2013年10月28日

境界線上のホライゾン(5)下

GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 5(下) (電撃文庫) [文庫] / 川上稔 (...
GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 5(下) (電撃文庫) [文庫] / 川上稔 (著); さとやす(TENKY) (イラスト); アスキー・メディアワークス (刊)

上巻の表紙が北条・氏直さんだったのでてっきり小田原攻めまでやるものと思ってましたが、今回はその前にあれこれと下ごしらえするための話でしたか。まあそうはいってもいつもの如くの分量なので色々とあったわけで。真田と戦ったり羽柴と対峙したりダンジョンに乗り込んだりとそれはもう盛りだくさんの内容でしたね。

まず真田。これまでも十勇士のうちの何人かが武蔵に乗り込んであれこれと引っ掻き回してくれてましたが、ここでついにその総長兼生徒会長である真田・信之のお出ましですか。陽気なあんちゃんのようでありながら飄々としてつかみどころのない第一印象は殿先生を思い出させて油断のならなさそうな人物ですなと思っていればこれがまた……父親をパパとか呼んじゃうお坊ちゃんでしたよ。武蔵側との対談の様子を見てても、そりゃパパも心配になって見に来ちゃうよなという感じの頼りなさで。弟が有能すぎて実家では肩身が狭いようなので、それだけに覚悟を固めてきたつもりだったんでしょうが、相手をするのが武蔵の面々では厳しいですわな。あれらの相手して引けを取らないのは相当に場数踏んでるか同等以上に思考回路がぶっ飛んでる人くらいじゃないですかね。こう書くと武蔵のメンバーたちがまるで頭のおかしい奴らであるみたいな……いや、おかしい奴らでしたね。

上巻の感想でも触れましたが、現十勇士の襲名者たちって、言動のそこかしこに陰を感じさせるところがあるんですよね。何かを失って、けれどそれを吹っ切れずにいるところがあるような。自分たちを “要らず”と名乗ったりとか、ちょっと捨て鉢になりかけてるところもあるのが気になるところだったり。もう少し時間が経って何かきっかけをつかめば武蔵のメンバーみたいに吹っ切れた感じになるのかなと思ってはいますが(それはそれでまた賑やかになりそうだけど)。今回、彼らのそこら辺の事情が分かってみると、なるほどというところ。しかも十勇士であるがゆえに真田・信繁について大坂の陣まで豊臣方について働かなきゃいけないというのだから、精神的にはくるものがありそうで。とはいえ、そういう陰気を長持ちさせない空気が漂ってるのが川上稔作品でもありますので、そこまで気にしてもいないのではありますが。

ただね、そうして彼らが夢破れた後に出来上がってるのがあのうらやまけしからん片桐ハーレムだと思うと「あの野郎、許せねえ」と口走ってしまうのも、仕方ないところですよね? あの男一人の女所帯で、真面目年下少年ぶりを可愛がられてるかと思えば純情ぶりをカラダネタで弄られまくるあの空間はたまらんでえ。片桐じゃなくてこっちが死ぬところだったぜ……。

というアレなネタはさておき、まあ実際片桐君って好感の持てるキャラではありますからね。女装との神道カウンセリングでの、前向きに成長していこうという意思を感じさせる態度は、応援したくなるものがありましたからね。その後、フォローされながらだったりしながらもちょっとずつできることを広げて不足を埋めていっている様子がとても爽やかな感触でした。これに関して、十本槍のメンバーって、わかってる限りだと教導院の二年生ばかりであるはずなので、梅組の面々からすると後輩というか年下にあたるんですよね。そのためか、福島・正則も加藤・清正も含めて、初登場時からこれまで、将来の敵としてはやや物足りない印象を受けることが多かったり。でも、そんな彼女たちが大きな戦いやこういう狭間のところで少しずつでも着実に強くなっているのを知ることができると、将来の決戦に向けて期待が高まってくるんですよね。

続いてダンジョン探索関連。ダンジョンにバトルはつきものですが、それが竜との対決となれば恐らく都市シリーズ以来のイベントになるわけで。それはもう燃えるものがありますよね。竜はでかいからスケール感もかなりのものになりますし。しかも武神だって一人で撃墜しちゃうような猛者まで要する武蔵のメンバーをして数人がかりで相手せざるを得ない強敵だから、これはすなわちボス戦というやつですよ。加えて相手は二人だから、つまりボス戦2連発ですよ。さらにその先にはお宝(になりうる情報)があるというのだから、なんというかイベントマップっぽい流れですよねー。今回、シリーズとしての物語の山場はなかったように思いますが、見せ場はちゃんと用意されてるんですよね。

