。以前ベンノたちから、魔力食いだと知られたら貴族にいいように飼い殺しにされるぞと言われてましたが、その言葉がはっきりと呼び起こされる。愕然とさせられるような貴族社会とのファースト・コンタクトでありました。

いやもう、びっくりびっくり。この作品世界って、そんなに厳格な階級制度のある設定だったんですね。思い返してみれば、前の巻だったかで、レストランの準備で平民は皿代わりに硬いパンを使うとか、食べ終わったらそれを床に投げ捨てて残飯はそこらを徘徊する犬が処理するとか、まるで海外のファンタジー作品読んでるみたいな理想化されてないファンタジー描写に驚かされたところはありましたが。というか、平民の中での生活は現代文明を持ち込むための知識のあれこれこそ細かく描写してあるなーと感じたものの、中世ヨーロッパ風のふんわりしたファンタジー世界という印象だったはずなんですけどね。貴族的な文化に近づいていくと夢のないファンタジー世界が顔をのぞかせだすのはどういうことなんでしょうかねという。面白いなあ。小説家になろう発でこんなファンタジー世界を見ることができようとは。平民街と貴族街のギャップにはまだ不整合感を感じる部分もありますが、この巻でようやく貴族が何人何十人と出てくる場面が登場したことからして交流の乏しい階級なのだろうかと思えてもいるので、もっともっといろんな場面を読みたいところです。貴族階級の場にほんの少し立ち入っただけなのに世界が倍くらい広がった感覚があって、それなのにもっともっととこの世界のことが知りたくなる。いい物語ですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:16| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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