2016年12月18日

りゅうおうのおしごと!

以前から評判はよかったので気になっていたシリーズ。投票受付中のSUGOI JAPAN Awardの候補作にあげられてるのと、このライトノベルがすごい!2017で1位になったことを受けて読んでみることに。一つ前の記事の『ゲーマーズ!』も同様なんですが、そちらでは書きそびれていました。

りゅうおうのおしごと! (GA文庫) -
りゅうおうのおしごと! (GA文庫) -

熱い展開だった。面白い。将棋って、こんなに白熱した展開ができるんだ。驚かされた。でも、それもそうか。勝負ごとの世界だもんなあ。勝てば得られるものがある。負ければそこから遠のいてしまう。それどころか永遠に手が届かなくなってしまうかもしれない。勝つか負けるか。その結果だけで物事が決まってしまうとなれば、それはもう必死にならざるをえない。そうした指し手を越えた対局者の気持ちの発露、その描写の見事さにひきこまれましたね。

そんな熱い展開をひきだしてくれたキャラとして、スランプ中の主人公のもとに押しかけ弟子としてやってきた「あい」という女の子の存在がめちゃくちゃ大きいですよね。主人公に褒められてうれしそうにしてる様子なんかは年齢相応に可愛らしいんだけど、将棋を指しだすととたんにぴんと張りつめたような集中力を感じさせる雰囲気へと様変わりするギャップがですね。入門試験の体で主人公と駒落ち将棋をはじめて、それでもやっぱりプロ相手だから劣勢に立たされて泣きだしそうになってしまう……かと思われた直後に人が変わったような気迫で指し手を読みはじめたあの場面。挿絵もあいまってぞくぞくするようなインパクトがありましたね。その後も発揮されるこの子のこの癖は、冷徹に指し手を読む機械のようなというか、自分の指し筋を見通すだけでなく相手の負けを見通し淡々と言い渡しているような、そんなこわさとわくわく感が同居していて、読んでてとてもひここまれるものがあるんですよね。小学生にしてこの気迫、これが天才というやつでしょうか。とはいっても将棋界ではあいの年齢は将棋を始めるには遅い部類に入るようですけど。

さすがに主人公の姉弟子との対局では劣勢に追いやられてしまいましたが、それでも、最後まで勝負をあきらめない粘り、なにより女性棋士のトップである姉弟子に本気を出させたあいの棋力、そののびしろに期待を抱かされますね。さすがに盤外戦術とかまで駆使されると、将棋はじめて数か月の子供にえげつないと思ってしまうけど、それもまた裏を返せば勝負に賭ける思いの現れということで、白熱の展開を楽しませてもらいました。

勝負以外のところでは、あいと彼女が研修会で知り合った将棋仲間の女の子たちが研究会で一日中将棋を指しあってわいわいやってる場面なんかも、まさに将棋漬けという一日でありながらもそれを心から楽しんでる様子が見ていて心地よくて。そんな熱意あふれる弟子と盤上・盤外で接していくうちに、小さく固まりかけてた主人公が勝負への執念を思い出す流れもいい話でしたよね。やっぱり小さい子は可愛い。今回の話ではあいが中心で、主人公の方の対局の描写はそこまででもなかったですが、いずれ復活した「竜王」がみせる勝負も見てみたいものですね。

一部、ちょっと、ろりっ子押しなネタが含まれてるので、個人的に声を大にしては勧めづらいところがあるんですが、ともあれ作者あとがきにもあった「熱い物語」、楽しませてもらいました。勝負ごとの世界にはそれならではの緊迫感がありますね。これはよいものよいもの。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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