そのイベントマップの攻略で誰が一番輝いてたってやっぱり二代ですよね。二代の戦い方ってあれこれ考えて攻め筋を詰めていくのではなく、直感とその場の閃きで急所を摑んでしまうタイプなんですが、またしてもその本領が発揮されたというか。あれこれ考えて戦うァのようなタイプからすると無駄ばかりに見える戦い方かもしれませんが、体が覚えている最善手に直感的な閃きを組み合わせるとああいうのになるんでしょうね。それが絶妙なバランスを見せるのが二代のスタイルなのでしょうか。あれこれ考えようとしてもうまく言語化できないんだけど、とにかくできると、ならばやってみようと、そしてそういうことになる感じというか。一歩間違えると致命的だけどカチッと嵌ると速いこと強いこと。最終的に勝ち名乗りをあげる二代は最高に格好よかったです。ただまあ、理路整然と戦うタイプにとっては一緒に戦ってて気が気じゃないというか、最終的にうまくいくまでの壁役する羽目になったり唐突な行動にペース崩されたりとかしわ寄せが半端ないので、怒りっぽくなるのもしょうがないわなーと。

そんなこんなで次回、小田原攻めに続く……というところですが、六護式仏蘭西が何やら仕掛けてきたようで? これまでは、まず武蔵対P.A.Odaの構図ありきで、その他の勢力を聖連擁するP.A.Odaではなく武蔵側に回ってもらおうとしてあちこち回ってる感じの情勢だったように思いますが、ここにきて第三の牽引勢力が現れてきたことになるのでしょうか。さらに楽しみになってきましたね。

その他、こまごまとしたネタをあれこれと。

簡易あらすじ。あれだけの内容がたった300字程度でまとめられてしまえるものなんだなーと毎度のごとき驚きです。キャラの口を通したものであり、視点としては思いっきり偏りまくったものではありますが。今回も正純がとばっちりを受けまくっているような気もしますがいつものことということで。それにだいたい合ってるとは言えてしまうので、物は言いようだなあなどと思わされたり。ともかくもあれでまず雰囲気思い出せるので助かってます。

チャット名。上巻感想にて、福島・正則の「しとお」がわからないと書いてましたが、自己解決しました。「逆落とし」ですね。そしたら今度は追加で「きめえ」がわからんという。

二代の嫁。そういえばあの二人って昔馴染みだったっけなあ。仲良しの多い梅組だけど、二代って鍛錬を通しての付き合いはあってもそれ以外での付き合いってあんまり描かれてこなかった気がするからなあ。私的な付き合いとしてならやっぱりそこが順当なところかなあ。

目の前の問題を目の前の人たちと話してるつもりが、その波及的な影響について考えさせられる。この辺はちょっと理解しにくい感覚だけど、実は公人としてそれなりの権限を持っちゃってるキャラたちには必須の意識なのかな? その辺ネタに揺さぶりかけだすと格下をいたぶってるようでいい気はしないけど、まあそこも含めて未熟や迂闊ってことですかね。

十本槍と梅組のキャラの類似性。嘉明とアンジーが白魔女と黒魔女ですか。そういえば片桐君も渉外担当なところは正純に対応できそうな気もしたり。この辺、終わクロの相手を思い出させるところですねえ。

姉のことを語るエリザベスに、メアリってやっぱりお姉さんなんだなあと思ったり。

“……”と“――”の違いで会話の応答ってできるものなんですね――!? これは、何か新発見をしたかのような驚きですね……。

エクシブと輝元はいい雰囲気。毎回これしか書いてない気もするけどやっぱりそうなんだから仕方ない。今回はエクシブがあまりにも馬鹿すぎて笑うしかなかったんだけど、それでもいい雰囲気感じちゃうから悔しいというか。

ネイトママンやっぱりアウト過ぎる。パパンが心配なレベルなんですが、まあでもあれでいつも通りっぽいですし、結婚してから少なくとも20年近く、あるいはそれ以上続いてるはずなので、大丈夫なんでしょうね。というか、それだけ経ってるっていうのに、変わらないものなんですねえ。

竹中さんは無気力お姉さん系かわいい。「ハイダメ――ジ」がストライクでハイダメージ。気だるげな萌えしぐさすなあ。

竜にも匪天っているのかー。でもそれって、純血じゃないってことだったと思いますけど、つまり、どういうことなんです?

とかまあそんな感じで。なんかもう最後の方はほとんど一言コメント状態で見苦しいんですが、まあいいかということに。いよいよいろんな勢力入り乱れてきそうな6巻に期待ということで。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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