2016年12月26日

The Inquisitor's Tale: Or, The Three Magical Children and Their Holy Dog

The Inquisitor's Tale: Or, The Three Magical Children and Their Holy Dog -
The Inquisitor's Tale: Or, The Three Magical Children and Their Holy Dog -

英語の文章をいろいろ読んでみたいと思って手を出してみた一冊。レベル的には小学生が読む児童書レベル。もうちょっと英語力があるつもりでいたんですが、これでもわりと単語を調べ調べ読んでいく感じになったので、自分にとってちょうどいいかやや簡単な程度のレベルだったのではないかと思います。それでも話を楽しみながら読んでいくにはちょうどいいくらいだったのではないかと。

内容としては、13世紀の若きルイ9世のフランスを舞台に、神の奇跡の力を持った3人の少年少女と1匹の犬を主役にして、彼らのことを直接見聞きした人々によって語られる二人称小説。

先見の力を持つジャンヌ、人並み外れた膂力を持つウィリアム、癒しの力を持つヤコブ、死んでよみがえった犬のグウェンフォルテ(この読み方でいいのかは不明。原語ではGwenforte)の3人と1匹が主人公。とある酒場に集った人たちによって物語の語り手に彼らの生まれ育ちが語られだし、出会った3人と1匹が国王と王太后によるユダヤ教文献に対する焚書から書物を守ろうとする事件のところで時系列が追いつき、その後は語り手の視点によって彼らの導く結末が描かれていく。

面白かったですね。あくまでも向こうの児童書レベルということもありますが、なじみの深い中世ヨーロッパを舞台にしたファンタジーであり、単語以外の背景にある文脈を理解するには特に困らず。3人の少年少女たちが無理だと思われた壁を乗り越えて目的を達成する流れは、越えるべき壁の困難さ、それを乗り越える彼らの力の奇跡のような発揮され方に、周囲の人々ともども「祝福あれ」と唱えたくなってしまいそうな盛り上がりがありました。

というのも、彼らが作中で戦った大きな障害が、ドラゴンと、王の軍勢でしたからね。巨大なドラゴンが出てきたときには、こんなの勝てるわけないじゃんと思ったりもしましたが、本当になんとかしてしまったからすごいというか。言ってしまえば勝つ必要はなかったとはいえ、騎士でさえ命を落としてしまうドラゴン相手にうまく立ち回る彼らの力はただの人のものとは思えないものがありましたよね。まあただ、なんというか、そのドラゴンの必殺技が「ドラゴンズ・ブレス(屁)」というのはさすがにどうかと思いましたが。おかげで、まず鼻が曲がりそうな悪臭が届いて、その直後に爆発的な熱が襲いかかってきてまたたくまに人が焼け焦げるという、地獄のような光景が現出してしまったんですが……。

国王や王太后のユダヤ人やユダヤの教えに対する態度は、まああんなものでしょうか。合従連衡上等なイベリア半島の人びとに比べて、フランス人は十字軍士として熱狂的なところがあったように思えますし。むしろ国王が小作人の娘、半分イスラームの血を引いた肌の黒い大男、ユダヤ人、犬とかいうぱっと見いかにもうさん臭い彼らの奇跡の力にひれ伏すほどの寛容性を持ち合わせたキャラクターとして描いていたことに驚いたり。いや、これも神に対する尊崇の念の為せるものといったほうがいいかも。信仰と合理性の天秤の上でとらえるのではなく、たとえそれを行ったのがどんな相手でも神がなさしめた行いならば敬意を表す。そんな篤い信仰心・正義感の持ち主であったととらえるべきでしょうね。さすが当時のフランス人……などと偏ったイメージで語ってみる。

巻末にキャラクターを創りだすうえで参考にした実在の人物についての簡単な解説も付されており、歴史好きとしてはそこも含めて楽しい一冊でした。


posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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