2013年11月22日

いばらの秘剣(2)妖精の森

いばらの秘剣2 妖精の森 (ハヤカワ文庫FT) [文庫] / タッド・ウィリアムズ (著); ...
いばらの秘剣2 妖精の森 (ハヤカワ文庫FT) [文庫] / タッド・ウィリアムズ (著); 竹井 (イラスト); Tad Williams (その他); 金子 司 (翻訳); 早川書房 (刊)

「ちくしょう!」
ラストのサイモンのセリフ。これ、本当にこの言葉がぴったり当てはまる心境ですよ。最初の出会いが出会いだっただけに、警戒しながらではありつつも、一緒に旅を続けるうちにちょっとだけどわかりあえたような気持ちになっていたところであれですからね。仲間だって思ってたのに、突然手の届かないところに行ってしまった。いや、もともと手の届かないところにいたはずで、サイモンなんかと一緒に旅をしたのはただの一時凌ぎにすぎなかった。勝手にわかりあえた気になって、勝手に友達だと思って。馬鹿みたいじゃないですか。「ちくしょう!」だよ、本当に。

そんなわけで、この巻は主に城から追い立てられて放浪の旅をすることになったサイモンの話でした。途中、トロールのビナビックや、マラシアスなども加わって心強い道程になるのですが、そうはいってもサイモンはもとがずいぶん子供っぽいですからね。そうそう頼りなさが抜けてしまうものじゃない。歩きながらビナビックが話を始めると、すぐと矢継ぎ早に取り留めのない質問をぶつけて話の腰を折りまくってへそを曲げさせてしまったり。舟で川を下っている途中、一方的に始めた自慢話に聞き入ってくれないことに機嫌を損ねている間に川底の岩を避けそこなって舟を転覆させかけたり。なんというか、もうちょっと旅慣れた仲間の前で我を張るのを押さえられないのかなあと思わされることしきり。後半にはサイモンも活躍を見せて、その頑張りもあってなんとか目的地であるナグリマンドに到着するのですが、まあそれも切羽詰まってたからだったり、それ以前でもおとなしくしてたのは疲れて我を張る気力も残ってないからだったりして。旅の仲間に対しては貢献度よりもお荷物度の方が高かったんじゃないかという気もします。でも終盤の切羽詰まった状況での必死の頑張りは、やればできるんだという自信になりうる経験だと思うのですよね。「ちくしょう!」のあとどんな展開が待ち受けているのかわかりませんが、旅の途中で城にいたときは抱く機会などなかったと思われる同年代の仲間との友達意識を芽生えさせていたのは確かなんですよね。それが、旅の間だけでなく、再びの人里でも、その行動に変化が窺えるようになってるといいなあというところで。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 10:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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