2015年03月03日

タイタニア(1)疾風篇(2)暴風篇(3)旋風篇

タイタニア 1<疾風篇>2<暴風篇>3<旋風篇> (講談社ノベルス) -
タイタニア 1<疾風篇>2<暴風篇>3<旋風篇> (講談社ノベルス) -

割と最初からの既定路線をなぞっているように見えるところはあるものの、最終的にどうなるかまではわからないところもあって、それを知りたい気持ちがページをめくらせていく。そんな感じ。

宇宙の実質的な支配者であるタイタニア一族の筆頭五家、その一つの当主でありながらも宇宙の覇者としての気質に相容れなさを感じてしまうジュスランと、その場その場で持てる才知の限りを尽くしていくうちに反タイタニアの希望の星と目されていくファン・ヒューリック。その二人と周囲の人物たちを中心に描かれていくタイタニア治世の動揺の過程もなかなかに読ませるものがありまして。

ファン・ヒューリック視点では、最初のうち、こんなはずじゃなかったのに的なコメディ調な雰囲気が楽しくて、だんだん覚悟を決めていくうちに、定められた目標に対しては並外れた着眼点のよさから驚くべき結果をもたらしてくれるこの指揮官が、弱小の反乱軍から発していかに圧倒的大勢力のタイタニアに打ち勝って見せるのかに期待がかかってくるんですよ。今のところはまだジャブを打ち込みながら力を蓄えつつ隙をうかがって……なところではありますが、勝負をかけにいくその瞬間が楽しみなことで。

一方のジュスランは、タイタニア内部の人間であるだけにその強さ、弱さをよく知悉している。覇者の傲慢さから敵を侮ってかかる者がいたり、ファン・ヒューリックの出現にも内部闘争を優先する者がいたり。内実は案外もろそうに見えるところもあるんだけど、それらはすべて、ちょっとやそっとでは覆らないタイタニアの圧倒的な勢力が背景にあるからなのであって。ファン・ヒューリックによる敗北も、一度や二度なら容易く飲み込んでなおかつ取り込むべきものを取り込んでいく柔軟さも有しているのはやはり強者の余裕。しかも、広がる動揺に現タイタニア当主はなんらの対処もとっていないようでいて、どこまで手のひら上なのかわからない不気味さもあるのが安心させてくれないというか。なんというか、内部闘争すらも一族内部の新陳代謝に利用しようとしてる節があるんですよね。自分の意志で行動しているつもりだけど誰かの思惑で踊らされているだけなのではないかなんて疑いだしたら、そのうち参ってしまいそうですよ。

そんな腹の底の知れないやりとりになんともいえない閉塞感を覚えてくると、裏表のないリディア姫の聡明さはなによりの清涼剤と感じられますよね。ファン・ヒューリック側の視点におけるドクター・リーみたいに、ジュスラン側の視点におけるリディア殿下ってかなり鍵になる役割を果たしてくれてませんか? それとも、アリアバートの方が重要な役どころでしょうかね。

ともあれ、完結巻までもう出てますし、次の巻も楽しみに取りかかりたいです。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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