2013年07月18日

タムール記(3)青き薔薇の魔石

青き薔薇の魔石―タムール記〈3〉 (ハヤカワ文庫FT) [文庫] / デイヴィッド エディング...
青き薔薇の魔石―タムール記〈3〉 (ハヤカワ文庫FT) [文庫] / デイヴィッド エディングス (著); David Eddings (原著); 宇佐川 晶子 (翻訳); 早川書房 (刊)

エラナ様の血みどろ政治講座inマセリオンが絶賛継続中でござい。タムール帝国の首都マセリオンで着々と粛清の段取りが進んでいるようで。大鉈を振るうよりも穏便に事を済ませる伝統が息づく帝国人としては外務大臣オスカンがそのうち卒倒しそうな勢いですが、エレネ人にとってはごくごく当たり前の光景ですよね。とはいえ、あまりにも平然とやってのけるエラナ様の前では、象徴君主のような状態から脱却して専制君主として諸事を専断せんと初め意気揚々だったはずの皇帝サラビアンも時に及び腰気味で。その辺は、さすがエラナ様ですねーというところでもあり。というか、エラナ様ってば権力を好き勝手使うことにめちゃんこ慣れてますよね。基本的なスタンスとしては、暴政をするわけではないもののそこまで民のことを思ってるわけでもなく、社会の利害の調整者的な立場なのかなというところ。そしてその裏ではちょくちょく自身の満足のために権力を揮ってみたりと、まあおとぎ話に出てきそうな名君のイメージからは遠い人ではありますね。とはいえそこは、権力者だって人間なんだというところ。君主なんていうあっちからもこっちからも面倒事を押し付けられるストレスのたまる仕事してるんだから、ちょっとくらい恣意的な権力の使い方をしてみるのは一つの役得というものですかね。エラナ様には高いモラル観なんて求められてるわけではありませんし、大きな問題が起こらなければ許されるところではありましょう。程度問題ではありますが。エレニア国民としては、少なくとも先王の末年頃から国内がごたついていましたし、長年の脅威であったゼモック国を打ち倒しすらした現状ではエラナ様に対する評価は決して低くはないのではないでしょうか。

とはいえ、エラナ様たちのやり方はやはりエレネ人社会の伝統と蓄積の上に成り立つものであって、タムール人社会にとっては過激にすぎるのも事実のようで。タムール人の学者による報告書を読んでいると、どうもタムール人の伝統を無視したとんでもない暴挙に出ているようなんですよね。この辺、自分たちの考えを世界の常識と思うととんでもないことになりかねないというところで。これ、相当反発高まってると思うんですが、未だ全貌の見えてこない油断ならない動きの他にも、そのうち本格的な貴族の反乱とか起きたりしませんかね。スパーホークとしてはそれも見越して援軍要請をしているわけですが、要らぬ禍の種を蒔いているような気もしたり。皇帝サラビアンその人が、自身のことを無能と思い込んでいた官僚や貴族をあっと言わせることに関しては楽しそうにしているので、部外者としてはそれ以上言うこともないのかなというところでもありますが。

2巻末といい3巻末といい、スパーホークがダナエちゃんに強気に出る展開が続いている。これは、ついに彼も父親の威厳を取り戻そうとし始めたのですね……(違います)。まあ、ちょっとずつ全貌に近づきつつある異変と、マセリオンで始まろうとして粛清劇を前に、スパーホークとしても余裕がなくなりつつあるということなのでしょうが。なにせタムール帝国はエレニア国から遠く離れた異郷の地。それほど味方が多いわけでもありませんから、エラナ様の身の安全を守るにもいつも以上に気を張る必要がありますものね。しかし、エラナ様に真の目的を告げずに出発するにあたって、事前にいろいろ用意しておいたのにすぐばれてしまうのはお約束というかなんというか。準備段階で既にばれそうな気はしてましたが、見事に予想通りのばれ方だったのは笑えましたね。まあこの手の駆け引きでスパーホークがエラナ様の目を欺けるはずがありませんね。

しかし、サブタイトルにあるように“青い薔薇”が手中に戻ってきて、なんかもうすっかり魔法使い放題になってませんかね。『エレニア記』時代はまだ剣を使って戦うことの方が多かったような気がしますが、今となってはもう1冊のうちに何回剣抜いたっけな状態で。本職は騎士のはずだよね……というところですが、これも魔法と共存する世界ならではの様子とも言えるでしょうか。スティクリム人やイディマスの民たちならば、もっともっと魔法は普段の生活に溶け込んでいるのでしょうね。その辺の様子もちょっと気になってきたりしますが、まあシリーズの本題ではありませんね。

今回のタレン少年。すっかり出番の少なくなってきたフルートちゃんの好感度を上げるの巻(フラグはすでに立っている)。そっちかよとツッコんでしまうのはしょうがないですよね。これ、ダナエちゃんの方にはどんな影響が……。まあ、さらに墓穴を掘ったということなのでしょうね。相変わらず、将来を思うととてもニヤニヤできるキャラですね。

そんなこんなで、次回は小さき母上に注目ですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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