2013年07月10日

姫君達の晩餐 紡がれた肉料理

姫君達の晩餐 紡がれた肉料理 (ビーズログ文庫) [文庫] / 山咲黒 (著); 起家一子 (...
姫君達の晩餐 紡がれた肉料理 (ビーズログ文庫) [文庫] / 山咲黒 (著); 起家一子 (イラスト); エンターブレイン (刊)

童話における白雪姫や眠り姫やシンデレラといったら、どれも運命的な恋の話だったと思いますが、このシリーズにおいて最も「運命的」という言葉が似合いのカップルといえば、やはり王伊と新祢でしょう。二百年前の王女とその遊び相手であった二人。王女であった新祢は魔女の魔法で長い長い眠りにつき、王伊は二百年後のこの時代に生まれ変わって過去の記憶をもとに眠れる姫を見つけ出した。二人は二百年の時を超えて再会を果たし、将来を誓い合い、友人たちと幸せに過ごしている。恋の道筋としては出来すぎともいえるほどのロマンチックさで、まさに童話的と言えるでしょう。いいですよねえ。

さてそのお二人なのですが、どうも事実はそれほど感動的なお話ではなかったようで。前の巻で鳥代が目にした過去のイメージや記憶を取り戻した後の王伊の言動を見ているうちに、王伊については何か明かされていないことがありそうな感じではありました。と同時に、それが明かされる時がこわくもありました。王伊の小さな妹である瑠璃も目を輝かせていたような二人の恋の物語が、綺麗なままで記憶されているその像を歪まされてしまいそうでしたから。

ですが、この巻を読み終わってから振り返ってみると、それは見当違いの心配でしたね。二人の人物像をつかめているようでよく分かっていないままに思い出は綺麗なままであってほしいと願うのは、王伊と新祢の二人のことなんて興味がないと言ってるようなものでしたね。これまでの感想でも他の二組にばかり触れてたように思うのですが、この二人にも当然ながら魅力はあります。そしてそれが満を持して披露されたのがまさに今回だったというわけで。二人の恋は童話のようなロマンチックなものではなかったけれど、それでもいま同じ時を生きる互いをどうしようもなく好き合ってるんですよね。相手が自分を嫌いになったらと思うと耐えられないと、自分の想いを否定されるのは許せないと、そうまでに盲目的に思いつめられるほどの恋心。これは、「運命の恋」なんていう一言で表してしまうのが失礼なほどの想いがなさせる素敵な恋の物語ですよね。

いやホント、このシリーズのカップルはどの組も素晴らしい見せ場を作ってくれるものですね。いよいよ終わりが近づいてきたということですが、次は久々の舞台となる北の国で、鳥代と珀蓮の組が魅せてくれるのでしょうか。もののついでに解決してしまうかと思っていたら結構引っ張られてる感もあり、なんだか北の王がラスボスっぽく感じられたりもしてきますが、今回叶わなかった全員集合で円く収めてほしいところですね。
posted by 青山尚之(あおやまたかゆき) at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル・本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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