2014年08月02日

エスケヱプ・スピヰド(4)

エスケヱプ・スピヰド 四 (電撃文庫) -
エスケヱプ・スピヰド 四 (電撃文庫) -

かつての仲間たちが復活し、一人また一人と一つところに集っていく展開の熱さといったら。旗色悪い戦争の中でばらばらに死に別れてしまったという悲しい過去があっただけに、むしろ当初は九曜と竜胆だけが死に損なってしまったという雰囲気すら漂わせていただけに、再会を果たしていく戦友たちを見ていると、ふつふつと沸き上がってくる喜びがあるんですよ。なんでもない会話の記憶までもが懐かしく、けれど永遠に止まってしまったはずの鬼虫同士の時間が再び動き出したような、そんな感覚。驚異的な性能で劣勢の戦線を支えた彼らの伝説が目の前で蘇っていく。これで興奮するなってのは無理ですよ。

ただし、実は生きてたという者たちは概ね出尽くしちゃった感があったところでもあり、残るは本当に死んでしまった者たちばかり。彼らが再登場するにはそれこそ復活という荒業を駆使してやらんことには始まらんのですよね。生身の人間ならいくらSFの世界でも厳しいところだったのでしょうが、幸いにといってはなんですが、鬼虫の仲間たちはすべて人体を基に名実ともに兵器となるまでに処置を施された者たち。壊れた機械を直す要領で蘇生は遂げられてしまえたようで。とはいえ、一度は本当に死んでしまったこともあり、どこにも全く問題なく復活できるとは限らないようで。今回、井筒が記憶の断絶に悩むことになったのが象徴的ではありました。この辺は、十五年という歳月の経過によるところも大きかったのでしょうが。一巻で九曜も狂いが生じてしまいそうになっていましたし。しかし、九曜の場合はそこで叶葉との出会いがありましたし、井筒には巴や剣菱というかつての仲間たちがいました。口では喧嘩腰でやりあいながらしっかり支え合いもしてる関係が印象的でしたね。仲間はまだ一部欠けている者がいて、その分うまく噛み合えてない部分もありますが、九曜がこれまで出会ってきた人々がうまいことその穴を補ってくれてるのもいいなあと思う次第。

さて、そんな最強の鬼中たちが数揃えば黒塚部隊なんてなんのその……と思いきや油断ならんようでというのは前回の感想でも書きましたが、ちょっとずつ明らかになってきた情報から本気で見劣りしない強敵であるようで。今回登場した敵の新戦力のこともありますが、かつて巴という天才が作り上げた鬼虫技術とそれを再現凌駕すべく十五年かけて磨かれた甲虫技術との新旧技術者対決としての側面が浮かび上がってきたのも期待させてくれるところであり。ますます楽しみなシリーズになってきてますね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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