2013年09月18日

盗賊ロイス&ハドリアン 魔境の二人組

(まだ不調のようなのでひとつ前と同じに)
AVEMPARTHA.jpg

海外ファンタジーにはやはり、どこを切り取っても読み入らせる魅力があるように思いますね。この作品もそうなのですが、小さな起伏を経ながら物語が大きな山場を迎えていく中でぼーっと読み流してしまう場面がないんですね。このむらのなさは確かな筆力の現れのように感じて、大まかな物語の流れをたどることとは違う文章を読むこと、小説を読むことの楽しさを教えてくれるようです。しかしその一方で、安定したなめらかな読み心地は、荒削りなものに見出せるとんがった魅力を均すことで得られているようにも思えるのですよね。読み心地はたいへんよいものなのですが、心の奥深くにまで突き刺さってくる魅力に欠けるように感じるといいますか。単純に、まだ海外ファンタジーの雰囲気を楽しむ方法をものにできていないことを言い繕っているだけなのかもしれませんが、とにもかくにもひねり出そうとしないと感想が浮かんでこない言い訳をしてみました。


さてそれはともかく。アリスタがまた登場してる! しかもまだシリーズにおいてけっこう重要な立ち位置にいる! おお、マリバーに感謝を! いやあ、このシリーズの主人公は二人組の泥棒であって、アリスタってあくまでも1巻の事件で鍵を握る人物であったがゆえにシリーズに登場してこれた人物のような印象を受けていましたからね。シリーズのヒロインとしてならば彼らのホームと思しき〈薔薇と泉〉亭の女の子たちの方がよっぽどふさわしいように思っていましたが、アリスタの役割はロマンスのお相手としてよりももっと二人組に降りかかる事件に国家組織的な陰謀を絡めてその規模を巨大なものにしてやるところにあるような気がしてきました。なにせリィリアは1巻の事件にて名声を博したもののあくまで依頼がなければ動かない盗賊ですからね。でも彼らが行く先で、帝政派の陰謀において知らずその渦中にあるアリスタと出くわせば? それはもう物語のスケールが大きくなりますよ。今回の話を読んでみても、あとがき中の次回のあらすじを読んでみても、物語を動かす一番の牽引力を有しているのはアリスタとしか思えないんですよね。

さてそのアリスタ、前回の話では陥れられた陰謀の只中で、非情なふりをして常日頃疎まれていた弟をロイスとハドリアンに託すという機知と優しさを見せてくれた、その後に向けたのびしろを感じさせる王女様。賢明とは言い切れない方でしたが、ただの政略結婚の道具としては終わらないだろうと予感させる人ではありました。あれから二年の時が過ぎてどれほどの成長を見せたのかと思えば全然これからの駆け出し状態ではありましたが、弟王からも信頼されてまだまだ頼りないながらも王女としての枠を超えた政治の世界に足を踏み入れている様子を見ると、頑張ってほしいなあと思わされるものがあります。そうはいっても、正規の仕事はごくごくあっさりしたもので、あとは陰謀に巻き込まれて主人公たちの出番となってしまうのですが。とはいえそこで目にした出来事もあり、次の巻でどう立ち回るかに期待がかかりますね……というところなのですが、次の巻は邦訳刊行未定ってまじですか? 期待という名のリクエストってどんな感じで出したらいいんでしょうね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。