2017年01月12日

やがて君になる(2)

やがて君になる (2) (電撃コミックスNEXT) -
やがて君になる (2) (電撃コミックスNEXT) -

そうなるかー……いやそうなりますねという2巻目。なにを言ってるかわからない感じだけど、実際難しい問題ではあります。

誰かを特別に思う気持ちがわからない主人公の小糸侑と、そんな彼女と同じく「好きって言われてドキドキしたことない」という生徒会長の七海燈子。似た者同士だと思っていたのに、燈子が侑への好意を抱いてしまったことから、半ば流されるように付き合いをはじめたのが侑だったわけで。基本的には二人の気持ちはかみ合わないんですよね。燈子のほうから一方的に好意を与えるばかりで。侑から返せる気持ちは心のどこを探してもなくて、せいぜい仲のよい先輩後輩関係としてのサポート程度。燈子のまぶしいほどの気持ちを見せつけられるほどに、自分も彼女のように誰かを好きになれるようになりたいと隠れて心を痛めてる侑とのすれ違いがなんとも切ないですよね。

……という一面もあったんですが、侑のほう、これ、正直もうかなり定義しづらい心理状態になってますよね。完璧な生徒会長だと思われている燈子の弱い一面を知ってるからこそ心配したり、彼女のことを好きになりたいという願いを抱いていたりと、広義の意味ではこれはもう燈子を好きになっているといってもいいのではないでしょうかという。槙くんから二人の関係を聞かれたときの態度なんて、自分のことよりも先輩のことのほうを大切に思う思考の表われのようで、それだけでいいものを見させていただきましたという気分にもなるんですよね。ただ、作中のその場面でも侑が言っているように、「普通」の範疇とも言ってしまえば言えてしまう。恋仲だと思えばそうともとれるし仲のよい先輩後輩だと言われればそうともとれるという、とても微妙な状態なんですよね。

「好き」って、どこからそう呼べる感情なんでしょう? たしかに侑には燈子ほどのきらきらした感情はうかがえないし、特別に思う人に対して心が高鳴るようなことも起きてはいない。けど、誰かを自分のこと以上に心配できるその気持ちは、まぎれもなく好意だと思うんですよ。そこに恋心が絡むか否かは別にしても。むしろこれは、恋や愛に対するタイプの違いなのかもしれないとも思うんですよ。燃えるような恋をする人もいれば、いっしょに過ごす時間がほかのだれよりも心地よくて、それがなにより大切だという人もいる。ドキドキする気持ちがそれを恋だと教えてくれることもあれば、「普通」の好意を積み上げたうえで気づけば総じて「普通」ではなくなっているということもある。いまの侑は、まだ燈子と特別な関係にあるというのは難しいかもしれないけど、いつかそこに届くのは可能だと思うんですよね。ラストの燈子のモノローグが不穏だったけど! めちゃくちゃ不安煽るモノローグだったけど! そこまで結構いい感じの将来予想ができてきてたのに、またすぐに不安にさせてくれることで。まったくもって、一筋縄ではいかない関係ですね。まあ前の巻の情報だけでも、燈子ってなんかしら過去に心の傷を抱えてそうではありましたが……。なかなかこじれることになりそうですね。

その関連で、ではないですが、今後にひと悶着ありそうなのが、侑と副会長の佐伯先輩の関係ですね。1巻でも、燈子が侑にご執心なのを面白くなさそうにしてるところありましたが、今回ひとつふたつ場面をはさむだけでさらっと二人の確執を描きだしててすごいなというかこわいなとも思ったり。とはいえ、侑が入学してくる前までの燈子と佐伯沙弥香の関係って、いまの燈子と侑の関係と似ているところがあるんですよね。ほかの人にはしないような相談を燈子がして、だれよりも燈子のことをよく知っていてと、まるでいまの侑が彼女の場所を奪ってしまったような感があって、それはたしかに面白くないだろうなというところ。とはいえ、侑とのいちばんの違いは燈子に対するスタンスですかね。彼女の場合は信頼と応援がうかがえる。それに対して侑は心配がとにかく先に立つ。この辺は、第一印象に由来するところなのかなと思いますが、なまじ燈子と接してきた年月の違いがあるだけに、結構深刻な対立になりえそうで、これもまた不安をかきたてるところですね。

さて、そんな問題も抱えつつ、生徒会の劇はどうなるのかとか、侑の気持ちはどんな変遷をたどっていくことになるかとか、いろいろ期待しつつ、3巻も楽しみにしたいですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:55| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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