2014年07月13日

風とリュートの調べにのせて(2)

風とリュートの調べにのせて2(桜ノ杜ぶんこ) -
風とリュートの調べにのせて2(桜ノ杜ぶんこ) -

やっぱりこのシリーズすごく読みやすいですね。他の作品だと、もうちょっと行間を読ませているだろう部分も丁寧に書いてくれる。二人のキャラの会話のシーンであれば、一方が言葉を発し他方がそれに対してなにがしかの反応を示す場合、そこでなぜそういった反応になるかについては、推測させたり後回しにするよりもその場でその説明から描き出されることが多いように思うんですよね。表面上の会話だけでは理解しづらい流れを理解するための補助線が引かれているなあと感じられる場面がちらほらあるんですよ。そのせいでページ数が膨らんでいるところもあるんじゃないかとも思いますが、読んでいて不要と感じることはまるでないんですよね。むしろ、その補助線に乗っかって読んでいるとするすると話が頭に入ってきて気持ちがいいというか。なんというか、曲がり道を軽く遠心力感じる程度の速度を出していながらも優しく進路を導かれていくような感じ? うまく説明できない……。

ともあれ、この作品でそういういわば補助線が有効に感じられるのには、作者の個性もあるのかもしれませんがこれしか読んだことがないので脇に置くとして、内に籠るタイプのキャラが多いことと、主人公一行の人数が多いことが理由として挙げられるのかなあと。

前者としては特に、主役であるアルとセレス、シェイラの間において、胸の裡に秘めておこうとする想いやそれを慮っての葛藤が結構ありますからね。身分の違いとか王女としての立場とか姉妹の気持ちとか、そういったことを気にしてなかなか踏み込めないでいる三角関係。仲の良い幼馴染みであるからこそ遠慮しあっちゃう内気さ加減はとてもいいものがあるのですが。とはいえまったく進展がないわけでもなく。魔王復活という危急の事態にアルの姉であるフリーダの部隊全滅という報せが加わり憔悴するアルを放ってはおけないと思ったシェイラが励ましてみたり、そんなアルが同じように続く緊張状態に悩まされるセレスを元気づけてみたりと、こんな状況でも三人が三人で関係を前進させているのが面白くもありました。そんな三人だから、いつまでもこのままでいられないのは確かなんだろうけど、今だけはなに憚ることなくこの時間を楽しんでほしいなあ思うんですよね。シェイラとアルの仲を応援しながら陰で涙を流すセレスを見てると特に。

一方で後者ですけど、この二巻の時点で主人公一行の人数は十三人。このページ数でしっかり描くにはちょっと多いんじゃないかなあと思わずにはいられないんですよね。いえ、もちろんキャラの把握に困らない程度には描かれているのですが。ただ、その分、学院の元同級生たちは五人グループとして扱われていますよね。彼女たちはアルや王女様たちと比べると、今のところまだ道連れからようやく一行の仲間入りをしたばかりというところでしょうか。今回、一行の他の面々からするとちょっぴり頼りなさが目立ったりもしましたが、迫りくる戦乱を生き延びるために、この行程で足手まといにならないような技術や心構えを身に付けていこうとする姿が印象的でした。そんな、メインであるアルや王女様たちの裏で、支え合う五人の友人たちの為人を理解するのに補助線が結構役立ったように思うのですよね。ただ、最後まで読む頃には見分けがつくようになってくるんですけど、少なくとも半分くらいまでは五人グループのイラストはどれが誰か全然わからなかったりしたので、そこはなんとかしてほしかったかなあと。キャラクター紹介は一応ありましたが、巻末ですし、具体的な記述はないですが今回の内容も少し含まれてましたし。

それはそれとして、このベースだと結構長丁場になりそうに思えますね。アルや王女様たちのキャラはいい感じですし、引き続き楽しみにしていきたいですということで。


posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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