2013年08月13日

禁断の花嫁 兄妹愛獄

禁断の花嫁 兄妹愛獄 (ティアラ文庫) [文庫] / ゆきの 飛鷹 (著); 成瀬 山吹 (イ...
禁断の花嫁 兄妹愛獄 (ティアラ文庫) [文庫] / ゆきの 飛鷹 (著); 成瀬 山吹 (イラスト); プランタン出版 (刊)

許されぬ兄妹愛を、けれどだからこそにそれ以上の幸せを望む術などありはしないのだと烈しくも鮮やかに描ききったあの『禁断の花嫁』に続編があったとは。そうと知れば、読まずばなるまいてと早速、読んでみました。が、どうもやっぱり前の巻が完璧すぎた感があります。しっかり最後まで描ききってくれたのは嬉しいのですが……というところ。

さて今回の話ですが、一度、禁忌に触れぬ結婚を通して幸せになれるかもしれないとの望みを完膚なきまでに砕かれた淑雪にとって、もはや兄の祥紀と添い遂げる以外の選択肢などありえません。喜悦も苦難も、すべては一蓮托生。どこまでも深みに嵌っていく二人の因業は留まるところがありません。その辺りの展開はさすがの雰囲気。既に抜け出せないほどに嵌りこんでいるのは確かなのですが、まだまだ底には遠いとばかりに沈んでいく様はそれ自体が甘美な悦びを覚えさせるものがありましたね。

しかし、犬畜生にも劣るあさましい姿だと真っ向から非難してかかるのはすでに前の巻で通った道だからか、今回は基本的に搦め手から非難弾劾の矛先が迫ってくるのですよね。前回の玉ゲンがあまりにも純粋な怒りをぶつけてきたこともあり、あれ以上の激しさを望むのは難しいというのもあるのかもしれませんが。とはいえ、弾劾の声を浴びせるどころか人格者面して見下してくるのは、当人たる淑雪ならずともうっとうしくは感じますね。彼女がそこまでの反応を示したのは、あの人なりに相当な衝撃を受けて並大抵なことでは動揺を抑えきれないまでになっていたからではないかと思いますが。

今回最注目はなんといっても律明ですね。玉ゲンのように純粋に淑雪に好意を抱き、玉ゲンよりもはるかに大きな懐でもって淑雪を包み込もうとした、乱世の君主にふさわしからぬほどの好青年。故郷のシン国で心ささくれ立つことの重なった淑雪にとって、律明と過ごす皋国での穏やかな日々は忘れ得ぬ思い出として積み重ねられていったのでしょうね。とはいえ、玉ゲンの時同様、淑雪の心が動かされかけたその瞬間にありえたはずの幸せを絶望が塗りつぶしていってしまうのは、もはや運命と思うほかない残酷な展開ですよね。まるですべての悪事を見落とさずにはいないという天が、祥紀以外の男に心を許すなどあってはならないと、淑雪に告げているようではないですか。

という感じで、ここまはすごく楽しめていたのですが、ここからがちょっといまいちだったんですよね。玉ゲンや律明には図ったかのように、ここしかないという瞬間にこれしかないという容赦のない運命の刃が振り下ろされたものですが、最後はどうももうちょっと別の結末もあり得たんじゃないかと思えるようなすっきりしない結末になっていたんですよね。直前の律明のところがすごく印象的だっただけに鮮烈さで一段も二段も劣るかなというところ。

総合してみると、最後以外は悪くなかったどころかよかったと思います。ただ、その最後が微妙だったので、どうもすっきりしない気分が残ってしまったのは否めません。とはいえいいところはすごくよかったのも事実なので、記憶にとどめておきたい作家さんではありますね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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