2015年06月30日

文学少女、夢うつつ  (作者:ヘーゼンスキー)

(リンク先R18)http://novel18.syosetu.com/n9191ce/
(改題改稿予定があるらしいですが、記事投稿時点の情報で書いてます)

またか! またこんな終わり方なのか! またしてもやってくれおった……ちくしょうめ!

『トロイの言葉』の作者さんによる次なる作品。今回の話も趣向は催眠……だったんだけど、主人公の方からヒロインにそれを施してた前回と違って、今回はもともと意識を飛ばしちゃうヒロインの体質を利用して欲望の捌け口とさせてもらう話。催眠という時点でヒロインの意思なんてお構いなしではあるんですが、それをあまり感じさせないほどに意識改変を進めていた前回と比べて、今回はヒロインの体質につけいって暗示を広げていく設定だったので凌辱してる感がかなり強い。主人公の感情もヒロインに対する好意よりも欲望が勝って見えるところとかそんな感じで。

ただ、それでもはずさないのは、行為中のヒロインが基本的に無反応であること。極度の集中からトランス状態に入るヒロインなのでその間に何をしても気付かないし、そもそも反応らしい反応を示さない。それをいいことにめいっぱいその体を堪能する主人公の様子などは、前作から読んでたこともあってさすがと思わせてくるフェチな行為の数々でした。とはいえ、ヒロインが途中で気絶しようがかまわない、乱暴なばかりの行為は、個人的な好みからはずれてたかなあとも。

それでも、前作はよかったしと思って読み進めていたら、今回もまあ……やってくれおったのですよ。というか、今回のラストは前作にもまして衝撃的だったというか。読み終えたところでどんな反応していいのかわからなくて、しばらく頭混乱してましたからね。いい話だったと素直に受け入れているところはあったんですが、それと同時にふざけんなと読んでたスマートフォンを投げつけてしまいたい気持ちもこみあげてきて。その心理をどう表したらいいのかわからなくて、その場で固まっちゃいましたもん。

その最大の理由は、主人公の自分勝手さにあったといえるでしょうね。前作でもヒロインの心理状態を改変してましたが、あちらはまだ歪んでいながらも自分たちの幸せの形を考えてはいたんですよ。けど、今回の主人公にはそれすらなかったように思うんですよ。自分のことならなんとなくでも考えるんだけど、ヒロインについてはというと、一切といっていいほどない。自分が目指す方向性にヒロインは役立ってくれるから暗示を広げて手伝ってもらうんだけど、それがヒロインの望むことであろうとなかろうと関係なし。それどころかヒロインの望みなんて省みることもなく、それが当然のことであるように思いこませ、とにかく自分の都合のいいように利用し続ける。途中から二人目のヒロインも登場するけど、そちらも同様に利用するだけ利用する。主人公に関わったヒロインたちは、これでもかとばかりに人生をねじ曲げられちゃってるんですよ。その上で、なんですよ。そうしてやってきたのがあのラストだったんですよ。もうね、他人の人生めちゃくちゃにしておいて、一人だけ希望あるように思わせる終わり方をするなんて。そんな物語、許されていいのかって、思ってもしまったんですよ。

けど、しばらくして冷静になってから考えてみると、ありだとしか思えないんですよ。上に書いたような、ふざけんなって気持ちは消えないんですが、それでも、読了直後の本当に一番に浮かんだ感想は「いい話だった」なんですよ。軽く感動しかけるくらいの明るい終わり方だったんですよ。そう思わされた時点でもう「やられた」と言うほかないんじゃないでしょうか。作者の意図はどうあれ、これほどに感情を動かされたからにはこちらの負けだと思うんですよ。また、それほどの感情を起こさせるというのは、それこそが物語の力なんだとも思うんですよね。いやはや、これまた印象に残る作品でした。

活動報告でのあとがきを読んでいても、催眠をかけつづけるとどこかしら無理が出るはずという認識が作者さんの中にはあるそうで。だとすると、前作ともどもこのゆがんだ幸せの結末は、なかなかに感じ入るもののある話ではありました。

ともあれ次回作も期待していいのでしょうか この印象がうすれた頃に読んだ方がいいような気もしますが……。どうしましょうね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:16| Comment(0) | TrackBack(0) | Web小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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