2016年12月15日

ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー

ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー<ゲーマーズ!> (富士見ファンタジア文庫) -
ゲーマーズ! 雨野景太と青春コンティニュー<ゲーマーズ!> (富士見ファンタジア文庫) -

あ、これすごくいい。実際の好意の向かう矢印と当人たちの誤解が重なりに重なってたいへんな感じになってってるのがとても面白い。素直に整理すればきれいに両想いのペアができるはずなのに、なんでそうなるとツッコミを入れずにはいられない誤解が次々に生じていくのが楽しくて面白くって。この巻はそんな関係性ができあがる過程が一冊使って描かれていった感じなので、ここからの展開がとても楽しみになってくるシリーズ第1巻。

一番かわいかったキャラはなんといっても上原君。なんとなく付き合ってるだけだったはずの亜玖璃に本気で恋に落ちてしまった彼のかわいさはとてもよかったです。高校デビューで軽い感じのキャラを作っているとはいっても、根は純真なんですよね。それまでは自分のことを好きという亜玖璃を適度にあしらったり、つきあってどこかをぶらついたりと、冷めてるんだけどもだからこ余裕をもって接することができていたのに、意識しはじめたらとたんに目を合せるのも恥ずかしくなっちゃったりして。もうね、とってもかわいいですよね。この恋する男の子。まあでも、そのせいで誤解が生じちゃってたりもするので、余裕なさすぎだよ恋する男の子……ともいうところ。読む方としてはそこがまた楽しくもあるんですけどね。

タイトルにもある通り、何人ものキャラをつなぐのはその多くがゲームを通してで、同じゲーマーの中でも各人それぞれに微妙に、あるいははっきりとタイプを分けて描いているのも面白いですね。いちばん差が大きいのは主人公・雨野景太と天道華憐のぬるゲーマー対ガチゲーマーという対照でしょうか。エンジョイ勢とガチ勢というスタンス的に相容れない者同士ではありながら、ゲームから離れてみれば矢印が伸びている関係でもあり、1巻にしてすでにこじれぎみな関係でもあり、なかなか面白……先行き不安な二人ではあります。

その一方で、ぬるゲーマーの中でも好みがかなり似通っているにもかかわらず、決定的な一点でわかりあえない主人公と星ノ森千秋という二人もいるんですよね。ここには今のところ伸びてる矢印はないんですが、互いの最大の理解者になれそうに思えて譲れない不一致のせいで険悪な空気が流れまくるのって、わりと理解できてしまうから困るというか。ええ、好みが反対だとそもそも相手のこと気にも留めないんですよね。なまじ似ているところがあるからこそ、細かいところでの違いが許せないというか……。

とはいえ、主人公のゲームに対するスタンスはある意味で尊敬すべき点もあると思うんですよ。大好きなクリエーターがいて、主人公はその人の作品は全部好きなんだけど作風がかなりとがっているせいで一般受けはしない。もっと評価されてほしいけどそうするためにはその人らしさを薄めてしまわないといけない。そんなクリエーターに対してファンは次にどんな作品を望むべきかというのはかなり悩ましい問いだと思うんですが、彼はそれに対して、どんな作品だろうとその人らしさを楽しめばいいとあっさり言うんですよね。この回答は、クリエーター側からしてみれば煮えきれない答えかもしれないんですが、ぼっちなぬるゲーマーだからこそ出せるひとつの答えだと思うんですよ。一般受けどうこうは正直あまりどうでもいい。けど、どこかに必ずにじみでるその人らしさがあればそれで自分は十分楽しめる。それがいちばん大事という。これはこれで結構な数の作品を受容した上ではじめて得られる考えのような気もしますので、高校生ですでにその域に到達するとは、こやつできる……とか思ったり。

ファンタジー要素のない純粋な学園ものの話を読むのが久しぶりすぎて文脈を理解しきれてないところもあるように思いますが、ともあれ次の巻ではこのもつれた関係がどうなっていくのか。多少なりともほぐれていくのか。さらに泥沼にはまっていくのか。どちらにしても面白そうで、楽しみなところです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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