2013年07月13日

Missing(8)生贄の物語

Missing〈8〉生贄の物語 (電撃文庫) [文庫] / 甲田 学人 (著); 翠川 しん ...
Missing〈8〉生贄の物語 (電撃文庫) [文庫] / 甲田 学人 (著); 翠川 しん (イラスト); メディアワークス (刊)

ここにきてシリーズの雰囲気が変わりましたね。1〜2冊で終わる事件が続く怖い話集成的な作りから、明確な敵を見据えた長く続きそうな対決の話へと。感受性が鈍ってしまったせいか怖い話を純粋に楽しむことが難しく感じられる昨今ではありますので、個人的にはこの路線転換は今後への期待が高まるところですね。

“魔女”が登場した瞬間の絶望感ときたら、とんでもなかったですわ。勝てる気がしないどころか一矢報いることすらできそうにない無力感。好き放題されるのを呆然と見つめているしかない、圧倒的なまでの格の違いを見せつけられる場面は、あれはもうたまりませんでしたね。鳥肌ものの演出でしたよ。

いくつもの事件を経て、ついに空目から倒すべき敵として認定された“魔女”十叶詠子。これまでも何度か空目たちの前に姿を現して、時に危険な存在としての片鱗をのぞかせたり時に怪異に立ち向かう助言を与えてくれたりと、敵か味方よくわからない存在ではありました。いえ、むしろ敵や味方になるような対等な存在ではなく、もっと高みから気まぐれに介入する別次元の存在のようにさえ感じていました。丁度、彼女と対になるように登場する神野陰之のように。しかし、できることなら関わり合いになりたくない存在であっても、その矛先が自分たちにも向けられては手を拱いてはいられないというもの。とはいえ、なまじ次元が違うとわかるだけにどう立ち向かったらいいのかはさっぱりなのですが。

ここのところ空目たちにも言い出せない悩みを抱えたままで、仲間のために役立ててない感が頭一つ抜けてた武巳が見せた勇気もよかったですね。いい意味で吹っ切れていて、線の細さが目立つキャラではありますが、とっても頼もしかったですよ。身の内に眠れる“魔導士”が目覚めてしまった稜子といい、“魔女”と対峙することを思えば俊也や亜紀以上に頼れるキャラになりつつあるような気もしますね。制御できてるわけではないのでそれ以上の不安も付きまとうのですが。それにしても小崎摩津方の登場は、歓迎できない事態であるにもかかわらずなぜこうも高揚感を抱かせるのでしょうね。毎巻冒頭に大迫栄一郎の著作より引用があるために権威的なものを感じるからでしょうか。

なんにしても、シリーズとしてちょっと目が離せなくなってきました。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 16:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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