2013年11月14日

棺姫のチャイカ(2)

棺姫のチャイカII (富士見ファンタジア文庫) [文庫] / 榊 一郎 (著); なまにくAT...
棺姫のチャイカII (富士見ファンタジア文庫) [文庫] / 榊 一郎 (著); なまにくATK (イラスト); 富士見書房 (刊)

“禁断皇帝”アルトゥール・ガズの遺体を探し求めるチャイカ一行が二人目に訪うは、竜騎士ドミニカ・スコダ。今回のやりとりはかなりよかったですね。遺体を持つのはかつての大戦の英雄たちであり、彼らがそれを持つのは英雄と呼ばれるにふさわしい功績を残したがゆえ。そんなものを、くださいと言って、はいどうぞとくれるならなにも苦労はしないわけで。ましてチャイカは皇帝の娘を名乗る人物。正直に事情を説明しても捕まるだけじゃないかというところ。かといって、荒事で乗り切ろうにもこの世界の竜騎士はどうも別格の強さを持つようで。ここで真っ向から勝負を挑むのもそれはそれで熱いバトルにはなりそうですが、そこはトールもアカリも、乱破師として育て上げられた兄妹。手に入れることが目的であって、そのための手段にこだわらないのはセオリー通り。ただし、ドミニカという人物のことがわからないことには穏便にいくか手荒にいくかを決めるにも判断材料が足りていない。そこで、あえていちど懐に飛び込んでみるという流れになるんですね。そうして相手の腹を探ろうとするのですが、あの一歩間違えたら即座に踏み潰されそうな緊迫感はよかったですね。相手がなまじ一行を信用しようとしているだけに、もし騙しているのがばれたら、それは逆鱗に触れるようなものではないかと、息を潜めるようにして読んでしまいました。だけど、そこまで緊迫した空気に包まれきっていたかというとそうでもなく。なにより、トールたちの依頼主であるチャイカからして、善人を騙して大切な(であろう)ものを我がものにすることに耐えられない純粋さを残すキャラではありますからね。まあそこが普段のセリフから感じるかわいさにもつながっているのですが。それはともかく、その線がダメとなると結局戦う羽目になるわけですが、正面から戦っても勝ち目はない。ならばと頭を使って渡り合う戦いは、これまた実に手に汗握る面白さでしたね。相手も当然、トールたちが策を用意してくると踏んで身構えてくるわけですから、さらにその上を越えなければならないと知恵を絞って戦うあの感じ、純粋な力と技のぶつかり合いに知恵比べのような駆け引きが加わると、それはもう白熱した展開になりますね。今回、それほど劇的な展開はなかったようにも思うのですが、すっかり食い入るように読み入ってしまいましたよ。いい対峙でした。

そこまでのめり込んでしまったのは、くわえてドミニカの謎を探る要素も利いてたように思いますね。ドミニカの腹を探ろうとしている間に疑問が浮かんでくるのだけど、どういうことかなかなかはっきりしない。ひとつふたつ考えられることはあるのだけど、確たる答えは出そうにない。それでも、相手のことを探るフェイズから次に移行したとなれば、いつまでもこだわってはいられない。そう思っていたところが、戦いがちょうど佳境に差し掛かるところでその真相が明かされるのですからね。それはもう気分が盛り上がるというものですよ。かなりの満足感が味わえた話でしたね。

それはそうと、今回ジレット隊の影が薄いのですが、こちらの動向も気になってるんだけどなーというところで。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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