2013年08月20日

姫君達の晩餐 焼き菓子で物語は終わる

姫君達の晩餐 焼き菓子で物語は終わる (ビーズログ文庫) [文庫] / 山咲黒 (著); 起家...
姫君達の晩餐 焼き菓子で物語は終わる (ビーズログ文庫) [文庫] / 山咲黒 (著); 起家一子 (イラスト); エンターブレイン (刊)

珀蓮ってば、もうガードだだ下がりじゃないですか。常に気を張っててなかなか気を許すことのなかった珀蓮が、危機の直後とかでなくとも素直に鳥代に抱きしめられたりキスされたりしてるかわいさといったら。これがギャップ萌えの破壊力か。もともと二人とも好意を隠すようなことはしてなかったと思いますが、素直じゃない人たちが素直に互いの気持ちを受け入れる瞬間ってものすごくいいですよね。会話の端々から鳥代に対するガードが下がってるのが伝わってくること。そしてラストシーンでのあの嬉しそうなことといったら。シリーズ当初のツンケンした二人の仲を思えば、こちらまでなんだか幸せな気分になってしまいますよ。

鳥代は好きな女性像と手に入れたい女性像の矛盾が云々とか戯言つぶやいてましたが、ガード下がった珀蓮ってちょうどその両方を備えた感じになってませんかね。なんだかんだと憎まれ口叩いてはみても、結局はどれだけ珀蓮が好きかと言ってるだけなので、まあただの惚気ですよね。かなり遠回しではありますけど。しかし、鳥代って、女好きで通してるところありますけど、実は三人組の中で一番純情な人なのではないでしょうか。三人組の中で一番式に至るまでが長かったというのもありますが、他の二人ならそのぐらいよくやってるじゃーんということで赤面したりとか、まあかわいいですよね。珀蓮が素直になる機会が少ないのであまり耐性がついてないということなのかもしれませんが。

早苗のあれはやっぱり妊娠だったのですね。鳥代と珀蓮が結婚できないかもしれないとあたふたしてる間に……。色々と早すぎませんかね、この二人。まあ仲がいいのはいいことですか。そんな早苗の「強欲」さに振り回される広兼を見てても、初々しさすら感じさせる鳥代・珀蓮夫婦とは一歩も二歩も進んだ絆がうかがえるところではありますね。自らの身を顧みず動き回ろうとする早苗と、今は大事な体なんだからいっそのこと閉じ込めてしまいたいと考える広兼との妥協点を探る言い争いとか、なかなか進んだじゃれ合いですよね。

この巻の話は、新祢もメインの一人ではありましたよね。というかむしろこちらがメインだったような気も。二百年前に起きた出来事について、断片的な情報を基に進む推測に動揺を見せる新祢を心配し、その情報をもたらした平祈男爵に憎悪の目を向け、新祢に対して何もしてやれない自分を歯がゆく思うそれらの気持ちを隠そうとしない珀蓮のまっすぐさもいいものではありましたが、それはともかく。皆に必要以上に心配かけまいと気丈に振る舞おうとする新祢に泣いていいんだよと抱きしめる王伊を見てると、彼本当に変わったなあと思わされますね。以前の王伊だったら、彼女を悲しみから遠ざけようとしたはずですから。けどそれは自己満足でしかなくて。また向き直れるようにと、ここで不安を流れ落としてしまおうよと寄り添う様子からは、どれだけ傷つくことになっても真実を知りたいという彼女の願いを尊重する気持ちと、なにより新祢に対する愛情を感じるのですよね。そして、そんな愛情に泣きだしそうなくらいの幸福感を抱く新祢を見てると、こちらまで涙が出てきそうになってしまうんですよね。本当にいい夫婦ですよ。

そんな感じで、どいつもこいつも幸せになってしまえと叫びたくなるような素敵な最終巻でございました。

不満があるとすると、北の王と魔女のことや三人組の親世代のことなどが色々触れられないままになってしまっていた気もするのですが、まあそこはそれ。そこを除けば表紙に象徴されているような幸せ感満載のとってもいいお話でしたから。それに作者サイトの番外編短編で若干ながら補足もされてましたし。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 01:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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