2014年07月01日

〈最後の魔法使者〉第1部 魔法の使徒(上)

魔法の使徒上 (最後の魔法使者第1部) (創元推理文庫) -
魔法の使徒上 (最後の魔法使者第1部) (創元推理文庫) -

『ヴァルデマールの使者』三部作の冒頭にてタリアが読んでいた物語で、劣勢の中、敵の軍勢に単騎で突入していった英雄として描かれていたヴァニエルの物語。一体どんな物語になるのかと期待しながら読んでみましたが、この時点ではそんな勇敢さを発揮するような人物にはとても見えない。むしろ文弱で、争い事が得意な人物とはとても思えません。親元での、粗暴な武道ノ師範や、男らしくあれとヴァニエルを叱りつける父親に抑圧され、唯一の理解者である姉の労りや楽器を弾くことにのみ安らぎを見出だしていた姿が印象的でした。これについては、親の教育方針がヴァニエルに合ってなかっただけなのですが、父親にも父親なりの、こうあることで家臣や領民たちに受け入れられてきたとか、もっとこうあれればよりよく受け入れられたはずといった考えの反映もあるのでしょうし、難しいところでもあったり。とはいえやっぱり、いつまでもあんな親元にいてはそのうち潰れてしまいかねなかったとも思いますが。

そんなヴァニエルですが、今のところはまだ魔法の素質も〈使者〉になる見込みもまるでなく。ここから一体どんな運命のいたずらが彼の未来を変えてしまうのかというところですね。一応、〈使者〉が扱うような〈天恵〉の片鱗は既にあるんですよね。故郷を離れる前夜に身に付けた、自分の心に壁を作り冷淡に振る舞うあの態度、あれは遮蔽の術の基礎だと思うのですがどんなものか。ただし、そこから発展させる術を知らないヴァニエルは、親しい者のない宮廷の学院生活で耐え難い孤独に苛まれることになってしまったのですが。

『ヴァルデマールの使者』三部作でタリアに友好的だった〈使者〉の中にいてそんなことが起こるものかとびっくりもしましだが、そういえばヴァニエルってまだ〈使者〉でもなんでもないんでした。どうも領主の後継ぎという立場は難しいようで。父親としてもヴァニエルの弟のメケールの方を気に入ってるみたいだし、ヴァニエルなんて廃嫡してしまったらどうかしらんとも思いますが、継承法の問題でしょうかね。ともあれ、孤立を深めてどうなることかと思われたヴァニエルですが、そこに救いの手を差し伸べたのがタイレンデルだったんですよね。特別な存在になる相手ですが、彼は周囲も知る通りにゲイでありまして。つまりまあそういうことですね。

という感じでそんな感じだったわけですが、この巻の最後はあまりに淡々としすぎてキリのよくない区切りでしたし、早めに次も読みたいところですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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