2013年09月16日

天冥の標(6)宿怨 PART2

(ここ二日ほど、いつも画像を貼りつけてるSeesaaAffiliateSerachがリクエストされた操作を完了してくれないので自前で)
tenmei6-2.jpg

なんだよこれ。もう変な笑いしか出てこない。あは、ははは……。

あのタイミングで出された「おめでとう。もう、やめていいのです」というセリフ。読者に対して、「これまでもたいがい怖い展開がありましたが、みなさんよく頑張って読み進んでこられました。けれどここから先はさらにこのように、えぐい展開がてんこ盛りで待ち受けております。だから、これ以上辛い思いをするのに耐えられないと思ったら、もうここで降りてしまってもいいのです」と告げているみたいじゃないですか。ふへへへへ……。いっそ当事者たちのように自暴自棄になって暴れまわることができたらどれほどすっきりするかとも思うのですが、一読者にすぎない自分がそこまで我がことのように思いつめることもできず。けれども先の展開を予想しようとしても苦しく希望のない展開しか思い浮かべることができなくて、気が塞いでしまわずにはいられませんよ。ホント、どうなっちゃうんでしょうか、これ。希望はあるんですよね?


気を取り直して、その他のことについても少しだけ。

今回もっとも注目すべき存在はなんといってもカルミアンでしょう。1巻では《石工》として登場した彼らですが、宇宙に覇を唱えるあの種族が生み出したものたちかと思えばあに図らんや。5巻の話が衝撃的だったせいでオムニフロラとノルルスカインによる二極構造が出来上がっているかのような気になっていましたが、そもそもノルルスカインって相対的にそれほど大きな存在でもなかったですよね。ノルルスカインの対峙する相手って、もっと膨大な数の種族を一度に相手できるほど巨大な勢力のはずなんですよね。しかしこうなると、1巻ラストの展開がまた違った意味合いを含んで見えてきますね。もしかするとあれは人類の敗北を決定づける瞬間ではなかったのかもしれない。《救世群》と非染者の争いの延長なのかもしれない。そう考えてみると、希望はあるのかもしれません。とはいえまだ確証の持てる段階ではないし、それにあれは太陽系外の植民惑星でのことであって、太陽系内での争いである目の前の展望に希望を持つ材料にはまるでならないのだけど。

それにしてもこのカルミアンたちですが、思えばこいつらも気を許せない存在ではありましたね。気を抜くと乗っ取られそうで油断がならないというわけでもなく、それはもっぱら意思疎通に関わる部分なのですが。彼女たちと人類である《救世群》とのコミュニケーションはすべて女王であるミスミィを通して行われるのですが、共通の価値観がないからどうしても不完全なものにならざるをえないんですよね。彼女の喋る人類の言葉をみても機械翻訳を通したような不自然で不明瞭なものですし。お互いなんとなくで言いたいことを察しているような感じなんですが、まったく異なる生態系・文化・技術体系をバックボーンに持つ者同士であるだけに、その「なんとなく」が実はいちばんおそろしいという。カルミアンにはカルミアンの心積もりがあり、《救世群》には《救世群》の心積もりがあり。相手のことをよく知らないまま気を回したり、目先のことを優先して相手の要求を検討するのを先送りしたりと、両者の関係って協力関係と呼ぶにもまだお互いの信頼を築き合えてない感じではありましたよね。それでも《救世群》側は今このときに起たねばならない情勢ではありましたからね。「彼ら」のやり口として、《救世群》を被差別集団のように扱って、MHD社による太陽系支配の枠組みを強化している感があって。それを黙って見過ごしていては《救世群》はじわじわと蜂起する力を奪われていきそうで。今回だって、カルミアンの技術を流用しなければ彼らと正面から対峙することなんてとてもできないはずでした。冥王斑ウイルスはそれだけでバイオテロを引き起こすことができる強力な手札ではありますが、それだけではテロ以上のことは難しいわけで。それこそ体を変異させてでも強く、なるしかなかったんですよね。心理的にそこまで追い詰められていたんですよね。そこに喉から手が出るほど欲しい技術力を持ったカルミアンがいるとわかれば、もう止まりませんですわな。でも、追い詰められて、住みよい環境・権利を勝ち取りたくて、戦うことばかりに気を取られて戦端も開いたのに、彼らを根本的に救う技術すらも実は有していたというのは、なんとも皮肉なすれ違いでしたね。戦場で謳われた凱歌も、窮地に見せつけられた気概も、その場面場面ではものすごく心動かされる場面であったにもかかわらず、そうした事情を知ってしまうとなんでこれほど多くの人々の命が奪われなけらばならなかったんだろうかと、ひたすら悲しくなってしまいました。本当に、どうしてこうなってしまったんでしょうね。

なんだか虚無感さえ抱く読後感なのですが、6巻はまだもう一冊残ってますね。次回は方言少女に注目でしょうか(などとむりやり萌え要素っぽいものをあげて沈んだテンションを引き上げようとしてみる)。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 00:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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