2013年12月18日

町民C、勇者様に拉致される(3)

町民C、勇者様に拉致される〈3〉 (レジーナ文庫) [文庫] / つくえ (著); アズ (イ...
町民C、勇者様に拉致される〈3〉 (レジーナ文庫) [文庫] / つくえ (著); アズ (イラスト); アルファポリス (刊)

主人公のジョブチェンジのめまぐるしさときたら……。初めは町民Cだったかと思えばまもなく神子になり、この3巻では浮遊霊になり、そしてさらには……と、転々と移り変わって落ち着かないことと行ったら。そろそろ一つの職に身を落ち着けましょうよなどと見当違いのすっとぼけも思い浮かんだり。いや、でもさすがにこれ以上はないですよね? あと、なまじ固有名詞が与えられてないだけに名前までころころ変わっていくんだけど、こうなると表記的に別人として転生し続けているとも言えるのではないかとか言葉を弄んでみたくなったり。

それはともかく、前の巻にて思わせぶりな情報が断片的にいくつも提示されてましたが、もっと時間をかけてそれが形になっていくかと思えば、一気に核心に到達しましたね。まああまり引き伸ばしてもその間に何するんだというところではありますが。というか、2巻の始原の話の後からこの巻の2章までがその引き伸ばしだったような気もするんですが、そう考えると2巻と3巻はあまり区切りとしてはいいところではなかったような。上下巻くらいのつもりで一気に読んだ方がよかったくらいのような。この辺は、1冊あたりの分量を気にしないWeb小説らしさを思わせるところでしょうか。

ともあれ、そうして核心に到達してみると、これはしてやられたなあと唸らされるものがありましたね。巻頭の登場人物紹介がわかりやすいのですが、このシリーズの登場人物って、基本的に固有名詞が出てこないんですよね。これまでは、それもどこかおとぎ話らしさを思わせて面白いなあなんて思ってましたが、なんということか。これは叙述トリックというものに分類されるのでしょうか? 主人公がひたすら脳内でボケ倒してなんだかんだとしている間に話が進んでるからゆるい雰囲気の話かと思いきや、なんだか緊迫感出てきましたよ? そういえば、世界の危機が近づいてるって設定でしたっけ。今さらですが。それもこれも主人公が一人ボケツッコミ芸を炸裂させまくってたせいか。あの主人公の、場の空気をコミカルにさせる能力は相当なものだったんだなあと思わされる次第。今回も、真面目な空気になるかと思いきやいきなりお胸様の話題に入るのはやめてください、頼みますからw

そして、今回いちばん注目させられたのはなんといっても華姫さんですよね。おしゃれや恋にしか興味がないかのような浮ついた一面だけが見えた1巻のイメージから一転、ものすごくやり手な王女様だとわかるんですよね。これはもう、表面的な部分だけ見て侮ってましたと、お見逸れしましたと言うほかないですよ。まさか、華やかな美しさの下にあんなまっすぐな思いを秘していただなんて。おしゃれや噂話が好き、それはおそらく事実。けれど、彼女がしていることからすれば、それは一つの手段に過ぎなくて。人に警戒心を抱かせないように浮ついた人格を演じ、家族にすらも本心を隠して、ただひっそりと陰で人を動かしているのは、すべては国のため、民のため。自分の名声を求めてとか、そういう心は一切なく、とにかく王族としての義務を果たすために選んだのがその道だったというのは、泣かせるものがありますよね。玉座には興味がないとのことだけど、そこに近いところにいた方がなにかと都合がいいのではないかと思うのですがどうなのでしょうね。

ともあれ、次で最後だったでしょうか。いい感じに盛り上がってきたので、締めにも期待がかかります。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。