2014年01月20日

いばらの秘剣(3)雪山の探索

いばらの秘剣: 3 雪山の探索 (ハヤカワ文庫FT) [文庫] / タッド・ウィリアムズ (著...
いばらの秘剣: 3 雪山の探索 (ハヤカワ文庫FT) [文庫] / タッド・ウィリアムズ (著); 竹井 (イラスト); 金子 司 (翻訳); 早川書房 (刊)

物語の世界が変貌する。暴君へと性格を変えてしまったイライアス王の裏で糸を引いている人物として、どう見てもプライラティーズが怪しいよなあというところでしたが、どうもそういう目に見える部分以外の背景もあるようで。北の地から現れた老修道僧ヤルナウガの口から語られたのは、この大陸を覆いつつある不気味な動きについて。人の世の問題について頭を悩ませていたはずが、話を聞いているうちに伝承として語り継がれるような世界に身を置いていることに気付かされるんですよね。この辺は、1巻の地下道の場面の前後で、平和な王国がすっかり不穏な空気に包まれているのが表出したあの時を思い出させるようでしたね。そして今回変わってしまった後の世界は、それまで以上の危機が迫りつつあることを感じさせるものでした。ただし、まだ危機が危機として眼前に現れていないだけに、どう対処していいのかがわからず途方に暮れさせられるものがあるんですよね。なんにせよ、わくわくさせられる流れでした。

「きみはとてもひどいことをしたんだぞ、シーモン、わかるかな? きみはわが命を二度までも救った」
これ、ラストの場面でのジリーキーのセリフ。今回もいいセリフありましたねえ。思えばサイモンって、ビナビックのような異種族の人とかモーゲンズのような重要人物とかと何かと縁の生じる子ですよね。シジ族の白き矢を手に入れたのもその一つ。今回はその縁が形になって現れてきたんですよね。北の地への探索行で思わぬ再会を遂げた二人でしたが、そこで渦中のシジ族の協力を得るつてを手に入れていたのだから、出来すぎなくらいの縁を感じる出会いですよ。ところが、一方的にサイモンが助けられてばかりかと思いきや、上のセリフが出てくるのですからねえ。本人には恩着せがましい気持ちは一切なく、そうしなければいけないと感じたがゆえの行動ではあったのですが、それがますます絆を強くしているのだからいいものです。

そして、何者にもなれそうになかったわがままな子供だったサイモンが、ついにその眠れる力の片鱗を覗かせはじめたんですよね。大きな宿命を感じさせられたあの場面は心が躍りました。彼は、いったいどのような星の下に生まれてきたのか。気になってきましたね。これは続きを読まないわけにはいきませんよ。なので、早く第二部出版してください……。ミリアメール殿下のこととかすごく気になるので。騙されたような気分になって怒りを催してみたものの、向こうとしては初めてできた友人のように親しげに接してくれることを望んでいると思しき様子がとても可愛らしいというか。ともかくそんなところで、話としても思いっきり【第二部に続く】過ぎて、このままではもどかしいのですよ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 09:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。