2013年12月10日

ミニスカ宇宙海賊(9)無法の御免状

ミニスカ宇宙海賊 9 無法の御免状 (朝日ノベルズ) [新書] / 笹本祐一 (著); 松本...
ミニスカ宇宙海賊 9  無法の御免状 (朝日ノベルズ) [新書] / 笹本祐一 (著); 松本規之 (イラスト); 朝日新聞出版 (刊)

今回は宇宙船をびゅんびゅん乗り回す派手なアクションよりも謀略にいかに立ち向かうかというところに焦点を当てた話でしたね。アクションに比べるとやや地味めになってしまうのは否めませんが、個人的にはこういう相手の意図を推測して対応を練っていくという流れはかなり好みの部類なので、面白かったです。海賊船としていつも通りに活動をしていたはずがよその思惑に巻き込まれて……という出だしはこれまでの話も全部そんな感じだったように思いますが、今回はその相手がなかなか判明しないんですよね。初めに悪意を持った誰かから依頼を持ちかけられたわけではなく、入念に仕掛けられた網にいきなり囚われた形なので、状況を好転させるにはまず誰が何の目的で仕掛けてきたのかを、仮説なりとも把握しないことには動きようがないわけで。今回の騒動のもとになった事件やその後処理を任されてる関係筋の情報を集めていくことになるのですが、この過程が実に面白いんですよ。同業のバルバルーサと協同し、茉莉香のことを心配したグリューエルのコネを使い、保険屋のショウと取り引きしながら、ちょっとずつ手掛かりが集まっていくワクワク感といったら。現状でこういう手掛かりがあるんだから、そこから調べていけば何か出て来ないだろうかとか。それを調べるにはこの手段がいいだろうから、よし任せたとか。追い込まれてるはずなのにわいわいがやがややってる雰囲気がまるでパズルでも解いてるようで楽しかったというか。その過程でお上の懐に潜り込んでちょっとした駆け引きをするのも、何度か修羅場をくぐってきたとはいえまだ経験値の少ない茉莉香で大丈夫だろうかと思わせる緊張感があってよかったですよね。しかも、そうして浮かび上がってきた計画が、これまた一海賊なんか木端のように思えてしまうくらいに巨大なものだったから壮観でしたね。というか、むしろその計画が進んだ先の未来を見てしまいたいとも思ってしまったんですが、それをやりだしたらもう別のシリーズになってしまいそうなところなので仕方ないですね。茉莉香たちにとってもそんなことより降りかかった火の粉を払うのが急務でしたし。仮説を組み上げる際に完全に味方内だけでやってたので、説得力あるような仮説が出来上がったものの殴り込んでみたら間違いでしたとなってしまった場合どうするんだろうかと疑問に思ったりもしましたが、さすがにそこまでやってるとページが足りなくなっちゃいますか。そうはいっても、あそこまで状況証拠があがってたら間違いの可能性は低かったとは思いますが。また、実際に敵とかち合うまでに想定される可能性をあらかた出し尽くしてしまっていたせいで、アクションシーンがあっさりしたものになってしまったというのもありますが、とにかくそこに至るまでにあれこれと頭を使っているのが面白かったですということで。

それにしても、グリューエルの情報力と行動力には相変わらず驚かされるばかりですね。ああいう、普段は皇族の特権に与らないようにしているけれどこうと決めたら躊躇なく切れる札を切ってのける切り替えの早さは素晴らしいですよね。今回の場合、下手すると銀河帝国を相手取ることにもなりかねないだけにリスクももちろんあったはずですが、その辺もきっと計算した上で茉莉香たち一行を素早く安全圏に連れていっちゃったんでしょうね。情報をつかんでから、取りうる手段を検討して、行動に移すまで、たぶんほとんど時間かけてないですよね。おそらく年長者たる皇族のそうした姿を見てきたゆえなのでしょうね。かえすがえすもすごいですよ。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 15:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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