2016年11月19日

やがて君になる(1)

やがて君になる (1) (電撃コミックスNEXT) -
やがて君になる (1) (電撃コミックスNEXT) -

すっごくいい。めちゃくちゃよかった。全力でオススメするレベル。今年のナンバーワンはこれに決定……はさすがにいいすぎか。けどこれはまだ1巻読んだだけでもめちゃくちゃひきこまれる素晴らしい話。

ジャンルとしては百合。その中でもガチな恋愛路線の話らしい。詳しくない分野なのでジャンル内での位置づけはよくわかりませんが。けど、個人的にはこの話は百合としてよりも恋愛ものとしてのよさをこそ主張していきたいところ。

この話のポイントはなんといっても、主人公が恋にあこがれながらも恋愛感情とは無縁な女の子である点だと思うんですよ。恋をするということがどういうことなのか、物語の中で描かれる恋はいくつも見聞きしてきたのに、こういうものなんだろうなと想像することもできているのに、それが自分に訪れたことは一度もない、誰かのことが特別だという感覚がわからない。恋愛話に興じている友人たちの中でただひとり疎外感を感じてしまう。そんな女の子なんですよ。だから、恋愛路線といっても、1巻終了時点では恋人どうしにはなってないんですよね。先輩から主人公への一方通行にしかすぎなくて。でも、主人公は自分のことを特別に思ってくれて、ほかの人には見せない弱い一面も見せて甘えてくる先輩に対してきっぱりと拒否することもできず、葛藤を抱えながら接していくことになる。いいですよね。一方はきらきらとまぶしいくらいの好意を見せるのに対して、もう一方はつれない態度をとったり、それをうらやましくも思ったり。そんなちょっと非対称的な感じにはじまった二人の関係がですね、とてもいいと思うんですよ。

ただ、そんなどこか普通じゃない感じで二人の関係がはじまるのも、なし崩し的にしかたないところはあるわけで。お相手の先輩も、実は最初は主人公と同じで、誰かから「好きって言われてどきどきしたことない」という、恋愛感情とは縁のない人だったんですよね。だからこそ、主人公もこの人なら自分の気持ちをわかってくれると頼みにも思ったわけで。そんな先輩から突然きらきらとした好意を向けられたら、主人公ならずともどうしたらいいのか戸惑ってしまいますよ。自分と同じだと思っていた先輩が、自分の知らない特別な気持ちを知って、まぶしいくらいの恋愛感情に照らしだされたような表情をするようになる。それをねたましいくらいにまで思う主人公の心のうちの描写なんて、たまらなくよかったですね。くやしいくらいの気持ちが痛いほどに伝わってきて。あのシーンがこの巻のベストだと思います。自分を頼りにしてくれているんだと思えば、自分に力になれることがあるんだと思えばそれでも冷たい態度はとりにくそうですが、やっぱりいびつですよね。それがいい。

ラストに不穏なモノローグで終わってるのが気になりますが、二人の恋模様、これからいったいどうなってしまうのか。2巻もすぐさま読みたい所存。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:52| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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