2014年04月15日

剣刻の銀乙女

エステルいいキャラしてるなあ。面白い。

この物語の中核をなす《剣刻》を奪い合う争いって、かなり陰惨なものになってるんですよね。所有者がどれだけ隠そうとしてもどこからともなく知られてしまう。知られてしまうと、それを狙う人々が次から次へと現れる。《剣刻》は強大な力を与えてくれるために、自分で使うにしろ偉い人に譲るにしろかなりの見返りが期待できるのだから。けど、所有した人はほとんど全員、ほどなく命を落としてるみたいなんですよね。身近に現れた《剣刻》の存在はたやすく人の目を欲に眩ませてしまう。所有者はどこから現れるかしれない襲撃者に四六時中緊張を強いられ、日一日と疲弊していく。消耗してしまえば強い能力を持っていてもあっさり命を落としてしまったりもする。これは本当に、惨劇といっていい狂騒ですよ。それにはクラウンのお膳立てに負うところが多分にあるようですが、ともあれ物語の舞台となるこの国に感じる雰囲気ははっきりと暗いんですよね。

けど、ことエステルが絡むと途端にそんな空気が払拭されてくるんですよ。実際に戦っても強いのですが、危害を加えられそうになっても反撃しようとはしない。むしろ人を笑わせよう、楽しませようという方向に力を使おうとするんですよね。力を振るえば簡単に解決できるトラブルでも、おどけた立ち回りを見せて場の空気を和ませてしまう。それを処世術としてではなく、そうありたいという純粋な願望からそう生きようとしている。殺伐とした人々の空気の中でこの底抜けな明るさはすごく魅力的に映りますよ。エステル自身もその争いに巻き込まれていて、それでもなおあれだけ明るくあれるんですから。そうでないと争いの渦に飲まれてしまうということなのかもしれませんが、それでも普段表に出している道化師としての表情は嘘偽りのない本心からの楽しみを示していると思うんですよね。

エステルとヒースのコンビは、そういう道化的な意味でもいいコンビなんですよね。ちょっとふざけてみるエステルに、それに大仰に慌てふためくヒースにと、掛け合いを読んでるだけでも笑わせてくれるんですよ。この笑いの輪が、国のもっと色んなところに広がっていくといいですね。それにはもっと人数がほしいですねというところで、いい感じにルチルが加わってトリオになりそうな流れ。次にも期待ですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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